2014/11/15(土) - 09:03
国内最大級の自転車ショー「サイクルモード」に出展した約170のブースの中から、注目の新モデルや気になるプロダクツを一挙に紹介する第2弾。サーヴェロやラピエールの国内代理店を務める東商会、カスクやスポーツフルなど欧州のハイブランドを取り扱う日直商会、CX用チューブレスタイヤがブレイク中のIRCをピックアップします。
東商会(サーヴェロ、ラピエール、イーストン、TOKEN、ゼンティス、ジェットブラックなど)
サーヴェロやラピエールを筆頭に欧米の人気ブランドを数多く扱う東商会。今回のサイクルモードでは1、2を争う盛況ぶりで、ブース内は常に来場者で賑わっていた。担当者のイチオシはブース正面に展示されていた、「とにかくめちゃくちゃ走る」というサーヴェロの新型ハイエンドエアロロード「S5」。同社のアイデンティティであるエアロダイナミクスを追求しつつも、レース現場の声に応えた、汎用性にも配慮した1台だ。
また、弱虫ペダル人気の影響でサーヴェロのバイクの周りには常に女性来場者が多かった印象で、スポーツサイクルとは接点のなさそうな方からも「サーヴェロカッコ良い!」という声が聞かれたのには正直びっくり。これまでは、上級者向けのピュアレーシングブランドとイメージが先行していただけに隔世の感を禁じ得ない。この他にも同社らしい真っ赤なペイントが印象的なTTバイク「P3」や、新たな試みとして昨季より展開されている105グレードの完成車にも注目が集まっていた。
近年、更に開発力を強めるフレンチブランドのラピエールは新型エアロロードの「Air Code」がトピックスだ。ジロのポイント賞を獲得したナゼル・ブアニや、ツールの新人賞&3位表彰台を獲得したティボー・ピノ(共にフランス)らFDJ.frの活躍を支えた1台は、主にツウなレースファンからの視線が熱かったよう。
バイク同様にホイールラインナップもアツい東商会は、いずれもプロレベルでその性能が実証されているイーストン、TOKEN、ゼンティスという3ブランドを展開。中でも多くの来場者を驚かせていたのが、イーストン史上最軽量のロードホイール「E100」である。スポーク及びハブにカーボンを用いることで軽量化を追求したモデルで、あまりの軽さに持ち上げた瞬間に腰を抜かしたという来場者の方は少なくないだろう。
TOKENからはアルミ製軽量ロードクリンチャーホイール「C22A」がお披露目された。ベアリングによって価格が異なるものの、スチールベアリングのベーシックモデルは49,000円で1,384gとコストパフォーマンス抜群。また、近年珍しいシルバーカラーがラインナップされる点もポイントだ。
その他、エルゴノミックサドルのSQ LABやスペイン生まれの高品質サイクルウェアブランドであるエチェオンドなどアクセサリー類も豊富。今季から、取り扱いを始めるホームトレーナーのジェットブラックコーナーには国内で展開されるフルラインナップが揃い踏みで、全モデルで試乗することができた。担当者曰く「なぜだか女性の方が多く試乗されていましたし、3本ローラーに挑戦して見ようという方については圧倒的に女性の方が多いくらい。弱虫ペダルの効果ってスゴいですね」とのこと。
日直商会(カスク、スポーツフル、シディ、ミシュランなど)
創業1908年と100年以上の歴史を持つ日直商会。後日公開の記事で取り上げる主力ブランドのデローザ以外にも、ヨーロッパを中心とした魅力的なアイテムを豊富に取り扱っている。その中でも、今回のサイクルモードでトピックスだったのが2015モデルより取り扱いを開始するイタリアのヘルメットブランド「カスク」だ。本国からは、日本語が達者なイタリア人のジョバンニ・サントロ氏が来日しプロモーションを行った。
チームスカイをチーム創設当初からサポートすることで、ヘルメットメーカーの地位を確立したカスクだが、実は未だ創業10年という新興ブランドなのである。そんな同社は2015モデルよりロゴをリニューアル。そして、ツールでクリス・フルーム(イギリス)らチームスカイの選手が使用し話題となった「PROTONE」を発表。この新モデルについて「スカイの選手たちからの『涼しいながらも空力性能の高いヘルメットが欲しい』というリクエストに応えて作ったモデルなんだ。本当はツールで投入予定は無かったんだけど、選手たちがあまりに気に入ってたので使うことになったんだ」とサントロ氏は語ってくれた。
また、デローザとカスクのコラボレーションもサイクルモードでお披露目された。これは長年に渡る日直商会とデローザのパートナーシップがあるからこそ実現したものであり、国内のみで展開される。ちなみにイタリア本国でも、デローザとカスクの販売代理店が異なることから販売されることはないとのこと。
同じくイタリアに居を構え、レース界で高く評価されながらも実は比較的新しいブランドがアパレルのスポーツフルだ。サイクルモードでは2014秋冬と2015春夏の両コレクションを展示。多くのアイテムにサポートチームのティンコフ・サクソからのフィードバックが生かされており、それはエントリーモデルであっても変わらないという。
