2013/07/05(金) - 09:43
プロヴァンスを駆け抜けるツール・ド・フランス第6ステージ。強風によって逃げが生まれない特異な展開の末、集団スプリントでアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が勝利した。ハイスピードスプリントで集団が割れたため、総合成績に若干の変動が起こっている。
ツール・ド・フランス2013第6ステージ・高低図 image:A.S.O.ボー・ド・プロヴァンスの平野を東から西へ。68km地点に登場するアルピーユ山塊の4級山岳ヴェード峠を除けば、176.5kmのコースはほぼ真っ平らだ。
レース序盤に逃げたルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) photo:A.S.O.この日のキーワードは「風による集団分裂に注意」。北西から吹く風「ミストラル(トラモンターヌ)」が波乱を巻き起こすこと予想された。
ボー・ド・プロヴァンスの平野を駆け抜ける photo:A.S.O.前日の落車に巻き込まれたユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)とマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)はスタートせず。レースは序盤からルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)が単独エスケープを試みる展開。
一時的にマテマルドネスは5分30秒のリードを得たが、強風によってにわかに活気づくメイン集団によって44km地点で吸収される。63km地点のスプリントポイントではスプリンターたちによる本格的なバトルが繰り広げられ、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が先頭通過する。
平野を吹き抜ける風速40km/hという風の中、逃げやアタックは生まれない。横風を警戒する総合狙いのチームが集団先頭でポジション取りし、ピリピリとした状態でレースは進行する。
そんな中、落車と胃腸のトラブルでによってナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)が集団から脱落。苦痛の表情を浮かべるブアニはしばらく単独で走り続けたが、やがてバイクを降りてリタイア。この日は他にもフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)がレースを去っている。
オリカ・グリーンエッジがコントロールするメイン集団 photo:A.S.O.
集団内でチームメイトと走る新城幸也(日本、ユーロップカー) photo:A.S.O.
時折スカイプロサイクリングがメイン集団のペースアップを試みる photo:A.S.O.
メイン集団から千切れてしまったナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Makoto Ayano残り33km地点でマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が落車したが、大きな影響もなく集団に復帰。一方、残り11km地点で落車したヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)はなかなか立ち上がることが出来ず、10分48秒遅れでゴールした。
残り33km地点で落車したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor Vos危険回避のため集団前方に上がっていたサクソ・ティンコフやスカイプロサイクリング、ベルキンプロサイクリングに代わって、残り15km地点でオメガファーマ・クイックステップが先頭に。ここからスプリンターチームによる位置取り合戦が始まる。
残り5kmのタイミングでアルゴス・シマノが隊列を組んで先頭に立つと、それまで長時間リードしていたオメガファーマ・クイックステップは発射台役ヘルト・ステーグマン(ベルギー)とカヴェンディッシュの2人に絞られてしまう。
ゴールまで1500mを残して主導権を奪ったのはロット・ベリソルで、アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)の強烈な引きによって一気に集団先頭へ。そこからマルセル・シーベルグ(ドイツ)、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)、グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)が先頭で引き倒し、役目を終えて切れていく。
ヘンダーソンの後ろからタイミング良くグライペルがスプリントをスタート。ほぼ同時にカヴェンディッシュやマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)もスプリント体勢に入ったが、リードアウトトレインに発射されたグライペルの優位は圧倒的。追いすがるペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)を振り切り、グライペルのガッツポーズが決まった。
落車して座り込むヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ) photo:Cor Vos
メイン集団のスピードを上げるスカイプロサイクリングとブランコプロサイクリング photo:Cor Vos
今大会1勝目をマークしたアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Makoto Ayano
ドイツチャンピオンのアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がステージに上がる photo:Makoto Ayano「リードアウトしてくれたチームメイトたちは本当に速かった。ナーバスな一日の最後にこうして勝てたことを誇りに思う」。昨年ステージ3勝を飾ったジャーマンスプリンターが今大会1勝目を喜ぶ。グライペルはカヴェンディッシュを抜いてポイント賞2位に浮上。ポイント賞1位はサガンのままだ。
マイヨジョーヌに袖を通したダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) photo:Makoto Ayanoこの日は集団内に中切れが発生したため、ステージ16位と17位の間に5秒差がつけられた。この影響で総合成績は変動。マイヨジョーヌはサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)からチームメイトのインピーの手に渡った。
2007年大会でロバート・ハンター(当時バルロワールド)が南アフリカ人として初めてステージ優勝を飾った街モンペリエで、インピーが南アフリカ人として初めてマイヨジョーヌを着用。「選手なら誰しもが憧れるマイヨジョーヌを着る夢が今こうして叶っている」とインピーは喜ぶ。3秒差の総合2位にはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)がつけている。
新城幸也(ユーロップカー)はスプリントに参加せず、集団後方101位でゴールしている。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2013第6ステージ
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 3h59'02"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)
4位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 フアンホセ・ロバト(スペイン、エウスカルテル)
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
8位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、アージェードゥーゼル)
101位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +05"
敢闘賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
個人総合成績 マイヨジョーヌ
1位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) 22h18'17"
2位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) +03"
3位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +05"
4位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +06"
6位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) +08"
8位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
