2014/08/28(木) - 09:26
ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージは登り基調の最終ストレートでのスプリント勝負に。ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)から進路妨害をアピールされるも、先頭を突き進んだジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)が勝利した。
コルドバ近郊のプリエゴ・デ・コルドバを発ち、渓谷によって分けられた断崖の街ロンダを目指す第5ステージ。緩やかにアップダウンを繰り返しながら標高400mほどの台地を進む。残り15km地点でピークを迎える3級山岳エル・サルティーリョ峠がこの日最初で最後の大きな登りだ。
平坦ステージに分類されるが、残り600mから登り基調が始まるため純粋なスプリンター向きのステージとは言えない。レース終盤の横風奇襲作戦によって、集団内でフィニッシュラインにたどり着いたのは80名ほどの選手だった。
灼熱のアンダルシア州を貫くステージで、トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)とピム・リヒハルト(オランダ、ロット・ベリソル)が逃げを試みた。
UCIプロコンチネンタルライダーを欠いた強力なエスケープデュオ。タイム差は2分30秒まで広がったものの、世界TTチャンピオンのマルティンはメカトラによって逃げから脱落してしまう。
想定外のマルティンの脱落によって単独先頭となったリヒハルトは、2つのスプリントポイントを先頭通過しながら淡々と逃げ続ける。この日も気温は40前後まで上昇。あまりの暑さと単独逃げによってレースは予想タイムよりも遅めの進行に。
2つ目のスプリントポイントではクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)がFDJ.fr勢を押さえ込んでの集団先頭通過。2番手通過でボーナスタイム2秒を獲得し、総合争いへの高いモチベーションを印象づけた。
レースが活性化したのは残り40kmを切ってから。横風区間でティンコフ・サクソが急激にペースアップを開始するとメイン集団から脱落する選手が続出する。被害を受けたライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)やジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)ら、脱落者を含むエシュロンがメイン集団に追いつくことはなかった。
このペースアップによって先頭リヒハルトは吸収され、およそ80名の集団がハイペースをキープしたまま3級山岳エル・サルティーリョ峠をクリアする。モビスターやチームスカイ、ティンコフ・サクソが集団先頭を陣取って残り10km。そのままチームスカイが残り2kmまでリードアウトした。
BMCレーシングが先頭を奪って残り1kmを切り、フィニッシュラインに向かう緩斜面がスタート。デゲンコルブのリードアウトを務めるクーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・シマノ)が加速し、アタックさながらの勢いで登りを突き進む。その後ろでデゲンコルブとフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)が同時にスプリントを開始した。
ポイント賞ジャージを着るデゲンコルブが登りを感じさせない加速でジルベールを置き去りに。ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)が追い上げたものの、デゲンコルブとフェンスの間に挟まれて前に出れず。進路妨害を訴えるブアニが手を挙げるのを尻目に、デゲンコルブが再び両手を挙げてフィニッシュした。
「今日も暑くて本当にタフな一日だった。ティンコフのペースアップによってデコルトとバーギルと自分だけになってしまい、トレインは組めなかった。早めに仕掛けたのが功を奏した。2勝目にはとても満足しているよ」と、2日連続で表彰台に登り、ポイント賞ジャージを獲得したデゲンコルブは語る。
「彼は何回も進路を塞いできた」というブアニの主張にについてデゲンコルブは「自分のラインは変えていないし、抜こうと思えば右側(フェンスとの間)から抜くことが出来たはず」とコメント。ブアニの訴えは受け入れられなかった。
集団内の総合上位陣がほぼ全員5秒遅れでフィニッシュしたため、総合成績に大きな変動は無し。ポジション取りに苦戦したマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)はステージ11位に沈みながらもマイヨロホを守っている。
選手コメントはレース公式リリースより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2014第5ステージ結果
マイヨロホ(個人総合成績)
マイヨプントス(ポイント賞)
マイヨモンターニャ(山岳賞)
マイヨコンビナーダ(複合賞)
チーム総合成績
ステージ敢闘賞
ピム・リヒハルト(オランダ、ロット・ベリソル)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
コルドバ近郊のプリエゴ・デ・コルドバを発ち、渓谷によって分けられた断崖の街ロンダを目指す第5ステージ。緩やかにアップダウンを繰り返しながら標高400mほどの台地を進む。残り15km地点でピークを迎える3級山岳エル・サルティーリョ峠がこの日最初で最後の大きな登りだ。
平坦ステージに分類されるが、残り600mから登り基調が始まるため純粋なスプリンター向きのステージとは言えない。レース終盤の横風奇襲作戦によって、集団内でフィニッシュラインにたどり着いたのは80名ほどの選手だった。
灼熱のアンダルシア州を貫くステージで、トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)とピム・リヒハルト(オランダ、ロット・ベリソル)が逃げを試みた。
UCIプロコンチネンタルライダーを欠いた強力なエスケープデュオ。タイム差は2分30秒まで広がったものの、世界TTチャンピオンのマルティンはメカトラによって逃げから脱落してしまう。
想定外のマルティンの脱落によって単独先頭となったリヒハルトは、2つのスプリントポイントを先頭通過しながら淡々と逃げ続ける。この日も気温は40前後まで上昇。あまりの暑さと単独逃げによってレースは予想タイムよりも遅めの進行に。
2つ目のスプリントポイントではクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)がFDJ.fr勢を押さえ込んでの集団先頭通過。2番手通過でボーナスタイム2秒を獲得し、総合争いへの高いモチベーションを印象づけた。
