愛三工業レーシングチームの新体制がまとまった。新しく加入の3人はいずれも海外で戦ってきた選手たち。海外経験7年の小森を筆頭に、チームはアジアツアーを戦う戦力をオールラウンドに強化した。

新加入3選手を囲んで。左は中根賢二スーパーバイザー、右は別府匠監督新加入3選手を囲んで。左は中根賢二スーパーバイザー、右は別府匠監督 photo:Hideaki TAKAGI
愛三工業レーシングチームの2014年新加入選手の発表会が、12月26日(木)に愛三工業株式会社本社(愛知県大府市)で行われた。新加入の選手は3人。海外経験7年の小森亮平を筆頭に早川朋宏と中根英登で、チームNIPPOなどで高校及び大学卒業後に一貫して海外で活動してきた選手たち。その3人を採用したのはここ数年のチームの方針が関係している。

新加入3人、左から小森亮平、早川朋宏、中根英登。チームの新ジャージはフレームにあわせて黒を入れて袖口に黄緑のラインが入る新加入3人、左から小森亮平、早川朋宏、中根英登。チームの新ジャージはフレームにあわせて黒を入れて袖口に黄緑のラインが入る photo:Hideaki TAKAGI2006年からアジアツアーに参戦

チームがアジアツアーに参加を始めたのは2006年。チームをUCI登録し、アジアツアーと国内レースの両方に参戦してきた。現在の別府匠監督体制となった2011年からはさらにその色合いを濃くし、主戦場がアジアツアーであり多くのレースで勝利、UCIポイントを個人だけでなく日本にも多くもたらした。まさに日本人選手だけで構成される意味を具現化している。

新加入選手の発表は愛知県大府市の愛三工業本社で行われた新加入選手の発表は愛知県大府市の愛三工業本社で行われた photo:Hideaki TAKAGI志の高い選手を支援する仕組み

チームの最終目標はオリンピックと世界選手権であり、そのためにアジアツアーでUCIポイントを獲得することを、チームの計画で示している。選手に対しては加入以前に海外経験を有しある程度の結果を残してきた選手をここ数年採用している。それは今回も同じくだ。チームは競技力向上のサポートを選手に対して行うが、プロコンやプロチームなどの上位チームへ送り出すこともいとわない。

7年間海外を走ってきた小森亮平7年間海外を走ってきた小森亮平 photo:Riccardo Scanferla2008年にU23日本チャンピオンとなり2009年にはトレックリブストロングに加入した小森亮平2008年にU23日本チャンピオンとなり2009年にはトレックリブストロングに加入した小森亮平 photo:Trek2013年の世界選手権ロードは、男子エリートの参加がゼロという衝撃的な状況となった。これは日本としてのUCIポイントが足りていなかったことが主要因。そしてほかいくつかの悪条件が重なってしまったためだが、それでも必要なポイントを最も稼いだのは愛三工業だ。日本人だけで構成されるチームは、選手個人と日本国の両方にメリットのある活動を一貫して行ってきている。

新加入メンバー紹介

小森亮平 海外だけで7年間活動

ヒルクライム能力を期待される早川朋宏ヒルクライム能力を期待される早川朋宏 photo:Sonoko TANAKA2011年のインカレロードで優勝の早川朋宏2011年のインカレロードで優勝の早川朋宏 photo:Hideaki TAKAGI1988年9月生まれの小森は広島県出身、高校卒業後にボンシャンス入りしフランスで活動、2年目の2008年に地元広島で行われた全日本選手権ロードU23で優勝しEQA梅丹本舗へ加入。2009年は世界の若手トップ選手だけを集めたアメリカのトレックリブストロングに所属。2010年はフランスのヴァンデUに加入。そして2011年から2年間はチームNIPPOでおもにイタリアで活動。2013年はベルギーに住みチームユーラシアで活動を続けてきた。

一貫して海外で活動し、「コミュニケーションなどレースのスタートラインに立つまでのことも重要だった」とその長い海外経験を語る小森には、もちろんその経験と能力も期待されるもののひとつ。
「チームでの仕事をこなすことが先。100%それができるようになれば、その次にはチャンスがあればUCIレースで1勝したい」と抱負を語る。

