2013/11/14(木) - 16:35
ホビーレーサーの大きな目標として、そして島一周サイクリングなどロングライド派からも高い人気を誇るツール・ド・おきなわは今年、開催25周年を迎えた。そんな一大イベントの実行委員長を務める森兵次さんに、レース終了後語ってもらった。
沖縄輪業社長であり、ツール・ド・おきなわの実行委員長。更に美ら島おきなわセンチュリーライドほか、沖縄で開催されるほとんどのイベントに携わっている森兵次さん。47歳の時にツール・ド・おきなわの立ち上げを行い、それから25年経った今も精力的に現場の最前線で手腕を振るう沖縄自転車界のリーダーだ。
そんな森さんに、25周年を迎えた今回のツール・ド・おきなわ閉幕後、インタビューを行った。
「ツールド」の成長は参加者の皆さんありき
ここまでのロングランイベントになるとは最初思っていませんでしたよ。ですが今年25周年だからと言って、何か特別な準備をしてきたわけではありません。コツコツと今まで通り、すこしずつ改善してきただけです。
開始当初は参加人数1000名ぐらいでしたが、現在はサイクリング部門も合わせると4500名ほどにまで成長しました。しかしずっとコンスタントに増えてきた訳ではなく、2000名を数えるまでは相当な時間を要したのです。その伸び悩みの期間は大会を運営する上で、なかなか大変でしたね。
ツールド(沖縄の方のツール・ド・おきなわの一般的な呼び方)を開催する一番の目的は、サイクルスポーツの発展を助けることに加え、地域振興にあります。またここ十年くらいでは有力な選手を発掘し、更に強化するという目的も加わりました。
210kmクラスを頂点とした市民レースは、既に「ホビーレーサーの甲子園」などと呼ばれるようにかなり普及し、皆さんがここで活躍することを目標とするようになってくれました。特に210kmはチャンピオンレースと同じコースを走りますから、特に挑戦しがいがありますよね。
ただ出場選手のレベルも高く、コースもキツい。当初は完走率もすごく低かったのですが、まぁ30%もいけばいいだろうと。でも僕らがやったのはそこまで。レーサーのみなさんが頑張ってくれるから、「甲子園」という地位がついたんです。全ては参加者の皆さんありきなんですね。
昔はMTB部門もあった
もう止めてしまって15年ほど経つのですが、昔は未舗装林道やトレイルを使ったMTB種目もあって、なかなか人気だったんですよ。だけど林業が盛んだから、あっという間に林道が舗装されちゃって、それでストップしたんですね。今でも遊べるトレイルはあるけれど、何かあった時にクルマが入れないから、残念ながら復活させてないんです。
あと失敗と言えば、チャンピオンレースをステージ制にしようと思いクリテリウムをやったことがありました。でもただでさえ滑りやすい道路で、その時は雨。めちゃくちゃ不評で、すぐに止めちゃいました。2日間の総合で決めるより、一日で決着をつける方が見てる人も分かりやすいですよね。
女子とジュニアレースを発展させたい。今後は国際化を目指す
今一番力を入れたいのは女子やジュニアの国際レース。ここに台湾や韓国、中国を始めとした海外選手を呼び、普段海外選手と走る機会の少ない日本人選手に国際レースの雰囲気を体感してもらいたいのです。
過去、新城(幸也)くんをはじめ、與那嶺恵理など、ツールドの国際レースで勝利してはずみをつけた選手はこれまでに大勢いました。別府(史之)くんも中学生レースで勝っていますね。あれは強かったなぁ。ただ国際レースだし距離が長過ぎるので、最初は高体連に嫌われちゃったんですよね(笑)。
そうして海外チームを呼んでいるうちに、大会が口コミで広がり、今や海外から多くの一般参加者が来てくれています。今年は本島一周サイクリングの半分は外国から。他にもKSPO(韓国チーム)の幹部が視察に来たり、今後はより国際化が進んでいくでしょう。
少々ラフだけれど、ゆったりした雰囲気がこの大会の良いところ
でもね、ツールドは、日本によくあるピシッとした大会ではないんです。沖縄ならではと言うか、ほんわかしてるんですね。何とも説明しづらいけれど、沖縄だけでしか味わえない居心地の良さってあると思うんです。これからもそう感じられる大会でありたいと思いますし、その方がリゾート感あって良いでしょう?