レースが活性化したのは残り40kmを切ってから。横風区間でティンコフ・サクソが急激にペースアップを開始するとメイン集団から脱落する選手が続出する。被害を受けたライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)やジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)ら、脱落者を含むエシュロンがメイン集団に追いつくことはなかった。
このペースアップによって先頭リヒハルトは吸収され、およそ80名の集団がハイペースをキープしたまま3級山岳エル・サルティーリョ峠をクリアする。モビスターやチームスカイ、ティンコフ・サクソが集団先頭を陣取って残り10km。そのままチームスカイが残り2kmまでリードアウトした。
BMCレーシングが先頭を奪って残り1kmを切り、フィニッシュラインに向かう緩斜面がスタート。デゲンコルブのリードアウトを務めるクーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・シマノ)が加速し、アタックさながらの勢いで登りを突き進む。その後ろでデゲンコルブとフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)が同時にスプリントを開始した。
ポイント賞ジャージを着るデゲンコルブが登りを感じさせない加速でジルベールを置き去りに。ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)が追い上げたものの、デゲンコルブとフェンスの間に挟まれて前に出れず。進路妨害を訴えるブアニが手を挙げるのを尻目に、デゲンコルブが再び両手を挙げてフィニッシュした。
「今日も暑くて本当にタフな一日だった。ティンコフのペースアップによってデコルトとバーギルと自分だけになってしまい、トレインは組めなかった。早めに仕掛けたのが功を奏した。2勝目にはとても満足しているよ」と、2日連続で表彰台に登り、ポイント賞ジャージを獲得したデゲンコルブは語る。
「彼は何回も進路を塞いできた」というブアニの主張にについてデゲンコルブは「自分のラインは変えていないし、抜こうと思えば右側(フェンスとの間)から抜くことが出来たはず」とコメント。ブアニの訴えは受け入れられなかった。
集団内の総合上位陣がほぼ全員5秒遅れでフィニッシュしたため、総合成績に大きな変動は無し。ポジション取りに苦戦したマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)はステージ11位に沈みながらもマイヨロホを守っている。
選手コメントはレース公式リリースより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2014第5ステージ結果
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
3位 モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
4位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
5位 ポール・マルテンス(ドイツ、ベルキン)
6位 ロイド・モンドリー(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
8位 ビセンテ・レイネス(スペイン、IAMサイクリング)
9位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
10位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
2位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
3位 モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
4位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
5位 ポール・マルテンス(ドイツ、ベルキン)
6位 ロイド・モンドリー(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
8位 ビセンテ・レイネス(スペイン、IAMサイクリング)
9位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
10位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4h41'47"
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
6位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキン)
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
6位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキン)
18h12'31"
+13"
+20"
+24"
+26"
+29"
+32"
+13"
+20"
+24"
+26"
+29"
+32"
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
70pts
54pts
50pts
54pts
50pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)
2位 ジェローム・クザン(フランス、ユーロップカー)
3位 アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
2位 ジェローム・クザン(フランス、ユーロップカー)
3位 アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
10pts
9pts
6pts
9pts
6pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、MTNキュベカ)
2位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
2位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
72pts
72pts
89pts
72pts
89pts
チーム総合成績
1位 ベルキン
2位 BMCレーシング
3位 カチューシャ
2位 BMCレーシング
3位 カチューシャ
54h09'55"
+14"
+36"
+14"
+36"
ステージ敢闘賞
ピム・リヒハルト(オランダ、ロット・ベリソル)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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