2013/05/09(木) - 16:09
岩をくりぬいて作られたサッシ(洞窟住居)がひしめく街マテーラ。残念ながら、現実的に、ジロ・デ・イタリアはマテーラの新市街地を走ったため、サッシとプロトンの共演はならなかった。雷鳴が頭上で鳴り響き、真っ黒な空に稲妻が斜めに走る。
スタート前に足裏をマッサージするラファエル・アンドリアート(ブラジル、ヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
マリアローザ仕様のルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)のキャニオン photo:Kei Tsuji
突如クリスティアン・クネース(ドイツ、スカイプロサイクリング)のクランク交換が始まる photo:Kei Tsuji
前日の第4ステージと同様に、海岸線は晴れで、内陸に入ると雨が降るというパターン。前日はシトシト雨だったが、この日は土砂降りだ。早めにゴール地点マテーラに着いたフォトグラファー曰く、あまりの激しい雨に、街全体が洪水で流されるんじゃないかと思ったという。局地的な雨がマテーラの街を襲った。
自分はと言うと、マテーラと渓谷を挟んで反対側にある展望台に脚を伸ばしたものの、あまりの激しい雨で車から出れなかった。意を決して街全体を撮影出来るスポットまで歩こうと思ったが、落雷の恐れがあるとして警備員に止められた。
晴れ間と豪雨の境目にマテーラの街が佇む photo:Kei Tsuji
2019年の欧州文化首都の候補地に名乗りを上げているマテーラ。長靴(イタリア半島)の土踏まずに位置するバジリカータ州の中で最も有名な観光地であり、丘の斜面をくりぬいて作られた「サッシ(岩を意味するサッソの複数形)」と呼ばれる洞窟住居群がユネスコ世界遺産に指定されている。それらの多くは廃墟と化しているが、1993年の世界遺産登録以降、洞窟を利用したホテルやレストランがオープンし、観光地化が進んだ。
マテーラがジロ・デ・イタリアに登場するのは2003年以来10年ぶり。現在BMCレーシングチームのチームカーのハンドルを握る(めちゃくちゃ運転が速い)ファビオ・バルダート監督がマテーラのゴールで勝利している。
ゴールのマテーラの街に向けて登りを進むプロトン photo:Riccardo Scanferla
局所的に強い雨が降る photo:Kei Tsuji
「登りで遅れるスプリンターも出てくるだろう。登れているスプリンターと登れていないスプリンターにハッキリ分けられると思う」。そんなエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)の言葉が的中し、ゴール20km手前の4級山岳モンテスカリオーゾでマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が遅れた。
昨年まではカテゴリー山岳はチーマコッピ、1級、2級、3級の4種類だったが、今年からそこに4級が追加された。それだけに、多くのスプリンターがこの4級山岳を甘く見ていたに違いない。
「想像よりもずっと急勾配で、ポジション争いも始まっていたので、集団では激しい闘いが繰り広げられていた(カタルド)」「想像していたよりもずっと厳しかった(パオリーニ)」。平均勾配が10%近く、頂上にかけて勾配が13%ほどまで上昇するこの4級山岳の登りは、どの選手にとっても予想以上に厳しいものだったらしい。
先行するマルコ・カノーラ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)にジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が迫る photo:Kei Tsuji
落車痕が痛々しいカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) photo:Kei Tsuji
遅れてゴールしたジ・チェン(中国、アルゴス・シマノ)がステージ上のデゲンコルブを祝福 photo:Kei Tsuji
惜しくも逃げ切り勝利を逃したマルコ・カノーラ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス) photo:Kei Tsuji
マテーラにレースが到着する頃には雨が上がり、雲の隙間から太陽の日射しが降り注ぐ。しかし路面は完全に濡れている。洪水のような雨が運んだ土砂がコース上に堆積している。一瞬たりとも気が抜けないナーバスなステージが続く。
スプリンターのジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が狂喜乱舞しながら先頭でフィニッシュラインを駆け抜けたが、落車によって完全に集団が割れたため、スプリントフィニッシュとは呼べない。ジロ開幕から5日が経過してもなお、まだ本格的な集団スプリントは見られていない。
