5月12日、愛知県豊田市三河高原キャンプ村の「26ismあさぎりトレイル」にてシングルスピードMTBジャパンオープン、通称SSJが開催された。今大会は、2010年のシングルスピードMTB世界チャンピオン、ガース・ワインバーグが参戦や、多くの仮装ライダーの参加により大いに盛り上がった。

赤いコスチュームで走る2010世界チャンピオンのガース・ワインバーグ赤いコスチュームで走る2010世界チャンピオンのガース・ワインバーグ (c)Akihiro.Nakao

3回目の開催になる今回のSSJは、キッズ、ファンクラス、そして日本選手権の3カテゴリーで開催された。
キッズはSS専用バイクを用意しなくとも変速レバーを固定してのシングルスピード化で参加OKとなり、子供達も、機材を用意する親も気軽に楽しむことができた。

ファンクラスのスタート。音楽が鳴っている間はグルグル回って止まればスタート ファンクラスのスタート。音楽が鳴っている間はグルグル回って止まればスタート  (c)Akihiro.Nakao忍者の仮装で親子で参戦忍者の仮装で親子で参戦 (c)Akihiro.Nakao


今回SSJのコースとなった「26ismあさぎりトレイル」は、このコースを管理する地元ボランティアスタッフのもと入念にトレイルが造成されているMTBトレールだ。
ライダーからは「走って面白い」と多くの声が聞かれ評価が高かった。SSJ用にコースは延長されて、登りのシングルトラックと平地区間が混ざるので、シングルスピードではギア比の選択が難しかった。

日本選手権スタート日本選手権スタート (c)Akihiro.Nakao応援にも力がはいります応援にも力がはいります (c)Akihiro.Nakao


ファンレースは普通のレースジャージで出場するよりも、やはり仮装するのがなかばマストになっている!
女装も多いが、宇宙戦艦ヤマトのデスラー総統から茄子の被り物(後ろには石仮面つき)、ボディペインとを施したアフリカンと手の込んだ参加者ばかり。

ポールガールでセクシーライドの佐野光宏ポールガールでセクシーライドの佐野光宏 (c)Akihiro.Nakaoムックがコーナーを攻める!ムックがコーナーを攻める! (c)Akihiro.Nakao


スタートは「グルグルスタート」と名付けられた独自のシステムで、音楽がかかっている間はブース周辺をグルグル回りながら、ミュージックが止まれば本コースへスタートする仕組み。運が悪いと最後尾スタートとなってしまう「椅子取りゲーム」みたいな感じだ。

ファンライドは約70名が走り、シングルトラックでは選手の間近で応援しつつ、仮装ライダーのおかしな姿を見て笑う方が楽しい。走っていて辛くなってきたら、SSJ名物「ビールショートカット」の出番だ。

SSJ名物ビールショートカットSSJ名物ビールショートカット (c)Akihiro.Nakaoビールショートカットは如何に速く飲むかがポイントビールショートカットは如何に速く飲むかがポイント (c)Akihiro.Nakao


これはレース中一回だけノンアルコールのビールが用意されたポイントに立ち寄ることを条件にショートカットができるシステム。ビールは飲み干すことが条件だ。
今回のコースレイアウトは大幅にショートカットできるので、参加者は利用したものの胃が炭酸で膨らむので、後々の走りの影響に左右されないようにするのがポイントだ。

3周回のファンクラスレースで優勝したのは、山尾優太郎。最初から最後までトップを譲らずにゴール。

ファンクラス優勝の山尾優太郎ファンクラス優勝の山尾優太郎 (c)Akihiro.Nakaoキッズのゴールはスプリント勝負キッズのゴールはスプリント勝負 (c)Akihiro.Nakao


