2013/07/16(火) - 11:45
クリス・フルームがモンヴァントゥーで圧倒的な力を見せて、ツールは2回目の休息日に入った。そして、いよいよ山岳ステージの連戦となる最終週を迎える。最後のチャンスに賭ける選手たち、そしてツールを去る選手のコメントを紹介する。
総合3位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
ぼくの目標は総合優勝だが、クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)は1対1の状況なら、誰よりもレベルが高いのは事実だ。彼には(直接対決では)勝つことはできないが、極めて過酷になる最終週なら、より効果のある作戦を実行できると期待している。というのも、(最終週は)山岳が連続するし、ぼく自身は総合2位で終えようが総合10位で終えようが、あまり重要とは思っていないからだ。
何かが起きることを期待しているステージは確実に存在するし、そのときに好調で、チャンスをつかめれば良いと考えている。後はレースの展開次第になると思う。だけど、チャンスがあるとわかれば、それを手に入れようとしてみるつもりだ。
(表彰台狙いで駆け引きする選手について)選手それぞれの思惑はわからない。でも、かなり重要な役割を果たす可能性のある選手もいる。たとえば、ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)だ。彼のおかげで、ぼくたちがメリットを得られる状況も出てくるかもしれない。あとは、いくつかのステージで、彼らのチームがレースをどうコントロールするかによるだろう。
(アシストのクロイツィゲルについて)ロマン・クロイツィゲル(チェコ)は、ぼくにとって本当に重要な選手だ。アクス・トロワ・ドメーヌのステージ(第8ステージ)が良い実例だ。彼のレベルは高いし、総合成績でも上位にいる(総合4位)。彼は、ぼくたちのチームにとっては最終週の切り札の1枚だ。この切り札は最適なタイミングで使うべきだろう。
(昨年のブエルタの2回目の休息日との違いについて)大きな違いが2つある。ひとつは総合リーダーとのタイム差が大きく開いていて、差を詰めるのが非常に難しいこと。もうひとつは、(今回は)直接対決したときにいつも彼のほうが強い点だ。去年のブエルタでは、まだ実力が伯仲していたと思う。
(今大会は落ち着いている理由について)人間は誰でも年を追うごとに変わっていくものだ。だから、おそらくぼくも数年前に比べると穏やかになっている。今シーズンはあらゆることを分析する必要があった。スカイのレース展開を見て、これまでの知識をもとに自分たちの戦略を分析してきている。だから、重要なステージでも落ち着いていられるのだと思う。ライバルたちやレースといった要素だけではなく、自分がそれまで重ねてきた歳月によって、大きく物事を捉えたり、落ち着いた対応ができるようになったのだと思う。
総合6位・新人賞のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
最終週は、かなり落ち着いた状態で臨みつつある。チームは、これまでのぼくの実績に満足していることもあって、ぼくにまったくプレッシャーを与えることはしない。チームとしては、ぼくの身体の調子を見ながら、毎日先に進むだけだ。チームメイトたちは、ぼくが若いことを理解してくれている。それに、バッド・デイが1日でもあれば、すべてを失うかもしれないと心配していることも理解してくれている。
脚には疲れが残っている。この15日間、高い強度でレースをしてきたのだから当然だ。まず優先する目的は毎日しっかり回復して、総合上位の成績をキープしながら、新人賞ジャージを守ることだ。どこかのステージで優勝を狙ったり、表彰台入りを試みることもあるだろう。でも、主な目標は現状を長く維持することだ——ぼくの調子が良ければ、少しはタイム差を詰めてみたいと思う。ただ、ステージ優勝は実際には難しいだろう。クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)は本当に強い。彼のチームは彼ほど堅牢ではないけれども、彼は本当に強い。
ぼくたちはこれまでのレースで攻撃的なチームであると示してきた。そして、これからも同じアプローチでレースをし続ける。このチームはぼくをしっかりアシストしてくれた。山岳の登り口や各種状況で、ぼくを良い位置に置いてくれた——ツールの残りのステージでも同じような展開になると思っている。
これまでのぼくの人生のどのレースでも、フルームのように登坂する選手は見たことがなかった。彼はとても簡単に登っているように見えた。自転車に乗った彼は本当に強かった。彼の後ろに付いていくのは不可能だった。彼と一緒にいることができたら、ステージ優勝できたかもしれない。でも、彼がアタックするつもりだったのもわかった。彼は前に出るたびに、ぼくを脱落させようとしていたからだ。
総合15位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
自分自身はこのツールに期待していたことが叶わず幸運とは言えない。でも、チームとしてはいくつかの理由で満足している。ナイロの存在は大きい。このツールで上位に位置してくれている——彼は好調なようだし、次の山岳が続く1週間は上位に入って、さらに目立つと思う。(最終週の)コースプロファイルや山岳を見れば、今年のツールで最難関だとわかるはずだ。
