2014/08/27(水) - 18:40
連載でお届けするプロバイクレポート。今回から3回に渡ってツール・ド・フランス2014を走った最新鋭のTTバイクにを特集する。第1弾はAG2R、トレックファクトリーレーシング、コフィディス、ティンコフ・サクソ、ベルキン、ロット・ベリソル、モビスターのマシンにフォーカスする。
ベルキン 【ビアンキ AQUILA CV、Pico Crono】
ベルキンが使用するビアンキ AQUILA CV photo:Makoto.AYANO
Countervailと名付けられた独自の振動吸収技術を投入し運動性能やトラクション性能をも向上させた photo:Makoto.AYANO
インテグレーテッドデザインのヘッド周りによって空力性能を高めている photo:Makoto.AYANO
ビアンキは今大会唯一の個人TTが開催された第20ステージの開始前に、新型TTバイク「AQUILA CV」を発表した。エアロ効果を追求したのはもちろんのこと、エンデュランスバイクの「INFINITO CV」に投入された振動吸収技術を投入することで、運動性能やトラクション性能をも向上させたことが特徴で、バウク・モレマ(オランダ)らが早速実戦投入。なお、従来よりラインナップされている「Pico Crono」も一部ライダーによって使用されていた。
翼断面のシートチューブとシートポスト。シートクランプは臼式だ photo:Makoto.AYANO
ヴィジョンとビアンキが共同開発したハンドル周り photo:Makoto.AYANO
トレンドのコンパクトなリア三角 photo:Makoto.AYANO
目一杯まで拡幅されたBBシェル photo:Makoto.AYANO
コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2をメインに、リアディレーラーにULTEGRAグレードの旧型RD-6870を装着したバイクも。ホイールはフロントが9000系DURA-ACEで、リアがPROのディスクでワイドプロファイルでつや消し仕上げの現行モデルとつやありの従来モデルが併用された。タイヤにはラインレース用と同じく25mm幅のヴィットリアCORSA SCを組み合わせている。
ベルキンが使用するビアンキ Pico Crono photo:Makoto.AYANO
パイオニアのペダリングモニターを使用。リアディレーラーに旧型ULTEGRAを装着したバイクも photo:Makoto.AYANO
タイヤは25mm幅のヴィットリアCORSA SC photo:Makoto.AYANO
ハンドル周りはFSAがプロデュースするエアロパーツブランドのヴィジョンで、AQUILA CVはビアンキとヴィジョンが共同開発したステム一体型ハンドルがアッセンブル。サドルはサンマルコの定番モデル「CONCOR」のショート版「CONCOR SPRINT」が多く選択されていた。
AG2Rラモンディアール 【フォーカス IZALCO CHRONO】
AG2Rラモンディアールが使用するフォーカス IZALCO CHRONO photo:Makoto.AYANO
AG2RラモンディアールはジャーマンブランドであるフォーカスのTTバイク「IZALCO CHRONO」を使用する。インテグレーテッドデザインのブレーキやステム/ヘッド周り、コンパクトなリア三角など、現在のトレンドをほぼ網羅したバイクだ。なお、スペアバイクとしてTTバイク界の名門エンジニア「ワルサー」がデザインした旧型IZALCO CHRONOも用意されていた。
コンポーネントはカンパニョーロSUPRE RECORD EPSで、クランクにはSRMのパワー計測ユニットが装備されている。ホイールはフルクラムがメインだが、ロメン・バルデ(フランス)ら一部のライダーはリアにフルクラムのデカールを貼ったライトウェイトのディスクをアッセンブルした。タイヤはシュワルベながら、何故か現行のハイエンドモデル「ONE」ではなく従来のハイエンドモデル「ULTREMO HT」を履く。
インテグレーテッドデザインのヘッド周りで空力性能を追求。ハンドルはフィジークでは無くプロファイルデザイン photo:Makoto.AYANO
あまり見かけない素材のバーテープ photo:Makoto.AYANO
シートステー付け根の独特なデザイン photo:Makoto.AYANO
専用設計のVブレーキを装備する photo:Makoto.AYANO
ハンドル周りには通常使用するフィジークがTT用をラインナップしていないため、トライアスロンでは高いシェアを誇るプロファイルデザインをアッセンブル。サドルはフィジークのTTモデルで、新型のTRITONEと従来よりラインナップされるARESを選手によって使い分けている。ダウンチューブには、表面に設けられたディンプルが特徴的なエリートのボトル「Kit Crono Cx」とその専用ボトルケージがマウントされていた。
トレックファクトリーレーシング 【トレック Speed Concept9.9】
トレックファクトリーレーシングが使用するトレック Speed Concept9.9 photo:Makoto.AYANO
サドルはボントレガーHilo photo:Makoto.AYANO
インテグレーテッドブレーキと専用のハンドルセットによって空気抵抗を低減 photo:Makoto.AYANO
