2013/12/04(水) - 10:29
今回インプレッションを行うのは、ご存知世界最大規模の自転車ブランドであるジャイアントが送り出すシクロクロス完成車「TCX ADVANCED 0」だ。油圧ディスクブレーキ搭載や、15mmスルーアクスルの採用など、新たな時代に突入するシクロクロス界の急先鋒。トッププロ選手が実戦で愛用する、その実力は如何に。
ジャイアント TCX ADVANCED 0 (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
現在シクロクロスバイクの世界で巻き起こっている機材変化の波。これまでもディスクブレーキを搭載したCXバイクはスモールビルダーブランドを中心に生産されてきたものの、ごく小さな世界での出来事であり、巷の関心を得るにはほど遠いものであった。
しかし実際には、泥や砂、水など過酷な状況にさらされるCXバイクにおいて、従来のカンチブレーキ+カーボンリムという組み合わせではブレーキ面が汚れた際の性動力低下や、ホイールが受けるダメージも免れない。そして最近になってライディングスタイルの多様化に併せてロードバイク用ディスクブレーキが登場し、こうした問題を抱えていたシクロクロッサーたちに迎えられたのである。
上1-1/4、下1-1/2のOVER DRIVE2システム
新規作成されたフロントフォーク。急制動に耐える剛性を持つ
ディスクブレーキのマウント方法を見る。シャフトは15mmスルーアクスルだ
賞賛の声も上がる一方で、ディスクブレーキの強い制動力や新規格に対し疑念の声が上がったことも事実。だがUCIでの使用認可が降りたことで北米トップ選手がレースで使い、そして2013-2014年シーズンからはシクロクロスの本場であるヨーロッパでも数人の選手が使用を開始。オランダのラルス・ファンデルハール(ラボバンクデベロップメント)がW杯で開幕2連勝を挙げるなど、確実にその存在感を高めつつあるのだ。
前置きが長くなった。今回のテストバイクはそんな過渡期にあるCXバイクにおいて、SRAM製油圧ディスクブレーキやフロントフォークの15mmスルーアクスルなど、最先端のシステムを存分に取り入れたジャイアントの「TCX ADVANCED 0」。ファンデルハールがW杯2連勝を勝ち取った際に使用した(コンポーネントはホイールは異なる)ピュアレーシングバイクである。
SRAMの新型油圧コンポーネントを搭載する
トップチューブは掴みやすく担ぎやすい長方形断面だ
ROTOR 3DFクランクセットをアッセンブルする
ケーブル類は全てフレーム内蔵化され、泥や汚れから変速性能を守る
使用素材別に数種類のグレードを擁するTCXシリーズ。最上級モデルはカンチブレーキ仕様のみの「TCX ADVANCED SL」で、今回のテストバイクはセカンドモデルにあたるもの。フレームはT-700グレードカーボン原糸を使用し、性能とコストパフォーマンスのバランスが取られている。
フレームは従来のTCXをベースとしながらも、ディスクブレーキに対応するため各部のリファインが施されている。フロントフォークはもちろん専用品となり、15mm径のスルーアクスルを導入したことで(より太いドライブシャフトとなる)高剛性化を達成。更にヘッドチューブのベアリング径は従来の上1-1/8、下1-1/4から上1-1/4、下1-1/2のOVER DRIVE2化させることで強い制動力にも負けない堅牢さを手に入れている。リアブレーキのマウントはチェーンステー側に用意されており、エンド幅は135mmだ。
左右非対称のチェーンステーを装備している
リアエンド周りの造形。屈曲を設けることで制動力を高め、乗り心地にも貢献する
そうした剛性を確保する一方で、未舗装路を走るシクロクロスバイクには衝撃吸収性能も必要不可欠。TCX ADVANCEDではシートステー上部のブレーキ台座が取り払ったことでしなやかさを確保し、「D」型断面の専用シートピラーも積極的にしならせることで乗り心地の向上を図っている。チェーンステーが左右非対称となったこともトピックだろう。
更にジオメトリー自体にもテコ入れが施されており、BB下がりは従来モデルよりも5mm低い60mmにすることで、高い直進安定性を手に入れた。的確な操作が求められるレースにおいて、安定した走りはそれだけでライダーの大きな助けとなる。
ブリッジを廃したことで衝撃吸収能力に磨きをかけた
シートチューブに記されるUCI認可のロゴマーク
D型断面のオリジナルシートポストは乗り心地の向上に貢献