このツールの残りのステージでの目標は、ステージ優勝だ。でも、ぼくたちはナイロが表彰台圏内にいることはわかっている。チームとしては、これを最優先事項にしつつ、自分としてはステージ優勝を狙いたい。どのステージでの勝利を狙うべきかは考えていないが、ラルプ・デュエズのゴールはとても自分に向いていそうだ——ステージ序盤から厳しく、逃げに入る選手には実力が要求される。ぼくたちのチームにチャンスがありそうだ。
昨日の第15ステージで、ぼくたちはナイロが山岳で本当に強いことを理解した。彼は残り15kmでアタックして、ほぼ最後までフルームになんとか付いていった。そして、ぼくたちはフルームが総合をリードするだけでは気が済まないことも知った——彼はすべての山頂ゴールでの勝利も望んでいる。これまでのところ最も手強いライバルはという質問があるけど、昨年はウィギンズも無敵だった。今シーズンはフルームがウィギンズの役割を担っている。彼がアタックするときは必ず勝っている。
パリに着くまでは、少なくとも土曜日になるまでは、まだツールが終わったというわけではない。今のところはフルームがこのレースで自分が最強であることを示してきた。でも、この最終週が進んでいって、フルームが最強だったとしても、バッド・デイが1日あっただけで大失敗して、大きくタイムを失うこともある。ただ、本音を言えば、現段階で彼に勝つことは難しいと思う。
ブエルタについて? しばらくのあいだは、チームとして今回のツールに集中したい——ツールが終わるまでにまだ時間もあるし、終わってから考えたい。ブエルタについては、ツールが始まる前にスケジュールで決まっていた。これから1週間あって、自分でも強さを実感できている。だから、これからはレースでどんなトラブルもあってほしくない。といっても、このツールで体力を温存しようという気はない。現在、ぼくたちはチームメイトの1人を表彰台に送り込める素晴らしい位置にいて、この機会を絶対に逃したくない。
今年のツールをしっかり終わらせて、数年以内に(チームとして)こういう総合争いに参加したいと思う。
疲労によりツールを去る19歳のダニー・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
これからハードな1週間になる。まさにツール・ド・フランスといった状況になる。そのことも充分に考慮された結果だ。ここまで体力が保てたということに、自分でもかなり驚いている。
オリカ・グリーンエッジはデイリームービーレポートを更新中
AC/DCをトリビュートしたOGEROCKを公開したオリカ・グリーンエッジ。それとは別に、ステージの様子やチームカーの内部、選手やスタッフのコメントなどをまとめたデイリーレースレポート「BACKSTAGE PASS」を更新中だ。最新版はモンバントゥーに集まる熱狂的なファンがみどころ。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
総合3位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
ぼくの目標は総合優勝だが、クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)は1対1の状況なら、誰よりもレベルが高いのは事実だ。彼には(直接対決では)勝つことはできないが、極めて過酷になる最終週なら、より効果のある作戦を実行できると期待している。というのも、(最終週は)山岳が連続するし、ぼく自身は総合2位で終えようが総合10位で終えようが、あまり重要とは思っていないからだ。
何かが起きることを期待しているステージは確実に存在するし、そのときに好調で、チャンスをつかめれば良いと考えている。後はレースの展開次第になると思う。だけど、チャンスがあるとわかれば、それを手に入れようとしてみるつもりだ。
(表彰台狙いで駆け引きする選手について)選手それぞれの思惑はわからない。でも、かなり重要な役割を果たす可能性のある選手もいる。たとえば、ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)だ。彼のおかげで、ぼくたちがメリットを得られる状況も出てくるかもしれない。あとは、いくつかのステージで、彼らのチームがレースをどうコントロールするかによるだろう。
(アシストのクロイツィゲルについて)ロマン・クロイツィゲル(チェコ)は、ぼくにとって本当に重要な選手だ。アクス・トロワ・ドメーヌのステージ(第8ステージ)が良い実例だ。彼のレベルは高いし、総合成績でも上位にいる(総合4位)。彼は、ぼくたちのチームにとっては最終週の切り札の1枚だ。この切り札は最適なタイミングで使うべきだろう。
(昨年のブエルタの2回目の休息日との違いについて)大きな違いが2つある。ひとつは総合リーダーとのタイム差が大きく開いていて、差を詰めるのが非常に難しいこと。もうひとつは、(今回は)直接対決したときにいつも彼のほうが強い点だ。去年のブエルタでは、まだ実力が伯仲していたと思う。
(今大会は落ち着いている理由について)人間は誰でも年を追うごとに変わっていくものだ。だから、おそらくぼくも数年前に比べると穏やかになっている。今シーズンはあらゆることを分析する必要があった。スカイのレース展開を見て、これまでの知識をもとに自分たちの戦略を分析してきている。だから、重要なステージでも落ち着いていられるのだと思う。ライバルたちやレースといった要素だけではなく、自分がそれまで重ねてきた歳月によって、大きく物事を捉えたり、落ち着いた対応ができるようになったのだと思う。
