8月3・4日、長野県白馬村おいて全国小学生・中学生マウンテンバイク大会が開催された。MTBレースにおける子どもたちのチャンピオンシップ的な位置づけの大会をレポートする。

最高学年の中学3年生男子のスタート最高学年の中学3年生男子のスタート (c)Makoto.AYANO

長野オリンピックで使用されたスノーハープのクロスカントリースキーコースを走る長野オリンピックで使用されたスノーハープのクロスカントリースキーコースを走る (c)Makoto.AYANOJMA(日本マウンテンバイク協会)および白馬村、観光協会等が主催するこの大会も今年で12回めの開催。イベント系のマウンテンバイクレースは数あれど、競技志向のレースとしてはまさに子どもたちの全日本選手権と呼ぶにふさわしい大会で、出場する多くの子供達、そしてサポートする親が年1回のこの大会を目標として参加している。

全国からスノーハープのクロスカントリーコースに集結した小中学生たち全国からスノーハープのクロスカントリーコースに集結した小中学生たち (c)Makoto.AYANO会場は白馬クロスカントリースキー場。スノーハープの愛称をもつ、冬季長野オリンピックのXCスキー種目の会場となった場所だ。近年は地元の協力により同じ会場で開催されている。

大会は2日間。まず8月3日(土)の開催種目は、大会参加の保護者向けに「ダディ」(男性)、マム(女性)、そして一般の人にコースを体験してもらうことを目的に「スポーツ」、そして13-16才のJCF競技登録者向けの「ユース」が開催。子どもたちのサポートに来ている大人や地元の人向けのレースが用意されている。

かつて日本を代表する選手として活躍した小林可奈子さん(MTBクラブ安曇野)もマムの部に出場し、ぶっちぎりで優勝。しかし同クラブのチーム員のママさんたちを一人でも多く完走させるためにゴール前で待ち、ラップアウトにしないという優しい一面を見せた。

マムでぶっちぎり優勝の小林可奈子 かつてのオリンピック選手だマムでぶっちぎり優勝の小林可奈子 かつてのオリンピック選手だ (c)Makoto.AYANOダディ優勝の野嵜英樹さんダディ優勝の野嵜英樹さん (c)Makoto.AYANO


日曜が本番の子ども(小中学生)たちはこの日、コースの試走をして明日に備えるほか、協会公認インストラクターや国内トップの選手が講師をつとめる「トレーニング・キャンプ」に無料参加することができる。
講師には斉藤亮(ミヤタ・メリダ)や松本駿(チームスコット)、松尾純(BIKE RANCH)、丸山八智代(コナ)らがあたり、MTBの乗りこなし方をコースを実走しながら学ぶ。今年は例年にもまして参加人数が多く、学年ごとに班分けして楽しく実技を学んだ。講師は明日のレースにおけるコースの走破法やノウハウも余すこと無く教えてくれるので、子どもたちは真剣そのものだ。

キッズトレーニング・キャンプで斉藤亮(ミヤタ・メリダ)にレースのテクニックを教えてもらうキッズトレーニング・キャンプで斉藤亮(ミヤタ・メリダ)にレースのテクニックを教えてもらう (c)Makoto.AYANO難しいドロップオフの下り方を丸山八千代さんに教えてもらう難しいドロップオフの下り方を丸山八千代さんに教えてもらう (c)Makoto.AYANO


夕方は子どもたちや保護者の親睦を兼ねたウエルカム・パーティーが開催される。景品たっぷりのじゃんけん大会で大盛り上がり。

明けて4日(日)はレース本番。各クラスにより設定されたコースをマスドスタート(集団スタート)で争う、大人のレースと同じ形式のクロスカントリーレースだ。

男・女小学生は各学年に分けた6クラスで競う。男女混走だが、表彰は男女別だ。
男子中学生は3年、2年、1年の3クラスで競う。女子中学生は1クラスで競う。
スタートオーダー(召集順)は昨年度の順位(リザルト)をもとに作成され、昨年度優勝者が最初に呼び出しされるため、実績があるほど有利になる。

最初のドロップオフで渋滞が発生し、レースを大きく左右した最初のドロップオフで渋滞が発生し、レースを大きく左右した (c)Makoto.AYANO照り返しのきつい林道のダブルトラック ゆるい上りが続く照り返しのきつい林道のダブルトラック ゆるい上りが続く (c)Makoto.AYANO


