2009/02/10(火) - 22:38
2009年、日本のEQA・梅丹本舗・グラファイトデザインはツアー・オブ・カタールに初参戦。しかし強風が容赦なく選手を襲う過酷なレースで、チームは苦戦を強いられた。更なる高みを目指すチームがカタールで得たものとは。浅田顕監督からコメントが届いたのでお伝えします。
大きな期待を胸にスタート
今回、砂漠版「ツール・ド・フランス」とも云える「ツアー・
オブ・カタール」参加に至ったのは、主催者であるA.S.O. (アモリー・スポーツ・オーガニゼーション。「ツール・ド・フランス」の主催者でもある)による、我がチームの欧州での活躍への着目からで、昨年8月時点で早々に話がありました。
「ツール・ド・フランス」出場チームが集結するため強い欧州色を持つレースであるが、カタール開催ということではUCIアジアツアーに属するこの大会。アジア最強チームの参加が待たれる中、今回の招待につながりました。
2008年12月に来日したA.S.O.ディレクターのクリスチャン・プリュドム氏からも期待のメッセージをいただくなど、シーズン初戦としては少々プレッシャーのかかるレースとなりました。
2009年のチームは新城幸也、宮澤崇史の主戦力を輩出した後、新シーズン、欧州、韓国の新戦力を迎えての新体制で開幕準備に取り掛かりました。
今回は平地のコースということもあり、スプリンターのパク・ソンベクや好調のエース清水都貴の活躍、また、今年チームの中心となり指揮をとる水谷監督の元スプリンターとしての経験と采配にも大きな期待を乗せてスタートを切ることになりました。
身をもって知ったカタールの厳しさ
「ツアー・オブ・カタール」の厳しさは、以前からTV放映などで知っていましたが、本当の厳しさは実際に参加した今回、身をもって知らされることになりました。
レースを思い返せば、連日の強風のなか、フラットで直線的なコース上、方向転換と風向予知の連続で、集団走行に不利な風向き、すなわち「横風」での集団内の激しい位置取りという、それはまさに格闘技でした。「横風」区間では集団前方に位置取りが出来なければどんどん後退して順位を下げてしまうため、各チーム必死で風除けが出来る場所を奪い合います。
必要なのは人の後ろに入るというより、人の前に入るという感覚。しかし主導権を握る"横風レースのスペシャリスト"であるオランダ、ベルギーなどのプロツアーチームの巨人がひしめく中、アジア最強の我々といえども小柄で格下と判断され居場所を作ることが認められずに弾かれてしまい、非常に苦しい毎日でした。
連日の結果としては、好成績とチームとして周囲に良い印象が残せず残念です。新体制でそれなりの準備をしてきたつもりでしたが、他チームの今大会へ挑む意気込みと準備状態は我々の予測をはるかに超えており、ここで対等に戦うには集団内での政治的実力も含めると、彼ら以上にコンディションを上げて臨まないと歯が立たないと感じました。
ただ、大所帯のプロツアーチームと比べ、少数精鋭で戦うチームである我々にとっては、このレースにピークを持ってくることは簡単ではなく、コンディショニングやスケジューリングに関して今後の検討材料となります。
しかしチームメンバーのがんばりは、始まったばかりのシーズンにとって悪いことだけには終わるはずがありません。今回は6日間に渡り苦戦したレースではありましたが、連日各選手が一人一人課題に取り組み、少しずつ難関を克服しつつコンディションと順位を上げて行きながら、新体制のチームワークを高めることが出来たことはひとつ嬉しい収穫と言えます。
そして強風がおさまった最終日には、チームとして勝負に加わるべく集団ペースアップへ積極的に参加するなど、一部では存在をアピールすることが出来ました。また、初日から心労と戦いながら毎ステージ選手たちを勇気付けた監督の水谷も「出来る」という感触を表情に浮かべ最終日を迎えました。
これからのシーズンに目を向けて
今後チームは例年どおり7〜8月にピークを持って行きたいと考えていますが、今年は清水都貴をはじめ、エース級の外国人選手も新たに加わり、シーズン前半から勝機をうかがいながら常時入賞を目指します。今回の苦戦経験も是非プラス方向に活かし、本格的シーズンに向けコンディションを上げて行きたいと思います。
この「ツアー・オブ・カタール」に関しては、来年も招待が得られるのなら、迷うことなく「OUI」(ウイ!=仏語で"もちろん!"の意)と答えます。なぜなら、時期やコース的な課題はあるものの、我々が参加できた過去最高レベルといえる質の高いレースでしたので。そして何よりも来年、集団の巨人たちがどのように我々を受け入れるかが楽しみですから。