デゲンコルブが両手を挙げるその後ろで、ステージ3位に入ったポール・マルテンス(ドイツ、ブランコプロサイクリング)が笑顔で祝福しているのが印象的だった。デゲンコルブとマルテンスは6歳離れているが、ドイツ出身で、オランダチームに所属するという境遇は同じだ。
第6ステージこそ大集団のゴールスプリントになるか?今大会最も難易度が低く、今のところ天気が崩れるという予報は出ていない。最後はイタリア最大の塩田を通る16.6kmのフラット周回を2周してゴール。今度こそ、今度こそとスプリンターたちは息を荒らげているはずだ。
マテーラの空にピンクの紙吹雪が舞う photo:Kei Tsuji
text&photo:Kei Tsuji in Matera, Italy
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前日の第4ステージと同様に、海岸線は晴れで、内陸に入ると雨が降るというパターン。前日はシトシト雨だったが、この日は土砂降りだ。早めにゴール地点マテーラに着いたフォトグラファー曰く、あまりの激しい雨に、街全体が洪水で流されるんじゃないかと思ったという。局地的な雨がマテーラの街を襲った。
自分はと言うと、マテーラと渓谷を挟んで反対側にある展望台に脚を伸ばしたものの、あまりの激しい雨で車から出れなかった。意を決して街全体を撮影出来るスポットまで歩こうと思ったが、落雷の恐れがあるとして警備員に止められた。
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2019年の欧州文化首都の候補地に名乗りを上げているマテーラ。長靴(イタリア半島)の土踏まずに位置するバジリカータ州の中で最も有名な観光地であり、丘の斜面をくりぬいて作られた「サッシ(岩を意味するサッソの複数形)」と呼ばれる洞窟住居群がユネスコ世界遺産に指定されている。それらの多くは廃墟と化しているが、1993年の世界遺産登録以降、洞窟を利用したホテルやレストランがオープンし、観光地化が進んだ。
マテーラがジロ・デ・イタリアに登場するのは2003年以来10年ぶり。現在BMCレーシングチームのチームカーのハンドルを握る(めちゃくちゃ運転が速い)ファビオ・バルダート監督がマテーラのゴールで勝利している。
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昨年まではカテゴリー山岳はチーマコッピ、1級、2級、3級の4種類だったが、今年からそこに4級が追加された。それだけに、多くのスプリンターがこの4級山岳を甘く見ていたに違いない。
「想像よりもずっと急勾配で、ポジション争いも始まっていたので、集団では激しい闘いが繰り広げられていた(カタルド)」「想像していたよりもずっと厳しかった(パオリーニ)」。平均勾配が10%近く、頂上にかけて勾配が13%ほどまで上昇するこの4級山岳の登りは、どの選手にとっても予想以上に厳しいものだったらしい。
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マテーラにレースが到着する頃には雨が上がり、雲の隙間から太陽の日射しが降り注ぐ。しかし路面は完全に濡れている。洪水のような雨が運んだ土砂がコース上に堆積している。一瞬たりとも気が抜けないナーバスなステージが続く。
スプリンターのジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が狂喜乱舞しながら先頭でフィニッシュラインを駆け抜けたが、落車によって完全に集団が割れたため、スプリントフィニッシュとは呼べない。ジロ開幕から5日が経過してもなお、まだ本格的な集団スプリントは見られていない。
デゲンコルブが両手を挙げるその後ろで、ステージ3位に入ったポール・マルテンス(ドイツ、ブランコプロサイクリング)が笑顔で祝福しているのが印象的だった。デゲンコルブとマルテンスは6歳離れているが、ドイツ出身で、オランダチームに所属するという境遇は同じだ。
第6ステージこそ大集団のゴールスプリントになるか?今大会最も難易度が低く、今のところ天気が崩れるという予報は出ていない。最後はイタリア最大の塩田を通る16.6kmのフラット周回を2周してゴール。今度こそ、今度こそとスプリンターたちは息を荒らげているはずだ。
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text&photo:Kei Tsuji in Matera, Italy
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