2014/11/23(日) - 06:09
11月20日に開催されたUCIシクロクロスワールドカップ第2戦コクサイデ大会。長い砂区間を含む名物コースで序盤から先頭でレースを展開したワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス)が追いすがるベテラン勢を振り切った。
「ベルギーの中でも、誰もが勝ちたいと思う2つのレースで勝った。コッペンベルグクロスとこのコクサイデだ。プロ1年目の今年にそれを達成することが出来るなんて」。BpostBankトロフェー第2戦「コッペンベルグクロス」に続いてUCIシクロクロスワールドカップで初勝利を収めた20歳のファンアールトはそう振り返る。
ベルギー・コクサイデと言えば砂のレースが名物だ。砂地でありながらアップダウンがあるのが特徴で、トップ選手であっても担ぎ&押しを余儀なくされる難所がいくつも登場。長い砂区間が周回を重ねる毎にダメージを与え、厳しいセレクションをかける。
ホールショットを取ったのは黒とオレンジのジャージを着るファンアールトで、20歳のU23世界チャンピオンがそのまま半周にわたって先頭を走り続ける。するとそこからフィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCPパワープラス)が先行してペースメイク。BKCPパワープラスが人数を揃えて先頭に立った一方で、スヴェン・ネイス(ベルギー、クレランAAドリンク)は相変わらずのスロースタートを見せた。
10数名が先頭でパックを形成しながら1周目を終えると、2周目にマテュー・ファンデルポール(オランダ、BKCPパワープラス)が動いた。19歳ながら昨シーズンのU23レースを席巻し、今シーズンからエリートレースを走るファンデルポールがレースをリード。すでにエリートレースで勝利を収め、安定した走りで上位入賞を繰り返すファンデルポールにファンアールトがジョインした。
今シーズンの若手の台頭を象徴するかのように、20歳ファンアールトと19歳ファンデルポールが先行する。勢いのある走りで後続を引き離すと、そこからさらにファンアールトがアタック。レース中盤に独走状態に持ち込んだファンアールトは平均26km/h前後のハイペースをキープしたまま周回した。
2番手ファンデルポールの後ろでは、クラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)やネイス、ワルスレーベンらが3番手パックを形成。ペースが上がらない「後半追い上げ型」のネイスらを振り切り、単独で飛び出したパウエルスが前のファンデルポールをパスした。
先頭ファンアールトは終盤にかけてもペースを落とさず、2番手パウエルスを43秒、3番手ファンデルポールを1分引き離して最終周回へ。最後までパワフルかつ丁寧な走りは衰えず、独走のままフィニッシュラインを駆け抜けた。
「中盤から単独で抜け出して、熱狂する観客に包まれながら独走するのは信じられない気持ちだったよ。この勝利を(引退した)ニールス・アルベルトに捧げたい。現在チームの監督を務めている彼は昨年大会の優勝者で、このコースで世界チャンピオンになったこともある。レース前に『何か特別なことを果たしてくれ』と彼に言われたんだ」と若き勝者はコメントする。コッペンベルグクロスでは禍根を残すスプリントでの勝利だったが、このコクサイデでその実力を遺憾なく発揮した。
前日に「2012年コクサイデで行われた世界選手権がとても不甲斐ない走りだったので、今回はUCIマキノをキャンセルし、コクサイデワールドカップに出場する選択をしました。日本のシクロクロスシーンの為に帰国することも考えましたが目指すところは世界が舞台です。明日は2012年のリベンジしてきます」とコメントしていた全日本チャンピオンの竹之内悠(ベランクラシックドルチーニ)はスタート直後のクラッシュで足止めを食らったが、出走58名中42位(マイナス2ラップ)に。竹之内はこのコクサイデをもってヨーロッパ連戦を終えて帰国。翌週の野辺山シクロクロスに出場する。
UCIシクロクロスワールドカップ2014-2015第2戦
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス) 1h02'34"
2位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +41"
3位 マテュー・ファンデルポール(オランダ、BKCPパワープラス) +53"
4位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) +55"
5位 クラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +57"
6位 イェンス・アダムス(ベルギー、ファストフートサービス) +58"
7位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア) +1'05"
8位 フィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCPパワープラス) +1'08"
9位 ロブ・ピータース(ベルギー、ファストフートサービス) +1'11"
10位 バルト・ウェレンス(ベルギー、テレネット・フィデア) +1'15"
42位 竹之内悠(日本、ベランクラシックドルチーニ) -2Laps
