2014/06/13(金) - 05:17
中級山岳ステージでコンタドールとフルームが静かなバトルを繰り広げる中、カチューシャのサイモン・スピラック(スロベニア)が独走。別府史之(トレックファクトリーレーシング)がバイクを下りた暑い一日の最後に、ロシアンチームが連勝を飾った。
南仏を貫くナポレオン街道をクリテリウム・ドゥ・ドーフィネは行く。第5ステージはシストロンの街からラミュールまでの189.5km。合計6つのカテゴリー山岳(2〜3級)が連続するステージは真夏のような暑さに見舞われた。
山岳ポイントを量産出来るステージだけに、逃げに乗るためのアタックが活発化。まず9名が飛び出し、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)が最初の2級山岳マンス峠を先頭でクリアする。ここにイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)ら8名が合流したことで、先頭では17名の逃げグループが形成された。
山岳賞ジャージ擁するユーロップカーの追撃も虚しく、14チームの選手で構成された逃げが決まる。しかし、総合で2分47秒遅れのバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル)が逃げに入っていたため、この日もチームスカイは警戒心を解かなかった。
山岳ポイントを量産したデマルキが山岳賞トップに。タイム差が3分を推移する中、やがて最後の2つの2級山岳でステージ優勝を懸けた闘いが始まる。逃げグループから飛び出したのはミカエル・シュレル(フランス、AG2Rラモンディアール)。すると、フィニッシュまでおよそ28kmを残して、総合2位のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がメイン集団から飛び出した。
サプライズアタックを仕掛けたコンタドールは、前から落ちてきた元逃げメンバーを引き連れて先を急ぐ。一時的にコンタドールは1分近いリードを築いたものの、クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)の忠臣リッチー・ポート(オーストラリア)とミケル・ニエベ(スペイン)が強力にメイン集団を牽引。徐々にタイム差は縮まった。
先頭ではシュレルが失速し、最後の2級山岳でスピラックが先行。飛び出していたコンタドールはチームスカイ率いるメイン集団に吸収される。すると今度は残り4kmの平坦路で総合10位のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)と総合3位のウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)がアタックを仕掛けた。
先頭スピラックは後続とのタイム差を守りきり、前日のトロフィモフのデジャブのような独走フィニッシュ(トロフィモフと違ってジャージのジッパーはしっかり上げた)。カチューシャが鮮やかなステージ2連勝を飾ってみせた。
スロベニア出身27歳のオールラウンダーのスピラックは、ランプレ時代の2010年にツール・ド・ロマンディ総合優勝(バルベルデ失格による)。1週間前後のステージレースと相性がよく、ツール・ド・ロマンディでは2013年から2年連続でクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)に次いで総合2位に入っている。このドーフィネではアシストを担っているため、総合99位に沈んでいた。
「苦手な熱さに包まれた一日で、本当に厳しかった。追走グループと1分差がついていたという情報だったけど、確証を得ないまま逃げていたんだ。残り1kmで振り返って誰も見えなかったのでようやく勝利を確信したよ。逃げに乗るためにアタックしていた時は、まさか勝てるとは思っていなかった。カチューシャにとって信じられないほど良い結果だ」と、独走勝利を射止めたスピラックは語る。
スピラックから遅れること14秒、メイン集団を3秒振り切ってフィニッシュしたのはケルデルマンとイェーツ。ボーナスタイムも同時に獲得したケルデルマンは、総合2位のコンタドールと同タイムで並んだ。
「終わってみれば素晴らしい一日だった。コンタドールがアタックしてチームスカイがペースを上げたときは振るい落とされそうになったよ。下りでも緊張感がピリピリしていた。最後はアダム・イェーツのアタックに飛びついた。フルームとコンタドールに付け入る隙はあると思う」と、アタックを成功させたケルデルマン。23歳の新鋭オールラウンダーが、総合7位で終えたジロ・デ・イタリアの疲れを感じさせない走りを見せている。
同じくジロ・デ・イタリアからの連戦となった別府史之(トレックファクトリーレーシング)は、暑さと疲労により体調を崩して途中リタイア。2週間後に迫る全日本選手権に向けてリカバリーに励むことになるだろう。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2014第5ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
山岳賞
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
ヤングライダー賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
チーム総合成績
アスタナ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
南仏を貫くナポレオン街道をクリテリウム・ドゥ・ドーフィネは行く。第5ステージはシストロンの街からラミュールまでの189.5km。合計6つのカテゴリー山岳(2〜3級)が連続するステージは真夏のような暑さに見舞われた。
山岳ポイントを量産出来るステージだけに、逃げに乗るためのアタックが活発化。まず9名が飛び出し、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)が最初の2級山岳マンス峠を先頭でクリアする。ここにイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)ら8名が合流したことで、先頭では17名の逃げグループが形成された。
山岳賞ジャージ擁するユーロップカーの追撃も虚しく、14チームの選手で構成された逃げが決まる。しかし、総合で2分47秒遅れのバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル)が逃げに入っていたため、この日もチームスカイは警戒心を解かなかった。
