2013/07/08(月) - 11:35
休養日前の第10ステージを制したのは、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)。ほぼ全チームによるフルーム包囲網が展開されるなか、総合1位はクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が守りきった。山岳賞はピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)に移行した。
ステージ優勝のダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)
すべての勝利には価値があり、その勝利の方法も特別なものだ。今日は、このガーミン・シャープというチームが素晴らしいチームスピリッツを示せたという点で信じられない日となった。
選手全員が今日は100%の力を出して、何名かは危うく時間制限に引っ掛かりそうになってまで、ぼくの勝利に貢献してくれた。今朝のチームバスのミーティングで、ぼくがステージ優勝を狙いに行くことに決まって、それが成功した。とても信じられない。
いまの気持ちは表現しにくい。実際には安堵の気持ちのほうが大きい。最後の[ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)との]スプリント勝負では、ぼくのほうが有利だというのがわかっていて、ぼくも自信があった……でも、それだけに勝たないといけなかった。だから、フィニッシュラインを越えて、自分がツール・ド・フランスでステージ優勝したことがわかったときは驚くばかりだった。
結局、ぼくはツール・ド・フランスのスケール感を想像できなかった——まるで他の自転車レースだった。ぼくはフグルサングの後ろについて、スプリントで勝った。でも、一度も集団がどこにいるかを振り返って確かめることすらしなかった。フィニッシュラインを目指し、最初に越えたというだけだった。
あのスプリント勝負のときは、自信を感じたというよりもむしろ落ち着いていた。ぼくはずっと一種の落ち着いた気持ちだった。まるで(2011年の)ブエルタ・ア・エスパーニャの第9ステージで優勝したときと、まったく同じ感情だった。
今日のような大勝負の局面になったときは、ぼくはかなりリラックスするタイプのようだ。そうやってシンプルに自分をコントロールしたほうが、見返りもあるようだ。
総合1位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
今回のツールには強力なチームと共に参加しているが、今日は本当にハードな1日だった。明日の休養日には、しっかり鋭気を養って、できれば火曜日までに充分に体力を回復させておきたい。
今日は自分が自転車に乗ったなかでも、最大級のハードさを持つ1日だった。でも、マイヨ・ジョーヌを維持できて満足している。昨日、チームメイトたちはかなり尽力してくれた。今日はかれらの努力に少しでも報いようと思った。先頭集団で孤立することになったけど、自分の好きな気分で乗れていたし、今日の最大の試練にもついて行けた。
素直に認めたいことは、今日のモビスターのレース運びのうまさだ。彼らは集団前方に多数の選手を送り込んで、ぼくにプレッシャーをかけてきた。自分ひとりで走るには非常にハードだった。でも、山岳で自分ひとりで走るときの気分だと思うようにした。どのチームも、それぞれがこのツールに賭けるモチベーションがあるし、出場する理由も異なる。だから、レースの最中には、いくつかの駆け引きが発生するものだ。
総合リーダーが少し孤立してしまうのは、ごく当たり前のことだ。チームメイトたちは、昨日ぼくにマイヨ・ジョーヌを着せるために大きな負担を負った。だから、今日はその影響も少しあった。また、今日はレースの序盤に(チームメイトの)ピーター・ケノー(イギリス)が落車して、幸先の良いスタートとは言えなかった。レースの展開としても、彼が復帰するまでスローダウンすることもなかった。
リッチー・ポルト(オーストラリア)も本当によく仕事をしてくれた。彼が序盤に大きなアタックにいくつも対応してくれたおかげで、先頭集団に入ることができた。彼は今日もぼくのために素晴らしい仕事をした。だから、彼が先頭にいないのも極めて当然だ——彼もまた人類だということがわかったのは良かったと思う。
ツールが終わるまでの道のりは間違いなく長い。これから2週間はハードなレースになるだろう。今日のような厳しい戦いにならざるを得ないと思う。他のチームはパリまでずっと、ぼくたちのチームに試練を与えてくるはずだ。
山岳賞のピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
今日はいわゆる本当に駆け引きがあるレースだった。今年は「小規模のピレネー」で2ステージしかないと思っていた……でも、まさに伝説的な大きなショーとなった。もちろん、それだけの労力を要した。今日のステージは、今年のツール・ド・フランスの特徴を述べるうえで、大きな影響を持つと思う。
自分に関して言えば、少しは(勝ちを)意識はしたが、モビスターが実質的にコントロールしはじめたので、今日は複雑な展開になるだろうと思った。彼らはとても強い。だからあまり驚くことではなかった。今年のバスク一周で彼らの強さを目の当たりにしている。彼らの特徴は果敢に物事に——とくに美しいことに挑戦するところだ。
個人的には総合成績で圏外になってしまった。チームとしての目標は、ぼくでも他の選手でもいいから、ステージ1勝を狙うことになった。この山岳賞ジャージはって?
