2013/12/11(水) - 15:39
シクロクロス全日本選手権を走った有力選手のバイク紹介後編。今回は2年連続の女子王者に輝いた宮内佐季子(CLUB viento)や丸山厚(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX)のディスクブレーキモデルの他、パナソニックのプロトタイプも紹介する。
丸山厚(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX)
リドレー X-FIRE
JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEXに所属する丸山厚は、今シーズンからリドレーのディスクブレーキ対応シクロクロスバイク「X-FIRE」を使用中。X-FIREは2013年モデルではカンチorディスクの2種類がラインナップされていたが、2014年よりディスクブレーキのみに統一された。PF30BBを採用したフレームは24トンのHMカーボンを使い、性能とコストパフォーマンスの両立を狙っている。
コンポーネントは6770系アルテグラDi2にCX75ブレーキの組み合わせだが、ここで注目したいのはクランクセットとバッテリー搭載位置。クランクは7900系デュラエースで、チェーンリングは7800系デュラエースの46-36T(選手供給品)を組み合わせている。
Di2バッテリーをシートチューブ上側に搭載しているのは担いだ際の取り回しの良さを求めた結果であり、これに伴いシフトケーブルは有効長の関係から通常とは異なる位置から内蔵されている。X-FIREは通常リアのブレーキワイヤーをトップチューブの左側から通す仕組みだが、電動化によって不要となった右側のラインを通すことで取り回しを直線的にし、引きを軽くするという工夫が伺える。多くの選手同様に、サテライトスイッチは上ハンドルのステム右側にセットされていた。
今回取材したのはスペアバイクで、メインバイクはディスクブレーキ化による重量増を削減するためディスクローターにKCNC製の軽量(78g)パーツを使用している点が差異となる(スペアバイクはシマノ製ローター、前後径は160mm)。組み合わせるホイールはFFWDのF6Dで、タイヤはデュガスのオールラウンド用「Typhoon Cotton」(32c)。
ステムとハンドルはコントロールテック、シートポストはBBB、サドルはフィジークのアリオネ。その他ケーブルとフレームの接触面にはテープを当てて保護するなど、機材に関するこだわりが多く見受けられたバイクであった。
山川惇太郎(Team Chainring)
アーサー X-Control TEAM
今シーズンより発足した新チーム、Team Chainringのメンバーが駆るのはチェコの総合ブランド アーサーのシクロクロスバイク「X-Control TEAM」。フレームとフォークに24トンカーボンを使用し、振動吸収性能に着目したセカンドグレードモデルだ。
チームは福島県郡山市に拠点を置くプロショップ・PAXCYCLEのホイールサポート受けており、今回の全日本選手権に合わせてチームカラーに彩られたホイールを導入。様々なバリエーションがある中、取材したバイクには前後50mmハイトのフルカーボンホイールがセットされていた。組み合わせるのはクレメンのオールラウンドモデル「MXP Tubular」。これはインナーチューブを廃し、重量370gをマークするチューブレスチューブラータイヤだ。
その他ブレーキはTRPのサポートを受けており、バイクに合わせてキャリパーのカラーを変えるなどこだわりも垣間見える。バーテープはソフトなタッチで話題のスパカズだ。コンポーネントなどその他パーツは選手の自前となっているようだ。
宮内佐季子(CLUB viento)
アーサー X-Control TEAM
全日本女子チャンピオン2連覇を達成した宮内佐季子(CLUB viento)が駆ったのは、アーサーのX-Control TEAM。全日本選手権終了後に「Team Chainring」へと加入することが決まっていたため、機材はほぼ新チームに準じたものである。
特徴的なのはやはり大きく上を向いたSTIレバーだろう。競技開始直後は一時突き出し量ゼロのステムを使い話題になっていたが、今回の全日本選手権では短めのステム+高く積んだコラムスペーサーという組み合わせになっていた。セットバック量ゼロのシートポストは昨年の大会でも使用していた。
Team Chainringのメンバー同様に、チームカラーのPAX PROJECT製ローハイトホイールを使用。チームはクレメンタイヤのサポートを受けるが、この日宮内が使用したのは芝目トレッドの「LAS」。理由をチーム関係者に聞いたところ「普段からこのタイヤを気に入って使っているから変えたくなかったのだろう」とのことであった。コンポーネントは5600系105を使用しており、クランクセットはスギノ製品(42-36T)を用いている。ブレーキはTRPのEURO-X、サドルはDEVOX、ハンドルはOnebyESUのモンローだ。