トレックファクトリーレーシングは、昨年のツール開催時に発表されながらも大会期間中に投入されなかったトレックの新型TTバイク「Speed Concept9.9」をツールに初投入した。TTスペシャリストのファビアン・カンチェラーラ(スイス)らの意見を基に従来モデルと比較して430gの軽量化を実現したことが特徴だ。
コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2にSRMを組み合わせて使用する。ホイールはフロントが90mmハイトのボントレガーAeolus9、リアがチームロゴの貼られたジップのディスクという組み合わせ。タイヤはシュワルベONEだ。その他パーツはほぼボントレガーで統一される。ハンドルはSpeed Concept専用品として空力性能を追求。サドルは中央を貫く溝が特徴的なボントレガーHiloで統一した。
コフィディス 【ルック 596】
コフィディスが使用するチーム供給専用のルック 596 photo:Makoto.AYANO
コフィディスのTTバイクはチームと同郷のブランドであるルック「596」。今ツールではフォークやヘッドチューブ周り、シートチューブやサドルの固定方法が通常とは異なるチーム供給専用モデルに加え、スペアバイクとして市販モデルが投入された。
パーツアッセンブルはほぼ昨年と同様。コンポーネントは旧型の7090系シマノDURA-ACE Di2をメインに、フロント周りはルックZED2クランクにFSAのエアロチェーンリングという組み合わせ、ブレーキはセンタープル方式をとるエアロフォルムのトライリグ「Omega」としている。
スペアバイクとして用意された市販モデルのルック 596 photo:Makoto.AYANO
ブレーキはセンタープル方式として空気抵抗を低減したトライリグOmega photo:Makoto.AYANO
ルックZED2クランクにFSAのエアロチェーンリングを組み合わせる photo:Makoto.AYANO
ホイールはマヴィックを使用する photo:Makoto.AYANO
ホイールはフレーム同様にチームと同郷ブランドのマヴィックで、フロントが5バトンの「io」、リアがディスクの「COMET」というアッセンブリーが多かった様だ。ハンドルは3T。サドルはセライタリアで、ロード用サドルの先端を切りつめ、UCIのレギュレーションに適合させたバイクも。ペダルはもちろんルックだ。
ティンコフ・サクソ 【スペシャライズド Shiv TT】
ティンコフ・サクソが使用するスペシャライズド Shiv TT photo:Makoto.AYANO
ティンコフ・サクソは、トップチューブにチームカラーのイエローとブルーが入ったスペシャライズドのTTバイク「Shiv TT」を駆る。コンポーネントはスラムRED22をメインに、クランクアームのみスペシャライズド純正「S-Works FACT carbon」としている。
サドルは表面に滑り止め素材を配したプロロゴZERO II NACK CPC photo:Makoto.AYANO
ハンドル周りはスペシャライズドのオリジナル。アームレストには赤い滑り止め素材をアッセンブル photo:Makoto.AYANO
リアホイールはスポンサー外のライトウェイトをロゴ消しで使用する photo:Makoto.AYANO
フロントホイールは60mmハイトのロヴァールrapide60 photo:Makoto.AYANO
ホイールは、フロントが60mmハイトのロヴァールrapide60、リアがロゴを消したスポンサー外のライトウェイト。組み合わせるタイヤにはスペシャライズドS-Works Turbo。ハンドルとステムはスペシャライズドの専用品で、アームレストには赤みがかった滑り止め素材を配している。サドルは表面にハイグリップ素材を配したプロロゴZERO II NACK CPCで統一した。
ロット・ベリソル 【リドレー DEAN FAST】
ロット・ベリソルが使用するリドレー DEAN FAST photo:Makoto.AYANO
従来モデルのDEANを踏襲するヘッド周りの独特なデザイン photo:Makoto.AYANO
ハンドル周りはDEAN FAST専用品で固められる photo:Makoto.AYANO
ロット・ベリソルは面一となったステムとトップチューブ、コンパクトなリアトライアングル、インテグレーテッドブレーキなどトレンドを網羅したリドレーのTTバイク「DEAN FAST」を使用する。専用品のハンドルなどと併せて空力性能を追求している。
コンポーネントはカンパニョーロSUPER RECORD EPS。ホイールも同じくカンパニョーロで、フロントは80mmハイトのBORA ULTRA 80、リアがBORA ULTRA DISC。タイヤにはプロ供給専用用品のコンチネンタルCOMPETITION PROLTDを組み合わせている。サドルはサンマルコの定番モデル「CONCOR」のショート版「CONCOR SPRINT」が多く選択されていた。
モビスター 【キャニオン Speedmax CF Evo】
モビスターが使用するキャニオン Speedmax CF Evo photo:Makoto.AYANO
今年からバイクサプライヤーをキャニオンへとスイッチしたモビスターは、いち早くトップチューブと面一の専用ステムなどを投入したトレンドリーダーとも言える「Speedmax CF Evo」を使用する。コンポーネントはカンパニョーロSUPER RECORD EPSがメインで、クランクにスパイダー部分まで円盤状としエアロ効果の向上を図った「BORA ULTRA」を組み合わせているのがトピックスだ。
