東京・お台場を舞台とした「お台場サイクルフェスティバル」が今年も開幕。初日土曜には女子と男子U23カテゴリーのレースが行われ、それぞれ招待選手のエリス・ローレン(ニュージーランド)と西沢倭義(明治大学)が短距離クリテリウムを制した。

お台場海浜公園の中に用意された特設コースを走るお台場海浜公園の中に用意された特設コースを走る photo:Yuya.Yamamotoオーストラリアナショナルチームのメンバーオーストラリアナショナルチームのメンバー photo:So.Isobe毎年恒例となった「お台場サイクルフェスティバル」内でのクリテリウムレースが今年も開催された。初日土曜日は「2013年度 全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ第5戦」と、それに付随する女子レース。舞台として用意されたのは、プロムナード公園セントラル広場内に敷かれた1周800mのショートコースだ。

コースには1カ所タイトなヘアピンコーナーが設けられており、それを挟んだストレート区間は緩い勾配がつけられている。2つのストレート区間以外はほとんどコーナーで構成されているため、加減速を短時間のうちに強いられるタフなコースだ。アスファルトとは異なる路面の舗装もレースを難しくする要因となった。

今回のレースにはニュージーランドから女子4名、男子2名、という計6名の若手選手が国際交流の目的で招聘されたことがトピックスだ。

女子はロンドンオリンピックチームパーシュートで5位に入ったメンバーの中からエリス・ローレンとジェイミー・ニールセンの2名が来日し、他もトラック競技を中心に活躍するメンバーが来日。どのような走りを披露するのか大きな注目が注がれた。


女子 NZ招待選手がレースを席巻 エリートトラック選手・エリス・ローレンが優勝

ジェイミー・ニールセン(ニュージーランド)がアタックし、豊岡英子(パナソニックレディース)がチェックジェイミー・ニールセン(ニュージーランド)がアタックし、豊岡英子(パナソニックレディース)がチェック photo:So.IsobeU23のクラス3とクラス2が終了した後、午前11時にスタートした女子クラスには招待選手4名を含めた計14名が並ぶ。鹿屋体育大学の上野みなみと塚越さくらの他、豊岡英子(パナソニックレディース)がエントリー。距離はコースを15周する12kmだ。

抜け出しを図るジェイミー・ニールセン(ニュージーランド)抜け出しを図るジェイミー・ニールセン(ニュージーランド) photo:So.Isobeやはりスタート直後から主導権を握ったのはニュージーランドチーム。まずはジェイミー・ニールセンがアタックを仕掛けると、これを豊岡がチェックする形でレースは動いていく。すぐにこの動きが吸収されてからはNAチームが常にペースを作る展開となり、ハイスピードを崩さないままにレースは後半まで進行していった。

NZ勢3名、鹿屋2名、豊岡、合田祐美子(早稲田大学)まで人数が絞られると、後半に差し掛かるタイミングでまたもニールセンが下り坂を利用して抜け出しに掛かる。これを上野が追ったことで2名の逃げが形成され、後続集団に対して約5秒ほどのアドバンテージを得て逃げ続けた。

しかしこの動きも決定的なアドバンテージを奪うことには繋がらず、最後は集団一つのままスプリント体勢へと突入していった。

スプリントで後続を引き離すエリス・ローレン(ニュージーランドナショナルチーム)スプリントで後続を引き離すエリス・ローレン(ニュージーランドナショナルチーム) photo:Yuya.Yamamotoそして最終コーナーを抜け、先頭で菅田を見せたのは塚越。しかしその背後からエリス・ローレンが抜け出して加速すると、その圧倒的なスプリント力に番手につけていた上野も対処できなかった。現ニュージーランドポイントレースナショナルチャンピオンの脚を見せつけたローレンのガッツポーズが決まった。

「すごく良いレースができた。チームワークのおかげですね。」とゴール直後に語ったローレン。終盤になるにつれてスプリントに向けての体勢を徐々に整えていき、今日はできる、そう感じていました。今日はジェイミーが終止動いてくれたため、他の選手の脚を削ることができたんです。現在のニュージーランドは最高気温が15℃程度なので、非常に暑く感じました。今日のレースはとても難しいレースで、路面コンディションが一般的な舗装でないこともその一因でした。」と加えた。

圧倒的なスプリントで勝利したエリス・ローレン(ニュージーランドナショナルチーム)圧倒的なスプリントで勝利したエリス・ローレン(ニュージーランドナショナルチーム) photo:So.Isobe
女子表彰台女子表彰台 photo:Yuya.Yamamoto鹿屋体育大学の小さな応援団鹿屋体育大学の小さな応援団 photo:Yuya.Yamamoto


1位 エリス・ローレン(ニュージーランドナショナルチーム) 18'26"
2位 上野みなみ(鹿屋体育大学)
3位 塚越さくら(鹿屋体育大学)
4位 豊岡英子(パナソニックレディース)
5位 合田祐美子(早稲田大学)               +04"




逃げ切り、マッチスプリントを制した西沢倭義

チャールズ・ヴァンデヘイデン(右)とブラッド・エヴァンス(左、共にニュージーランドナショナルチーム)チャールズ・ヴァンデヘイデン(右)とブラッド・エヴァンス(左、共にニュージーランドナショナルチーム) photo:So.Isobe14時35分にスタートしたU23クラス1は、ニュージーランドの招待選手2名を加えた20名で争われた。ゼッケン1はNZ国内レースで勝利する実力を持つブラッド・エヴァンス。そしてゼッケン2はチャールズ・ヴァンデヘイデンだ。

