2014/05/05(月) - 18:54
連載でお届けするプロバイクレポート。今回は「北の地獄」の異名を持つパリ~ルーベを走ったバイクのディテールに迫る最終回の第4弾。チームスカイ、ガーミン・シャープ、カチューシャ、キャノンデール、ブルターニュ・シェセをピックアップする。
チームスカイ < ピナレロ DOGMA K >
チームスカイからはオールラウンダから転身を遂げ、9位でゴールしたブラドレー・ウィギンズ(イギリス)のバイクをピックアップする。使用したモデルはエンデュランスモデル「DOGMA K」のプロトタイプモデル。現行モデルとの大きな変更点はシートチューブがオールラウンドモデル「DOGMA 2」と同様の翼断面形状になったこと。その他、カーボンレイアップやヘッドチューブ下側のベアリング径も変更されているとのこと。アッセンブルのグランツールをターゲットとしていた頃と大きくは変わらないようだ。
コンポーネントは電動式のシマノ9070系デュラエースで、スプリンタースイッチとサテライトスイッチの両方を装着。今季よりパワーメーターはSRMからステージズサイクルにスイッチしており、一見してクランクはノーマルタイプに見えるものの、左アームの内側にセンサーが取り付けられている。ホイールはコンポーネントと同じく9000系デュラエースで、製品版が登場する以前にテスト用として投入されたSHIMANOロゴのみのデザインを使用。タイヤはFMB・PARIS ROUBAIXの27mmをアッセンブル。
ハンドル周りはPROで固められる。ハンドルはドロップ部分が大きく送られ、ステムは142mmと1mm単位で長さを選択するなどセッティングはグランツールを走っていた頃と変わらない。バーテープは2重かつステムクランプ部分除いたほぼ全体に巻くことで、衝撃吸収性を更に高めた。
サドルはフィジークの定番モデルArioneをベースとし、パッド量を増やしたスペシャルモデルを使用した。サイクルコンピューターはガーミンEDGE510で、K-EDGEのマウントを用いてハンドルに固定。ペダルは契約外のスピードプレーZEROを頑なに使用する。
ガーミン・シャープ < サーヴェロ R3 Mud >
ガーミン・シャープはサーヴェロのパリ~ルーベ専用プロ供給モデルの「R3 Mud」を投入した。このバイクはグランツールの山岳レースでも使用されたオールラウンドモデルの旧型R3をベースとし、タイヤクリアランスの拡大とジオメトリーの変更によってパヴェに最適化している。
コンポーネントは機械式のシマノ9000系デュラエースをメインに、クランク周りにはローターを組み合わせている。なおチェーンリングの使用率は楕円のQ-Ringsと真円のno-Qとで半々ずつといった様子だ。そして、今シーズンからはガーミンのペダル式パワーメーター「Vector」が本格的に導入され、多くのバイクに装着されていた。
ホイールもフレーム同様にプロ供給専用モデルのマヴィックM40を使用。タイヤはマヴィックのSSCロゴが記されるが、明らかに市販品には存在しない仕様となっており、トレッドパターンやケーシングを見るに北のクラシックでは定番のFMB・PARIS ROUBAIXとみて間違い無いだろう。
ハンドル周りは3Tで固められ、「LTD」「TEAM」「PRO」の3グレードを選手の好みによって使い分けている。サイクルコンピューターはもちろん、ガーミンEDGEシリーズ。ボトルケージはステンレスパイプから製造されるアランデール「Stainless」がアッセンブルされていた。
カチューシャ < キャニオン ULTIMATE CF SLX >
ジャーマンブランドのキャニオンを使用するカチューシャは、ロンドに引き続いてオールラウンドモデルのULTIMATE CF SLXを使用した。コンポーネントは普段使用する電動式ではなく、機械式のシマノ9000系デュラエースをメインとし、ジャイアント・シマノやコフィディスと同様にブレーキのみ旧型のBR-7900とした。
なお、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)はインナーチェンリングに46Tというビッグギアを選択。これは、太めのタイヤやアシストブレーキレバーと並んでパリ~ルーベでは定番セッティングの1つであり、チェーン暴れを抑えるという効果がある。
ホイールはマヴィックCC40TやCC60Tが使用され、タイヤはマヴィックサポートチームのガーミン・シャープやコフィディスと共通のタイヤが装着されていた。ハンドル及びステムにはリッチーの最上位グレード「WCS」を、シートポストにはキャニオンをアッセンブルした。
サドルは多くがスポンサードを受けるセライタリアだが、中にはスペシャライズドを使用するライダーも。ボトルケージは北のクラシックでは定番のエリートCIUSSI GELとされ、パリ~ルーベに限りマトリョーシカの様なイラストが描かれていたスペシャルボトルが使用された。
キャノンデール < キャノンデール SYNAPSE Hi-Mod >