ルールはUCI国際マウンテンバイク競技規則とJCF競技規則に準じ、大会特別規則により実施されるというれっきとしたもの。つまり子どもたちの大会でありながらもレースとしては各学年ごとの王者を決めるという、チャンピオンシップにふさわしいものとなっている。それぞれのクラスに勝つことは「全国制覇」を意味し、プログラムには歴代優勝者として名前が刻まれる。レース中のコールでも、先頭争いをする選手は過去大会の戦歴を参照しながらのアナウンスで紹介されるのだ。

中学1年生男子 川口幸之助が優勝中学1年生男子 川口幸之助が優勝 (c)Makoto.AYANO中学女子 中央の千原亜里沙が制した中学女子 中央の千原亜里沙が制した (c)Makoto.AYANO


小学校6年生男子 山口創平が優勝小学校6年生男子 山口創平が優勝 (c)Makoto.AYANO小学校5年生男子を制した松本一成小学校5年生男子を制した松本一成 (c)Makoto.AYANO


出場選手は北は北海道から、南は九州からと、文字通り日本中からやってくる。とくに今大会では北海道から大挙して参加したBG8チームが新参として注目を集めた。

最高学年の中学3年生男子を制したのは川野太雅くん(Team K)。ここまで何度も出場しながらも、小学3年生のときの4位を最高位に終わっていたが、最後の年にとうとう頂点を極めた。高校生となる来年からはユースになり、その先のトップ目指して歩むことになる。そして中学2年生ながら川野くんと先頭を争い、先着して優勝した北林力くん(Endless Proride)のこれからにも期待だ。

最高学年の中学3年生男子を制した制した川野太雅最高学年の中学3年生男子を制した制した川野太雅 (c)Makoto.AYANO中学2年生の北林力が3年生を制し優勝を飾る中学2年生の北林力が3年生を制し優勝を飾る (c)Makoto.AYANO


チャンピオンシップ的大会だけに、レースの熱戦と会場の興奮度はエリートの全日本選手権に近いものがある。子どもたちの真剣度、そして親たちの熱の入れようは本気そのもの。実際、過去の歴代優勝者リストには現在のMTB界を背負って活躍している選手たちの名前がことごとく連なっている。

小学校4年生男子を制した宮嵜孝志小学校4年生男子を制した宮嵜孝志 (c)Makoto.AYANO小学校4年生女子 高橋瑞希が優勝小学校4年生女子 高橋瑞希が優勝 (c)Makoto.AYANO


小学校5年生女子 小林茉琴が優勝小学校5年生女子 小林茉琴が優勝 (c)Makoto.AYANO小学校3年生男子 小林 温が優勝小学校3年生男子 小林 温が優勝 (c)Makoto.AYANO


小学校3年生女子 優勝は中島 瞳小学校3年生女子 優勝は中島 瞳 (c)Makoto.AYANO小学校2年生男子 遠藤紘介が優勝小学校2年生男子 遠藤紘介が優勝 (c)Makoto.AYANO


松本駿選手(スコット)の息子さんの一成くんも小学校5年生男子で優勝するなど、親子の系譜もチェックしていると面白い。
競技人口の少なさからまだまだコアなスポーツと言わざるを得ないMTBレースだが、この大会の熱気を感じると、ここから日本のMTBレース界の未来が拓けると実感できて明るい気分になれる。

小学校1年生女子 浜野亜衣が優勝小学校1年生女子 浜野亜衣が優勝 (c)Makoto.AYANO小学校1年生男子 村上ヒカルが優勝小学校1年生男子 村上ヒカルが優勝 (c)Makoto.AYANO

大会の最後には未就学児対象のキッズも開催。補助輪のあり・なしの2クラスが用意される。また、この大会前までの日程ではキッズ対象の6泊7日の合宿「キッズMTBサマーキャンプ」が開催され、その流れでこの大会に締めくくりとして出場する子どもたちも。小学4年生以上の子供には「レーシングコース」も用意され、先に挙げた講師がみっちり教えてくれる。MTBを通じてかけがえのない体験ができると好評だ。

キッズ補助輪なしの部 トップでゴール!キッズ補助輪なしの部 トップでゴール! (c)Makoto.AYANOキッズ補助輪ありの部 スタート!キッズ補助輪ありの部 スタート! (c)Makoto.AYANO


