2014/05/08(木) - 09:00
例年以上にオープン(誰にもチャンスがある)と言われているマリアローザを懸けた争い。絶対的な優勝候補を欠く中、カデル・エヴァンス(オーストラリア)をはじめとするベテラン勢や、ナイロ・キンタナ(コロンビア)ら新鋭オールラウンダーたちがマリアローザを巡ってバトルを繰り広げることになるだろう。
総合リーダーの証であるマリアローザの色は、主催紙ガゼッタ・デッロ・スポルト紙に使用されている紙の色に由来する。直訳すると「ピンク色のジャージ」ではなく「バラ色のジャージ」だ。
ツール・ド・フランスに照準を合わすディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がジロを欠場するため、絶対的な総合優勝候補はいない。マリアローザ争いはオープンな状態にあると言える。
前哨戦として知られるジロ・デル・トレンティーノで総合優勝した37歳のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)をはじめ、2011年の総合優勝者(コンタドール失格による)の34歳ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)や、総合表彰台の常連である34歳ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ら、経験豊かなベテランたちがマリアローザ候補に名乗りをあげる。
2011年のツール・ド・フランス覇者エヴァンスは、昨年ジロで総合3位に。キャリア最後の年になる可能性が高い今シーズンは、ジロを最大の目標に掲げている。ツールではティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)のアシストとして走る予定だ。イタリア語も堪能で、イタリア人と結婚したエヴァンスのジロに懸ける想いは強い。新加入のサムエル・サンチェス(スペイン)がエヴァンスのジロ制覇を支える。
ゼッケンNo.1を付けるのは、ランプレ・メリダからアスタナに移籍したスカルポーニだ。新鋭オールラウンダーであるファビオ・アル(イタリア)を従えるスカルポーニは、地元イタリア勢の中で最もマリアローザに近い存在だと言えるだろう。
ロドリゲスはすでに全てのグランツールで総合表彰台を経験した。2012年のジロでは16秒差の総合2位に入った。しかしまだ表彰台の真ん中に立ったことがない。アムステル・ゴールドレースでの落車の影響が心配されるが、34歳のクライマーはこのジロに懸けている。
ベテランの域に入りつつあるダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)は32歳。2004年のジロ制覇以来低迷が続いているが、2012年ジロで総合6位に入るなど、オールラウンダーとして復活の兆しを見せている。昨年ジロ総合6位のプリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド)やディエゴ・ウリッシ(イタリア)らがクネゴをサポートする。
2度の総合優勝者イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)は36歳。昨年バッソは嚢胞によってジロ出場をキャンセルしており、2年ぶりのマリアローザ挑戦となる。
近年これらのベテラン勢を凌ぐ勢いを見せているのがコロンビアの若手たちだ。特にツール・ド・フランス総合2位の24歳ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)に注目したい。キンタナがエースとしてグランツールに挑むのはこれが初めて。合計9つの山頂フィニッシュが設定され、個人タイムトライアルの距離も短いジロのコースはキンタナ向きと言える。
他にも昨年ジロで総合2位&ステージ優勝のリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)やジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)、ファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、チームコロンビア)ら、登坂力に優れたクライマーが揃う。再びジロでコロンビア旋風が巻き起こるか。
アイルランド島で開幕するため、当然アイルランド出身選手には熱い視線が注がれる。中でもラファル・マイカ(ポーランド)とともにティンコフ・サクソのエースを担うニコラス・ロッシュ(アイルランド)や、ライダー・ヘシェダル(カナダ)とともに闘うガーミン・シャープのダニエル・マーティン(アイルランド)ら、同国を代表するオールラウンダーが出場。いずれも総合上位を狙える実力者であり、地元の期待を背負ってイタリアレースに挑む。
歴代マリアローザ獲得選手
2013年 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
2012年 ライダー・ヘシェダル(カナダ)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2009年 デニス・メンショフ(ロシア)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2005年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2004年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2001年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2000年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
1999年 イヴァン・ゴッティ(イタリア)
1998年 マルコ・パンターニ(イタリア)
1997年 イヴァン・ゴッティ(イタリア)
1996年 パヴェル・トンコフ(ロシア)
1995年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1994年 エフゲニー・ベルツィン(ロシア)
1993年 ミゲール・インドゥライン(スペイン)
1992年 ミゲール・インドゥライン(スペイン)
1991年 フランコ・キオッチォーリ(イタリア)
