2013/07/21(日) - 11:02
アルプスの山岳ステージ最終日となる第20ステージ。ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)がゴールを制して、新人賞、山岳賞、表彰台入りを決めた。またホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が総合3位を決めた。
ステージ優勝・山岳賞・新人賞・総合2位のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
信じられない。とてもうれしい。今日だけではなくツールを通してずっと仕事をしてくれたチームメイト全員に感謝しなければならない。とくにホセルイス・アリエッタ監督は、いつも最適な選択を示してくれた。
今日もチームとしてレースをうまくコントロールできたし、チームメイト全員が自分の役割を認識していた。そして、すべてが完璧にうまくいった。本当に素晴らしい。自分が予想していた以上だ。
今日は(母国の)コロンビアにとって特別な日で、国民の祝日だ[訳注:7月20日はコロンビアの独立記念日]。だから、故郷にいる家族や友人たちのことを考えて走った。コロンビア人選手の先輩たちがロードレースという競技の歴史を切り開いてくれた。自分たちのような新世代が、彼らに今日という重要な日を見せることができた。
総合1位・ステージ3位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
自分にとって、ここに至るまでの道のりは、ひとつの旅という表現になる——ケニヤの泥だらけの道で小さなマウンテンバイクに乗ることから始まった旅だ——そして、この地でツール・ド・フランスのマイヨ・ジョーヌを獲得できた……言葉で言い表すには難しい。
ツールでは日ごとに異なるレースが展開された。横風だったり、雨だったり、山岳だったり……あらゆる状況で、ぼくは自分の力で自転車に乗り、ずっと一緒にいたチームメイトたちとともにゴールを目指した。この(ツール・ド・フランス)100回記念大会に合わせて調整してきた。今大会は今年の特別なレースだからだ。
このことを初めて意識したのは、つまり、ツール・ド・フランスのようなグランツールでの総合優勝を狙う選手になれるかもしれないと感じたのは、2011年のブエルタ・ア・エスパーニャだった。それまでも充実した日々を過ごして、自分ができることを示せていたとは思う。
でも、あのブエルタで本当に自信がついて、自分自身のことを信じられるようになった。そして、自分が実際にこのような総合上位陣に入ることができると思えるようになった。
今は驚きの感情でいっぱいだ。誰もが人生が一変すると教えてくれるのだけど、自分としては変えるつもりはない。今年はさまざまな試練を楽しんできた……今年のツールに向けて準備することは楽しいチャレンジで、それを隅から隅まで楽しみ尽くした。
まず自分たちの脚の状態を考える必要がある。無線を聞いて、その指示を実行するのは、それほど簡単なことじゃない。たとえば、今日の最後の山岳では、ぼくは(後続を)突き放してステージ優勝するつもりだった。でも、脚が(その気持ちに)付いていかなかった。
今日の最後の数kmでは「これで終わる……」という感情に圧倒されていた。とても感激していた。自分が達成したことの現実に打ちのめされそうだった。
ツールが一種の試練であることは間違いない。この座に就く者なら、つまりマイヨ・ジョーヌを手にする者なら誰しも、衆目に晒されることになる。自分もまたこの競技によって傷ついた者のひとりだ。だけど、ぼくたちは、この競技が人々に逆境から這い上がるだけの勇気を与える面を持つことも示したくもある。(合理的な判断によって)こういう満足感が失われることはない。
ぼくは「今この場」のことだけを考えている……いまの年齢は28歳だ。ふと、次の考えがよぎった人もいるだろう。たいていの自転車選手は30台前半に全盛期が訪れるということだ。ぼくもできるだけ長くツール・ド・フランスに再出場し、戦いたいと考えている。そのためのモチベーションも可能な限り維持したいと思う。
[今大会での最悪の瞬間は]おそらくラルプ・デュエズで、まったく体力がなくなったときだと思う。自転車に乗る人なら、まったく体力がない状態で、残り5kmだと言われたときの絶望感が理解できると思う……肉体的にも精神的にも本当にハードな経験だった。ありがたいことに、チームメイトのリッチー・ポルト(オーストラリア)が一緒にいて、彼のおかげでモチベーションを高めることができた。
初めてチームスカイに入ったときに、質問されたのは将来の目標と実現したいことだった。ツール・ド・フランスにターゲットを絞るのは、こうした長期間の展望のひとつだった。あの3年後に、ツールがパリへと向かう前日に、こうしてマイヨ・ジョーヌを着用して、この場に座っている……目の前の光景が現実なのか確信が持てない。
敢闘賞のイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)
しっかり回復できていると思う。(どのステージにも)チャンスがそこにあることがわかると、かならず全力を出すつもりだ。それがどんなにわずかなチャンスだとしても、つねにチャンスを掴む準備はしている。