TCX ADVANCED 0は完成車での販売となり、コンポーネントは11sのSRAM RED 油圧ディスクブレーキ。ホイールは25mm幅のワイドな軽量フルカーボンリムを採用したP-CXR0がアッセンブルされ、組み合わせられるタイヤはシュワルベのSUPER SWAN EVO TL-READY(35c)と、即トップクラスのレースに実戦投入可能なピュアレーシングスペックが自慢。価格は税抜きで70万円だ。
この最先端CXバイクをテストするのは、現在もシクロクロスエリート選手として走る鈴木祐一氏と、かつて愛三工業レーシングでならした新保光起氏。早速二人のインプレッションに移ろう。
ーインプレッション
「最先端技術を搭載した、万人向けのCXバイク」新保光起(Sprint)
しなやかさを活かし常に路面に貼りつくような走りのある、安定感の高いバイクでした。ハンドリングなども優れており、不得意な場面の無い優等生バイクだと感じました。
このTCXは最先端のシステムを多数搭載しており、例えばフロントの15mmスルーアクスルはその典型です。これによりフロント周りの剛性が非常に高く、障害物の乗り越え性能もとても良く感じました。フォークそのものはガッチリとした剛性がありつつ、リジッドらしからぬ振動吸収性も兼ね備えるため、段差でタイヤが弾かれることがありません。目線が安定し路面をしっかりと捉えることができたため、安定して前に進むことができます。
「最先端技術を搭載した、万人向けのCXバイク」新保光起(Sprint)
「トップチューブ下側が平面で、担ぐ際に有利」 直進安定性が優れているので、コントロールがしやすかったです。油圧式ディスクブレーを導入したことで軽いレバータッチが実現されており、その際のフォークしなりを感じます。
フレームは全体的にしなやかな柔らかさを持っていますね。踏み込んだ際にパッと反応する剛性こそありませんが、その恩恵で振動吸収性や路面追従性が非常に良好です。
シートステーのブリッジが廃されていることで、剛性に関する自由な設計が可能となったのでしょう。特にこの辺りがしなやかさを生み、路面をキャッチしてくれるため安定感が増しています。路面に弾かれずレースに集中できるでしょう。
全体的にしなやかさが目立つバイクですから、力を加えて踏み込んだ際にはBB周りのしなやかさが加速を多少邪魔するようです。しかし全体的に造りはハイレベルですから、硬いホイールに組み替えることでロードレース的な舗装路での走りにも対応できるのではないでしょうか。
また、担ぎで楽なようにトップチューブ下側が平らになっていたり、フロント三角が大きかったり、更に泥対策でワイヤー類が全て内蔵となっている点もシクロクロスバイクとして好評価できるポイント。ジャイアントはプロチームに機材供給していますから、そういったプロレーサーの要求を満たせるだけの性能を感じましたね。
総括してシクロクロスレースで充分にメリットを持てる性能を有したレーシングバイクです。ディスクブレーキやスルーアクスルなど最新の機構を投入したバイクですから、そうした部分に不安を感じる方もいるでしょう。しかしそれ以上に、遥かに大きなメリットを走りで感じることのできるバイクでした。レースでガンガン昇格したい方、新たにシクロクロスにチャレンジしようとしている方、誰にとっても扱いやすいバイクですね。
「マイルドにトラクションを正確に伝える、統制がとれたシーシングバイク」鈴木 祐一(Rise Ride)
「マイルドにトラクションを正確に伝える、統制がとれたシーシングバイク」鈴木 祐一(Rise Ride) バイク全体において高いレベルで路面追従性を追及しています。オフロード区間に入ってこそ、フレーム性能が発揮されるレーシングシクロクロスバイクですね。バイク全体の完成度が高く、保守的なヨーロピアンレースでさえもすぐに実戦投入される(ワールドカップでラルス・ファンデルハールが導入した)理由を実感しました。
バイク全体を見たときに、フレームとは別であるフォークからリアバック、タイヤまでの振動吸収と路面追従と剛性バランスなどの設計思想のリンクが取れていますね。
レースバイクなので乗り心地よりもトラクションの掛かりを追及した結果であるのでしょう。シクロクロスバイクはサドルにどっしりと腰掛け、リアに体重を載せてトラクションを掛けますが、それに合わせた設計思想が分かります。
特に注目されるべきはフロントフォーク。フォークの真ん中周辺で適度な剛性コントロールを行うような設計がされていると感じました。そのため剛性を高める15mm径のスルーアクスルを採用しているのでしょう。ハードブレーキングの際に全体がたわむことも無く、かつ振動吸収も行うことができるという、非常に完成度の高いフォークですね。通じてヘッド剛性との兼ね合いも良く、狙ったラインを外さないハンドリング性能がありますね。