山岳ポイントを量産したデマルキが山岳賞トップに。タイム差が3分を推移する中、やがて最後の2つの2級山岳でステージ優勝を懸けた闘いが始まる。逃げグループから飛び出したのはミカエル・シュレル(フランス、AG2Rラモンディアール)。すると、フィニッシュまでおよそ28kmを残して、総合2位のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がメイン集団から飛び出した。
サプライズアタックを仕掛けたコンタドールは、前から落ちてきた元逃げメンバーを引き連れて先を急ぐ。一時的にコンタドールは1分近いリードを築いたものの、クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)の忠臣リッチー・ポート(オーストラリア)とミケル・ニエベ(スペイン)が強力にメイン集団を牽引。徐々にタイム差は縮まった。
先頭ではシュレルが失速し、最後の2級山岳でスピラックが先行。飛び出していたコンタドールはチームスカイ率いるメイン集団に吸収される。すると今度は残り4kmの平坦路で総合10位のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)と総合3位のウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)がアタックを仕掛けた。
先頭スピラックは後続とのタイム差を守りきり、前日のトロフィモフのデジャブのような独走フィニッシュ(トロフィモフと違ってジャージのジッパーはしっかり上げた)。カチューシャが鮮やかなステージ2連勝を飾ってみせた。
スロベニア出身27歳のオールラウンダーのスピラックは、ランプレ時代の2010年にツール・ド・ロマンディ総合優勝(バルベルデ失格による)。1週間前後のステージレースと相性がよく、ツール・ド・ロマンディでは2013年から2年連続でクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)に次いで総合2位に入っている。このドーフィネではアシストを担っているため、総合99位に沈んでいた。
「苦手な熱さに包まれた一日で、本当に厳しかった。追走グループと1分差がついていたという情報だったけど、確証を得ないまま逃げていたんだ。残り1kmで振り返って誰も見えなかったのでようやく勝利を確信したよ。逃げに乗るためにアタックしていた時は、まさか勝てるとは思っていなかった。カチューシャにとって信じられないほど良い結果だ」と、独走勝利を射止めたスピラックは語る。
スピラックから遅れること14秒、メイン集団を3秒振り切ってフィニッシュしたのはケルデルマンとイェーツ。ボーナスタイムも同時に獲得したケルデルマンは、総合2位のコンタドールと同タイムで並んだ。
「終わってみれば素晴らしい一日だった。コンタドールがアタックしてチームスカイがペースを上げたときは振るい落とされそうになったよ。下りでも緊張感がピリピリしていた。最後はアダム・イェーツのアタックに飛びついた。フルームとコンタドールに付け入る隙はあると思う」と、アタックを成功させたケルデルマン。23歳の新鋭オールラウンダーが、総合7位で終えたジロ・デ・イタリアの疲れを感じさせない走りを見せている。
同じくジロ・デ・イタリアからの連戦となった別府史之(トレックファクトリーレーシング)は、暑さと疲労により体調を崩して途中リタイア。2週間後に迫る全日本選手権に向けてリカバリーに励むことになるだろう。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2014第5ステージ結果
1位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
2位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
7位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
9位 アルテュール・ヴィショ(フランス、FDJ.fr)
10位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)
DNF 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
2位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
7位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
9位 アルテュール・ヴィショ(フランス、FDJ.fr)
10位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)
DNF 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
4h51'24"
+14"
+17"
+14"
+17"
個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
4位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
8位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
9位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
10位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
4位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
8位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
9位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
10位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
19h01'00"
+12"
+33"
+35"
+50"
+1'22"
+1'24"
+1'35"
+12"
+33"
+35"
+50"
+1'22"
+1'24"
+1'35"
ポイント賞
クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
山岳賞
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
ヤングライダー賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
チーム総合成績
アスタナ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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