2013/06/16(日) - 10:23
ゴール6km手前の3級山岳でピュアスプリンターが脱落し、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)有利な展開に持ち込まれていく。ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)第8ステージは、「ツールに向けて調子は上向き」と自信を見せるサガンの独壇場だった。
ツール・ド・スイスも残すところ2ステージ。総合争いが決する最終日の山岳個人タイムトライアルを前に、第8ステージがスプリンター向きの平坦コースで行なわれた。
44km地点で標高2284mの1級山岳ジュリエル峠を越えると、あとはゴール地点バートラガツに向けて下り&平坦路。ゴールの6km手前に登場する3級山岳(登坂距離2.8km・平均勾配7.3%)がレースにスパイスを与える。
前日の第7ステージでティボー・ピノ(フランス、FDJ)に山岳賞トップの座を奪われたロベルト・ヴレセル(スロベニア、エウスカルテル)がこの日の逃げに乗る。今年エウスカルテルに加入したスロベニア人のヴレセルは、狙い通り1級山岳ジュリエル峠を先頭通過して12ポイントを獲得。山岳賞トップに返り咲いた。
ヴレセルと共に逃げたのは、マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)、マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)、レト・ホルシュタイン(スイス、IAMサイクリング)。しかし4名は決定的なリードを築けず、オリカ・グリーンエッジを中心に組織された追撃によって、終盤の3級山岳を前に吸収された。
3級山岳でデーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン・シャープ)らが積極的にペースを作ると、メイン集団は30名強に縮小。多くのスプリンターがここで脱落してしまう。テクニカルな下りと短い平坦区間を経て、ゴールスプリントに持ち込まれた。
モレーノ・モゼール(イタリア)にアシストされたサガンと、リーダージャージのマティアス・フランク(スイス)にアシストされたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)らが好ポジションをキープしてラスト200m。
ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、サクソ・ティンコフ)のスプリントを合図に、全員腰を上げてペダルを踏み始める。先行するベンナーティを追い抜くことが出来たのはサガンのみ。ジルベールらは届かず、サガンが今大会2勝目をマークした。サガンはポイント賞のリードを広げることにも成功している。
「まず最初にチームメイトたちに感謝しないといけない。素晴らしい走りでこの勝利をお膳立てしてくれた。今日は絶好のチャンスだったんだ。ゴール手前の3級山岳で集団を小さくして、ピュアスプリンターを排除出来ると考えていた」。サガンは作戦通りの勝利を喜ぶ。
サガンにとって、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)と並ぶ世界最多のシーズン12勝目(サガン&カヴェンディッシュ:12勝、キッテル:11勝、フルーム&グライペル:9勝)。
「ツール・ド・フランスに向けて、このツール・ド・スイスで着々と準備をこなせている。ツールの前に、国内選手権でも良い走りをしたい。調子は上向きだ」。ツールでは2年連続マイヨヴェール獲得に期待がかかる。
終盤のパンクで27秒失い、総合8位から10位にダウンしたキャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン・シャープ)を除き、総合成績に変動は無し。フランクがルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)に対して13秒、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)に対して23秒のリードで山岳個人タイムトライアルに挑む。
選手コメントはチームプレスリリースより。
ツール・ド・スイス2013第8ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 4h33'26"
2位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、サクソ・ティンコフ)
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)
4位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
5位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
6位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
7位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ジュリアン・シモン(フランス、ソジャサン)
9位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・レオパード)
10位 サイモン・ゲスク(ドイツ、スキル・シマノ)
個人総合成績
1位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) 30h16'02"
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +13"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ) +23"
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +44"
5位 バウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング) +46"
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +1'17"
7位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +1'23"
8位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) +1'43"
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +1'50"
10位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +2'09"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
山岳賞
ロベルト・ヴレセル(スロベニア、エウスカルテル)
チーム総合成績
アスタナ
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
ツール・ド・スイスも残すところ2ステージ。総合争いが決する最終日の山岳個人タイムトライアルを前に、第8ステージがスプリンター向きの平坦コースで行なわれた。
44km地点で標高2284mの1級山岳ジュリエル峠を越えると、あとはゴール地点バートラガツに向けて下り&平坦路。ゴールの6km手前に登場する3級山岳(登坂距離2.8km・平均勾配7.3%)がレースにスパイスを与える。
前日の第7ステージでティボー・ピノ(フランス、FDJ)に山岳賞トップの座を奪われたロベルト・ヴレセル(スロベニア、エウスカルテル)がこの日の逃げに乗る。今年エウスカルテルに加入したスロベニア人のヴレセルは、狙い通り1級山岳ジュリエル峠を先頭通過して12ポイントを獲得。山岳賞トップに返り咲いた。
ヴレセルと共に逃げたのは、マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)、マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)、レト・ホルシュタイン(スイス、IAMサイクリング)。しかし4名は決定的なリードを築けず、オリカ・グリーンエッジを中心に組織された追撃によって、終盤の3級山岳を前に吸収された。
3級山岳でデーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン・シャープ)らが積極的にペースを作ると、メイン集団は30名強に縮小。多くのスプリンターがここで脱落してしまう。テクニカルな下りと短い平坦区間を経て、ゴールスプリントに持ち込まれた。
モレーノ・モゼール(イタリア)にアシストされたサガンと、リーダージャージのマティアス・フランク(スイス)にアシストされたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)らが好ポジションをキープしてラスト200m。
ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、サクソ・ティンコフ)のスプリントを合図に、全員腰を上げてペダルを踏み始める。先行するベンナーティを追い抜くことが出来たのはサガンのみ。ジルベールらは届かず、サガンが今大会2勝目をマークした。サガンはポイント賞のリードを広げることにも成功している。
「まず最初にチームメイトたちに感謝しないといけない。素晴らしい走りでこの勝利をお膳立てしてくれた。今日は絶好のチャンスだったんだ。ゴール手前の3級山岳で集団を小さくして、ピュアスプリンターを排除出来ると考えていた」。サガンは作戦通りの勝利を喜ぶ。
サガンにとって、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)と並ぶ世界最多のシーズン12勝目(サガン&カヴェンディッシュ:12勝、キッテル:11勝、フルーム&グライペル:9勝)。
「ツール・ド・フランスに向けて、このツール・ド・スイスで着々と準備をこなせている。ツールの前に、国内選手権でも良い走りをしたい。調子は上向きだ」。ツールでは2年連続マイヨヴェール獲得に期待がかかる。
終盤のパンクで27秒失い、総合8位から10位にダウンしたキャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン・シャープ)を除き、総合成績に変動は無し。フランクがルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)に対して13秒、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)に対して23秒のリードで山岳個人タイムトライアルに挑む。
選手コメントはチームプレスリリースより。
ツール・ド・スイス2013第8ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 4h33'26"
2位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、サクソ・ティンコフ)
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)
4位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
5位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
6位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
7位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ジュリアン・シモン(フランス、ソジャサン)
9位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・レオパード)
10位 サイモン・ゲスク(ドイツ、スキル・シマノ)
個人総合成績
1位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) 30h16'02"
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +13"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ) +23"
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +44"
5位 バウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング) +46"
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +1'17"
7位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +1'23"
8位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) +1'43"
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +1'50"
10位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +2'09"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
山岳賞
ロベルト・ヴレセル(スロベニア、エウスカルテル)
チーム総合成績
アスタナ
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
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