早川朋宏 地元大府市出身

1990年1月生まれの早川は地元の愛知県大府市(愛三本社所在地)出身。高校時代から自転車競技を始め法政大学へ進学。4年次のインカレロードで榊原健一(中京大)らと4人で逃げ続けたうえで優勝。卒業後2012年にチームNIPPO入りしイタリア拠点で活動。2013年は好調だった8月に落車し肩付近を骨折していた。

まさに愛三工業のお膝元に住む早川は、中学時代からチーム入りを熱望していたが24歳になる2014年にようやくそれが実現した。「体調を崩さないよう高いパフォーマンスを発揮し、いい成績を残したい」と語る早川は、寮に住まず至近の自宅からの活動となる。

中根英登 急成長の23歳

1990年5月生まれの中根は愛知県出身。高校時代はサッカー、中京大学へ進学してから自転車競技を開始、3年次に岐阜で行われた都道府県ロードを逃げからの独走で優勝。そして学連の大会と並行してチームNIPPOでの活動も行う。4年次の2012年はチームNIPPOで参戦したジャパンカップで山岳賞を獲得。卒業後の2013年はツール・ド・北海道で個人総合6位(日本人最高位)など。

「厳しくも楽しい、ぎりぎりだがやってこれたというのが今までの一年間。エースのアシストをしてきたがいっぽうで自分の成績も必要と思った。まずはこのチームで仕事をこなすことが最優先」と語る中根。チームのスーパーバイザーである中京大OBの中根賢二氏は英登の父。「この(愛三の)ウェアを着ることに特別な想いがある」とそれを表現する。

2011年11月のツール・ド・イジェン第4ステージで2位に入った中根英登(日本ナショナルチームで出場)2011年11月のツール・ド・イジェン第4ステージで2位に入った中根英登(日本ナショナルチームで出場) photo:Sonoko TANAKA2011年の都道府県対抗ロードで優勝の中根英登2011年の都道府県対抗ロードで優勝の中根英登 photo:Hideaki TAKAGI
スコット フォイルにカンパニョーロを組み合わせるスコット フォイルにカンパニョーロを組み合わせる photo:Makoto AYANO
チームは2月27日から始まる5年連続出場のツール・ド・ランカウイでレースシーズンをスタート。アジアツアーを走るいっぽうでヨーロッパツアーにも進出する。5月のツアー・オブ・ジャパンとツール・ド・熊野そして全日本選手権、9月のツール・ド・北海道はもちろん出るがその前後もアジアツアーの予定がびっしりと組まれている。

いっぽう国内ではアイサンデベロップメントチームとして実業団登録。Jプロツアーを2013年同様に若手中心の体制で参戦する。なお2013年についていた「U26」の名前を外し、スケジュール次第で26歳以上の選手も参加することがあるという。

愛三工業レーシングチーム 2014年チーム体制
所属選手 計10名
 西谷 泰治(にしたに たいじ) 1981年2月生 広島県出身
 綾部 勇成(あやべ たけあき) 1980年9月生 神奈川県出身
 盛 一大(もり かずひろ) 1982年9月生 千葉県出身
 中島 康晴(なかじま やすはる) 1984年12月生 福井県出身
 福田 真平(ふくだ しんぺい) 1987年11月生 神奈川県出身
 伊藤 雅和(いとう まさかず) 1988年6月生 神奈川県出身
 平塚 吉光(ひらつか よしみつ) 1988年11月生 静岡県出身
 新加入
 小森 亮平(こもり りょうへい) 1988年9月生 広島県出身
 早川 朋宏(はやかわ ともひろ) 1990年1月生 愛知県出身
 中根 英登(なかね ひでと) 1990年5月生 愛知県出身
 スーパーバイザー(相談役)中根賢二
 監督 別府匠

使用機材
 フレーム スコット フォイル、アディクト(選手が選択)
 メインコンポーネント、ホイール カンパニョーロ
 タイヤ コンチネンタル
 ウェア パールイズミ

photo:Makoto AYANO,Sonoko TANAKA, Hideaki TAKAGI
text:Hideaki TAKAGI


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