2013/05/06(月) - 12:21
第2ステージはイスキア島でのチームタイムトライアル。17.4kmのテクニカルコースで22分05秒のトップタイムをマークしたのはスカイプロサイクリング。マリアローザはウィギンズでなく若手サルヴァトーレ・プッチォ(イタリア)の手に。
日除けの下でウォームアップするスカイプロサイクリング photo:Kei Tsuji
54年ぶりのジロ・デ・イタリアを暖かく迎えるイスキア島 photo:Kei Tsujiナポリで開幕したジロはフェリーで小1時間の沖合の島イスキア島に渡った。小豆島の1/3、伊豆大島の1/2ほどの大きさのこの美しい島で早くも総合成績に響くチームタイムトライアルが用意された。
ステージ2位・9秒差 モビスター photo:Kei TsujiコースはチームTTとしては短い17.4km。起伏に富んだ島の北側の海岸線にコースは設定された。
イスキアの街をスタートするとすぐに標高100mの登りが始まり、その後もアップダウンとワインディングを繰り返しながらフォリオの港へ。大きく4つの上りがあり、非常にテクニカルなコースだ。
前日より気温が下がり、過ごしやすくなったなか第1スタートを切ったチームはコロンビア。昨ステージの下位チームから3分間隔でスタートを切っていく。
悪路の目立ったナポリに比べ、ジロのために舗装を改善したイスキア島のコースの路面は非常にコンディションが良い。
注目のブランコプロサイクリング、スカイプロサイクリングが早いスタート順でコースに出るなか、コロンビアのフィニッシュタイムは23分1秒。
ニーバリ率いるアスタナは3位のタイムでチームタイムトライアルを終えた (c)CorVosそして7.9km地点の中間計測タイムにおいてスカイのマークした10分12秒の好タイムが後続スタートチームの目標となる。
チームスカイは序盤にメカトラに見舞われたダニー・ペイトを待つというタイムロスがあった。そして後半は5人のメンバーでゴールに向かう。ブランコを28秒上回る22分08秒のタイムでフィニッシュ。このタイムを結果的にはどのチームも上回れなかった。
レースが進むにつれ、中間地点を越えて5人までに早めに5人になるチームが目立つようになる。5人目の選手のタイムがチームの結果となるこの種目において、メンバーを最低人数に減らすのは大きなリスクだ。
続々スタートのチームライムトライアルにおいて、情報が蓄積される後続のチームほど有利になるものだが、この難コースはそれを上回るほど攻略の難しいコースだったようだ。平坦路の得意なチームが必ずしも速いと限らないという結果から、波乱のTTTとなる気配に。
アップダウン&テクニカルなTTコースを走るスカイプロサイクリング (c)RCS Sports
ステージ4位・19秒差 カチューシャ photo:Kei Tsujiモビスターは中間計測タイムでスカイのタイムを2秒上回る驚きのタイムを叩きだした。しかも人数を8人残したが、ゴールタイムはスカイに遅れること9秒。後半区間でスカイに対して11秒を失う結果となったが、しかし暫定2位の好タイムは結果的には最後まで2位のままキープできた。
ステージ5位・22秒差 ヴィーニファンティーニ photo:Kei Tsujiランプレとエウスカルテルも早めに5人になる。ランプレは中間タイムで好タイムをマークするものの登りでその5人目の選手が遅れそうになり、待つ場面が見られた。
そしてエウスカルテルはゴール前で前日アタックしたメストレがひとり遅れ、スローダウンした4人からも大きく遅れてゴールするという痛恨のミスを犯した。
タイムトライアルの得意な選手を多く集めたガーミン・シャープは期待が大きかったが、中間タイムでスカイの10秒遅れ。6人でフィニッシュするも暫定6位の不本意なタイムに終わる。
アスタナは中間計測点で5位のタイム。結果的にはスカイに14秒遅れの3位でフィニッシュした。
ステージ6位・22秒差 ランプレ・メリダ photo:Kei Tsuji登りとTTの両方に長けたカデル・エヴァンスとテイラー・フィニーを揃えたBMCレーシングは意外にもタイムが振るわず、スカイから32秒遅れの12位のタイム。ガーミン以上に失望の大きな結果となった。
マリアローザのカヴェンディッシュ擁する最終スタートチームのオメガファーマ・クイックステップは中間計測でスカイの10秒遅れで通過。メンバーを8人に保ちゴールへと向かい、スカイの48秒遅れでフィニッシュ。結果的には17位のタイムで、この瞬間チームスカイの優勝と、カヴェンディッシュがマリアローザを失うことが決まった。
ステージ7位・25秒差 ガーミン・シャープ photo:Kei Tsujiスカイはダリオ・カタルドを先頭にゴールしたが、落車の影響があった昨ステージの着順結果から23歳の若手選手サルヴァトーレ・プッチォ(イタリア)がマリアローザを着ることとなった。
