悪天候によってコース変更を強いられたジロ・デ・イタリア第20ステージ。雪降りしきるトレチーメ・ディ・ラヴァレードで、マリアローザのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がライバルたちを圧倒し、総合優勝を決定づけるステージ2勝目を飾った。

逃げグループを率いるアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)逃げグループを率いるアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) photo:Riccardo Scanferlaドロミテ山岳を駆け抜けるクイーンステージは、季節外れの積雪と低温によってコース変更を強いられた。スタート&ゴール地点に変更は無く、渓谷に沿った難易度の低いコースに。終盤にかけて2級山岳トレクローチ峠を経てトレチーメ・ディ・ラヴァレードへ。標高2304mの今大会最高地点「チーマコッピ」でマリアローザ争いはクライマックスを迎える。

2級山岳トレクローチ峠で先頭グループから飛び出すパヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ)2級山岳トレクローチ峠で先頭グループから飛び出すパヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ) photo:Riccardo Scanferlaスタート後しばらく続いたアタック合戦をかいくぐり、先頭グループを形成したのはジャイロ・エルメティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)、パヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ)、アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)、ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック・レオパード)の4名。南チロルの渓谷を8分リードを逃げる。

アスタナが率いるメイン集団がトレチーメ・ディ・ラヴァレードを登るアスタナが率いるメイン集団がトレチーメ・ディ・ラヴァレードを登る photo:Riccardo Scanferlaメイン集団はアスタナがコントロール。レース後半に差し掛かるとサムエル・サンチェス(スペイン)でステージを狙いたいエウスカルテルが積極的に集団ペースアップを開始する。ゴールまで55kmを残してタイム差は5分30秒。キャノンデールプロサイクリングが集団ペースアップに加わるとタイム差は2分を切った。

トレチーメ・ディ・ラヴァレードでアタックするヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)トレチーメ・ディ・ラヴァレードでアタックするヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Riccardo Scanferlaマリアロッサを着るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)はレース後半に設置された2つのスプリントをともに集団先頭で通過。合計4ポイントを獲得してポイント賞のリードを広げにかかる。

やがて2級山岳トレクローチ峠に差し掛かると先頭はブラットの独走に。メイン集団からはピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)やステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)、エロス・カペッキ(イタリア、モビスター)らがアタックする。これらのアタックにも動じること無く、メイン集団はアスタナが落ち着いてコントロールを続けた。

2級山岳トレクローチ峠を通過し、トレチーメ・ディ・ラヴァレードの登りが始まると先頭はカペッキ、ブランビッラ、ウェーニングの3人に。雪が降る、急勾配の登りでカペッキが独走に持ち込む。

平均勾配12%オーバーのラスト3kmの急勾配区間が始まると、ファビオ・アル(イタリア)とタネル・カンゲルト(エストニア)にアシストされたマリアローザのニーバリがメイン集団からアタック。

リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)やカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)が食らいついたが、徐々にニーバリのリードは広がって行く。ニーバリは、それまで逃げていたカペッキらをごぼう抜きにして先頭に立った。

トレチーメ・ディ・ラヴァレードでニーバリを追うリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)とカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)トレチーメ・ディ・ラヴァレードでニーバリを追うリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)とカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) photo:Riccardo Scanferlaトレチーメ・ディ・ラヴァレードでライバルたちに先行を許してしまうカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)トレチーメ・ディ・ラヴァレードでライバルたちに先行を許してしまうカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Riccardo Scanferla

「落ち着いていたけど、アタックのタイミングが早すぎたかも知れない。ラスト1800mの標識からゴールまでが、エンドレスに感じるほど長かった」と語るニーバリが、観客をかき分けてハイペースで登りを進む。王者マリアローザが、ファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)を17秒、ウランを19秒、ベタンクールを21秒引き離して真っ白なゴールに飛び込んだ。
マリアローザを着てトレチーメ・ディ・ラヴァレードの頂上に飛び込むヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)マリアローザを着てトレチーメ・ディ・ラヴァレードの頂上に飛び込むヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Riccardo Scanferla
4分43秒リードでマリアローザを着るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)4分43秒リードでマリアローザを着るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Riccardo Scanferlaステージ2勝目を飾ったニーバリの総合リードは圧倒的に。ニーバリはライバルたちに対して5分近いリードを得ており、初めてのジロ総合優勝に王手。ニーバリはマリアローザを着て翌日の第21ステージに凱旋する。ニーバリは同時にマリアロッサも手にしている。

この日エヴァンスが1分30秒遅れたため、19秒遅れでゴールしたウランが総合2位に浮上。エヴァンスが総合3位にダウンした。マリアビアンカを着るラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)を43秒引き離したベタンクールが新人賞トップに返り咲いている。


ジロ・デ・イタリア2013第20ステージ結果
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)            5h27'41"
2位 ファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)                +17"
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)           +19"
4位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)     +21"
5位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)                     +44"
6位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)        +48"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)        +54"
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)       +58"
9位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、コロンビア)               +1'00"
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)            +1'04"

個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)            79h23'19"
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)          +4'43"
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)         +5'52"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)            +6'48"
5位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)    +7'28"
6位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)         +7'43"
7位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)             +8'09"
8位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)             +10'26"
9位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)       +10'32"
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)      +10'59"

ポイント賞
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

山岳賞
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)

新人賞
カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)

チーム総合成績
スカイプロサイクリング

text&photo:Kei Tsuji in Tre Cime di Lavaredo, Italy

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