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
「ベルギーの中でも、誰もが勝ちたいと思う2つのレースで勝った。コッペンベルグクロスとこのコクサイデだ。プロ1年目の今年にそれを達成することが出来るなんて」。BpostBankトロフェー第2戦「コッペンベルグクロス」に続いてUCIシクロクロスワールドカップで初勝利を収めた20歳のファンアールトはそう振り返る。
ベルギー・コクサイデと言えば砂のレースが名物だ。砂地でありながらアップダウンがあるのが特徴で、トップ選手であっても担ぎ&押しを余儀なくされる難所がいくつも登場。長い砂区間が周回を重ねる毎にダメージを与え、厳しいセレクションをかける。
ホールショットを取ったのは黒とオレンジのジャージを着るファンアールトで、20歳のU23世界チャンピオンがそのまま半周にわたって先頭を走り続ける。するとそこからフィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCPパワープラス)が先行してペースメイク。BKCPパワープラスが人数を揃えて先頭に立った一方で、スヴェン・ネイス(ベルギー、クレランAAドリンク)は相変わらずのスロースタートを見せた。
10数名が先頭でパックを形成しながら1周目を終えると、2周目にマテュー・ファンデルポール(オランダ、BKCPパワープラス)が動いた。19歳ながら昨シーズンのU23レースを席巻し、今シーズンからエリートレースを走るファンデルポールがレースをリード。すでにエリートレースで勝利を収め、安定した走りで上位入賞を繰り返すファンデルポールにファンアールトがジョインした。
今シーズンの若手の台頭を象徴するかのように、20歳ファンアールトと19歳ファンデルポールが先行する。勢いのある走りで後続を引き離すと、そこからさらにファンアールトがアタック。レース中盤に独走状態に持ち込んだファンアールトは平均26km/h前後のハイペースをキープしたまま周回した。
2番手ファンデルポールの後ろでは、クラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)やネイス、ワルスレーベンらが3番手パックを形成。ペースが上がらない「後半追い上げ型」のネイスらを振り切り、単独で飛び出したパウエルスが前のファンデルポールをパスした。
先頭ファンアールトは終盤にかけてもペースを落とさず、2番手パウエルスを43秒、3番手ファンデルポールを1分引き離して最終周回へ。最後までパワフルかつ丁寧な走りは衰えず、独走のままフィニッシュラインを駆け抜けた。
「中盤から単独で抜け出して、熱狂する観客に包まれながら独走するのは信じられない気持ちだったよ。この勝利を(引退した)ニールス・アルベルトに捧げたい。現在チームの監督を務めている彼は昨年大会の優勝者で、このコースで世界チャンピオンになったこともある。レース前に『何か特別なことを果たしてくれ』と彼に言われたんだ」と若き勝者はコメントする。コッペンベルグクロスでは禍根を残すスプリントでの勝利だったが、このコクサイデでその実力を遺憾なく発揮した。
前日に「2012年コクサイデで行われた世界選手権がとても不甲斐ない走りだったので、今回はUCIマキノをキャンセルし、コクサイデワールドカップに出場する選択をしました。日本のシクロクロスシーンの為に帰国することも考えましたが目指すところは世界が舞台です。明日は2012年のリベンジしてきます」とコメントしていた全日本チャンピオンの竹之内悠(ベランクラシックドルチーニ)はスタート直後のクラッシュで足止めを食らったが、出走58名中42位(マイナス2ラップ)に。竹之内はこのコクサイデをもってヨーロッパ連戦を終えて帰国。翌週の野辺山シクロクロスに出場する。
UCIシクロクロスワールドカップ2014-2015第2戦
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス) 1h02'34"
2位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +41"
3位 マテュー・ファンデルポール(オランダ、BKCPパワープラス) +53"
4位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) +55"
5位 クラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +57"
6位 イェンス・アダムス(ベルギー、ファストフートサービス) +58"
7位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア) +1'05"
8位 フィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCPパワープラス) +1'08"
9位 ロブ・ピータース(ベルギー、ファストフートサービス) +1'11"
10位 バルト・ウェレンス(ベルギー、テレネット・フィデア) +1'15"
42位 竹之内悠(日本、ベランクラシックドルチーニ) -2Laps
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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