2013/08/29(木) - 10:27
日本全国の猛暑日観測地点の数が今世紀最多となったお盆休み初日の8月10日(土)。今年で18回目の開催となるエンデューロイベント「全日本10時間耐久サイクリング inつくば」が開催され、138チーム640人が真夏の1日を自転車で楽しんだ。
舞台は茨城県下妻市にある筑波サーキット。普段はクルマやオートバイのレースや走行会が多く開催されているが、複数の自転車エンデューロイベントも定期的に開催され、毎回多くの参加者を集めている。今回は日本サイクリング協会(JCA)が主催する通称「つくば10耐」の模様をレポートする。
今回コースとなった本コースは2つの長いストレートと大小8つのコーナーで構成され、1周2070mと富士スピードウェイやツインリンクもてぎに比べると非常にコンパクト。加えてほとんど高低差がないためレースデビューのビギナーから、普段では中々味わえない速度での高速走行を体感したい上級者まで様々なライダーが楽しめるサーキットだ。
東京からは常磐道経由で2時間程度とアクセスは良好で、関東地方を中心に東北地方や中部地方、遠方では北海道や岡山から参加者が集まった。レースのスタートは午前9時と比較的遅く、試走も8時までと当日入りする人にとっても余裕のあるスケジューリングが嬉しいところだ。
午前9時、気温37℃という厳しい暑さに加え湿度も高いとあって「耐久サイクリング」という大会名がこれ以上ないほどにしっくり来る過酷なコンディションの中、レースはスタート。序番こそ大きな集団が形成された、暑さによって小まめにライダーチェンジを繰り返すチームが多かったため、レース中盤の集団は最大でも20~30人程度に留まった。
つくば10耐はタイム計測を行い順位を争うレースではあるが、「安全に10時間のサーキット走行を楽しむ」と言うのがコンセプト。1チーム当たり3~6人でのエントリーが基本であるため、「仲間と一緒に真夏の1日を楽しむ」と言った仲良しチームが多く集まった。多くのチームがオリジナルジャージで揃え、中には4チームに分れて参加した大所帯なチームも。
各チームは性別や車種によって細かにカテゴリー分けされ、表彰は各カテゴリーで6位までが対象となるため様々なライダーが競技としても楽しむことが出来たようだ。車種はロードレーサーが大半だったものの、中にはフラットバーロードやMTB、クロスバイクで速い集団に混じって走るライダーの姿もあった。
レース中も気温は上がり続けて過酷さが増していく中、ピット周辺では水分補給や休息を促すアナウンスが繰り返される。しかし、熱中症などの目立ったトラブルはほとんどなかった様だ。その理由は主催者と参加者の双方がしっかりとした暑さ対策をしてきたからだろう。中には暑さを逆手にとって楽しむ参加者の姿も多くみられた。
ほぼ全チームがテントとクーラーボックスを持参して参加。中には高成績を狙って(?)ビニールプールや大きなバケツに水を張ってクールダウンを図るチームも。一方の主催者側は1人の連続走行時間は60分以内とし、ピットの入口やパドックにミストファンを設置したりエアコンの効いた部屋を開放するなど暑さ対策を行っていた。
暑さ対策同様に手厚い安全対策も今大会のポイントと言えるだろう。コース上ではオートバイに乗ったプロのライダーが巡回し、各コーナーのポストにはスタッフと自転車に乗った救護スタッフが待機するなど多くの人員を動員。中盤に1度だけ目立ったクラッシュがあったものの全体的には事故の少ない大会となった。
西日が眩しくなってきた17時頃。ピットにはチームメイトを応援しようと休憩から戻ってくる参加者や、義務として15回課されたライダーチェンジの消化や最終走者の決定など戦略を練るチームが多くなってきた。19時のゴールに向かってコースやピット、パドックなどサーキット全体の緊張感が高まってくる。
今大会でもピットではサインボードやストップウォッチ、無線機を使用するチームが散見された。加えて少しでもライダーチェンジの際のタイムロスをなくそうと計測タグの取付・取外しを工夫するチームも。その雰囲気や動きは、ルマンに代表されるモータースポーツの耐久レースの様であった。
ピットクローズとなる18時40分を前に多くのチームがライダーチェンジを行おうと一斉にピットに戻って来る。役目を終えたライダーの皆さんは疲労困憊ながらも達成感に満ち溢れている。そして最終ライダーはチームからの応援を一手に集めて疲労を感じさせない勢いでコースには入っていく。夕焼け色の空とオレンジ色の照明、テールライトの光が実に幻想的だった。
ここからは再び大きな集団がいくつか形成され、優勝や入賞を争うチームの間ではアタックの応酬が発生。刻一刻と迫るゴールに向けてピットからの声援にも熱が入る。今年から19時以降に計測ラインを通過した周回が記録となる様にレギュレーションが変更されたため、19時数秒前のゴール付近ではゴールスプリントの様にもがくライダーの姿が多く見られた。
そして、19時になりレースは終了。周りのライダーとスプリントしたり、一緒に集団を形成した「仲間」と健闘を称え合ったり、いち早くチームに駆け寄ったりとゴールは様々。ゴールを切ってからは、残りの半周を最終走者が一段となってのパレードラン。最後はコースサイドで仲間に迎えられ、全てのライダーがピットへと戻っていった。
非常に過酷なコンディションの中で行われた今年のつくば10耐の〆はシャンパンファイト付きの表彰式。10時間という長丁場を仲間や家族と共に走りきった達成感にどのチームも達成感や感動に包まれたていた。私も筑波サーキットでのエンデューロイベントに出場した経験があるが、また出場してこの雰囲気を味わってみたいと思った次第である。