これからは、女子の100kmレースを新設したいと思っていますよ。50kmだと短すぎるし、140kmだと敷居が高すぎるような気がしますから。それから、おきなわとは別に新城幸也の名前を冠した新しい市民レースを開催したいと思っています。まだ正式には決まっていませんが、できれば来年あたりにアナウンスしたいですね。
運営は30点、参加者の満足度は90点
インタビューではおよそ1時間に渡って森さんが熱い思いを語ってくれたが、最後に25回大会も含めての評価を聞いてみた。
「参加者の満足度で言うと、80点から90点。でもプレゼンテーションや表彰式も含めた大会運営の視点で見ると30点。もう年ですから実行委員長の座は近いうちに降りるかもしれませんが、この部分を改善しない限り運営から離れることはありませんよ。」と笑う森さん。現在74歳だが、まだまだ現場を離れるのは先のことのようだ。
25周年を経て尚、進化を続けるツール・ド・おきなわに来年以降も期待したい。
text:So.Isobe
photo:hideaki.Takagi,So.Isobe
沖縄輪業社長であり、ツール・ド・おきなわの実行委員長。更に美ら島おきなわセンチュリーライドほか、沖縄で開催されるほとんどのイベントに携わっている森兵次さん。47歳の時にツール・ド・おきなわの立ち上げを行い、それから25年経った今も精力的に現場の最前線で手腕を振るう沖縄自転車界のリーダーだ。
そんな森さんに、25周年を迎えた今回のツール・ド・おきなわ閉幕後、インタビューを行った。
「ツールド」の成長は参加者の皆さんありき
ここまでのロングランイベントになるとは最初思っていませんでしたよ。ですが今年25周年だからと言って、何か特別な準備をしてきたわけではありません。コツコツと今まで通り、すこしずつ改善してきただけです。
開始当初は参加人数1000名ぐらいでしたが、現在はサイクリング部門も合わせると4500名ほどにまで成長しました。しかしずっとコンスタントに増えてきた訳ではなく、2000名を数えるまでは相当な時間を要したのです。その伸び悩みの期間は大会を運営する上で、なかなか大変でしたね。
ツールド(沖縄の方のツール・ド・おきなわの一般的な呼び方)を開催する一番の目的は、サイクルスポーツの発展を助けることに加え、地域振興にあります。またここ十年くらいでは有力な選手を発掘し、更に強化するという目的も加わりました。
210kmクラスを頂点とした市民レースは、既に「ホビーレーサーの甲子園」などと呼ばれるようにかなり普及し、皆さんがここで活躍することを目標とするようになってくれました。特に210kmはチャンピオンレースと同じコースを走りますから、特に挑戦しがいがありますよね。
ただ出場選手のレベルも高く、コースもキツい。当初は完走率もすごく低かったのですが、まぁ30%もいけばいいだろうと。でも僕らがやったのはそこまで。レーサーのみなさんが頑張ってくれるから、「甲子園」という地位がついたんです。全ては参加者の皆さんありきなんですね。
昔はMTB部門もあった
もう止めてしまって15年ほど経つのですが、昔は未舗装林道やトレイルを使ったMTB種目もあって、なかなか人気だったんですよ。だけど林業が盛んだから、あっという間に林道が舗装されちゃって、それでストップしたんですね。今でも遊べるトレイルはあるけれど、何かあった時にクルマが入れないから、残念ながら復活させてないんです。
あと失敗と言えば、チャンピオンレースをステージ制にしようと思いクリテリウムをやったことがありました。でもただでさえ滑りやすい道路で、その時は雨。めちゃくちゃ不評で、すぐに止めちゃいました。2日間の総合で決めるより、一日で決着をつける方が見てる人も分かりやすいですよね。
女子とジュニアレースを発展させたい。今後は国際化を目指す
今一番力を入れたいのは女子やジュニアの国際レース。ここに台湾や韓国、中国を始めとした海外選手を呼び、普段海外選手と走る機会の少ない日本人選手に国際レースの雰囲気を体感してもらいたいのです。
過去、新城(幸也)くんをはじめ、與那嶺恵理など、ツールドの国際レースで勝利してはずみをつけた選手はこれまでに大勢いました。別府(史之)くんも中学生レースで勝っていますね。あれは強かったなぁ。ただ国際レースだし距離が長過ぎるので、最初は高体連に嫌われちゃったんですよね(笑)。
そうして海外チームを呼んでいるうちに、大会が口コミで広がり、今や海外から多くの一般参加者が来てくれています。今年は本島一周サイクリングの半分は外国から。他にもKSPO(韓国チーム)の幹部が視察に来たり、今後はより国際化が進んでいくでしょう。
少々ラフだけれど、ゆったりした雰囲気がこの大会の良いところ
でもね、ツールドは、日本によくあるピシッとした大会ではないんです。沖縄ならではと言うか、ほんわかしてるんですね。何とも説明しづらいけれど、沖縄だけでしか味わえない居心地の良さってあると思うんです。これからもそう感じられる大会でありたいと思いますし、その方がリゾート感あって良いでしょう?
これからは、女子の100kmレースを新設したいと思っていますよ。50kmだと短すぎるし、140kmだと敷居が高すぎるような気がしますから。それから、おきなわとは別に新城幸也の名前を冠した新しい市民レースを開催したいと思っています。まだ正式には決まっていませんが、できれば来年あたりにアナウンスしたいですね。
運営は30点、参加者の満足度は90点
インタビューではおよそ1時間に渡って森さんが熱い思いを語ってくれたが、最後に25回大会も含めての評価を聞いてみた。
「参加者の満足度で言うと、80点から90点。でもプレゼンテーションや表彰式も含めた大会運営の視点で見ると30点。もう年ですから実行委員長の座は近いうちに降りるかもしれませんが、この部分を改善しない限り運営から離れることはありませんよ。」と笑う森さん。現在74歳だが、まだまだ現場を離れるのは先のことのようだ。
25周年を経て尚、進化を続けるツール・ド・おきなわに来年以降も期待したい。
text:So.Isobe
photo:hideaki.Takagi,So.Isobe
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