フレームはBBハイトが低く低重心。立ち上がりのダッシュでは反応性にやや乏しいものの、オフロード区間では安定感や安心感に繋がる部分です。リアバックもカンチ用ブレーキ台座を無くしたシートステーとシートポスト、チェーンステーのコンビネーションで振動吸収や路面追従性などを高め、トラクションを意識した仕上がりになっていますね。
完成車のパッケージとして、SRAMの軽量ブレーキ、11速対応している点など無駄がありません。ROTORのクランクを採用したのはコストパフォーマンス対策かと感じましたが、申し分がないほどの性能があり、必要にして十分ですね。ホイールはチューブレスカーボンであり、練習から決戦までカバーできるハイバランスな性能があります。所有欲を充分に満たすこともでき、パフォーマンスも充分に発揮でき、シクロクロスを楽しむことができるバイクです。
ジャイアント TCX ADVANCED 0 (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
ジャイアント TCX ADVANCED 0
サイズ:500(S)、525(M)、545(ML)mm
重 量:8.0kg (525mm)
フレーム:Advanced-Grade Composite OLD135mm
フォーク:Advanced-Grade Composite、Full Composite OverDrive 2 Column 15mm Axle
コンポーネント:SRAM RED 22
クランクセット:ROTOR 3DF
ブレーキ:SRAM RED 22 F : 140mm(S)、160mm(M、ML) R : 140mm(S、M)、160mm(ML) Rotors
タイヤ:SCHWALBE SUPER SWAN EVO TL-READY 700x35C
インプレライダーのプロフィール
鈴木祐一(Rise Ride) 鈴木 祐一(Rise Ride)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド
新保 光起(Sprint) 新保 光起(Sprint)
1995年に日本舗道レーシングチームよりプロデビュー。以後スミタ・ラバネロ・パールイズミから愛三工業レーシングと渡り歩き、2000年ツール・ド・北海道での山岳賞獲得や2002年ジャパンカップで日本人最高位の7位に入るなど、オールラウンダーとして活躍する。引退後は関東近郊のプロショップにて修行を積み、今年6月、横浜にプロショップ「Sprint(スプリント)」をオープン。普段はMTBでトレイルライドを楽しんでいる。
Sprint
ウエア協力:bici、ビエンメ
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
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現在シクロクロスバイクの世界で巻き起こっている機材変化の波。これまでもディスクブレーキを搭載したCXバイクはスモールビルダーブランドを中心に生産されてきたものの、ごく小さな世界での出来事であり、巷の関心を得るにはほど遠いものであった。
しかし実際には、泥や砂、水など過酷な状況にさらされるCXバイクにおいて、従来のカンチブレーキ+カーボンリムという組み合わせではブレーキ面が汚れた際の性動力低下や、ホイールが受けるダメージも免れない。そして最近になってライディングスタイルの多様化に併せてロードバイク用ディスクブレーキが登場し、こうした問題を抱えていたシクロクロッサーたちに迎えられたのである。
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賞賛の声も上がる一方で、ディスクブレーキの強い制動力や新規格に対し疑念の声が上がったことも事実。だがUCIでの使用認可が降りたことで北米トップ選手がレースで使い、そして2013-2014年シーズンからはシクロクロスの本場であるヨーロッパでも数人の選手が使用を開始。オランダのラルス・ファンデルハール(ラボバンクデベロップメント)がW杯で開幕2連勝を挙げるなど、確実にその存在感を高めつつあるのだ。
前置きが長くなった。今回のテストバイクはそんな過渡期にあるCXバイクにおいて、SRAM製油圧ディスクブレーキやフロントフォークの15mmスルーアクスルなど、最先端のシステムを存分に取り入れたジャイアントの「TCX ADVANCED 0」。ファンデルハールがW杯2連勝を勝ち取った際に使用した(コンポーネントはホイールは異なる)ピュアレーシングバイクである。