text&photo:Yuya.Yamamoto
舞台は茨城県下妻市にある筑波サーキット。普段はクルマやオートバイのレースや走行会が多く開催されているが、複数の自転車エンデューロイベントも定期的に開催され、毎回多くの参加者を集めている。今回は日本サイクリング協会(JCA)が主催する通称「つくば10耐」の模様をレポートする。
今回コースとなった本コースは2つの長いストレートと大小8つのコーナーで構成され、1周2070mと富士スピードウェイやツインリンクもてぎに比べると非常にコンパクト。加えてほとんど高低差がないためレースデビューのビギナーから、普段では中々味わえない速度での高速走行を体感したい上級者まで様々なライダーが楽しめるサーキットだ。
東京からは常磐道経由で2時間程度とアクセスは良好で、関東地方を中心に東北地方や中部地方、遠方では北海道や岡山から参加者が集まった。レースのスタートは午前9時と比較的遅く、試走も8時までと当日入りする人にとっても余裕のあるスケジューリングが嬉しいところだ。
午前9時、気温37℃という厳しい暑さに加え湿度も高いとあって「耐久サイクリング」という大会名がこれ以上ないほどにしっくり来る過酷なコンディションの中、レースはスタート。序番こそ大きな集団が形成された、暑さによって小まめにライダーチェンジを繰り返すチームが多かったため、レース中盤の集団は最大でも20~30人程度に留まった。
つくば10耐はタイム計測を行い順位を争うレースではあるが、「安全に10時間のサーキット走行を楽しむ」と言うのがコンセプト。1チーム当たり3~6人でのエントリーが基本であるため、「仲間と一緒に真夏の1日を楽しむ」と言った仲良しチームが多く集まった。多くのチームがオリジナルジャージで揃え、中には4チームに分れて参加した大所帯なチームも。
各チームは性別や車種によって細かにカテゴリー分けされ、表彰は各カテゴリーで6位までが対象となるため様々なライダーが競技としても楽しむことが出来たようだ。車種はロードレーサーが大半だったものの、中にはフラットバーロードやMTB、クロスバイクで速い集団に混じって走るライダーの姿もあった。
レース中も気温は上がり続けて過酷さが増していく中、ピット周辺では水分補給や休息を促すアナウンスが繰り返される。しかし、熱中症などの目立ったトラブルはほとんどなかった様だ。その理由は主催者と参加者の双方がしっかりとした暑さ対策をしてきたからだろう。中には暑さを逆手にとって楽しむ参加者の姿も多くみられた。
ほぼ全チームがテントとクーラーボックスを持参して参加。中には高成績を狙って(?)ビニールプールや大きなバケツに水を張ってクールダウンを図るチームも。一方の主催者側は1人の連続走行時間は60分以内とし、ピットの入口やパドックにミストファンを設置したりエアコンの効いた部屋を開放するなど暑さ対策を行っていた。
暑さ対策同様に手厚い安全対策も今大会のポイントと言えるだろう。コース上ではオートバイに乗ったプロのライダーが巡回し、各コーナーのポストにはスタッフと自転車に乗った救護スタッフが待機するなど多くの人員を動員。中盤に1度だけ目立ったクラッシュがあったものの全体的には事故の少ない大会となった。
西日が眩しくなってきた17時頃。ピットにはチームメイトを応援しようと休憩から戻ってくる参加者や、義務として15回課されたライダーチェンジの消化や最終走者の決定など戦略を練るチームが多くなってきた。19時のゴールに向かってコースやピット、パドックなどサーキット全体の緊張感が高まってくる。
今大会でもピットではサインボードやストップウォッチ、無線機を使用するチームが散見された。加えて少しでもライダーチェンジの際のタイムロスをなくそうと計測タグの取付・取外しを工夫するチームも。その雰囲気や動きは、ルマンに代表されるモータースポーツの耐久レースの様であった。
ピットクローズとなる18時40分を前に多くのチームがライダーチェンジを行おうと一斉にピットに戻って来る。役目を終えたライダーの皆さんは疲労困憊ながらも達成感に満ち溢れている。そして最終ライダーはチームからの応援を一手に集めて疲労を感じさせない勢いでコースには入っていく。夕焼け色の空とオレンジ色の照明、テールライトの光が実に幻想的だった。
ここからは再び大きな集団がいくつか形成され、優勝や入賞を争うチームの間ではアタックの応酬が発生。刻一刻と迫るゴールに向けてピットからの声援にも熱が入る。今年から19時以降に計測ラインを通過した周回が記録となる様にレギュレーションが変更されたため、19時数秒前のゴール付近ではゴールスプリントの様にもがくライダーの姿が多く見られた。
そして、19時になりレースは終了。周りのライダーとスプリントしたり、一緒に集団を形成した「仲間」と健闘を称え合ったり、いち早くチームに駆け寄ったりとゴールは様々。ゴールを切ってからは、残りの半周を最終走者が一段となってのパレードラン。最後はコースサイドで仲間に迎えられ、全てのライダーがピットへと戻っていった。
非常に過酷なコンディションの中で行われた今年のつくば10耐の〆はシャンパンファイト付きの表彰式。10時間という長丁場を仲間や家族と共に走りきった達成感にどのチームも達成感や感動に包まれたていた。私も筑波サーキットでのエンデューロイベントに出場した経験があるが、また出場してこの雰囲気を味わってみたいと思った次第である。
text&photo:Yuya.Yamamoto
リンク
Amazon.co.jp