2014/03/29(土) - 09:51
ベルギーに本格クラシックシーズンの到来を告げる第57回E3ハレルベーク(UCIワールドツアー)が3月28日に開催。4名によるゴールスプリントで、オメガファーマ・クイックステップ勢を下したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)が勝利した。
レース後半にかけてメイン集団内で落車が多発する photo:Tim de Waele
アタックを仕掛けるゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waeleロンド・ファン・フラーンデレンの9日前、ヘント〜ウェベルヘムの2日前というタイミングで開催されるE3ハレルベーク。ベルギー国内における今シーズン最初のUCIワールドツアーレースであり、クラシック本戦の前哨戦としての意味合いが強い。
「カルネメルクベークストラート」で自ら攻撃を仕掛けるペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) photo:Tim de Waeleウェストフランデレン州に位置するハレルベークを発着する212.2kmには、合計17カ所の急坂が取り入れられている。その中には「パテルベルグ」や「オウデクワレモント」といったロンド・ファン・フラーンデレンで定番の登りも。
カンチェラーラのために第2集団を牽引するステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele急坂や石畳、細いコースなど、その過酷さはフランドルクラシックならでは。レース序盤に形成されたマキシム・ダニエル(フランス、AG2Rラモンディアール)やジェローム・クザン(フランス、ユーロップカー)ら5名の逃げは7分リードを得た。
先頭グループを率いるステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tim de Waeleレース後半に差し掛かり、急坂をこなしていくメイン集団内では落車やパンクが多発する。メカトラに見舞われたペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)やパンクのセプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)は素早いバイクorホイール交換で難を逃れたが、「カペルベルグ」手前で発生した落車によってディフェンディングチャンピオンのファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)は足止めを食らってしまった。
懸命に追撃するファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele連続する「パテルベルグ(700m/最大20%)」と「オウデクワレモント(2200m/最大11%)」をこなすうちに逃げグループは捉えられ、ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)らのペースアップによってメイン集団は崩壊する。
落車で出遅れたカンチェラーラは猛烈なペースでポジションを上げたが、集団復帰は叶わない。「出来る限りの走りをした。だがレースの一番重要なポイントであるパテルベルグとオウデクワレモントでポジションを落としたのは致命的だった」とレース後に悔やんでいる。
やがてフィニッシュまで25kmを残した「カルネメルクベークストラート(1530m/最大7.3%)」でサガンがペースアップすると、先頭はサガン、トーマス、ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)、ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)の4名に。過去最多5度の優勝経験者であるトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)は、チームメイトを先行させるとともに、カンチェラーラを徹底マークした。
先行するサガン、トーマス、テルプストラ、ファンデンベルフは、カンチェラーラ=ボーネンのグループを引き離しながらフィニッシュに向かう。ステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)による懸命な追走も叶わずに、2つのグループのタイム差は1分まで拡大。残り13kmでカンチェラーラがアタックを仕掛けるシーンも見られたが、先頭4名の背中はもう見えなかった。
先行逃げ切りが濃厚になると4名の中での駆け引きが始まる。先手を打ったのはメンバー2人を揃えるオメガファーマ・クイックステップで、サガンとトーマスを振り切るべく、残り6kmからテルプストラとファンデンベルフが交互にアタック。しかしいずれも決定力を欠き、4名のまま残り1kmに差し掛かった。
牽制の中から残り400mでファンデンベルフがスパートを仕掛けると、トーマス、サガンの順に反応する。ファンデンベルフの失速とともにトーマス、サガン、テルプストラがスプリントを開始。サガンのスプリントが冴え渡った。
トーマスやテルプストラを振り切るペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) photo:Tim de Waele
メカトラや落車に遭いながらも、石畳で自ら攻撃を仕掛け、先頭グループを形成し、ライバルのアタックを封じ込め、得意のスプリントで勝利したサガン。
E3ハレルベーク表彰台に掲示されるオランダ、スロバキア、イギリスの国旗 photo:Tim de Waele「何度か落車の影響で遅れて、復帰に力を使ってしまったので、勝利のチャンスについて確証をもっていなかった。クラシックレースで勝つには最高のコンディションで追い込むことも大事だけど、同時に運も必要なんだ。今日カンチェラーラは運に見放された。彼なら先頭グループに残っていたと思う」とコメントする。
「このハレルベークでの勝利は非常に重要。ビッグネームがひしめく中での勝利なので尚更だ。ミラノ〜サンレモが終わってからすぐに気持ちを切り替えた。過酷な気象条件の中で苦しみ、サンレモでは思うような結果を残せなかった。ベルギーのクラシックシーズンを最高の形でスタートすることが出来たよ」と語るサガンは、2日後のヘント〜ウェベルヘムで連覇を狙う。
選手コメントは各チーム公式リリースより。
E3ハレルベーク2014結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) 4h56'31"
2位 ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
4位 ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン) +1'16"
6位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
7位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ) +1'19"
8位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
9位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
10位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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落車で出遅れたカンチェラーラは猛烈なペースでポジションを上げたが、集団復帰は叶わない。「出来る限りの走りをした。だがレースの一番重要なポイントであるパテルベルグとオウデクワレモントでポジションを落としたのは致命的だった」とレース後に悔やんでいる。
やがてフィニッシュまで25kmを残した「カルネメルクベークストラート(1530m/最大7.3%)」でサガンがペースアップすると、先頭はサガン、トーマス、ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)、ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)の4名に。過去最多5度の優勝経験者であるトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)は、チームメイトを先行させるとともに、カンチェラーラを徹底マークした。
先行するサガン、トーマス、テルプストラ、ファンデンベルフは、カンチェラーラ=ボーネンのグループを引き離しながらフィニッシュに向かう。ステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)による懸命な追走も叶わずに、2つのグループのタイム差は1分まで拡大。残り13kmでカンチェラーラがアタックを仕掛けるシーンも見られたが、先頭4名の背中はもう見えなかった。
先行逃げ切りが濃厚になると4名の中での駆け引きが始まる。先手を打ったのはメンバー2人を揃えるオメガファーマ・クイックステップで、サガンとトーマスを振り切るべく、残り6kmからテルプストラとファンデンベルフが交互にアタック。しかしいずれも決定力を欠き、4名のまま残り1kmに差し掛かった。
牽制の中から残り400mでファンデンベルフがスパートを仕掛けると、トーマス、サガンの順に反応する。ファンデンベルフの失速とともにトーマス、サガン、テルプストラがスプリントを開始。サガンのスプリントが冴え渡った。
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「このハレルベークでの勝利は非常に重要。ビッグネームがひしめく中での勝利なので尚更だ。ミラノ〜サンレモが終わってからすぐに気持ちを切り替えた。過酷な気象条件の中で苦しみ、サンレモでは思うような結果を残せなかった。ベルギーのクラシックシーズンを最高の形でスタートすることが出来たよ」と語るサガンは、2日後のヘント〜ウェベルヘムで連覇を狙う。
選手コメントは各チーム公式リリースより。
E3ハレルベーク2014結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) 4h56'31"
2位 ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
4位 ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン) +1'16"
6位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
7位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ) +1'19"
8位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
9位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
10位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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