総合争いの有力選手の争いのなかでは、優勝候補のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイ)がライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)に25秒差を、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、キャノンデール)に11秒差をつけるかたちになった。
ブランコプロサイクリングは8位のタイム (c)CorVosプッチォは2011年のロンド・ファン・フラーンデレンU23レースで優勝し、2012年にスカイプロサイクリングでプロデビューした23歳の若手選手。
「今日は信じられない結果となった。とても驚いているよ。今朝はマリア・ローザを着ることになるなんて、とても想像していなかった。信じられない。
今一度チームは僕らがどんなに強いかを証明した。みんなが大きな希望を持っているし、こんなリザルトを出すことができたチームの一員としていることができて最高に嬉しいよ。イタリア人レーサーにとってマリア・ローザを着ることは、他の何にも優ることなんだ」と喜びを語る。
スカイは勝利という結果を出しながら、絶対リーダーのウィギンズにマリアローザのプレッシャーが生じないという最高のかたちで明日からのレースを進めることができる。
ステージ優勝を飾ったスカイプロサイクリング photo:Riccardo Scanferla
マリアローザを獲得したサルヴァトーレ・プッチォ(イタリア、スカイプロサイクリング) photo:Riccardo Scanferla
ジロ・デ・イタリア2013第2ステージ結果
1位 スカイプロサイクリング 22'05"
2位 モビスター +09"
3位 アスタナ +14"
4位 カチューシャ +19"
5位 ヴィーニファンティーニ +22"
6位 ランプレ・メリダ +22"
7位 ガーミン・シャープ +25"
8位 ブランコプロサイクリング +28"
9位 オリカ・グリーンエッジ +28"
10位 ヴァカンソレイユ・DCM +34"
11位 キャノンデールプロサイクリング +35"
12位 BMCレーシングチーム +37"
13位 バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス +41"
14位 レディオシャック・レオパード +43"
15位 サクソ・ティンコフ +43"
16位 アンドローニジョカトリ +46"
17位 オメガファーマ・クイックステップ +48"
18位 アージェードゥーゼル +50"
19位 FDJ +55"
20位 コロンビア +56"
21位 ロット・ベリソル +1’00”
22位 エウスカルテル・エウスカディ +1’01”
23位 アルゴス・シマノ +1’13”
個人総合(マリアローザ)
1位 サルヴァトーレ・プッチォ(イタリア、スカイプロサイクリング) 3h’20”43
2位 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)
3位 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、スカイ プロサイクリング)
4位 ダリオ・カタルド(イタリア、スカイプロサイクリング)
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)
6位 ベニャト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +”9
7位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)+”9
8位 ホセ・エラダ(スペイン、モビスター) +”9
9位 アレックス・ドーセット(イギリス、モビスター) +”9
10位 エロス・カペッキ(イタリア、モビスター) +”9
ポイント賞(マリアロッソ・パッショーネ)
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)
山岳賞(マリアアッズーラ)
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)
新人賞(マイヨブラン)
サルヴァトーレ・プッチォ(イタリア、スカイプロサイクリング)
チーム総合
スカイ プロサイクリング
photo:Kei.TSUJI,CorVos,RCS Sports
text:Makoto.AYANO