1990年 ジャンニ・ブーニョ(イタリア)
text:Kei Tsuji in Belfast, Northern Ireland
総合リーダーの証であるマリアローザの色は、主催紙ガゼッタ・デッロ・スポルト紙に使用されている紙の色に由来する。直訳すると「ピンク色のジャージ」ではなく「バラ色のジャージ」だ。
ツール・ド・フランスに照準を合わすディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がジロを欠場するため、絶対的な総合優勝候補はいない。マリアローザ争いはオープンな状態にあると言える。
前哨戦として知られるジロ・デル・トレンティーノで総合優勝した37歳のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)をはじめ、2011年の総合優勝者(コンタドール失格による)の34歳ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)や、総合表彰台の常連である34歳ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ら、経験豊かなベテランたちがマリアローザ候補に名乗りをあげる。
2011年のツール・ド・フランス覇者エヴァンスは、昨年ジロで総合3位に。キャリア最後の年になる可能性が高い今シーズンは、ジロを最大の目標に掲げている。ツールではティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)のアシストとして走る予定だ。イタリア語も堪能で、イタリア人と結婚したエヴァンスのジロに懸ける想いは強い。新加入のサムエル・サンチェス(スペイン)がエヴァンスのジロ制覇を支える。
ゼッケンNo.1を付けるのは、ランプレ・メリダからアスタナに移籍したスカルポーニだ。新鋭オールラウンダーであるファビオ・アル(イタリア)を従えるスカルポーニは、地元イタリア勢の中で最もマリアローザに近い存在だと言えるだろう。
ロドリゲスはすでに全てのグランツールで総合表彰台を経験した。2012年のジロでは16秒差の総合2位に入った。しかしまだ表彰台の真ん中に立ったことがない。アムステル・ゴールドレースでの落車の影響が心配されるが、34歳のクライマーはこのジロに懸けている。
ベテランの域に入りつつあるダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)は32歳。2004年のジロ制覇以来低迷が続いているが、2012年ジロで総合6位に入るなど、オールラウンダーとして復活の兆しを見せている。昨年ジロ総合6位のプリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド)やディエゴ・ウリッシ(イタリア)らがクネゴをサポートする。
2度の総合優勝者イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)は36歳。昨年バッソは嚢胞によってジロ出場をキャンセルしており、2年ぶりのマリアローザ挑戦となる。
近年これらのベテラン勢を凌ぐ勢いを見せているのがコロンビアの若手たちだ。特にツール・ド・フランス総合2位の24歳ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)に注目したい。キンタナがエースとしてグランツールに挑むのはこれが初めて。合計9つの山頂フィニッシュが設定され、個人タイムトライアルの距離も短いジロのコースはキンタナ向きと言える。
他にも昨年ジロで総合2位&ステージ優勝のリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)やジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)、ファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、チームコロンビア)ら、登坂力に優れたクライマーが揃う。再びジロでコロンビア旋風が巻き起こるか。
アイルランド島で開幕するため、当然アイルランド出身選手には熱い視線が注がれる。中でもラファル・マイカ(ポーランド)とともにティンコフ・サクソのエースを担うニコラス・ロッシュ(アイルランド)や、ライダー・ヘシェダル(カナダ)とともに闘うガーミン・シャープのダニエル・マーティン(アイルランド)ら、同国を代表するオールラウンダーが出場。いずれも総合上位を狙える実力者であり、地元の期待を背負ってイタリアレースに挑む。
歴代マリアローザ獲得選手
2013年 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
2012年 ライダー・ヘシェダル(カナダ)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2009年 デニス・メンショフ(ロシア)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2005年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2004年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2001年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2000年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
1999年 イヴァン・ゴッティ(イタリア)
1998年 マルコ・パンターニ(イタリア)
1997年 イヴァン・ゴッティ(イタリア)
1996年 パヴェル・トンコフ(ロシア)
1995年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1994年 エフゲニー・ベルツィン(ロシア)
1993年 ミゲール・インドゥライン(スペイン)
1992年 ミゲール・インドゥライン(スペイン)
1991年 フランコ・キオッチォーリ(イタリア)
1990年 ジャンニ・ブーニョ(イタリア)
text:Kei Tsuji in Belfast, Northern Ireland
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