世界チャンプのガースが来日・出場した日本選手権

独走で逃げ切った丸山厚独走で逃げ切った丸山厚 (c)Akihiro.Nakao
日本選手権には、2010年SSWC(シングルスピードワールドカップ)の世界王者ガース・ワインバーグ(ニュージーランド)が参戦した。
前回の2012年SSJチャンプである小笠原崇裕、シクロクロス世界選代表になったこともある丸山厚、先日のJシリーズ朽木で3位となった千田尚孝、ロードレース、シクロクロス、MTBで日本を代表する選手として活躍した大原満、ミスター29erの堂城賢といった豪華メンバーが集まり、ハイレベルな戦いを予感させた。

世界の平和を守るため日々自転車に乗る?千田尚孝世界の平和を守るため日々自転車に乗る?千田尚孝 (c)Akihiro.Nakaoいぶし銀の走りの大原満が4位にいぶし銀の走りの大原満が4位に (c)Akihiro.Nakao


といっても仮装ライダーたちの過激なスタイルでもヒートアップ。世界チャンプのガースでさえ赤いタイツにマントを翻して登場、「SSJは仮装が正装だ!」と言わんばかりにアピール!

約70名による5周回のレース。グルグルスタートではいきなりガースがコースの奥からスタートする不利な状況に。小笠原は整備ミスによるチェーントラブルで何度もストップを強いられるというアクシデントで大きく遅れてしまう。

やまめ工房の生徒の前で負けられない堂城賢やまめ工房の生徒の前で負けられない堂城賢 (c)Akihiro.Nakao初音ミクさんはママチャリで走る!初音ミクさんはママチャリで走る! (c)Akihiro.Nakao


シングルトラックに入ると丸山がシクロクロスバイクを華麗に操り、後続を大きく引きなす。ガースが2番手に上がり懸命に追い、後ろにはミドレンジャー?(戦隊物)のコスプレで走る千田が続く。
ガースは遅れたもののチャンピオンらしいパワフルな走りを披露して、観客からは「さすがに速い!」の声が上がる。

スクール水着が正装の川村誠スクール水着が正装の川村誠 (c)Akihiro.NakaoCW編集長・綾野も日本選手権を最後まで走りきりましたCW編集長・綾野も日本選手権を最後まで走りきりました (c)Akihiro.Nakao


ゴールでは丸山が48分29秒と2位のガースに2分の差をつけて、第三代SSJチャンプに輝いた。レギュレーション上はシングルスピードでありさえすればバイクの種類やホイール径は問わないので、シクロクロスレーサーがシングルスピードMTB Japan Openを制することになった。

第3回SSJを制した丸山厚第3回SSJを制した丸山厚 (c)Akihiro.Nakao2位となった2010年SSWCワールドチャンピオンのガース・ワインバーグ2位となった2010年SSWCワールドチャンピオンのガース・ワインバーグ (c)Akihiro.Nakao


日本選手権表彰式日本選手権表彰式 (c)Akihiro.Nakao
丸山はレースを振り返って言う「シングルスピードレースに初めて出場して、やはりギアのセッティングに悩んで他の選手の様子を見ながら、軽いのか重いのかどれがベストが最後まで不安でした。自分はロードトレーニングで高回転で走るトレーニングをしているので、平地より登りでちょうどいいようにしてスピードを落とさないようにしました。ギアは前39の後ろ23です。レースはシクロやロードと違ってアットホームな感じで凄く楽しい!」。

ゴール後は選手が称えあったり悪ふざけしたりと、とにかくSSJの最大の魅力「大人の遊び」心が満喫できたレースだった。

ファンクラス表彰式ファンクラス表彰式 (c)Akihiro.Nakaoリザルト
日本選手権

1位 丸山 厚
2位 ガース・ワインバーグ
3位 千田尚孝
4位 大原 満
5位 堂城 賢
6位 川村 誠
7位 一森広大
8位 山岸佑輔
9位 池森豊繁
10位 横山一憲

ベストパフォーマンス賞表彰式ベストパフォーマンス賞表彰式 (c)Akihiro.Nakaoファンクラス
1位 山尾優太郎
2位 越野 章
3位 高木基広
4位 蛭子裕樹
5位 薮内靖弘


photo&text:Akihiro.Nakao