担当者のイチオシはクラシカルなルックスの「ITALIA ES JERSEY」。イタリアを象徴するブルーのベースに左胸にはトリコローレを、右胸には5つの★を配している。これはロードレースのイタリア代表にジャージを供給していた時代に制した世界チャンピオンとオリンピックの数を示すもので、バックポケットの裏面には優勝した年号とレースの開催地が記されている。
その他、日本ミシュランのライセンスのもとに日直商会が企画し、「LEVEL」を主宰する松田志行氏が設計を手がけるヴェロ・ミシュランには第3弾として同シリーズ初となる20インチホイールのミニヴェロが登場している。
IRC
国産タイヤブランドのIRCからは、昨今人気が高まっているシクロクロスにおいてシェアを伸ばしているCX用チューブレスタイヤ「SERAC CX」シリーズにニューモデルが登場。スタンダードモデル、マッド用に続く第3弾はヤスリ目のトレッドパターンを採用したハードパック用だ。
SERAC CXは、同時開催のスターライト幕張でも複数の選手が実戦使用していたようで、その声を訊くと評価がとても高い。これまで主流であったチューブラーと同等の低圧が可能ながらも取り付けの手間が圧倒的に少ないことから、国内のCXシーンでは主流になるという見方もある。同じく新製品では久しぶりのロード用クリンチャーとなるASPITEシリーズも注目を集めていた。
同じくサイクルモードでは、ロード用「ASPITE」とMTB用「MIBRO」の両レーシングモデルの24インチ仕様キッズタイヤが正式発表となった。担当者曰く、コンパウンドは共通でサイズだけを変更したそう。そして、需要の多いプロダクトでは無いものの、2020年の東京オリンピックに向けてキッズレーサーたちをサポートしたいという狙いがあるそうだ。まさにIRCの心意気を感じられる商品である。
一方でプロトタイプも複数展示されていた。IRCが独自に開発し、国内のプロレーサーから高い評価を受けていた米ぬか配合コンパウンドはナノテクノロジーによってさらなる進化を遂げている。そして登場したのが「Nano-TriC」で、グリップ力と転がり抵抗という相反する性能を高次元でバランスさせることに成功し、既に車椅子競技用モデルには採用されているという。自転車用タイヤへは耐久性を煮詰めてから投入されるとのこと。加えて、海外で流行中のファットバイク用タイヤも参考出展されていた。
text:Yuya.Yamamoto
photo:CW編集部
東商会(サーヴェロ、ラピエール、イーストン、TOKEN、ゼンティス、ジェットブラックなど)
サーヴェロやラピエールを筆頭に欧米の人気ブランドを数多く扱う東商会。今回のサイクルモードでは1、2を争う盛況ぶりで、ブース内は常に来場者で賑わっていた。担当者のイチオシはブース正面に展示されていた、「とにかくめちゃくちゃ走る」というサーヴェロの新型ハイエンドエアロロード「S5」。同社のアイデンティティであるエアロダイナミクスを追求しつつも、レース現場の声に応えた、汎用性にも配慮した1台だ。
また、弱虫ペダル人気の影響でサーヴェロのバイクの周りには常に女性来場者が多かった印象で、スポーツサイクルとは接点のなさそうな方からも「サーヴェロカッコ良い!」という声が聞かれたのには正直びっくり。これまでは、上級者向けのピュアレーシングブランドとイメージが先行していただけに隔世の感を禁じ得ない。この他にも同社らしい真っ赤なペイントが印象的なTTバイク「P3」や、新たな試みとして昨季より展開されている105グレードの完成車にも注目が集まっていた。
近年、更に開発力を強めるフレンチブランドのラピエールは新型エアロロードの「Air Code」がトピックスだ。ジロのポイント賞を獲得したナゼル・ブアニや、ツールの新人賞&3位表彰台を獲得したティボー・ピノ(共にフランス)らFDJ.frの活躍を支えた1台は、主にツウなレースファンからの視線が熱かったよう。
バイク同様にホイールラインナップもアツい東商会は、いずれもプロレベルでその性能が実証されているイーストン、TOKEN、ゼンティスという3ブランドを展開。中でも多くの来場者を驚かせていたのが、イーストン史上最軽量のロードホイール「E100」である。スポーク及びハブにカーボンを用いることで軽量化を追求したモデルで、あまりの軽さに持ち上げた瞬間に腰を抜かしたという来場者の方は少なくないだろう。
TOKENからはアルミ製軽量ロードクリンチャーホイール「C22A」がお披露目された。ベアリングによって価格が異なるものの、スチールベアリングのベーシックモデルは49,000円で1,384gとコストパフォーマンス抜群。また、近年珍しいシルバーカラーがラインナップされる点もポイントだ。
