2014/06/16(月) - 05:20
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネは劇的なフィナーレを迎えた。総合3位のアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が起死回生の逃げ切り。マイヨジョーヌを着るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)の追撃は届かず、タランスキーが逆転で総合優勝を決めた。
ドーフィネ覇者を決める大会最短131.5kmの第8ステージ。超級山岳が続いた前日の第7ステージよりも難易度は低いが、かと言ってレースの難易度が低いわけではない。終盤に連続する1級山岳モンタニー峠(登坂距離8km/平均勾配6.5%)と1級山岳クールシュヴェル(登坂距離5.9km/平均勾配6.2%)で総合争いは決まる。
8日間を締めくくる山岳ステージは、開始直後から白熱した展開となる。最初の2級山岳ドマンシー峠通過後に形成されたのは23名の巨大な先頭グループ。何とこの中には総合3位アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)や総合5位ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)、総合7位ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)、総合10位アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)が含まれていた。
その他にもリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)やミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)、ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)が逃げグループに入る異例の展開。リーダーチームのティンコフ・サクソに対するこの総攻撃によって、スタートからフィニッシュに至るまで一瞬たりともペースは落ちなかった。
ポートは一旦メイン集団に戻り、続く1級山岳セジー峠での集団ペースアップに加担する。チームスカイの攻勢によってメイン集団から新たに18名が先行。もちろん総合上位陣はこの動きに反応したが、マイヨジョーヌのコンタドールは早くもここでチームメイトを失ってしまう。レース前半にコンタドールは丸裸にされた。
先頭グループでは総合逆転を目指すガーミン・シャープとAG2Rラモンディアールが積極的にペースを上げる。総合1位コンタドールと総合2位フルームが互いを牽制する中、ビッグネームひしめく追走グループからは総合6位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がカウンターアタック。ニーバリが2分先の先頭グループを追撃する。
そして迎えた2連続1級山岳。まず最初の1級山岳モンタニー峠で動いたのはマイヨジョーヌを守る立場のコンタドールだった。先頭グループに入った総合39秒遅れのタランスキーを追って、コンタドールが単独で追撃を開始。それまで逃げていた選手たちをごぼう抜きにしながら先を急ぐ。一方のフルームはチームメイトにアシストされながらもペースは上がらず。コンタドールとフルームのタイム差は見る見るうちに広がった。
フィニッシュに至る1級山岳クールシュヴェルの登りが始まると、総合ジャンプアップが見えてきたタランスキーとファンデンブロックが自ら先頭に出てペースを作る。やがて頂上まで3kmを残して、それまで先頭グループ内で力を貯めていたミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)がアタック。前日までフルームの山岳アシストを務めていたバスククライマーを止める者は現れなかった。
最後までペースを弱めなかった先頭ニエベが笑顔でフィニッシュしたそのすぐ後方で、バルデとイェーツが争うようにしてフィニッシュラインを切る。その数秒後にタランスキーとファンデンブロックがフィニッシュ。単独で追走を続けたコンタドールは1分15秒差まで詰めたものの、タランスキーとの総合タイム差39秒を埋めることは出来なかった。
解散したエウスカルテルからチームスカイに移籍し、即戦力の山岳アシストとして活躍するニエベが勝利。「序盤からハイスピードで、何ともハードなステージだった。チーム全体でフルームをアシストする予定だったものの、落車から完全にリカバリー出来ていなかったので、ステージ優勝を狙うチャンスが巡ってきたんだ」とニエベは語る。最終的に5分以上遅れたフルームに代わって、山岳ステージでチームスカイの強さを見せつけた。
そしてドーフィネ総合優勝のタイトルは、コンタドールでもフルームでもなく、タランスキーの手に渡った。レース序盤からの逃げに乗り、ヘシェダルの力を借りてリードを守り、コンタドールの追撃を振り切っての逆転勝利。劇的と言っていい総合優勝が決まった。
「どのチームにとってもステージ優勝の最後のチャンスだったので、こんな結末を予想していなかったよ。逆転については考えすぎずに、ただ自分の走りに集中した。フィニッシュラインを通過してTVスクリーンを見た時に初めて総合優勝したことを知ったんだ」とタランスキーは明かす。タランスキーはアメリカ・フロリダ州出身の25歳。2011年からガーミンで走っており、2012年ツール・ド・ロマンディ総合2位、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合7位、2013年パリ〜ニース総合2位、ツール・ド・フランス総合10位という成績を残している。
ドーフィネの歴代チャンピオンの中に名前を加えたタランスキーは「ドーフィネで総合優勝するなんてこの上ない栄誉だ。間違いなくキャリア最大の勝利であり、もっと素晴らしい成績がついてくることを願っている。いつかはこんな勝利を掴めるとは信じていたけど、達成するまでには時間がかかった。自分と家族が犠牲にしてきたものがようやく報われた気分だ」と、大きな勝利を喜んだ。
総合トップ10の4名が逃げ切る展開により総合成績もシャッフル。コンタドールは総合2位に甘んじたが、ツール・ド・フランスに向けて調子の良さを印象づけた。タランスキーとともに逃げ切ったファンデンブロックが総合3位に。ジロ・デ・イタリアから連戦出場のウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)は総合表彰台を逃しながらもヤングライダー賞に輝いた。総合12位に終わったフルームはポイント賞を獲得している。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2014第8ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
山岳賞
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
ヤングライダー賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
チーム総合成績
アスタナ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
ドーフィネ覇者を決める大会最短131.5kmの第8ステージ。超級山岳が続いた前日の第7ステージよりも難易度は低いが、かと言ってレースの難易度が低いわけではない。終盤に連続する1級山岳モンタニー峠(登坂距離8km/平均勾配6.5%)と1級山岳クールシュヴェル(登坂距離5.9km/平均勾配6.2%)で総合争いは決まる。