ホイールはフロントにハイト50mmもしくは80mmのBORA ULTRA、リアにBORA ULTRA TTをアッセンブル。なお前後共にデカールはチームカラーに張り替えられている。組み合わせるタイヤはコンチネンタルCOMPETITION PROLTD。その他、ハンドル周りはフレーム専用品、サドルはチームカラーのフィジークだ。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
ベルキン 【ビアンキ AQUILA CV、Pico Crono】
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ビアンキは今大会唯一の個人TTが開催された第20ステージの開始前に、新型TTバイク「AQUILA CV」を発表した。エアロ効果を追求したのはもちろんのこと、エンデュランスバイクの「INFINITO CV」に投入された振動吸収技術を投入することで、運動性能やトラクション性能をも向上させたことが特徴で、バウク・モレマ(オランダ)らが早速実戦投入。なお、従来よりラインナップされている「Pico Crono」も一部ライダーによって使用されていた。
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AG2Rラモンディアール 【フォーカス IZALCO CHRONO】
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コンポーネントはカンパニョーロSUPRE RECORD EPSで、クランクにはSRMのパワー計測ユニットが装備されている。ホイールはフルクラムがメインだが、ロメン・バルデ(フランス)ら一部のライダーはリアにフルクラムのデカールを貼ったライトウェイトのディスクをアッセンブルした。タイヤはシュワルベながら、何故か現行のハイエンドモデル「ONE」ではなく従来のハイエンドモデル「ULTREMO HT」を履く。
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トレックファクトリーレーシング 【トレック Speed Concept9.9】
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コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2にSRMを組み合わせて使用する。ホイールはフロントが90mmハイトのボントレガーAeolus9、リアがチームロゴの貼られたジップのディスクという組み合わせ。タイヤはシュワルベONEだ。その他パーツはほぼボントレガーで統一される。ハンドルはSpeed Concept専用品として空力性能を追求。サドルは中央を貫く溝が特徴的なボントレガーHiloで統一した。
コフィディス 【ルック 596】
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ティンコフ・サクソ 【スペシャライズド Shiv TT】
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ティンコフ・サクソは、トップチューブにチームカラーのイエローとブルーが入ったスペシャライズドのTTバイク「Shiv TT」を駆る。コンポーネントはスラムRED22をメインに、クランクアームのみスペシャライズド純正「S-Works FACT carbon」としている。
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ロット・ベリソル 【リドレー DEAN FAST】
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ロット・ベリソルは面一となったステムとトップチューブ、コンパクトなリアトライアングル、インテグレーテッドブレーキなどトレンドを網羅したリドレーのTTバイク「DEAN FAST」を使用する。専用品のハンドルなどと併せて空力性能を追求している。
コンポーネントはカンパニョーロSUPER RECORD EPS。ホイールも同じくカンパニョーロで、フロントは80mmハイトのBORA ULTRA 80、リアがBORA ULTRA DISC。タイヤにはプロ供給専用用品のコンチネンタルCOMPETITION PROLTDを組み合わせている。サドルはサンマルコの定番モデル「CONCOR」のショート版「CONCOR SPRINT」が多く選択されていた。
モビスター 【キャニオン Speedmax CF Evo】
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ホイールはフロントにハイト50mmもしくは80mmのBORA ULTRA、リアにBORA ULTRA TTをアッセンブル。なお前後共にデカールはチームカラーに張り替えられている。組み合わせるタイヤはコンチネンタルCOMPETITION PROLTD。その他、ハンドル周りはフレーム専用品、サドルはチームカラーのフィジークだ。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
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