キャノンデールからはレース終盤にアタックを仕掛けレースを動かしたペーター・サガン(スロバキア)のバイクをピックアップ。前週開催のロンド・ファン・フラーンデレンに引き続きエンデュランスモデル「SYNAPSE Hi-Mod」を使用しパリ~ルーベを戦った。
フレームはサガンの身体や好みに合わせたカスタムジオメトリーを採用している。具体的にはハンドル位置を下げるために、リーチ(≒トップチューブ長)が58cmサイズであるのに対して、スタック(≒ヘッドチューブ高さ)を51cmサイズと同等としている。なお、昨年もカスタムジオメトリーではあったがスタックは54cmサイズと同等であり、サガンは更にアグレッシブなポジションを求めているようだ。
パーツアッセンブルもロンドとは大きく変わらず、パーテープを2重巻きにしたことや大きな歯数のチェーンリングに対応するために曲げ加工が施されたチェーンキャッチャーなど、変更は細やかな部分に留まっている。
コンポーネントはチームカラーのスラムRED22をメインとし、クランクのみSRMパワーメーター装備したキャノンデールオリジナルのホログラムSiSL2としている。足回りはヴィジョンMETRON40に、ケンダのロゴが貼られた他社製タイヤを組み合わせた。なお、トレッドパターンはロンドにて使用したタイヤと同じだ。
ブルターニュ・セシェ < ケモ KE-R8 5KS >
地元フランスを拠点とするプロコンチネンタルのブルターニュ・セシェは、2001年に創業したイタリアのカーボンバイク専業ブランド「KEMO(ケモ)」のサポートを受ける。選手たちが使用するのは、近年数社のトップレンジに採用されているTextremeカーボンを使用したハイエンド「KE-R8 5KS」だ。
コンポーネントは電動式のシマノ9000系デュラエースをベースに、クランクのみFSAとしている。ホイールはヴィジョンからサポートを受け、セカンドグレードのTRIMAX CARBONシリーズより、50mmハイトのTC50が主に使用された。タイヤはFMBではなく、イタリアンに居を構えるチャレンジのPARIS-ROUBAIXを組み合わせる。
ハンドル周りはサポートを受けるFSAで統一されるが、何故かブノワ・ジェリエ(フランス)のバイクには1ボルト固定式かつ廉価帯のシートポストがアッセンブルされていた。サドルはセライタリアのチームエディション。ペダルとボトルケージはチームと同郷のフレンチブランドであるルックとゼファールだ。
text:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.AYANO
チームスカイ < ピナレロ DOGMA K >
チームスカイからはオールラウンダから転身を遂げ、9位でゴールしたブラドレー・ウィギンズ(イギリス)のバイクをピックアップする。使用したモデルはエンデュランスモデル「DOGMA K」のプロトタイプモデル。現行モデルとの大きな変更点はシートチューブがオールラウンドモデル「DOGMA 2」と同様の翼断面形状になったこと。その他、カーボンレイアップやヘッドチューブ下側のベアリング径も変更されているとのこと。アッセンブルのグランツールをターゲットとしていた頃と大きくは変わらないようだ。
コンポーネントは電動式のシマノ9070系デュラエースで、スプリンタースイッチとサテライトスイッチの両方を装着。今季よりパワーメーターはSRMからステージズサイクルにスイッチしており、一見してクランクはノーマルタイプに見えるものの、左アームの内側にセンサーが取り付けられている。ホイールはコンポーネントと同じく9000系デュラエースで、製品版が登場する以前にテスト用として投入されたSHIMANOロゴのみのデザインを使用。タイヤはFMB・PARIS ROUBAIXの27mmをアッセンブル。
ハンドル周りはPROで固められる。ハンドルはドロップ部分が大きく送られ、ステムは142mmと1mm単位で長さを選択するなどセッティングはグランツールを走っていた頃と変わらない。バーテープは2重かつステムクランプ部分除いたほぼ全体に巻くことで、衝撃吸収性を更に高めた。
サドルはフィジークの定番モデルArioneをベースとし、パッド量を増やしたスペシャルモデルを使用した。サイクルコンピューターはガーミンEDGE510で、K-EDGEのマウントを用いてハンドルに固定。ペダルは契約外のスピードプレーZEROを頑なに使用する。
ガーミン・シャープ < サーヴェロ R3 Mud >
ガーミン・シャープはサーヴェロのパリ~ルーベ専用プロ供給モデルの「R3 Mud」を投入した。このバイクはグランツールの山岳レースでも使用されたオールラウンドモデルの旧型R3をベースとし、タイヤクリアランスの拡大とジオメトリーの変更によってパヴェに最適化している。
コンポーネントは機械式のシマノ9000系デュラエースをメインに、クランク周りにはローターを組み合わせている。なおチェーンリングの使用率は楕円のQ-Ringsと真円のno-Qとで半々ずつといった様子だ。そして、今シーズンからはガーミンのペダル式パワーメーター「Vector」が本格的に導入され、多くのバイクに装着されていた。
