2013/10/12(土) - 02:54
10月11日、中国・北京で第3回ツアー・オブ・北京(UCIワールドツアー)が開幕。初日から西薗良太(日本、チャンピオンシステム)が早速逃げを試みた。最終的にゴールスプリントに持ち込まれた結果、トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)がステージ優勝とリーダージャージを獲得している。
北京五輪の際にボート競技やカヌー競技の会場となった順義(シュンイー)のオリンピック水上公園が第1ステージのスタート地点。平坦基調の190.5kmレースが始まってすぐに、チャンピオンシステムの西薗が逃げに乗った。
「ツアー・オブ・北京への出場は急に決まりました。最後のレースがUSAプロチャレンジだったので、長い期間レースを走っていませんでした。ジャパンカップ前にステージレースを走れることになって良かったです。チームはクリス・バトラーの総合を狙うことと、積極的に攻めていくのが目標です」とスタート前に語っていた西薗。「自分もできるかぎり逃げに乗るなど、アピールしていきたいと思います。与えられたチャンスは最大限に活かしたいですね」とも語っており、有言実行のエスケープとなった。
西薗の逃げの伴侶となったのはサンダー・コーデル(ベルギー、ロット・ベリソル)、ウィレム・ワウテルス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)、ダヴィデ・ヴィガノ(イタリア、ランプレ・メリダ)。この逃げ4名は最大で9分のリードを稼ぎ出すことに成功する。
3つのスプリントポイントのうち、2つをワウテルスが先頭通過する(西薗は4位が2回、3位が1回)。また、今大会最初の3級山岳(71.5km)を先頭通過したコーデルは山岳賞ジャージ着用を決めた(西薗は4位通過)。
直線かつ幅広の平坦路が続くレース後半に入ると、西薗ら4名のリードは縮小して行く。ヴィガノが自らの意思でメイン集団への帰還を選び、西薗、コーデル、ワウテルスの3名が諦めずに逃げ続ける。キャノンデールプロサイクリングやFDJ.frが逃げのリードを削り取った。
タイム差が1分30秒を切り、ゴールまで残り30kmに差し掛かったところで西薗がアタック。このペースアップにワウテルスが堪らず千切れ、カウンターアタックでコーデルが飛び出す。西薗はこのアタックに反応出来ず、コーデルの単独逃げが始まった。
アルゴス・シマノやBMCレーシングチームが率いるメイン集団が先頭コーデルを飲み込んだのは残り5km地点。ここからスプリンターチームによる熾烈なポジション争いが繰り広げられる。
「レースの目標はマティ・ブレシェルのスプリントでステージを狙う事と、総合を見ているロジャースが遅れないようサポートする事」と語っていた宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)は、エースを引き連れて集団先頭に出るシーンも。しかし「残り3kmと早すぎる段階で前に出てしまい、一旦下がるも道が広いため激しい位置取りが続いた。残り1km手前でマティをもう一度前に連れて行ってお役御免。初めに前に上がったタイミングが早すぎて、良い状態で前に残る事が出来なかった」と反省の弁を述べる。「広い道でのスプリントはアジア特有なので、その辺りを考えて次のチャンスに活かしたい」とも。
最も強力なトレインを組んでゴールスプリントに挑んだのはオリカ・グリーンエッジで。エーススプリンターのマイケル・マシューズ(オーストラリア)は好位置でスプリントを開始。しかしマシューズはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)やルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)らに追い抜かれてしまう。
道幅一杯を使ったスプリントで先頭に立ったのは、「後ろから追い上げる形になったけど、ライバルのスリップストリームに入りながらポジションを上げ、最終的に先頭に立てた」と語るフースホフト。シーズン終盤にかけて調子を上げているノルウェーチャンピオンが両手を挙げた。
「自分でもこの勝利に驚いている。世界選手権の後、モチベーションを保つのが難しかった。でも良いトレーニングをこなせていたことをこの勝利で確認できたよ」と、ステージ優勝を飾ったフースホフトは語る。フースホフトは同時にリーダージャージを獲得。逃げに乗って積極的にボーナスタイムを稼いだワウテルスが3秒差の総合2位、西薗が9秒差の総合5位につけている。
ツアー・オブ・北京2013第1ステージ結果
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム) 4h20'34"
2位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)
3位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
6位 エンリケ・サンス(スペイン、モビスター)
7位 リュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、カチューシャ)
8位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
9位 ヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、ロット・ベリソル)
10位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
133位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)
146位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ) +52"
個人総合成績
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム) 4h20'24"
2位 ウィレム・ワウテルス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) +03"
3位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ) +04"
4位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +06"
5位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム) +09"
6位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ) +10"
7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 エンリケ・サンス(スペイン、モビスター)
9位 リュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、カチューシャ)
10位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
ポイント賞
トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
新人賞
ウィレム・ワウテルス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
チーム総合成績
カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:Graham Watson/Tour of Beijing, Sonoko Tanaka
北京五輪の際にボート競技やカヌー競技の会場となった順義(シュンイー)のオリンピック水上公園が第1ステージのスタート地点。平坦基調の190.5kmレースが始まってすぐに、チャンピオンシステムの西薗が逃げに乗った。
「ツアー・オブ・北京への出場は急に決まりました。最後のレースがUSAプロチャレンジだったので、長い期間レースを走っていませんでした。ジャパンカップ前にステージレースを走れることになって良かったです。チームはクリス・バトラーの総合を狙うことと、積極的に攻めていくのが目標です」とスタート前に語っていた西薗。「自分もできるかぎり逃げに乗るなど、アピールしていきたいと思います。与えられたチャンスは最大限に活かしたいですね」とも語っており、有言実行のエスケープとなった。
西薗の逃げの伴侶となったのはサンダー・コーデル(ベルギー、ロット・ベリソル)、ウィレム・ワウテルス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)、ダヴィデ・ヴィガノ(イタリア、ランプレ・メリダ)。この逃げ4名は最大で9分のリードを稼ぎ出すことに成功する。
3つのスプリントポイントのうち、2つをワウテルスが先頭通過する(西薗は4位が2回、3位が1回)。また、今大会最初の3級山岳(71.5km)を先頭通過したコーデルは山岳賞ジャージ着用を決めた(西薗は4位通過)。
直線かつ幅広の平坦路が続くレース後半に入ると、西薗ら4名のリードは縮小して行く。ヴィガノが自らの意思でメイン集団への帰還を選び、西薗、コーデル、ワウテルスの3名が諦めずに逃げ続ける。キャノンデールプロサイクリングやFDJ.frが逃げのリードを削り取った。
タイム差が1分30秒を切り、ゴールまで残り30kmに差し掛かったところで西薗がアタック。このペースアップにワウテルスが堪らず千切れ、カウンターアタックでコーデルが飛び出す。西薗はこのアタックに反応出来ず、コーデルの単独逃げが始まった。
アルゴス・シマノやBMCレーシングチームが率いるメイン集団が先頭コーデルを飲み込んだのは残り5km地点。ここからスプリンターチームによる熾烈なポジション争いが繰り広げられる。
「レースの目標はマティ・ブレシェルのスプリントでステージを狙う事と、総合を見ているロジャースが遅れないようサポートする事」と語っていた宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)は、エースを引き連れて集団先頭に出るシーンも。しかし「残り3kmと早すぎる段階で前に出てしまい、一旦下がるも道が広いため激しい位置取りが続いた。残り1km手前でマティをもう一度前に連れて行ってお役御免。初めに前に上がったタイミングが早すぎて、良い状態で前に残る事が出来なかった」と反省の弁を述べる。「広い道でのスプリントはアジア特有なので、その辺りを考えて次のチャンスに活かしたい」とも。
最も強力なトレインを組んでゴールスプリントに挑んだのはオリカ・グリーンエッジで。エーススプリンターのマイケル・マシューズ(オーストラリア)は好位置でスプリントを開始。しかしマシューズはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)やルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)らに追い抜かれてしまう。
道幅一杯を使ったスプリントで先頭に立ったのは、「後ろから追い上げる形になったけど、ライバルのスリップストリームに入りながらポジションを上げ、最終的に先頭に立てた」と語るフースホフト。シーズン終盤にかけて調子を上げているノルウェーチャンピオンが両手を挙げた。
「自分でもこの勝利に驚いている。世界選手権の後、モチベーションを保つのが難しかった。でも良いトレーニングをこなせていたことをこの勝利で確認できたよ」と、ステージ優勝を飾ったフースホフトは語る。フースホフトは同時にリーダージャージを獲得。逃げに乗って積極的にボーナスタイムを稼いだワウテルスが3秒差の総合2位、西薗が9秒差の総合5位につけている。
ツアー・オブ・北京2013第1ステージ結果
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム) 4h20'34"
2位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)
3位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
6位 エンリケ・サンス(スペイン、モビスター)
7位 リュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、カチューシャ)
8位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
9位 ヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、ロット・ベリソル)
10位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
133位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)
146位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ) +52"
個人総合成績
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム) 4h20'24"
2位 ウィレム・ワウテルス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) +03"
3位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ) +04"
4位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +06"
5位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム) +09"
6位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ) +10"
7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 エンリケ・サンス(スペイン、モビスター)
9位 リュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、カチューシャ)
10位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
ポイント賞
トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
新人賞
ウィレム・ワウテルス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
チーム総合成績
カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:Graham Watson/Tour of Beijing, Sonoko Tanaka
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