集団中ほどで走る金井誠人(明治大学)集団中ほどで走る金井誠人(明治大学) photo:So.Isobeこの両名を迎え撃つのは現在RCSポイントリーダーである金井誠人や、昨年まで2年連続学生チャンピオンとなっている西沢倭義らを擁する明治大学勢だ。鹿屋や日本大学らは未出場となり、ほか順天堂や早稲田、立教大学らの動きに期待が高まった。

集団内で走るチャールズ・ヴァンデヘイデン(ニュージーランドナショナルチーム)集団内で走るチャールズ・ヴァンデヘイデン(ニュージーランドナショナルチーム) photo:So.Isobeスタート直後から前方にメンバーを集め、主導権を握りに掛かったのは明治大学勢。西沢や市山襄、末永周平らがコントロールを開始すると、これを嫌うようにレース序盤から断続的なアタックが掛けられていく。

有我行人(早稲田大学)とエヴァンスがおよそ2周を逃げた後には、ここに辻本尚希(順天堂大学)と高木三千成(立教大学)が加わり4名の逃げが形成される。

小清水拓也(東海大学)らが先頭を追う小清水拓也(東海大学)らが先頭を追う photo:So.Isobeやがてこの動きが吸収されると、次いで佐々木勇輔が単独アタック。早稲田は出走2名ながら積極的に動くレース運びをしていく。

ヘアピンコーナーをクリアする西沢倭義(明治大学)ヘアピンコーナーをクリアする西沢倭義(明治大学) photo:So.Isobeレースが大きく動いたのは中盤から。ヴァンデヘイデンがカウンターアタックで単独飛び出すと、後続に10秒弱のタイムギャップを稼ぎ数周を逃げた。追走を強いられた集団は人数を減らし、小清水拓也(東海大学)らが中心となって追う展開となる。

集団が一つとなると金井自らが抜け出す動きを見せたものの、リードを奪うには至らない。そして残り3周、西沢倭義とヴァンデヘイデンがアタック。2人はすぐさま10秒ほどのアドバンテージを稼ぎ出した。

「逃げに入った時は(ヴァンデヘイデンを)集団に戻そうと考えていたので、イーブンペースで先頭交代して吸収を待つつもりでした。」と後に語った西沢。しかしヴァンデヘイデンは全力で踏んだため、逃げ切りに作戦を変更。この判断が功を奏することとなる。

2人が築き上げたリードは最終周回になっても揺らぐこと無く、集団に差を詰められながらもそのまま最終ストレートへ。ヴァンデヘイレンの番手から鋭く加速した西沢は、後続を大きく引き離す圧倒的なスプリントでガッツポーズを決めた。

「ニュージーランドの選手はとにかく強かった。桁違いでした。」とは西沢。「日本人選手のみレースだとすぐに牽制が入る様なレース展開が多いですが、今日はニュージーランドの選手が積極的にレースを掻き回しに来たので序盤からペースが速かったですね。個人的には楽しむことが出来ました。

リーダージャージを着る金井選手のポイント差を広げるために、アシストすることを目的にレースに臨みました。なので、レース中はシリーズで戦っている中央大学の山本選手やニュージーランドの選手をマークしながら走りました。今後は金井選手のリーダージャージを守ることと、開催まで1ヶ月を切ったインカレを目標に頑張っていきたいです。」

2位を大きく引き離すスプリントを披露した西沢倭義(明治大学)2位を大きく引き離すスプリントを披露した西沢倭義(明治大学) photo:So.Isobe

リーダージャージを守った金井誠人(明治大学)

ゴール後の西沢倭義(明治大学)ゴール後の西沢倭義(明治大学) photo:So.Isobeリーダージャージを守ることも大事でしたが、レースに出るからにはやっぱり先頭でゴールすることが一番の目標でした。去年も逃げて勝つことが出来たので、今年も逃げの展開に持ち込もうと思い何度もアタックしましたが、周りの選手がしっかりと反応してきたので逃げが決まりませんでした。

男子表彰台男子表彰台 photo:Yuya.Yamamoto今日はランキング上位5人の選手とニュージーランドの選手をマークしながらレースを進めました。やはり、ニュージーランドの選手は脚があって、日本人の選手に比べると一漕ぎ一漕ぎの進み方に差がありレース中はひたすら振り回されている様な展開になってしまいました。

RCSリーダーの座をキープした西沢倭義(明治大学)RCSリーダーの座をキープした西沢倭義(明治大学) photo:Yuya.Yamamoto終盤に2人の先輩と西沢選手が逃げに入ることが出来たのでチームとして勝つ事が出来ると確信しました。なので、自分自身も安心してゴールに飛び込む事が出来ました。結果として西沢選手が優勝出来たのでよかったですが、悔いの残るレース展開になってしまいました。まだまだシリーズが続きますが、連覇を目指して頑張りたいと思います。


チャールズ・ヴァンデヘイデン(ニュージーランドナショナルチーム)

今回は初めての来日で、人々が優しくフレンドリーで楽しむことが出来ました。レースも楽しむことが出来て、一緒に走った選手たちも素晴らしかったです。ただ、レース中に逃げを捕まえに行こうとした際に協力してくれる選手がいなかったので、チームとして思い通りのレース展開に持ち込むことが出来ず勝てなかった点は非常に残念です。

加えて、この2カ月はベルギーに滞在していたため時差ぼけがキツく夜中の2時に起きて目が覚めてしまった点もレースに影響したと思います。また日本でレースが出来る機会があれば是非参加したいですね。


1位 西沢倭義(明治大学)                       34'31"
2位 チャールズ・ヴァンデヘイデン(ニュージーランドナショナルチーム)
3位 菊地啓汰(順天堂大学)                       +02"
4位 金井誠人(明治大学)
5位 森田雅士(立教大学)


text&photo:So.Isobe,Yuya.Yamamoto

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