北京五輪のメインスタジアムである鳥の巣スタジアムの前で繰り広げられた最終スプリント。今年で最後の開催を迎えたツアー・オブ・北京(UCIワールドツアー)を勝利で締めくくったのはサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)だった。



天安門広場を通過するプロトン天安門広場を通過するプロトン photo:Tim de Waele


鳥の巣スタジアムを囲む周回コースを走る鳥の巣スタジアムを囲む周回コースを走る photo:Tim de Waeleツアー・オブ・北京最終日の第5ステージは天安門広場をスタートする。北京五輪の際に使用された鳥の巣スタジアムを中心にした7.5kmの周回コースを12周してフィニッシュ。青空の暖かい太陽に包まれた北京のど真ん中でレースは締めくくられる。

逃げるローラン・マンジェル(フランス、FDJ.fr)とトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ベリソル)逃げるローラン・マンジェル(フランス、FDJ.fr)とトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ベリソル) photo:Tim de Waeleスタートしてすぐ、総合に集団から飛び出したのはこの北京を最後に現役を引退するローラン・マンジェル(フランス、FDJ.fr)とトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ベリソル)の2人。観客もまばらな平坦な周回コースを4分リードで逃げた。

リーダージャージを着て走るフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)リーダージャージを着て走るフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waele周回コースに入るとスプリンターチームが集団先頭に陣取り始めたが、残り2周の時点でタイム差は依然として2分25秒。ガーミン・シャープやベルキン、チームスカイが強力に集団を率い、タイム差を1分に詰めて最終周回に入る。

最終スプリントを制したサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)最終スプリントを制したサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Tim de Waeleあわや逃げ切りの可能性も浮上したが、スプリンターチームの猛烈な追い上げが2人のチャンスを奪う。先頭マンジェルとファンデルサンドは残り2kmを切ったところで吸収。100名近い大集団によるゴールスプリントに持ち込まれた。

最速トレインを組んだベルキンがモレノ・ホフランド(オランダ)を好位置で解き放つ。その後ろからサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)とグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、ロット・ベリソル)が追い上げ、更にその後ろからエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)が飛んでくる。

横一線に並んでハンドルを投げ込んだモードロ、ヘンダーソン、ボアッソンハーゲンの3人。ホフランドの付き位置からスプリントに持ち込んだモードロが先着した。

ランプレ・メリダのエーススプリンターとしてシーズン前半に7勝を飾りながらも、ツール・ド・フランスを第2ステージでリタイアし、その後は低迷していたモードロがシーズン最後に勝利。「この勝利が必要だった。苦しみ続けていたんだ」とシーズン8勝目(イタリア人最多)を飾ったモードロは語る。「逃げを捕まえるのに苦労したよ。ランプレ・メリダはコスタのために5日間走っていたからスプリントに人数を割けず、他のチームと協力して集団を牽引。最後は3人に連れられて良いポジションまで上がったんだ」。

最終日に総合成績は動かず、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)が第4代チャンピオンに。「リードが3秒しかなかったのでストレスフルだった。集団が割れてタイムを失うことに警戒したよ。最終コーナーを良い位置で抜けてからはリスクを負わなかった」。34番手でフィニッシュラインを切ったジルベールはそう振り返っている。

前日の1級山岳で勝利を飾った総合2位ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)や総合7位のジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)、最終日のスプリントで3位に入ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)はジャパンカップに向けて好調ぶりをアピール。中国からそのまま来日する予定だ。



総合優勝を飾ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)総合優勝を飾ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waele



ツアー・オブ・北京2014第5ステージ結果
1位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)           2h40'10"
2位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、ロット・ベリソル)
3位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
4位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
5位 モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
6位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)
7位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
8位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
9位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
10位 エンリケ・サンス(スペイン、モビスター)

個人総合成績
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)           15h19'47"
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)          +03"
3位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)         +09"
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)                +11"
5位 セルゲイ・チェルネツキ(ロシア、カチューシャ)               +23"
6位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)
7位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
8位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 ミカエル・シュレル(フランス、AG2Rラモンディアール)

ポイント賞
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)

山岳賞
ミカル・ゴラス(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)

ヤングライダー賞
エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)

チーム総合成績
オリカ・グリーンエッジ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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