キープしようとは思う。これはぼくの生涯の夢だ。いうのは簡単だけど、実行するのは本当に難しい。ぼくの思い出のなかでは、このジャージはリシャール・ヴィランクやローラン・ジャラベールのものだ。彼らは子供のころの憧れだ。
新人賞のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
チームでの成果を大いに満足している。あとは、このツールが終わるまでに、ステージ優勝を願っている。今日は終盤のアタックしたいときに、少し体力がなかった。でも、チームとしてこのステージで良い結果を残せた。チームの目標はアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)を表彰台に送り込めればいい。
ぼくたちはチームスカイが強力なのは知っている。でも、ぼくたちのチームも対抗できるレベルにある。だから、立場を逆転させる実力があることを示さなければならなかった。たしかにクリス・フルームはとても強い。
だけど、彼がチームメイトから孤立してしまえば、ぼくたちが彼を攻撃できることは確信していた。ただ、フルームがチームと一緒になってしまえば、とても難しくなるけど。
個人的なことでは、この新人賞の白いジャージが獲得できている。これを守っていきたいと思う。でも、今の強さを保ったまま3週間のレースができるかはわからない。
ポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
すべての選手にとってハードなステージだった。ほとんどの選手にとって、時間制限の圏外でゴールするのは絶対に避けたいことだった。今日は序盤のうちは、逃げ集団に入ろうと思っていた——ただし、最初の山岳の前の段階で、中間スプリントを狙うつもりだった。
でも、すぐに道が上り始めて、すぐに後方に追いやられてしまって、今日はポイントを稼ごうという考えは捨ててしまった。それで第2集団に入って、そこから3番目の山岳までは快適に過ごせた。今日は本当に走るのがハードな日だった。でも、それはどの選手にとっても同じことだと思う。そして、どの選手も無事に乗り切ることができた。
敢闘賞のロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)
このハードなステージで、元気になる応援をしてくれたことに感謝したい。集団の前方で快適に走ることができた。ただ、休めなかったけど。有力選手たちの集団のバトルが始まったので、それについていくのは難しかった。敢闘賞を獲得できたのが、せめてもの慰めだ。明日の休養日はしっかり休みたい。おやすみなさい!
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
ステージ優勝のダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)
すべての勝利には価値があり、その勝利の方法も特別なものだ。今日は、このガーミン・シャープというチームが素晴らしいチームスピリッツを示せたという点で信じられない日となった。
選手全員が今日は100%の力を出して、何名かは危うく時間制限に引っ掛かりそうになってまで、ぼくの勝利に貢献してくれた。今朝のチームバスのミーティングで、ぼくがステージ優勝を狙いに行くことに決まって、それが成功した。とても信じられない。
いまの気持ちは表現しにくい。実際には安堵の気持ちのほうが大きい。最後の[ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)との]スプリント勝負では、ぼくのほうが有利だというのがわかっていて、ぼくも自信があった……でも、それだけに勝たないといけなかった。だから、フィニッシュラインを越えて、自分がツール・ド・フランスでステージ優勝したことがわかったときは驚くばかりだった。
結局、ぼくはツール・ド・フランスのスケール感を想像できなかった——まるで他の自転車レースだった。ぼくはフグルサングの後ろについて、スプリントで勝った。でも、一度も集団がどこにいるかを振り返って確かめることすらしなかった。フィニッシュラインを目指し、最初に越えたというだけだった。
あのスプリント勝負のときは、自信を感じたというよりもむしろ落ち着いていた。ぼくはずっと一種の落ち着いた気持ちだった。まるで(2011年の)ブエルタ・ア・エスパーニャの第9ステージで優勝したときと、まったく同じ感情だった。
今日のような大勝負の局面になったときは、ぼくはかなりリラックスするタイプのようだ。そうやってシンプルに自分をコントロールしたほうが、見返りもあるようだ。
総合1位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
今回のツールには強力なチームと共に参加しているが、今日は本当にハードな1日だった。明日の休養日には、しっかり鋭気を養って、できれば火曜日までに充分に体力を回復させておきたい。
今日は自分が自転車に乗ったなかでも、最大級のハードさを持つ1日だった。でも、マイヨ・ジョーヌを維持できて満足している。昨日、チームメイトたちはかなり尽力してくれた。今日はかれらの努力に少しでも報いようと思った。先頭集団で孤立することになったけど、自分の好きな気分で乗れていたし、今日の最大の試練にもついて行けた。