(今日のステージは)スタートからモビスターがレースをコントロールしたがっていて、彼らが勝ちを狙っていたのは明らかだった。レースもそのような展開になった。根本的に自分の勝ち目はないと思っていた。
でも、誰がぼくを止めることができる? ぼくは全力で走りたいし、それが仕事だ。ぼくはツールとの相性が良いから、今日も全力で走れたと思う。自分のキャリアのなかでも、そろそろこの章を終わらせる時期がきたと感じている。
総合3位・ステージ2位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
今日は本物の戦いだった。あと数秒で自分が表彰台に届くことがわかっていたので、チームメイトたちと一緒に全力を出して、できるだけハイペースで走った。とくに最後の山岳はそうだった。
表彰台は素晴らしい目標だ。このような大きなステージレースのトップ3に入れる選手の数はそれほど多くはない。とても満足している。今日の入賞を祝う明日の式典を、家族や友人ともども楽しみにしている。
今日は絶好調だった。仮にフルームが最後の山岳で手を緩めてくれて、ぼくたちを牽いてくれていたら、体力を温存できてステージ優勝できたかもしれない。だけど、悔やんではいない。表彰台はとても重要だ。
だからこのような成績になって満足している。ツール・ド・フランスの後は、少し休む予定だ。その後はブエルタ・ア・エスパーニャに向けて準備する。ブエルタは自分にとっても最適なコースだ。昨年の総合3位から上を目指したいと考えている。
チーム総合優勝を決めたサクソ・ティンコフのファブリツィオ・グイディ監督
今日のゴール、ツールの極めて厳しい山岳ステージの最後に表彰台を失うことになってしまって落胆している。今日はレースをずっと支配しており、勝利を手にするとう目的のためにさまざまな挑戦を行なっていた。
その結果として、ここまでのツールで獲得していた成績を失ってしまったことは、認めがたい辛い事実だ。しかし、レースに出て何の個性も見せなかったり、誰かの行動を消極的に待つだけといった事態は避けることができた。
このチームの強さは、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)とアルベルト・コンタドール(スペイン)の両名が総合5位内に入り[訳注:クロイツィゲルが総合5位、コンタドールが総合4位]、チーム総合1位を勝ち取ったということからも忘れるべきではない。われわれは自分たちより強い者に負けた。それだけのことだ。これからは今年のツールを分析して、来シーズン前に改善できる点を確認するつもりだ。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
ステージ優勝・山岳賞・新人賞・総合2位のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
信じられない。とてもうれしい。今日だけではなくツールを通してずっと仕事をしてくれたチームメイト全員に感謝しなければならない。とくにホセルイス・アリエッタ監督は、いつも最適な選択を示してくれた。
今日もチームとしてレースをうまくコントロールできたし、チームメイト全員が自分の役割を認識していた。そして、すべてが完璧にうまくいった。本当に素晴らしい。自分が予想していた以上だ。
今日は(母国の)コロンビアにとって特別な日で、国民の祝日だ[訳注:7月20日はコロンビアの独立記念日]。だから、故郷にいる家族や友人たちのことを考えて走った。コロンビア人選手の先輩たちがロードレースという競技の歴史を切り開いてくれた。自分たちのような新世代が、彼らに今日という重要な日を見せることができた。
総合1位・ステージ3位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
自分にとって、ここに至るまでの道のりは、ひとつの旅という表現になる——ケニヤの泥だらけの道で小さなマウンテンバイクに乗ることから始まった旅だ——そして、この地でツール・ド・フランスのマイヨ・ジョーヌを獲得できた……言葉で言い表すには難しい。
ツールでは日ごとに異なるレースが展開された。横風だったり、雨だったり、山岳だったり……あらゆる状況で、ぼくは自分の力で自転車に乗り、ずっと一緒にいたチームメイトたちとともにゴールを目指した。この(ツール・ド・フランス)100回記念大会に合わせて調整してきた。今大会は今年の特別なレースだからだ。
このことを初めて意識したのは、つまり、ツール・ド・フランスのようなグランツールでの総合優勝を狙う選手になれるかもしれないと感じたのは、2011年のブエルタ・ア・エスパーニャだった。それまでも充実した日々を過ごして、自分ができることを示せていたとは思う。
でも、あのブエルタで本当に自信がついて、自分自身のことを信じられるようになった。そして、自分が実際にこのような総合上位陣に入ることができると思えるようになった。
今は驚きの感情でいっぱいだ。誰もが人生が一変すると教えてくれるのだけど、自分としては変えるつもりはない。今年はさまざまな試練を楽しんできた……今年のツールに向けて準備することは楽しいチャレンジで、それを隅から隅まで楽しみ尽くした。