各クラスの優勝者たちがチャンピオンTシャツを着て記念撮影各クラスの優勝者たちがチャンピオンTシャツを着て記念撮影 (c)Makoto.AYANO

第12回全国小学生・中学生マウンテンバイク大会白馬さのさか リザルト(各クラストップ3)
※順位の次はレースナンバー

ダディ
1 340 野嵜 英樹 東京都 team NOZAC 4 00:36:55.79
2 342 筧 太一 愛知県 BUCYOUcoffee/CLT/KATOサイクル 4 00:37:09.14
3 343 平井 啓資 東京都 UNS八王子 4 00:37:10.08

マム
1 462 小林 可奈子 長野県 MTBクラブ安曇野 3 00:35:36.12
2 470 野澤 尚子 北海道 TEAM BG8 3 00:36:59.67
3 472 藤森 祐子 長野県 3 00:42:06.23

女子スポーツ
1 97 中島 崚歩 山梨県 CLUB SY-Nak 2 00:22:24.75
2 91 佐藤 聖美 北海道 TEAM BG8 2 00:23:30.52
3 93 真川 好美 愛知県 チームニポポ 2 00:26:51.34

女子スポーツを制した中島崚歩女子スポーツを制した中島崚歩 (c)Makoto.AYANO女子ユースを制した制した山田夕貴女子ユースを制した制した山田夕貴 (c)Makoto.AYANO

女子ユース
1 102 山田 夕貴 北海道 奈井江町立奈井江中学校 3 00:33:37.73
2 103 吉田 雪那 北海道 砂川市立石山中学校 3 00:34:33.94
3 101 佐藤 寿美 北海道 奈井江町立奈井江中学校 3 00:35:34.62

小学校1年生女子 優勝は浜野 亜衣小学校1年生女子 優勝は浜野 亜衣 (c)Makoto.AYANO小学校2年生女子  優勝は久保千夏小学校2年生女子  優勝は久保千夏 (c)Makoto.AYANO


小学校1年生女子
1 8 浜野 亜衣 長野県 安曇野市立穂高北小学校 1 00:07:14.67
2 5 原 あさひ 長野県 白馬村立白馬南小学校 1 00:07:41.97
3 4 深澤 ひなた 長野県 小谷村立小谷小学校 1 00:07:42.49

小学校1年生男子
1 18 村上 ヒカル 愛媛県 西予市立多田小学校 1 00:04:57.31
2 17 遠藤 弓弦 千葉県 富津市立関豊小学校 1 00:05:49.06
3 13 渡辺 友規 長野県 私立才教学園小学校 1 00:05:50.31

小学校2年生女子
1 35 久保 千夏 北海道 砂川市立中央小学校 2 00:12:51.77
2 37 河本 愛 鳥取県 北栄町立大栄小学校 2 00:16:08.02

小学校2年生男子
1 22 遠藤 紘介 岡山県 岡山大学教育学部付属小学校 2 00:10:10.35
2 23 前田 凰樹 熊本県 宇土市立宇土小学校 2 00:10:12.92
3 21 大蔵 悟生 長野県 駒ヶ根市立赤穂南小学校 2 00:10:36.73

小学校3年生女子
1 113 中島 瞳 埼玉県 川越市立霞ヶ関東小学校 2 00:10:33.74
2 126 光永 樹理 神奈川県 横浜市立荏子田小学校 2 00:11:47.45
3 111 石上 琴乃 神奈川県 横浜市立釜利谷小学校 2 00:12:11.01

小学校3年生男子 優勝は小林 温小学校3年生男子 優勝は小林 温 (c)Makoto.AYANO小学校3年生女子 優勝は中島 瞳小学校3年生女子 優勝は中島 瞳 (c)Makoto.AYANO


小学校3年生男子
1 114 小林 温 茨城県 つくば市立栄小学校 2 00:10:46.47
2 116 小西 蒼希 東京都 三鷹市立第七小学校 2 00:10:58.62
3 117 綾野 尋 埼玉県 所沢市立山口小学校 2 00:11:08.53

小学校4年生女子
1 171 高橋 瑞希 東京都 西東京市立保谷第一小学校 2 00:14:22.95
2 173 大蔵 こころ 長野県 駒ヶ根市立赤穂南小学校 2 00:15:03.48
3 169 橋本 珠 長野県 松川村立松川小学校 2 00:15:21.08