素直に認めたいことは、今日のモビスターのレース運びのうまさだ。彼らは集団前方に多数の選手を送り込んで、ぼくにプレッシャーをかけてきた。自分ひとりで走るには非常にハードだった。でも、山岳で自分ひとりで走るときの気分だと思うようにした。どのチームも、それぞれがこのツールに賭けるモチベーションがあるし、出場する理由も異なる。だから、レースの最中には、いくつかの駆け引きが発生するものだ。
総合リーダーが少し孤立してしまうのは、ごく当たり前のことだ。チームメイトたちは、昨日ぼくにマイヨ・ジョーヌを着せるために大きな負担を負った。だから、今日はその影響も少しあった。また、今日はレースの序盤に(チームメイトの)ピーター・ケノー(イギリス)が落車して、幸先の良いスタートとは言えなかった。レースの展開としても、彼が復帰するまでスローダウンすることもなかった。
リッチー・ポルト(オーストラリア)も本当によく仕事をしてくれた。彼が序盤に大きなアタックにいくつも対応してくれたおかげで、先頭集団に入ることができた。彼は今日もぼくのために素晴らしい仕事をした。だから、彼が先頭にいないのも極めて当然だ——彼もまた人類だということがわかったのは良かったと思う。
ツールが終わるまでの道のりは間違いなく長い。これから2週間はハードなレースになるだろう。今日のような厳しい戦いにならざるを得ないと思う。他のチームはパリまでずっと、ぼくたちのチームに試練を与えてくるはずだ。
山岳賞のピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
今日はいわゆる本当に駆け引きがあるレースだった。今年は「小規模のピレネー」で2ステージしかないと思っていた……でも、まさに伝説的な大きなショーとなった。もちろん、それだけの労力を要した。今日のステージは、今年のツール・ド・フランスの特徴を述べるうえで、大きな影響を持つと思う。
自分に関して言えば、少しは(勝ちを)意識はしたが、モビスターが実質的にコントロールしはじめたので、今日は複雑な展開になるだろうと思った。彼らはとても強い。だからあまり驚くことではなかった。今年のバスク一周で彼らの強さを目の当たりにしている。彼らの特徴は果敢に物事に——とくに美しいことに挑戦するところだ。
個人的には総合成績で圏外になってしまった。チームとしての目標は、ぼくでも他の選手でもいいから、ステージ1勝を狙うことになった。この山岳賞ジャージはって?
キープしようとは思う。これはぼくの生涯の夢だ。いうのは簡単だけど、実行するのは本当に難しい。ぼくの思い出のなかでは、このジャージはリシャール・ヴィランクやローラン・ジャラベールのものだ。彼らは子供のころの憧れだ。
新人賞のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
チームでの成果を大いに満足している。あとは、このツールが終わるまでに、ステージ優勝を願っている。今日は終盤のアタックしたいときに、少し体力がなかった。でも、チームとしてこのステージで良い結果を残せた。チームの目標はアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)を表彰台に送り込めればいい。
ぼくたちはチームスカイが強力なのは知っている。でも、ぼくたちのチームも対抗できるレベルにある。だから、立場を逆転させる実力があることを示さなければならなかった。たしかにクリス・フルームはとても強い。
だけど、彼がチームメイトから孤立してしまえば、ぼくたちが彼を攻撃できることは確信していた。ただ、フルームがチームと一緒になってしまえば、とても難しくなるけど。
個人的なことでは、この新人賞の白いジャージが獲得できている。これを守っていきたいと思う。でも、今の強さを保ったまま3週間のレースができるかはわからない。
ポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
すべての選手にとってハードなステージだった。ほとんどの選手にとって、時間制限の圏外でゴールするのは絶対に避けたいことだった。今日は序盤のうちは、逃げ集団に入ろうと思っていた——ただし、最初の山岳の前の段階で、中間スプリントを狙うつもりだった。
でも、すぐに道が上り始めて、すぐに後方に追いやられてしまって、今日はポイントを稼ごうという考えは捨ててしまった。それで第2集団に入って、そこから3番目の山岳までは快適に過ごせた。今日は本当に走るのがハードな日だった。でも、それはどの選手にとっても同じことだと思う。そして、どの選手も無事に乗り切ることができた。
敢闘賞のロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)
このハードなステージで、元気になる応援をしてくれたことに感謝したい。集団の前方で快適に走ることができた。ただ、休めなかったけど。有力選手たちの集団のバトルが始まったので、それについていくのは難しかった。敢闘賞を獲得できたのが、せめてもの慰めだ。明日の休養日はしっかり休みたい。おやすみなさい!
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
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