9位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ) +14"
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)
ポイント賞 マイヨヴェール
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 159pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 130pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) 119ts
山岳賞 マイヨブランアポワルージュ
1位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) 10pts
2位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 5pts
3位 ブレル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル) 5pts
新人賞 マイヨブラン
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)22h18'23"
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +16"
3位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) +19"
チーム総合成績
1位 オリカ・グリーンエッジ 64h03'04"
2位 スカイプロサイクリング +08"
3位 サクソ・ティンコフ +19"
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O., Cor Vos
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一時的にマテマルドネスは5分30秒のリードを得たが、強風によってにわかに活気づくメイン集団によって44km地点で吸収される。63km地点のスプリントポイントではスプリンターたちによる本格的なバトルが繰り広げられ、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が先頭通過する。
平野を吹き抜ける風速40km/hという風の中、逃げやアタックは生まれない。横風を警戒する総合狙いのチームが集団先頭でポジション取りし、ピリピリとした状態でレースは進行する。
そんな中、落車と胃腸のトラブルでによってナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)が集団から脱落。苦痛の表情を浮かべるブアニはしばらく単独で走り続けたが、やがてバイクを降りてリタイア。この日は他にもフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)がレースを去っている。
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残り5kmのタイミングでアルゴス・シマノが隊列を組んで先頭に立つと、それまで長時間リードしていたオメガファーマ・クイックステップは発射台役ヘルト・ステーグマン(ベルギー)とカヴェンディッシュの2人に絞られてしまう。
ゴールまで1500mを残して主導権を奪ったのはロット・ベリソルで、アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)の強烈な引きによって一気に集団先頭へ。そこからマルセル・シーベルグ(ドイツ)、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)、グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)が先頭で引き倒し、役目を終えて切れていく。
ヘンダーソンの後ろからタイミング良くグライペルがスプリントをスタート。ほぼ同時にカヴェンディッシュやマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)もスプリント体勢に入ったが、リードアウトトレインに発射されたグライペルの優位は圧倒的。追いすがるペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)を振り切り、グライペルのガッツポーズが決まった。
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2007年大会でロバート・ハンター(当時バルロワールド)が南アフリカ人として初めてステージ優勝を飾った街モンペリエで、インピーが南アフリカ人として初めてマイヨジョーヌを着用。「選手なら誰しもが憧れるマイヨジョーヌを着る夢が今こうして叶っている」とインピーは喜ぶ。3秒差の総合2位にはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)がつけている。
新城幸也(ユーロップカー)はスプリントに参加せず、集団後方101位でゴールしている。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2013第6ステージ
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 3h59'02"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)
4位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 フアンホセ・ロバト(スペイン、エウスカルテル)
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
8位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、アージェードゥーゼル)
101位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +05"
敢闘賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
個人総合成績 マイヨジョーヌ
1位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) 22h18'17"
2位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) +03"
3位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +05"
4位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +06"
6位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) +08"
8位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
9位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ) +14"
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)
ポイント賞 マイヨヴェール
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 159pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 130pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) 119ts
山岳賞 マイヨブランアポワルージュ
1位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) 10pts
2位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 5pts
3位 ブレル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル) 5pts
新人賞 マイヨブラン
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)22h18'23"
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +16"
3位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) +19"
チーム総合成績
1位 オリカ・グリーンエッジ 64h03'04"
2位 スカイプロサイクリング +08"
3位 サクソ・ティンコフ +19"
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O., Cor Vos
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