激しい競り合いでついに40分を切った富士山ステージ。ベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)が今までの記録を34秒更新して優勝、リーダーはフォルッナート・バリアーニ(チームNIPPO・デローザ)に。

ベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)がコースレコードで優勝ベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)がコースレコードで優勝 photo:Hideaki TAKAGI
5月24日(金)、ツアー・オブ・ジャパン第4ステージ富士山が静岡県小山町のふじあざみラインで行われた。この大会の趨勢を決めるのが富士山ステージ。上位でも数十秒差が付く富士山で総合争いは毎年数人に絞られる。

ヴィーニファンティーニ、チームNIPPO・デローザがペースを作るヴィーニファンティーニ、チームNIPPO・デローザがペースを作る photo:Hideaki TAKAGIコースは距離11.4km、標高差1200mのふじあざみライン。もはや日本の激坂の代表として君臨し、プロ選手でさえフロント34T、リア28Tや29Tを準備する。特に中間点の馬返しを過ぎてからの3kmほどは平均18%と厳しい。
中盤の先頭集団中盤の先頭集団 photo:Hideaki TAKAGI
注目は前ステージで総合1位2位のチームNIPPO・デローザ。ジュリアン・アレドンドに2秒差でフォルッナート・バリアーニが続く。そして24秒から31秒差で5人が続く。この中には4位の西薗良太(チャンピオンシステム)も。昨年と比べると差は小さい。

今年から新しく小山町内をパレード。スタート地点にはたくさんの子どもたちが大声援を選手へ送る。いつも見えない場所でレースが行われていたこのステージ、子どもたちの目にはロードレーサーと鮮やかなジャージが新鮮に映ったことだろう。
第3集団から順位を上げる飯野智行(宇都宮ブリッツェン)第3集団から順位を上げる飯野智行(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki TAKAGI
リアルスタート後はヴィーニファンティーニが先頭に立ちペースを作る。集団は細長くなるが一列棒状や飛び出しはない。やがてチームNIPPO・デローザも前に出てやや速いペースを作る。3kmを過ぎるあたりで20人ほど、さらに10人ほどに絞られる。日本人選手は入らず後方に。伊丹健治(ブリヂストンアンカー)、狩野智也・土井雪広(チーム右京)、西薗良太(チャンピオンシステム)さらに後方に飯野智行(宇都宮ブリッツェン)らが続く。
ラスト1km、先頭のフォルッナート・バリアーニ(チームNIPPO・デローザ)にベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)が迫るラスト1km、先頭のフォルッナート・バリアーニ(チームNIPPO・デローザ)にベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)が迫る photo:Hideaki TAKAGI
先頭はディボール、シモーネ・カンパニャーロ(チームNIPPO・デローザ)らが速いペースを作る。これに対し西薗、土井、飯野は自分のペースで上る。中間点の馬返し付近でディボールが抜け出すがアタックではなく自分のペース。

激坂区間ではバリアーニが先頭に立ち、ディボールに15秒ほどの差をつける。いっぽうでリーダージャージのアレドンドは蛇行しながら上り、離れていく。バリアーニは力強いペダリングでこのまま後続を引き離すかと思われたが、ディボールは常に見える範囲に位置する。
総合6位となった西薗良太(チャンピオンシステム)総合6位となった西薗良太(チャンピオンシステム) photo:Hideaki TAKAGI
終盤に向けてその差はつまり、ラスト1kmでは5秒差、そしてラスト800mほどでついに並ぶ。さらにディボールは踏み込んでバリアーニを引き離して4秒の差をつけて優勝。39分47秒はコースレコード。今までの記録はセルヒオ・パルディージャ(現MTNキュベカ)が09年に個人TTとして記録した40分21秒。これを34秒更新した。バリアーニも昨年は40分21秒だった。

日本人では飯野が42分30秒で8位、西薗は43分17秒で11位、土井は43分22秒で12位に。日本人最高は10年にJツアー富士山で森本誠(現Cプロジェクト)が出した42分11秒でこれに飯野は及ばなかったが「自己ベストが出て嬉しい、結果として日本人1位になれたことも。だが今日は明日の伊豆ステージを考えてそれ以上の無理をしなかった」と言うから驚く。
ステージ優勝のベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)ステージ優勝のベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス) photo:Hideaki TAKAGI
これで個人総合はバリアーニが1位、それにアレドンドが続き前ステージと入れ替わった。そして3位以下はタイム差が開くことに。3位4位はブリヂストンアンカー。タイム差は開いたが、アレドンドの失速とバリアーニのステージ2位の状況からは、大きく差がついた印象はない。むしろブリヂストンアンカーが2人そろえてきたことが脅威だ。
個人総合リーダーとなったフォルッナート・バリアーニ(チームNIPPO・デローザ)個人総合リーダーとなったフォルッナート・バリアーニ(チームNIPPO・デローザ) photo:Hideaki TAKAGI
結果
第4ステージ富士山 11.4km

1位 ベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)39分47秒
2位 フォルッナート・バリアーニ(チームNIPPO・デローザ)+04秒
3位 ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー)+46秒
4位 ジュリアン・アレドンド(チームNIPPO・デローザ)+1分14秒
5位 ネイザン・アール(ヒューオン・ジェネシス)+2分08秒
6位 シモーネ・カンパニャーロ(チームNIPPO・デローザ)+2分11秒
7位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)+2分14秒
8位 飯野智行(宇都宮ブリッツェン)+2分43秒
9位 ジェイ・クロフォード(ヒューオン・ジェネシス)+2分46秒
10位 エリア・ファヴィッリ(ランプレ・メリダ)+2分58秒

個人総合成績 第4ステージ終了時点
1位 フォルッナート・バリアーニ(チームNIPPO・デローザ)8時間35分33秒
2位 ジュリアン・アレドンド(チームNIPPO・デローザ)+1分08秒
3位 ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー)+1分36秒
4位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)+2分39秒
5位 ベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)+3分18秒
6位 西薗良太(チャンピオンシステム)+3分48秒
7位 クリスティアーノ・モングッジ(ヴィーニファンティーニ)+4分04秒
8位 ダレン・ラプソーン(ドラパック)+4分12秒
9位 ロビー・ハッカー(ドラパック)+5分13秒
10位 ネイザン・アール(ヒューオン・ジェネシス)+5分22秒

個人総合ポイント賞 第4ステージ終了時点
1位 ピエールパオロ・デ・ネグリ(ヴィーニファンティーニ) 25点
2位 パク・ソンベク(KSPO)25点
3位 ジュリアン・アレドンド(チームNIPPO・デローザ)24点

個人総合山岳賞 第4ステージ終了時点
1位 ダヴィデ・ヴィガーノ(ランプレ・メリダ)19点
2位 ベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)15点
3位 ロビー・ハッカー(ドラパック)15点


個人総合新人賞 第4ステージ終了時点
1位 ジュリアン・アレドンド(チームNIPPO・デローザ)8時間36分41秒
2位 ベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)+2分10秒
3位 ロビー・ハッカー(ドラパック)+4分05秒


チーム総合時間賞 第4ステージ終了時点
1位 チームNIPPO・デローザ 25時間52分56秒
2位 ヒューオン・ジェネシス +9分18秒
3位 ブリヂストンアンカー +10分25秒

photo&text:高木秀彰

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