まず自分たちの脚の状態を考える必要がある。無線を聞いて、その指示を実行するのは、それほど簡単なことじゃない。たとえば、今日の最後の山岳では、ぼくは(後続を)突き放してステージ優勝するつもりだった。でも、脚が(その気持ちに)付いていかなかった。
今日の最後の数kmでは「これで終わる……」という感情に圧倒されていた。とても感激していた。自分が達成したことの現実に打ちのめされそうだった。
ツールが一種の試練であることは間違いない。この座に就く者なら、つまりマイヨ・ジョーヌを手にする者なら誰しも、衆目に晒されることになる。自分もまたこの競技によって傷ついた者のひとりだ。だけど、ぼくたちは、この競技が人々に逆境から這い上がるだけの勇気を与える面を持つことも示したくもある。(合理的な判断によって)こういう満足感が失われることはない。
ぼくは「今この場」のことだけを考えている……いまの年齢は28歳だ。ふと、次の考えがよぎった人もいるだろう。たいていの自転車選手は30台前半に全盛期が訪れるということだ。ぼくもできるだけ長くツール・ド・フランスに再出場し、戦いたいと考えている。そのためのモチベーションも可能な限り維持したいと思う。
[今大会での最悪の瞬間は]おそらくラルプ・デュエズで、まったく体力がなくなったときだと思う。自転車に乗る人なら、まったく体力がない状態で、残り5kmだと言われたときの絶望感が理解できると思う……肉体的にも精神的にも本当にハードな経験だった。ありがたいことに、チームメイトのリッチー・ポルト(オーストラリア)が一緒にいて、彼のおかげでモチベーションを高めることができた。
初めてチームスカイに入ったときに、質問されたのは将来の目標と実現したいことだった。ツール・ド・フランスにターゲットを絞るのは、こうした長期間の展望のひとつだった。あの3年後に、ツールがパリへと向かう前日に、こうしてマイヨ・ジョーヌを着用して、この場に座っている……目の前の光景が現実なのか確信が持てない。
敢闘賞のイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)
しっかり回復できていると思う。(どのステージにも)チャンスがそこにあることがわかると、かならず全力を出すつもりだ。それがどんなにわずかなチャンスだとしても、つねにチャンスを掴む準備はしている。
(今日のステージは)スタートからモビスターがレースをコントロールしたがっていて、彼らが勝ちを狙っていたのは明らかだった。レースもそのような展開になった。根本的に自分の勝ち目はないと思っていた。
でも、誰がぼくを止めることができる? ぼくは全力で走りたいし、それが仕事だ。ぼくはツールとの相性が良いから、今日も全力で走れたと思う。自分のキャリアのなかでも、そろそろこの章を終わらせる時期がきたと感じている。
総合3位・ステージ2位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
今日は本物の戦いだった。あと数秒で自分が表彰台に届くことがわかっていたので、チームメイトたちと一緒に全力を出して、できるだけハイペースで走った。とくに最後の山岳はそうだった。
表彰台は素晴らしい目標だ。このような大きなステージレースのトップ3に入れる選手の数はそれほど多くはない。とても満足している。今日の入賞を祝う明日の式典を、家族や友人ともども楽しみにしている。
今日は絶好調だった。仮にフルームが最後の山岳で手を緩めてくれて、ぼくたちを牽いてくれていたら、体力を温存できてステージ優勝できたかもしれない。だけど、悔やんではいない。表彰台はとても重要だ。
だからこのような成績になって満足している。ツール・ド・フランスの後は、少し休む予定だ。その後はブエルタ・ア・エスパーニャに向けて準備する。ブエルタは自分にとっても最適なコースだ。昨年の総合3位から上を目指したいと考えている。
チーム総合優勝を決めたサクソ・ティンコフのファブリツィオ・グイディ監督
今日のゴール、ツールの極めて厳しい山岳ステージの最後に表彰台を失うことになってしまって落胆している。今日はレースをずっと支配しており、勝利を手にするとう目的のためにさまざまな挑戦を行なっていた。
その結果として、ここまでのツールで獲得していた成績を失ってしまったことは、認めがたい辛い事実だ。しかし、レースに出て何の個性も見せなかったり、誰かの行動を消極的に待つだけといった事態は避けることができた。
このチームの強さは、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)とアルベルト・コンタドール(スペイン)の両名が総合5位内に入り[訳注:クロイツィゲルが総合5位、コンタドールが総合4位]、チーム総合1位を勝ち取ったということからも忘れるべきではない。われわれは自分たちより強い者に負けた。それだけのことだ。これからは今年のツールを分析して、来シーズン前に改善できる点を確認するつもりだ。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
Amazon.co.jp