総合6位・新人賞のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
最終週は、かなり落ち着いた状態で臨みつつある。チームは、これまでのぼくの実績に満足していることもあって、ぼくにまったくプレッシャーを与えることはしない。チームとしては、ぼくの身体の調子を見ながら、毎日先に進むだけだ。チームメイトたちは、ぼくが若いことを理解してくれている。それに、バッド・デイが1日でもあれば、すべてを失うかもしれないと心配していることも理解してくれている。
脚には疲れが残っている。この15日間、高い強度でレースをしてきたのだから当然だ。まず優先する目的は毎日しっかり回復して、総合上位の成績をキープしながら、新人賞ジャージを守ることだ。どこかのステージで優勝を狙ったり、表彰台入りを試みることもあるだろう。でも、主な目標は現状を長く維持することだ——ぼくの調子が良ければ、少しはタイム差を詰めてみたいと思う。ただ、ステージ優勝は実際には難しいだろう。クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)は本当に強い。彼のチームは彼ほど堅牢ではないけれども、彼は本当に強い。
ぼくたちはこれまでのレースで攻撃的なチームであると示してきた。そして、これからも同じアプローチでレースをし続ける。このチームはぼくをしっかりアシストしてくれた。山岳の登り口や各種状況で、ぼくを良い位置に置いてくれた——ツールの残りのステージでも同じような展開になると思っている。
これまでのぼくの人生のどのレースでも、フルームのように登坂する選手は見たことがなかった。彼はとても簡単に登っているように見えた。自転車に乗った彼は本当に強かった。彼の後ろに付いていくのは不可能だった。彼と一緒にいることができたら、ステージ優勝できたかもしれない。でも、彼がアタックするつもりだったのもわかった。彼は前に出るたびに、ぼくを脱落させようとしていたからだ。
総合15位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
自分自身はこのツールに期待していたことが叶わず幸運とは言えない。でも、チームとしてはいくつかの理由で満足している。ナイロの存在は大きい。このツールで上位に位置してくれている——彼は好調なようだし、次の山岳が続く1週間は上位に入って、さらに目立つと思う。(最終週の)コースプロファイルや山岳を見れば、今年のツールで最難関だとわかるはずだ。
このツールの残りのステージでの目標は、ステージ優勝だ。でも、ぼくたちはナイロが表彰台圏内にいることはわかっている。チームとしては、これを最優先事項にしつつ、自分としてはステージ優勝を狙いたい。どのステージでの勝利を狙うべきかは考えていないが、ラルプ・デュエズのゴールはとても自分に向いていそうだ——ステージ序盤から厳しく、逃げに入る選手には実力が要求される。ぼくたちのチームにチャンスがありそうだ。
昨日の第15ステージで、ぼくたちはナイロが山岳で本当に強いことを理解した。彼は残り15kmでアタックして、ほぼ最後までフルームになんとか付いていった。そして、ぼくたちはフルームが総合をリードするだけでは気が済まないことも知った——彼はすべての山頂ゴールでの勝利も望んでいる。これまでのところ最も手強いライバルはという質問があるけど、昨年はウィギンズも無敵だった。今シーズンはフルームがウィギンズの役割を担っている。彼がアタックするときは必ず勝っている。
パリに着くまでは、少なくとも土曜日になるまでは、まだツールが終わったというわけではない。今のところはフルームがこのレースで自分が最強であることを示してきた。でも、この最終週が進んでいって、フルームが最強だったとしても、バッド・デイが1日あっただけで大失敗して、大きくタイムを失うこともある。ただ、本音を言えば、現段階で彼に勝つことは難しいと思う。
ブエルタについて? しばらくのあいだは、チームとして今回のツールに集中したい——ツールが終わるまでにまだ時間もあるし、終わってから考えたい。ブエルタについては、ツールが始まる前にスケジュールで決まっていた。これから1週間あって、自分でも強さを実感できている。だから、これからはレースでどんなトラブルもあってほしくない。といっても、このツールで体力を温存しようという気はない。現在、ぼくたちはチームメイトの1人を表彰台に送り込める素晴らしい位置にいて、この機会を絶対に逃したくない。
今年のツールをしっかり終わらせて、数年以内に(チームとして)こういう総合争いに参加したいと思う。
疲労によりツールを去る19歳のダニー・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
これからハードな1週間になる。まさにツール・ド・フランスといった状況になる。そのことも充分に考慮された結果だ。ここまで体力が保てたということに、自分でもかなり驚いている。
オリカ・グリーンエッジはデイリームービーレポートを更新中
AC/DCをトリビュートしたOGEROCKを公開したオリカ・グリーンエッジ。それとは別に、ステージの様子やチームカーの内部、選手やスタッフのコメントなどをまとめたデイリーレースレポート「BACKSTAGE PASS」を更新中だ。最新版はモンバントゥーに集まる熱狂的なファンがみどころ。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
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