2014/07/14(月) - 07:59
ユーロップカー率いる追走グループも、アスタナ率いるメイン集団も、タイムトライアル世界チャンピオンの独走を食い止めることは出来なかった。トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)が150kmにわたる逃げ切りを果たした。
ヴォージュ山塊2日目の第9ステージには6つのカテゴリー山岳が登場。スタート直後から立て続けに山岳が襲いかかる。後半には1級山岳ル・マルクシュタイン(10.8km/5.4%)も登場し、平坦と呼べる区間が極めて短い。一日の獲得標高差は3000m。スプリンターたちにとっては我慢のステージであり、逃げ切りが決まりやすいステージだ。
サッカーW杯決勝を控えたドイツとの国境に近く、歴史的にドイツの名残を残すアルザス地方を駆け抜けるステージで、トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)が逃げた。
ハイスピードアタック合戦の末に、最初の山岳下りでアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)とともに飛び出したマルティン。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで山岳賞を獲得したデマルキがレース前半の山岳ポイントを連取する。2人は協力して先を急いだ。
後方ではピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)やトニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)、ティアゴ・マシャド(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ)を含む強力な28名の追走グループが形成。その後方にメイン集団が控えるという展開に。
何と5名(ロラン、ゴティエ、ピショ、ケムヌール、レザ)を揃えたユーロップカーが追走グループを率い、2分遅れで先頭マルティンとデマルキを追走する。一方で、アスタナがメンバー総動員でメイン集団を率いたものの、逃げを捉えるような勢いは見られない。先頭マルティン&デマルキと追走グループのタイム差が2分で推移する中、メイン集団とのタイム差は拡大し続けた。
「追走グループに捕まってしまうと厄介なことになる。だから常に全開で走り続けた」と言うマルティンが、やがてフィニッシュまで59kmを残してデマルキを千切る。口からヨダレを垂らしながら、タイムトライアル世界チャンピオンによるおよそ1時間半におよぶ個人TTが始まった。
約2分後方の追走グループは、人数の多さから上手く協調体制を築けない。総合ジャンプアップを目指すユーロップカー勢やギャロパンが積極的にペースアップ。すでに総合で大きく遅れているロドリゲスが山岳ポイントを積み重ね、山岳賞狙いの意志を見せた。
先頭マルティンのペースは落ちず、追走グループとのタイム差をむしろ広げる走りで全ての山岳をクリア。約150kmにわたって先頭を走り続けたマルティンが、最終的に追走グループを2分45秒、メイン集団を7分46秒振り切る力走でフィニッシュした。
2011年と2013年のツールですでにステージ優勝を経験しているマルティン。しかしいずれの勝利も個人TTの結果であり、ロードステージでの勝利はこれが初めて。「個人TTで勝つときは、いつも前半スタートなので、手に汗握りながら後半スタートの選手たちを待たなければならなかった。だから個人TTとこのステージ優勝は似て非なるもの。信じられない気持ちだ」と喜ぶ。
マルティンはマイヨアポワと敢闘賞も同時に獲得。オメガファーマ・クイックステップにとって今大会2勝目であり、ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)がマイヨブランをキープしている。
終盤にかけてギャロパンやロランが自ら牽引した追走グループは2分45秒遅れ。フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)とのスプリントで先着したカンチェラーラがステージ2位に入っている。メイン集団を5分以上引き離したギャロパンが総合首位に躍り出た。
「チャンスがあるとは思ったけど、実現可能だとは」と自身も驚くギャロパンがマイヨジョーヌを獲得。本格山岳ステージを前に(チームメイトたちの体力を温存するために)総合首位を明け渡す作戦をとったニーバリとの総合タイム差は1分34秒。「とても言葉ではこの気持ちを言い表せない」と総合リーダーは語っている。
同じく追走グループ内でフィニッシュしたマシャドとロランが総合トップ10入り。ヴォージュ山塊3連戦の中で最も難易度が低いと思われた第9ステージで総合が再び大きく動いた。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2014第9ステージ結果
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
マイヨヴェール(ポイント賞)
マイヨアポワ(山岳賞)
マイヨブラン(新人賞)
チーム総合成績
ステージ敢闘賞
トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
ヴォージュ山塊2日目の第9ステージには6つのカテゴリー山岳が登場。スタート直後から立て続けに山岳が襲いかかる。後半には1級山岳ル・マルクシュタイン(10.8km/5.4%)も登場し、平坦と呼べる区間が極めて短い。一日の獲得標高差は3000m。スプリンターたちにとっては我慢のステージであり、逃げ切りが決まりやすいステージだ。
サッカーW杯決勝を控えたドイツとの国境に近く、歴史的にドイツの名残を残すアルザス地方を駆け抜けるステージで、トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)が逃げた。
ハイスピードアタック合戦の末に、最初の山岳下りでアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)とともに飛び出したマルティン。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで山岳賞を獲得したデマルキがレース前半の山岳ポイントを連取する。2人は協力して先を急いだ。
後方ではピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)やトニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)、ティアゴ・マシャド(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ)を含む強力な28名の追走グループが形成。その後方にメイン集団が控えるという展開に。
何と5名(ロラン、ゴティエ、ピショ、ケムヌール、レザ)を揃えたユーロップカーが追走グループを率い、2分遅れで先頭マルティンとデマルキを追走する。一方で、アスタナがメンバー総動員でメイン集団を率いたものの、逃げを捉えるような勢いは見られない。先頭マルティン&デマルキと追走グループのタイム差が2分で推移する中、メイン集団とのタイム差は拡大し続けた。
「追走グループに捕まってしまうと厄介なことになる。だから常に全開で走り続けた」と言うマルティンが、やがてフィニッシュまで59kmを残してデマルキを千切る。口からヨダレを垂らしながら、タイムトライアル世界チャンピオンによるおよそ1時間半におよぶ個人TTが始まった。
約2分後方の追走グループは、人数の多さから上手く協調体制を築けない。総合ジャンプアップを目指すユーロップカー勢やギャロパンが積極的にペースアップ。すでに総合で大きく遅れているロドリゲスが山岳ポイントを積み重ね、山岳賞狙いの意志を見せた。
先頭マルティンのペースは落ちず、追走グループとのタイム差をむしろ広げる走りで全ての山岳をクリア。約150kmにわたって先頭を走り続けたマルティンが、最終的に追走グループを2分45秒、メイン集団を7分46秒振り切る力走でフィニッシュした。