8日間を締めくくる山岳ステージは、開始直後から白熱した展開となる。最初の2級山岳ドマンシー峠通過後に形成されたのは23名の巨大な先頭グループ。何とこの中には総合3位アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)や総合5位ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)、総合7位ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)、総合10位アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)が含まれていた。
その他にもリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)やミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)、ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)が逃げグループに入る異例の展開。リーダーチームのティンコフ・サクソに対するこの総攻撃によって、スタートからフィニッシュに至るまで一瞬たりともペースは落ちなかった。
ポートは一旦メイン集団に戻り、続く1級山岳セジー峠での集団ペースアップに加担する。チームスカイの攻勢によってメイン集団から新たに18名が先行。もちろん総合上位陣はこの動きに反応したが、マイヨジョーヌのコンタドールは早くもここでチームメイトを失ってしまう。レース前半にコンタドールは丸裸にされた。
先頭グループでは総合逆転を目指すガーミン・シャープとAG2Rラモンディアールが積極的にペースを上げる。総合1位コンタドールと総合2位フルームが互いを牽制する中、ビッグネームひしめく追走グループからは総合6位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がカウンターアタック。ニーバリが2分先の先頭グループを追撃する。
そして迎えた2連続1級山岳。まず最初の1級山岳モンタニー峠で動いたのはマイヨジョーヌを守る立場のコンタドールだった。先頭グループに入った総合39秒遅れのタランスキーを追って、コンタドールが単独で追撃を開始。それまで逃げていた選手たちをごぼう抜きにしながら先を急ぐ。一方のフルームはチームメイトにアシストされながらもペースは上がらず。コンタドールとフルームのタイム差は見る見るうちに広がった。
フィニッシュに至る1級山岳クールシュヴェルの登りが始まると、総合ジャンプアップが見えてきたタランスキーとファンデンブロックが自ら先頭に出てペースを作る。やがて頂上まで3kmを残して、それまで先頭グループ内で力を貯めていたミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)がアタック。前日までフルームの山岳アシストを務めていたバスククライマーを止める者は現れなかった。
最後までペースを弱めなかった先頭ニエベが笑顔でフィニッシュしたそのすぐ後方で、バルデとイェーツが争うようにしてフィニッシュラインを切る。その数秒後にタランスキーとファンデンブロックがフィニッシュ。単独で追走を続けたコンタドールは1分15秒差まで詰めたものの、タランスキーとの総合タイム差39秒を埋めることは出来なかった。
解散したエウスカルテルからチームスカイに移籍し、即戦力の山岳アシストとして活躍するニエベが勝利。「序盤からハイスピードで、何ともハードなステージだった。チーム全体でフルームをアシストする予定だったものの、落車から完全にリカバリー出来ていなかったので、ステージ優勝を狙うチャンスが巡ってきたんだ」とニエベは語る。最終的に5分以上遅れたフルームに代わって、山岳ステージでチームスカイの強さを見せつけた。
そしてドーフィネ総合優勝のタイトルは、コンタドールでもフルームでもなく、タランスキーの手に渡った。レース序盤からの逃げに乗り、ヘシェダルの力を借りてリードを守り、コンタドールの追撃を振り切っての逆転勝利。劇的と言っていい総合優勝が決まった。
「どのチームにとってもステージ優勝の最後のチャンスだったので、こんな結末を予想していなかったよ。逆転については考えすぎずに、ただ自分の走りに集中した。フィニッシュラインを通過してTVスクリーンを見た時に初めて総合優勝したことを知ったんだ」とタランスキーは明かす。タランスキーはアメリカ・フロリダ州出身の25歳。2011年からガーミンで走っており、2012年ツール・ド・ロマンディ総合2位、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合7位、2013年パリ〜ニース総合2位、ツール・ド・フランス総合10位という成績を残している。
ドーフィネの歴代チャンピオンの中に名前を加えたタランスキーは「ドーフィネで総合優勝するなんてこの上ない栄誉だ。間違いなくキャリア最大の勝利であり、もっと素晴らしい成績がついてくることを願っている。いつかはこんな勝利を掴めるとは信じていたけど、達成するまでには時間がかかった。自分と家族が犠牲にしてきたものがようやく報われた気分だ」と、大きな勝利を喜んだ。
総合トップ10の4名が逃げ切る展開により総合成績もシャッフル。コンタドールは総合2位に甘んじたが、ツール・ド・フランスに向けて調子の良さを印象づけた。タランスキーとともに逃げ切ったファンデンブロックが総合3位に。ジロ・デ・イタリアから連戦出場のウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)は総合表彰台を逃しながらもヤングライダー賞に輝いた。総合12位に終わったフルームはポイント賞を獲得している。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2014第8ステージ結果
1位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
8位 ジョン・ガドレ(フランス、モビスター)
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
8位 ジョン・ガドレ(フランス、モビスター)
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3h20'29"
+03"
+05"
+09"
+15"
+32"
+36"
+41"
+1'15"
+03"
+05"
+09"
+15"
+32"
+36"
+41"
+1'15"
個人総合成績
1位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
5位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
8位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
5位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
8位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
31h08'08"
+27"
+35"
+43"
+1'20"
+2'05"
+2'12"
+2'59"
+3'04"
+3'17"
+27"
+35"
+43"
+1'20"
+2'05"
+2'12"
+2'59"
+3'04"
+3'17"
ポイント賞
クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
山岳賞
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
ヤングライダー賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
チーム総合成績
アスタナ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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ガーミン ガーミン エッジ 510J 日本版 GPSサイクルコンピュータ(004294)
GARMIN(ガーミン)