ホイールもフレーム同様にプロ供給専用モデルのマヴィックM40を使用。タイヤはマヴィックのSSCロゴが記されるが、明らかに市販品には存在しない仕様となっており、トレッドパターンやケーシングを見るに北のクラシックでは定番のFMB・PARIS ROUBAIXとみて間違い無いだろう。
ハンドル周りは3Tで固められ、「LTD」「TEAM」「PRO」の3グレードを選手の好みによって使い分けている。サイクルコンピューターはもちろん、ガーミンEDGEシリーズ。ボトルケージはステンレスパイプから製造されるアランデール「Stainless」がアッセンブルされていた。
カチューシャ < キャニオン ULTIMATE CF SLX >
ジャーマンブランドのキャニオンを使用するカチューシャは、ロンドに引き続いてオールラウンドモデルのULTIMATE CF SLXを使用した。コンポーネントは普段使用する電動式ではなく、機械式のシマノ9000系デュラエースをメインとし、ジャイアント・シマノやコフィディスと同様にブレーキのみ旧型のBR-7900とした。
なお、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)はインナーチェンリングに46Tというビッグギアを選択。これは、太めのタイヤやアシストブレーキレバーと並んでパリ~ルーベでは定番セッティングの1つであり、チェーン暴れを抑えるという効果がある。
ホイールはマヴィックCC40TやCC60Tが使用され、タイヤはマヴィックサポートチームのガーミン・シャープやコフィディスと共通のタイヤが装着されていた。ハンドル及びステムにはリッチーの最上位グレード「WCS」を、シートポストにはキャニオンをアッセンブルした。
サドルは多くがスポンサードを受けるセライタリアだが、中にはスペシャライズドを使用するライダーも。ボトルケージは北のクラシックでは定番のエリートCIUSSI GELとされ、パリ~ルーベに限りマトリョーシカの様なイラストが描かれていたスペシャルボトルが使用された。
キャノンデール < キャノンデール SYNAPSE Hi-Mod >
キャノンデールからはレース終盤にアタックを仕掛けレースを動かしたペーター・サガン(スロバキア)のバイクをピックアップ。前週開催のロンド・ファン・フラーンデレンに引き続きエンデュランスモデル「SYNAPSE Hi-Mod」を使用しパリ~ルーベを戦った。
フレームはサガンの身体や好みに合わせたカスタムジオメトリーを採用している。具体的にはハンドル位置を下げるために、リーチ(≒トップチューブ長)が58cmサイズであるのに対して、スタック(≒ヘッドチューブ高さ)を51cmサイズと同等としている。なお、昨年もカスタムジオメトリーではあったがスタックは54cmサイズと同等であり、サガンは更にアグレッシブなポジションを求めているようだ。
パーツアッセンブルもロンドとは大きく変わらず、パーテープを2重巻きにしたことや大きな歯数のチェーンリングに対応するために曲げ加工が施されたチェーンキャッチャーなど、変更は細やかな部分に留まっている。
コンポーネントはチームカラーのスラムRED22をメインとし、クランクのみSRMパワーメーター装備したキャノンデールオリジナルのホログラムSiSL2としている。足回りはヴィジョンMETRON40に、ケンダのロゴが貼られた他社製タイヤを組み合わせた。なお、トレッドパターンはロンドにて使用したタイヤと同じだ。
ブルターニュ・セシェ < ケモ KE-R8 5KS >
地元フランスを拠点とするプロコンチネンタルのブルターニュ・セシェは、2001年に創業したイタリアのカーボンバイク専業ブランド「KEMO(ケモ)」のサポートを受ける。選手たちが使用するのは、近年数社のトップレンジに採用されているTextremeカーボンを使用したハイエンド「KE-R8 5KS」だ。
コンポーネントは電動式のシマノ9000系デュラエースをベースに、クランクのみFSAとしている。ホイールはヴィジョンからサポートを受け、セカンドグレードのTRIMAX CARBONシリーズより、50mmハイトのTC50が主に使用された。タイヤはFMBではなく、イタリアンに居を構えるチャレンジのPARIS-ROUBAIXを組み合わせる。
ハンドル周りはサポートを受けるFSAで統一されるが、何故かブノワ・ジェリエ(フランス)のバイクには1ボルト固定式かつ廉価帯のシートポストがアッセンブルされていた。サドルはセライタリアのチームエディション。ペダルとボトルケージはチームと同郷のフレンチブランドであるルックとゼファールだ。
text:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.AYANO
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