小学校4年生男子 優勝は宮嵜孝志小学校4年生男子 優勝は宮嵜孝志 (c)Makoto.AYANO小学校4年生女子 優勝は高橋瑞希小学校4年生女子 優勝は高橋瑞希 (c)Makoto.AYANO


小学校4年生男子
1 161 宮嵜 孝志 長野県 木島平村立木島平小学校 2 00:12:21.01
2 164 古里 翔 兵庫県 神戸市立泉台小学校 2 00:12:45.55
3 162 田中 心乃祐 長野県 白馬村立白馬南小学校 2 00:12:48.75

小学校5年生女子
1 211 小林 茉琴 東京都 西東京市立向台小学校 3 00:20:53.85
2 208 山口 莉佳 神奈川県 藤沢市立滝の沢小学校 3 00:21:20.83
3 215 小山 かの子 神奈川県 藤沢市立羽鳥小学校 3 00:23:06.27

小学校5年生男子 優勝は松本一成小学校5年生男子 優勝は松本一成 (c)Makoto.AYANO小学校6年生男子 優勝は山口創平小学校6年生男子 優勝は山口創平 (c)Makoto.AYANO


小学校5年生男子
1 201 松本 一成 長野県 茅野市立金沢小学校 3 00:18:29.41
2 203 中島 渉 埼玉県 川越市立霞ヶ関東小学校 3 00:18:40.57
3 202 高本 亮太 東京都 西東京市立保谷第一小学校 3 00:18:47.00

小学校6年生女子
1 257 光永 翔香 神奈川県 横浜市立荏子田小学校 2 00:20:38.10
2 269 若井 莉奈 北海道 滝川市立東小学校 2 00:21:28.78
3 245 小林 あか里 長野県 安曇野市立穂高南小学校 2 00:22:14.28

小学校6年生男子
1 241 山口 創平 滋賀県 大津市立下阪本小学校 2 00:19:31.50
2 242 川野 碧己 東京都 西東京市立保谷第一小学校 2 00:19:52.60
3 248 森下 尚仁 熊本県 菊陽町立菊陽西小学校 2 00:20:16.10

男子スポーツ
1 288 松尾 和昌 福岡県 MATCH CYCLES 3 00:31:09.60
2 286 秋山 大輔 東京都 MTBクラブ安曇野 3 00:31:35.54
3 282 桝田 啓仁 北海道 TEAM BG8 3 00:31:42.57

男子ユース
1 504 平林 安里 長野県 長野県立白馬高校 4 00:37:00.05
2 503 竹内 遼 長野県 Team ProRide 4 00:38:39.33
3 512 ライト ルイス 北海道 北海道インターナショナルスクール 4 00:40:20.49

中学1年生男子
1 51 川口 幸之助 兵庫県 神戸市立友が丘中学校 2 00:19:46.54
2 54 日野 泰静 愛媛県 西条市立小松中学校 2 00:19:58.83
3 56 石川 絃 愛知県 半田市立乙川中学校 2 00:20:10.04

中学2年生男子
1 72 北林 力 長野県 白馬村立白馬中学校 3 00:28:32.62
2 71 大西 秀典 兵庫県 たつの市立龍野東中学校 3 00:29:04.60
3 73 藤垣 人也 三重県 津市立西橋内中学校 3 00:30:32.51

中学3年生男子
1 304 川野 太雅 東京都 西東京市立青嵐中学校 3 00:28:34.40
2 313 黒瀬 文也 北海道 砂川市立石山中学校 3 00:28:40.38
3 301 大町 健斗 広島県 広島市立二葉中学校 3 00:29:26.66

中学女子
1 423 千原 亜里沙 兵庫県 明石市立大蔵中学校 2 00:21:22.80
2 429 山田 夕貴 北海道 奈井江町立奈井江中学校 2 00:22:16.39
3 428 佐藤 寿美 北海道 奈井江町立奈井江中学校 2 00:22:31.66

各クラスの優勝者たちの走りと表彰式はフォトギャラリーで。
ほぼ全クラスのレースの写真はフォトギャラリー(CW FaceBook)でお楽しみ下さい。

レポート次編では活躍したクラブの仲間たちを紹介します。お楽しみに。

photo&text:Makoto.AYANO

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