その他、エルゴノミックサドルのSQ LABやスペイン生まれの高品質サイクルウェアブランドであるエチェオンドなどアクセサリー類も豊富。今季から、取り扱いを始めるホームトレーナーのジェットブラックコーナーには国内で展開されるフルラインナップが揃い踏みで、全モデルで試乗することができた。担当者曰く「なぜだか女性の方が多く試乗されていましたし、3本ローラーに挑戦して見ようという方については圧倒的に女性の方が多いくらい。弱虫ペダルの効果ってスゴいですね」とのこと。
日直商会(カスク、スポーツフル、シディ、ミシュランなど)
創業1908年と100年以上の歴史を持つ日直商会。後日公開の記事で取り上げる主力ブランドのデローザ以外にも、ヨーロッパを中心とした魅力的なアイテムを豊富に取り扱っている。その中でも、今回のサイクルモードでトピックスだったのが2015モデルより取り扱いを開始するイタリアのヘルメットブランド「カスク」だ。本国からは、日本語が達者なイタリア人のジョバンニ・サントロ氏が来日しプロモーションを行った。
チームスカイをチーム創設当初からサポートすることで、ヘルメットメーカーの地位を確立したカスクだが、実は未だ創業10年という新興ブランドなのである。そんな同社は2015モデルよりロゴをリニューアル。そして、ツールでクリス・フルーム(イギリス)らチームスカイの選手が使用し話題となった「PROTONE」を発表。この新モデルについて「スカイの選手たちからの『涼しいながらも空力性能の高いヘルメットが欲しい』というリクエストに応えて作ったモデルなんだ。本当はツールで投入予定は無かったんだけど、選手たちがあまりに気に入ってたので使うことになったんだ」とサントロ氏は語ってくれた。
また、デローザとカスクのコラボレーションもサイクルモードでお披露目された。これは長年に渡る日直商会とデローザのパートナーシップがあるからこそ実現したものであり、国内のみで展開される。ちなみにイタリア本国でも、デローザとカスクの販売代理店が異なることから販売されることはないとのこと。
同じくイタリアに居を構え、レース界で高く評価されながらも実は比較的新しいブランドがアパレルのスポーツフルだ。サイクルモードでは2014秋冬と2015春夏の両コレクションを展示。多くのアイテムにサポートチームのティンコフ・サクソからのフィードバックが生かされており、それはエントリーモデルであっても変わらないという。
担当者のイチオシはクラシカルなルックスの「ITALIA ES JERSEY」。イタリアを象徴するブルーのベースに左胸にはトリコローレを、右胸には5つの★を配している。これはロードレースのイタリア代表にジャージを供給していた時代に制した世界チャンピオンとオリンピックの数を示すもので、バックポケットの裏面には優勝した年号とレースの開催地が記されている。
その他、日本ミシュランのライセンスのもとに日直商会が企画し、「LEVEL」を主宰する松田志行氏が設計を手がけるヴェロ・ミシュランには第3弾として同シリーズ初となる20インチホイールのミニヴェロが登場している。
IRC
国産タイヤブランドのIRCからは、昨今人気が高まっているシクロクロスにおいてシェアを伸ばしているCX用チューブレスタイヤ「SERAC CX」シリーズにニューモデルが登場。スタンダードモデル、マッド用に続く第3弾はヤスリ目のトレッドパターンを採用したハードパック用だ。
SERAC CXは、同時開催のスターライト幕張でも複数の選手が実戦使用していたようで、その声を訊くと評価がとても高い。これまで主流であったチューブラーと同等の低圧が可能ながらも取り付けの手間が圧倒的に少ないことから、国内のCXシーンでは主流になるという見方もある。同じく新製品では久しぶりのロード用クリンチャーとなるASPITEシリーズも注目を集めていた。
同じくサイクルモードでは、ロード用「ASPITE」とMTB用「MIBRO」の両レーシングモデルの24インチ仕様キッズタイヤが正式発表となった。担当者曰く、コンパウンドは共通でサイズだけを変更したそう。そして、需要の多いプロダクトでは無いものの、2020年の東京オリンピックに向けてキッズレーサーたちをサポートしたいという狙いがあるそうだ。まさにIRCの心意気を感じられる商品である。
一方でプロトタイプも複数展示されていた。IRCが独自に開発し、国内のプロレーサーから高い評価を受けていた米ぬか配合コンパウンドはナノテクノロジーによってさらなる進化を遂げている。そして登場したのが「Nano-TriC」で、グリップ力と転がり抵抗という相反する性能を高次元でバランスさせることに成功し、既に車椅子競技用モデルには採用されているという。自転車用タイヤへは耐久性を煮詰めてから投入されるとのこと。加えて、海外で流行中のファットバイク用タイヤも参考出展されていた。
text:Yuya.Yamamoto
photo:CW編集部
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