豊岡英子(パナソニックレディース)
パナソニック チタンクロス
王座奪還を狙った豊岡英子(パナソニックレディース)は、全日本1週間前の関西シクロクロス第4戦・丹波からレッド×ゴールドに彩られたニューバイクを投入した。フレームは市販の「FCXT06」をベースに選手個々の体格や組み合わせるフォークに合わせたカスタムジオメトリーを採用している。
コンポーネントは7970系デュラエースDi2で組まれており、ここにスギノのクランクとチェーンリング(44-36T)、セラミックBBをカラーコーディネイトして組み合わせる。パナソニックレディースは東京サンエスのサポートを受けており、ハンドル周りやフォーク、シートピラーなどはOnebyESU製パーツで統一されている。
ホイールは前戦となった丹波から軽量なシマノのWH-7850-C24を愛用しており、組み合わせるタイヤは「WORLD CHAMP」のロゴが入るチャレンジの最高級チューブラータイヤ「GRIFO 33 SETA EXTRA」。サドルはバイクとカラーコーディネイトしたフィジークのアリオネCXだ。
番外編
パナソニックブース ディスクチタンCXバイク(プロトモデル)
番外編として紹介するのは、パナソニックブースに展示されていたプロトタイプのディスクブレーキ用チタンCXバイク。一緒に登場頂いた金森修一さんがおよそ3年前に企画設計した試作モデルで、昨今のディスクブレーキバイクの盛り上がりに合わせて急遽組み付けを行って展示したそうだ。
フレームには3AL2.5Vチタン材をトリプルバテッド加工したチューブを使用しており、ディスクブレーキの制動力に耐えるような工作を施していると言う。プロトモデルだけにリアエンドはMTB用を流用しており、Rディレイラーハンガーはあえてリプレイスメント式ではなく、落車のダメージにも強いロストワックスの一体エンドを用いているという。尚、リアブレーキキャリパーの搭載位置は暫定であり、今後のテストを踏まえてチェーンステー側になるかもしれないとのこと。
もともとはブレーキホース/ケーブルをフレーム内蔵式で作ったものの、取り回しを求めた結果、現在は暫定で外出し式に。トップチューブには取り出し口を塞いだ痕も伺えた。販売に関しては全くの未定だが、社内では前向きに検討が進められていると言う。今から市販化が楽しみな一台だ。
text&photo:So.Isobe
丸山厚(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX)
リドレー X-FIRE
JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEXに所属する丸山厚は、今シーズンからリドレーのディスクブレーキ対応シクロクロスバイク「X-FIRE」を使用中。X-FIREは2013年モデルではカンチorディスクの2種類がラインナップされていたが、2014年よりディスクブレーキのみに統一された。PF30BBを採用したフレームは24トンのHMカーボンを使い、性能とコストパフォーマンスの両立を狙っている。
コンポーネントは6770系アルテグラDi2にCX75ブレーキの組み合わせだが、ここで注目したいのはクランクセットとバッテリー搭載位置。クランクは7900系デュラエースで、チェーンリングは7800系デュラエースの46-36T(選手供給品)を組み合わせている。
Di2バッテリーをシートチューブ上側に搭載しているのは担いだ際の取り回しの良さを求めた結果であり、これに伴いシフトケーブルは有効長の関係から通常とは異なる位置から内蔵されている。X-FIREは通常リアのブレーキワイヤーをトップチューブの左側から通す仕組みだが、電動化によって不要となった右側のラインを通すことで取り回しを直線的にし、引きを軽くするという工夫が伺える。多くの選手同様に、サテライトスイッチは上ハンドルのステム右側にセットされていた。
今回取材したのはスペアバイクで、メインバイクはディスクブレーキ化による重量増を削減するためディスクローターにKCNC製の軽量(78g)パーツを使用している点が差異となる(スペアバイクはシマノ製ローター、前後径は160mm)。組み合わせるホイールはFFWDのF6Dで、タイヤはデュガスのオールラウンド用「Typhoon Cotton」(32c)。
ステムとハンドルはコントロールテック、シートポストはBBB、サドルはフィジークのアリオネ。その他ケーブルとフレームの接触面にはテープを当てて保護するなど、機材に関するこだわりが多く見受けられたバイクであった。
山川惇太郎(Team Chainring)
アーサー X-Control TEAM