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使用素材別に数種類のグレードを擁するTCXシリーズ。最上級モデルはカンチブレーキ仕様のみの「TCX ADVANCED SL」で、今回のテストバイクはセカンドモデルにあたるもの。フレームはT-700グレードカーボン原糸を使用し、性能とコストパフォーマンスのバランスが取られている。
フレームは従来のTCXをベースとしながらも、ディスクブレーキに対応するため各部のリファインが施されている。フロントフォークはもちろん専用品となり、15mm径のスルーアクスルを導入したことで(より太いドライブシャフトとなる)高剛性化を達成。更にヘッドチューブのベアリング径は従来の上1-1/8、下1-1/4から上1-1/4、下1-1/2のOVER DRIVE2化させることで強い制動力にも負けない堅牢さを手に入れている。リアブレーキのマウントはチェーンステー側に用意されており、エンド幅は135mmだ。
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そうした剛性を確保する一方で、未舗装路を走るシクロクロスバイクには衝撃吸収性能も必要不可欠。TCX ADVANCEDではシートステー上部のブレーキ台座が取り払ったことでしなやかさを確保し、「D」型断面の専用シートピラーも積極的にしならせることで乗り心地の向上を図っている。チェーンステーが左右非対称となったこともトピックだろう。
更にジオメトリー自体にもテコ入れが施されており、BB下がりは従来モデルよりも5mm低い60mmにすることで、高い直進安定性を手に入れた。的確な操作が求められるレースにおいて、安定した走りはそれだけでライダーの大きな助けとなる。
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TCX ADVANCED 0は完成車での販売となり、コンポーネントは11sのSRAM RED 油圧ディスクブレーキ。ホイールは25mm幅のワイドな軽量フルカーボンリムを採用したP-CXR0がアッセンブルされ、組み合わせられるタイヤはシュワルベのSUPER SWAN EVO TL-READY(35c)と、即トップクラスのレースに実戦投入可能なピュアレーシングスペックが自慢。価格は税抜きで70万円だ。
この最先端CXバイクをテストするのは、現在もシクロクロスエリート選手として走る鈴木祐一氏と、かつて愛三工業レーシングでならした新保光起氏。早速二人のインプレッションに移ろう。
ーインプレッション
「最先端技術を搭載した、万人向けのCXバイク」新保光起(Sprint)
しなやかさを活かし常に路面に貼りつくような走りのある、安定感の高いバイクでした。ハンドリングなども優れており、不得意な場面の無い優等生バイクだと感じました。
このTCXは最先端のシステムを多数搭載しており、例えばフロントの15mmスルーアクスルはその典型です。これによりフロント周りの剛性が非常に高く、障害物の乗り越え性能もとても良く感じました。フォークそのものはガッチリとした剛性がありつつ、リジッドらしからぬ振動吸収性も兼ね備えるため、段差でタイヤが弾かれることがありません。目線が安定し路面をしっかりと捉えることができたため、安定して前に進むことができます。
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フレームは全体的にしなやかな柔らかさを持っていますね。踏み込んだ際にパッと反応する剛性こそありませんが、その恩恵で振動吸収性や路面追従性が非常に良好です。
シートステーのブリッジが廃されていることで、剛性に関する自由な設計が可能となったのでしょう。特にこの辺りがしなやかさを生み、路面をキャッチしてくれるため安定感が増しています。路面に弾かれずレースに集中できるでしょう。
全体的にしなやかさが目立つバイクですから、力を加えて踏み込んだ際にはBB周りのしなやかさが加速を多少邪魔するようです。しかし全体的に造りはハイレベルですから、硬いホイールに組み替えることでロードレース的な舗装路での走りにも対応できるのではないでしょうか。
また、担ぎで楽なようにトップチューブ下側が平らになっていたり、フロント三角が大きかったり、更に泥対策でワイヤー類が全て内蔵となっている点もシクロクロスバイクとして好評価できるポイント。ジャイアントはプロチームに機材供給していますから、そういったプロレーサーの要求を満たせるだけの性能を感じましたね。