2011年と2013年のツールですでにステージ優勝を経験しているマルティン。しかしいずれの勝利も個人TTの結果であり、ロードステージでの勝利はこれが初めて。「個人TTで勝つときは、いつも前半スタートなので、手に汗握りながら後半スタートの選手たちを待たなければならなかった。だから個人TTとこのステージ優勝は似て非なるもの。信じられない気持ちだ」と喜ぶ。
マルティンはマイヨアポワと敢闘賞も同時に獲得。オメガファーマ・クイックステップにとって今大会2勝目であり、ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)がマイヨブランをキープしている。
終盤にかけてギャロパンやロランが自ら牽引した追走グループは2分45秒遅れ。フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)とのスプリントで先着したカンチェラーラがステージ2位に入っている。メイン集団を5分以上引き離したギャロパンが総合首位に躍り出た。
「チャンスがあるとは思ったけど、実現可能だとは」と自身も驚くギャロパンがマイヨジョーヌを獲得。本格山岳ステージを前に(チームメイトたちの体力を温存するために)総合首位を明け渡す作戦をとったニーバリとの総合タイム差は1分34秒。「とても言葉ではこの気持ちを言い表せない」と総合リーダーは語っている。
同じく追走グループ内でフィニッシュしたマシャドとロランが総合トップ10入り。ヴォージュ山塊3連戦の中で最も難易度が低いと思われた第9ステージで総合が再び大きく動いた。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2014第9ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
3位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
5位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
6位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
7位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ベルキン)
8位 ミカエル・シュレル(フランス、AG2Rラモンディアール)
9位 ブリース・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ)
11位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
12位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
13位 ラファエル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
14位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)
15位 セルジオ・パウリーニョ(ポルトガル、ティンコフ・サクソ)
16位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
17位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
3位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
5位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
6位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
7位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ベルキン)
8位 ミカエル・シュレル(フランス、AG2Rラモンディアール)
9位 ブリース・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ)
11位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
12位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
13位 ラファエル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
14位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)
15位 セルジオ・パウリーニョ(ポルトガル、ティンコフ・サクソ)
16位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
17位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
4h09'34"
+2'45"
+2'45"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
3位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ)
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
5位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
6位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
8位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
10位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
3位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ)
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
5位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
6位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
8位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
10位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
38h04'38"
+1'34"
+2'40"
+3'18"
+3'32"
+4'00"
+4'01"
+4'07"
+4'08"
+4'13"
+1'34"
+2'40"
+3'18"
+3'32"
+4'00"
+4'01"
+4'07"
+4'08"
+4'13"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
267pts
156pts
146pts
156pts
146pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 ブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
2位 ブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
18pts
17pts
17pts
17pts
17pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
38h08'38"
+13"
+1'06"
+13"
+1'06"
チーム総合成績
1位 アスタナ
2位 ベルキン
3位 AG2Rラモンディアール
2位 ベルキン
3位 AG2Rラモンディアール
114h22'53"
+22"
+53"
+22"
+53"
ステージ敢闘賞
トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
フォトギャラリー
Amazon.co.jp
フィリップス 家庭用製麺機 ヌードルメーカー HR2369-01
Philips(フィリップス)