大きな期待を胸にスタート
今回、砂漠版「ツール・ド・フランス」とも云える「ツアー・
オブ・カタール」参加に至ったのは、主催者であるA.S.O. (アモリー・スポーツ・オーガニゼーション。「ツール・ド・フランス」の主催者でもある)による、我がチームの欧州での活躍への着目からで、昨年8月時点で早々に話がありました。
「ツール・ド・フランス」出場チームが集結するため強い欧州色を持つレースであるが、カタール開催ということではUCIアジアツアーに属するこの大会。アジア最強チームの参加が待たれる中、今回の招待につながりました。
2008年12月に来日したA.S.O.ディレクターのクリスチャン・プリュドム氏からも期待のメッセージをいただくなど、シーズン初戦としては少々プレッシャーのかかるレースとなりました。
2009年のチームは新城幸也、宮澤崇史の主戦力を輩出した後、新シーズン、欧州、韓国の新戦力を迎えての新体制で開幕準備に取り掛かりました。
今回は平地のコースということもあり、スプリンターのパク・ソンベクや好調のエース清水都貴の活躍、また、今年チームの中心となり指揮をとる水谷監督の元スプリンターとしての経験と采配にも大きな期待を乗せてスタートを切ることになりました。
身をもって知ったカタールの厳しさ
「ツアー・オブ・カタール」の厳しさは、以前からTV放映などで知っていましたが、本当の厳しさは実際に参加した今回、身をもって知らされることになりました。
レースを思い返せば、連日の強風のなか、フラットで直線的なコース上、方向転換と風向予知の連続で、集団走行に不利な風向き、すなわち「横風」での集団内の激しい位置取りという、それはまさに格闘技でした。「横風」区間では集団前方に位置取りが出来なければどんどん後退して順位を下げてしまうため、各チーム必死で風除けが出来る場所を奪い合います。
必要なのは人の後ろに入るというより、人の前に入るという感覚。しかし主導権を握る"横風レースのスペシャリスト"であるオランダ、ベルギーなどのプロツアーチームの巨人がひしめく中、アジア最強の我々といえども小柄で格下と判断され居場所を作ることが認められずに弾かれてしまい、非常に苦しい毎日でした。
連日の結果としては、好成績とチームとして周囲に良い印象が残せず残念です。新体制でそれなりの準備をしてきたつもりでしたが、他チームの今大会へ挑む意気込みと準備状態は我々の予測をはるかに超えており、ここで対等に戦うには集団内での政治的実力も含めると、彼ら以上にコンディションを上げて臨まないと歯が立たないと感じました。
ただ、大所帯のプロツアーチームと比べ、少数精鋭で戦うチームである我々にとっては、このレースにピークを持ってくることは簡単ではなく、コンディショニングやスケジューリングに関して今後の検討材料となります。
しかしチームメンバーのがんばりは、始まったばかりのシーズンにとって悪いことだけには終わるはずがありません。今回は6日間に渡り苦戦したレースではありましたが、連日各選手が一人一人課題に取り組み、少しずつ難関を克服しつつコンディションと順位を上げて行きながら、新体制のチームワークを高めることが出来たことはひとつ嬉しい収穫と言えます。
そして強風がおさまった最終日には、チームとして勝負に加わるべく集団ペースアップへ積極的に参加するなど、一部では存在をアピールすることが出来ました。また、初日から心労と戦いながら毎ステージ選手たちを勇気付けた監督の水谷も「出来る」という感触を表情に浮かべ最終日を迎えました。
これからのシーズンに目を向けて
今後チームは例年どおり7〜8月にピークを持って行きたいと考えていますが、今年は清水都貴をはじめ、エース級の外国人選手も新たに加わり、シーズン前半から勝機をうかがいながら常時入賞を目指します。今回の苦戦経験も是非プラス方向に活かし、本格的シーズンに向けコンディションを上げて行きたいと思います。
この「ツアー・オブ・カタール」に関しては、来年も招待が得られるのなら、迷うことなく「OUI」(ウイ!=仏語で"もちろん!"の意)と答えます。なぜなら、時期やコース的な課題はあるものの、我々が参加できた過去最高レベルといえる質の高いレースでしたので。そして何よりも来年、集団の巨人たちがどのように我々を受け入れるかが楽しみですから。