2013/08/01(木) - 09:58
ゴールまで7kmを残してテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)がアタック。トラックレースの個人追い抜きで2度世界チャンピオンに輝いている23歳のサラブレッドが、迫り来る大集団を振り切り、劇的な逃げ切り勝利を果たした。
ポーランド南部のタルフヌからカトヴィツェまで231.5kmを走るツール・ド・ポローニュ第4ステージ。概ね平坦なコースはスプリンター向きで、小さな周回コースで締めくくられるのがポローニュの特徴。この日は12.3kmのカトヴィツェ周回コースを4周してフィニッシュを迎える。
この大会最長ステージで最大5分差を築いて逃げたのはマチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)やファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)ら8名。これをスプリンターチームが追撃する典型的な構図となる。カトヴィツェの周回コースに差し掛かるころ、タイム差は2分を切った。
協調体制を失った逃げグループから、ポーランドナショナルチームのカミル・グラデク(ポーランド)が1人飛び出して逃げ続けたが、最終周回に入ってすぐ吸収。ゴールまで11kmを残してレースは振り出しに戻される。
するとラスト8kmでヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)がアタックを仕掛け、カウンターアタックでフィニーが飛び出す。この動きには誰も反応せず、ゴールまで7kmを残してフィニーの独走が始まった。
単独で15秒のリードを築いたフィニーの後方では、ロット・ベリソルやアルゴス・シマノ、オリカ・グリーンエッジ、ベルキンプロサイクリング、キャノンデールプロサイクリングが束になって追撃。しかしタイム差は思うように縮まらず、フィニーは7秒リードしたままフラムルージュを駆け抜ける。
下ハンドルではなく、ブラケットを鷲掴みにしたスタイルで独走を続けるフィニーに、メイン集団が迫る。オリカ・グリーンエッジの追撃も届かず、後方を振り返って勝利を確信したフィニーが手を挙げた。
タイム差0秒の逃げ切り勝利を飾ったフィニーは、勝利の秘訣を「この大会には1チーム6人しか出場していない。だから逃げを引き戻しにくい」と語る。2009年と2010年に4km個人追い抜きで世界チャンピオン(タイムは4分16秒600)に輝いているスピードマンが真価を発揮した。
「誰も反応しなかったので、頭を下げて、後ろを振り返らずに全開で踏み続けることに決めたんだ。独走するパワーがあったけど、さすがにラスト数キロは耐え難いほど苦しんだ。残り20mで吸収されるような真似だけはしたくないと祈り続けた」。
フィニーは前日の第3ステージでトル・フースホフト(ノルウェー)のリードアウトマンとして活躍。BMCレーシングチームにとってステージ2連勝で、フースホフトはステージ6位に入っている。
また、前日のステージ3位に続いてステージ2位に入ったスティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)がポイント賞トップに浮上。ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)がリードを失うことなくリーダージャージを守っている。
レース内容や選手コメントはBMCレーシングチーム公式サイトならびにレース公式サイトより。
ツール・ド・ポローニュ2013第4ステージ結果
1位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム) 5h40'17"
2位 スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
3位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、アージェードゥーゼル)
4位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、アルゴス・シマノ)
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)
8位 バルトロミエイ・マティシアク(ポーランド、CCCポルサットポルコウィチェ)
9位 ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
10位 ダニエル・ショルン(オーストリア、ネットアップ・エンデューラ)
個人総合成績
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ) 21h55'02"
2位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +04"
3位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル) +06"
4位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +07"
5位 ヨン・イサギーレ(スペイン、エウスカルテル) +09"
6位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル) +13"
8位 エロス・カペッキ(イタリア、モビスター)
9位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +16"
10位 トーマス・ローレッガー(オーストリア、レディオシャック・レオパード) +18"
ポイント賞
スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
山岳賞
トーマス・ローレッガー(オーストリア、レディオシャック・レオパード)
スプリント賞
バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ・エンデューラ)
チーム総合成績
レディオシャック・レオパード
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
ポーランド南部のタルフヌからカトヴィツェまで231.5kmを走るツール・ド・ポローニュ第4ステージ。概ね平坦なコースはスプリンター向きで、小さな周回コースで締めくくられるのがポローニュの特徴。この日は12.3kmのカトヴィツェ周回コースを4周してフィニッシュを迎える。
この大会最長ステージで最大5分差を築いて逃げたのはマチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)やファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)ら8名。これをスプリンターチームが追撃する典型的な構図となる。カトヴィツェの周回コースに差し掛かるころ、タイム差は2分を切った。
協調体制を失った逃げグループから、ポーランドナショナルチームのカミル・グラデク(ポーランド)が1人飛び出して逃げ続けたが、最終周回に入ってすぐ吸収。ゴールまで11kmを残してレースは振り出しに戻される。
するとラスト8kmでヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)がアタックを仕掛け、カウンターアタックでフィニーが飛び出す。この動きには誰も反応せず、ゴールまで7kmを残してフィニーの独走が始まった。
単独で15秒のリードを築いたフィニーの後方では、ロット・ベリソルやアルゴス・シマノ、オリカ・グリーンエッジ、ベルキンプロサイクリング、キャノンデールプロサイクリングが束になって追撃。しかしタイム差は思うように縮まらず、フィニーは7秒リードしたままフラムルージュを駆け抜ける。
下ハンドルではなく、ブラケットを鷲掴みにしたスタイルで独走を続けるフィニーに、メイン集団が迫る。オリカ・グリーンエッジの追撃も届かず、後方を振り返って勝利を確信したフィニーが手を挙げた。
タイム差0秒の逃げ切り勝利を飾ったフィニーは、勝利の秘訣を「この大会には1チーム6人しか出場していない。だから逃げを引き戻しにくい」と語る。2009年と2010年に4km個人追い抜きで世界チャンピオン(タイムは4分16秒600)に輝いているスピードマンが真価を発揮した。
「誰も反応しなかったので、頭を下げて、後ろを振り返らずに全開で踏み続けることに決めたんだ。独走するパワーがあったけど、さすがにラスト数キロは耐え難いほど苦しんだ。残り20mで吸収されるような真似だけはしたくないと祈り続けた」。
フィニーは前日の第3ステージでトル・フースホフト(ノルウェー)のリードアウトマンとして活躍。BMCレーシングチームにとってステージ2連勝で、フースホフトはステージ6位に入っている。
また、前日のステージ3位に続いてステージ2位に入ったスティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)がポイント賞トップに浮上。ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)がリードを失うことなくリーダージャージを守っている。
レース内容や選手コメントはBMCレーシングチーム公式サイトならびにレース公式サイトより。
ツール・ド・ポローニュ2013第4ステージ結果
1位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム) 5h40'17"
2位 スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
3位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、アージェードゥーゼル)
4位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、アルゴス・シマノ)
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)
8位 バルトロミエイ・マティシアク(ポーランド、CCCポルサットポルコウィチェ)
9位 ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
10位 ダニエル・ショルン(オーストリア、ネットアップ・エンデューラ)
個人総合成績
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ) 21h55'02"
2位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +04"
3位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル) +06"
4位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +07"
5位 ヨン・イサギーレ(スペイン、エウスカルテル) +09"
6位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル) +13"
8位 エロス・カペッキ(イタリア、モビスター)
9位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +16"
10位 トーマス・ローレッガー(オーストリア、レディオシャック・レオパード) +18"
ポイント賞
スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
山岳賞
トーマス・ローレッガー(オーストリア、レディオシャック・レオパード)
スプリント賞
バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ・エンデューラ)
チーム総合成績
レディオシャック・レオパード
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
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