イスキアの街をスタートするとすぐに標高100mの登りが始まり、その後もアップダウンとワインディングを繰り返しながらフォリオの港へ。大きく4つの上りがあり、非常にテクニカルなコースだ。
前日より気温が下がり、過ごしやすくなったなか第1スタートを切ったチームはコロンビア。昨ステージの下位チームから3分間隔でスタートを切っていく。
悪路の目立ったナポリに比べ、ジロのために舗装を改善したイスキア島のコースの路面は非常にコンディションが良い。
注目のブランコプロサイクリング、スカイプロサイクリングが早いスタート順でコースに出るなか、コロンビアのフィニッシュタイムは23分1秒。

チームスカイは序盤にメカトラに見舞われたダニー・ペイトを待つというタイムロスがあった。そして後半は5人のメンバーでゴールに向かう。ブランコを28秒上回る22分08秒のタイムでフィニッシュ。このタイムを結果的にはどのチームも上回れなかった。
レースが進むにつれ、中間地点を越えて5人までに早めに5人になるチームが目立つようになる。5人目の選手のタイムがチームの結果となるこの種目において、メンバーを最低人数に減らすのは大きなリスクだ。
続々スタートのチームライムトライアルにおいて、情報が蓄積される後続のチームほど有利になるものだが、この難コースはそれを上回るほど攻略の難しいコースだったようだ。平坦路の得意なチームが必ずしも速いと限らないという結果から、波乱のTTTとなる気配に。



そしてエウスカルテルはゴール前で前日アタックしたメストレがひとり遅れ、スローダウンした4人からも大きく遅れてゴールするという痛恨のミスを犯した。
タイムトライアルの得意な選手を多く集めたガーミン・シャープは期待が大きかったが、中間タイムでスカイの10秒遅れ。6人でフィニッシュするも暫定6位の不本意なタイムに終わる。
アスタナは中間計測点で5位のタイム。結果的にはスカイに14秒遅れの3位でフィニッシュした。

マリアローザのカヴェンディッシュ擁する最終スタートチームのオメガファーマ・クイックステップは中間計測でスカイの10秒遅れで通過。メンバーを8人に保ちゴールへと向かい、スカイの48秒遅れでフィニッシュ。結果的には17位のタイムで、この瞬間チームスカイの優勝と、カヴェンディッシュがマリアローザを失うことが決まった。

総合争いの有力選手の争いのなかでは、優勝候補のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイ)がライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)に25秒差を、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、キャノンデール)に11秒差をつけるかたちになった。

「今日は信じられない結果となった。とても驚いているよ。今朝はマリア・ローザを着ることになるなんて、とても想像していなかった。信じられない。
今一度チームは僕らがどんなに強いかを証明した。みんなが大きな希望を持っているし、こんなリザルトを出すことができたチームの一員としていることができて最高に嬉しいよ。イタリア人レーサーにとってマリア・ローザを着ることは、他の何にも優ることなんだ」と喜びを語る。
スカイは勝利という結果を出しながら、絶対リーダーのウィギンズにマリアローザのプレッシャーが生じないという最高のかたちで明日からのレースを進めることができる。


ジロ・デ・イタリア2013第2ステージ結果
1位 スカイプロサイクリング 22'05"
2位 モビスター +09"
3位 アスタナ +14"
4位 カチューシャ +19"
5位 ヴィーニファンティーニ +22"
6位 ランプレ・メリダ +22"
7位 ガーミン・シャープ +25"
8位 ブランコプロサイクリング +28"
9位 オリカ・グリーンエッジ +28"
10位 ヴァカンソレイユ・DCM +34"
11位 キャノンデールプロサイクリング +35"
12位 BMCレーシングチーム +37"
13位 バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス +41"
14位 レディオシャック・レオパード +43"
15位 サクソ・ティンコフ +43"
16位 アンドローニジョカトリ +46"
17位 オメガファーマ・クイックステップ +48"
18位 アージェードゥーゼル +50"
19位 FDJ +55"
20位 コロンビア +56"
21位 ロット・ベリソル +1’00”
22位 エウスカルテル・エウスカディ +1’01”
23位 アルゴス・シマノ +1’13”
個人総合(マリアローザ)
1位 サルヴァトーレ・プッチォ(イタリア、スカイプロサイクリング) 3h’20”43
2位 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)
3位 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、スカイ プロサイクリング)
4位 ダリオ・カタルド(イタリア、スカイプロサイクリング)
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)
6位 ベニャト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +”9
7位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)+”9
8位 ホセ・エラダ(スペイン、モビスター) +”9
9位 アレックス・ドーセット(イギリス、モビスター) +”9
10位 エロス・カペッキ(イタリア、モビスター) +”9
ポイント賞(マリアロッソ・パッショーネ)
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)
山岳賞(マリアアッズーラ)
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)
新人賞(マイヨブラン)
サルヴァトーレ・プッチォ(イタリア、スカイプロサイクリング)
チーム総合
スカイ プロサイクリング
photo:Kei.TSUJI,CorVos,RCS Sports
text:Makoto.AYANO
フォトギャラリー
Amazon.co.jp