総括してシクロクロスレースで充分にメリットを持てる性能を有したレーシングバイクです。ディスクブレーキやスルーアクスルなど最新の機構を投入したバイクですから、そうした部分に不安を感じる方もいるでしょう。しかしそれ以上に、遥かに大きなメリットを走りで感じることのできるバイクでした。レースでガンガン昇格したい方、新たにシクロクロスにチャレンジしようとしている方、誰にとっても扱いやすいバイクですね。
「マイルドにトラクションを正確に伝える、統制がとれたシーシングバイク」鈴木 祐一(Rise Ride)
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バイク全体を見たときに、フレームとは別であるフォークからリアバック、タイヤまでの振動吸収と路面追従と剛性バランスなどの設計思想のリンクが取れていますね。
レースバイクなので乗り心地よりもトラクションの掛かりを追及した結果であるのでしょう。シクロクロスバイクはサドルにどっしりと腰掛け、リアに体重を載せてトラクションを掛けますが、それに合わせた設計思想が分かります。
特に注目されるべきはフロントフォーク。フォークの真ん中周辺で適度な剛性コントロールを行うような設計がされていると感じました。そのため剛性を高める15mm径のスルーアクスルを採用しているのでしょう。ハードブレーキングの際に全体がたわむことも無く、かつ振動吸収も行うことができるという、非常に完成度の高いフォークですね。通じてヘッド剛性との兼ね合いも良く、狙ったラインを外さないハンドリング性能がありますね。
フレームはBBハイトが低く低重心。立ち上がりのダッシュでは反応性にやや乏しいものの、オフロード区間では安定感や安心感に繋がる部分です。リアバックもカンチ用ブレーキ台座を無くしたシートステーとシートポスト、チェーンステーのコンビネーションで振動吸収や路面追従性などを高め、トラクションを意識した仕上がりになっていますね。
完成車のパッケージとして、SRAMの軽量ブレーキ、11速対応している点など無駄がありません。ROTORのクランクを採用したのはコストパフォーマンス対策かと感じましたが、申し分がないほどの性能があり、必要にして十分ですね。ホイールはチューブレスカーボンであり、練習から決戦までカバーできるハイバランスな性能があります。所有欲を充分に満たすこともでき、パフォーマンスも充分に発揮でき、シクロクロスを楽しむことができるバイクです。
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ジャイアント TCX ADVANCED 0
サイズ:500(S)、525(M)、545(ML)mm
重 量:8.0kg (525mm)
フレーム:Advanced-Grade Composite OLD135mm
フォーク:Advanced-Grade Composite、Full Composite OverDrive 2 Column 15mm Axle
コンポーネント:SRAM RED 22
クランクセット:ROTOR 3DF
ブレーキ:SRAM RED 22 F : 140mm(S)、160mm(M、ML) R : 140mm(S、M)、160mm(ML) Rotors
タイヤ:SCHWALBE SUPER SWAN EVO TL-READY 700x35C
インプレライダーのプロフィール
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サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド
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1995年に日本舗道レーシングチームよりプロデビュー。以後スミタ・ラバネロ・パールイズミから愛三工業レーシングと渡り歩き、2000年ツール・ド・北海道での山岳賞獲得や2002年ジャパンカップで日本人最高位の7位に入るなど、オールラウンダーとして活躍する。引退後は関東近郊のプロショップにて修行を積み、今年6月、横浜にプロショップ「Sprint(スプリント)」をオープン。普段はMTBでトレイルライドを楽しんでいる。
Sprint
ウエア協力:bici、ビエンメ
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
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