今シーズンより発足した新チーム、Team Chainringのメンバーが駆るのはチェコの総合ブランド アーサーのシクロクロスバイク「X-Control TEAM」。フレームとフォークに24トンカーボンを使用し、振動吸収性能に着目したセカンドグレードモデルだ。
チームは福島県郡山市に拠点を置くプロショップ・PAXCYCLEのホイールサポート受けており、今回の全日本選手権に合わせてチームカラーに彩られたホイールを導入。様々なバリエーションがある中、取材したバイクには前後50mmハイトのフルカーボンホイールがセットされていた。組み合わせるのはクレメンのオールラウンドモデル「MXP Tubular」。これはインナーチューブを廃し、重量370gをマークするチューブレスチューブラータイヤだ。
その他ブレーキはTRPのサポートを受けており、バイクに合わせてキャリパーのカラーを変えるなどこだわりも垣間見える。バーテープはソフトなタッチで話題のスパカズだ。コンポーネントなどその他パーツは選手の自前となっているようだ。
宮内佐季子(CLUB viento)
アーサー X-Control TEAM
全日本女子チャンピオン2連覇を達成した宮内佐季子(CLUB viento)が駆ったのは、アーサーのX-Control TEAM。全日本選手権終了後に「Team Chainring」へと加入することが決まっていたため、機材はほぼ新チームに準じたものである。
特徴的なのはやはり大きく上を向いたSTIレバーだろう。競技開始直後は一時突き出し量ゼロのステムを使い話題になっていたが、今回の全日本選手権では短めのステム+高く積んだコラムスペーサーという組み合わせになっていた。セットバック量ゼロのシートポストは昨年の大会でも使用していた。
Team Chainringのメンバー同様に、チームカラーのPAX PROJECT製ローハイトホイールを使用。チームはクレメンタイヤのサポートを受けるが、この日宮内が使用したのは芝目トレッドの「LAS」。理由をチーム関係者に聞いたところ「普段からこのタイヤを気に入って使っているから変えたくなかったのだろう」とのことであった。コンポーネントは5600系105を使用しており、クランクセットはスギノ製品(42-36T)を用いている。ブレーキはTRPのEURO-X、サドルはDEVOX、ハンドルはOnebyESUのモンローだ。
豊岡英子(パナソニックレディース)
パナソニック チタンクロス
王座奪還を狙った豊岡英子(パナソニックレディース)は、全日本1週間前の関西シクロクロス第4戦・丹波からレッド×ゴールドに彩られたニューバイクを投入した。フレームは市販の「FCXT06」をベースに選手個々の体格や組み合わせるフォークに合わせたカスタムジオメトリーを採用している。
コンポーネントは7970系デュラエースDi2で組まれており、ここにスギノのクランクとチェーンリング(44-36T)、セラミックBBをカラーコーディネイトして組み合わせる。パナソニックレディースは東京サンエスのサポートを受けており、ハンドル周りやフォーク、シートピラーなどはOnebyESU製パーツで統一されている。
ホイールは前戦となった丹波から軽量なシマノのWH-7850-C24を愛用しており、組み合わせるタイヤは「WORLD CHAMP」のロゴが入るチャレンジの最高級チューブラータイヤ「GRIFO 33 SETA EXTRA」。サドルはバイクとカラーコーディネイトしたフィジークのアリオネCXだ。
番外編
パナソニックブース ディスクチタンCXバイク(プロトモデル)
番外編として紹介するのは、パナソニックブースに展示されていたプロトタイプのディスクブレーキ用チタンCXバイク。一緒に登場頂いた金森修一さんがおよそ3年前に企画設計した試作モデルで、昨今のディスクブレーキバイクの盛り上がりに合わせて急遽組み付けを行って展示したそうだ。
フレームには3AL2.5Vチタン材をトリプルバテッド加工したチューブを使用しており、ディスクブレーキの制動力に耐えるような工作を施していると言う。プロトモデルだけにリアエンドはMTB用を流用しており、Rディレイラーハンガーはあえてリプレイスメント式ではなく、落車のダメージにも強いロストワックスの一体エンドを用いているという。尚、リアブレーキキャリパーの搭載位置は暫定であり、今後のテストを踏まえてチェーンステー側になるかもしれないとのこと。
もともとはブレーキホース/ケーブルをフレーム内蔵式で作ったものの、取り回しを求めた結果、現在は暫定で外出し式に。トップチューブには取り出し口を塞いだ痕も伺えた。販売に関しては全くの未定だが、社内では前向きに検討が進められていると言う。今から市販化が楽しみな一台だ。
text&photo:So.Isobe
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