40分のヒルクライムで2位に2分39秒もの大差をつけたのは、チーム右京に2日前に登録されたホセビセント・トリビオ。昨年までプロコンのアンダルシアに所属し、ブエルタを3度完走したスペイン人だ。

3km地点、ホセビセント・トリビオ(チーム右京)がアタック3km地点、ホセビセント・トリビオ(チーム右京)がアタック photo:Hideaki TAKAGI
4月14日(日)に行われた今年の実業団Jプロツアー開幕戦は、伊吹山ドライブウェイヒルクライム。岐阜県不破郡関ヶ原町にある伊吹山ドライブウェイヒルクライムコースは15kmで1035mを登る。一様に上るのでなく、平坦からやや下りになる区間が2箇所ある。前回2010年に平塚吉光が優勝したときは、積雪のため12km地点までのレースだったが、今年はドライブウェイ終点までのフルコース。

市民エキスパートは森正(宮川医療少年院デュアスロンクラブ)が44分32秒で優勝
市民レース エキスパート 優勝の森正(宮川医療少年院デュアスロンクラブ)市民レース エキスパート 優勝の森正(宮川医療少年院デュアスロンクラブ) photo:Hideaki TAKAGI
午前中は約2900人が参加の市民レースが行われた。エキスパートクラスではヒルクライムの第一人者、森正(宮川医療少年院デュアスロンクラブ)が中盤から独走し、44分32秒で優勝。森は「シーズン最初のヒルクライムなので嬉しい。一人になってからも追い込もうと走った。あとにあるP1のタイムを見て、今後の走りの目標にすると思う。今年はシリーズ戦、特に乗鞍で勝ちたい」と語る。

強豪を揃えるチーム右京
2日前にチーム加入のホセビセント・トリビオ(チーム右京)2日前にチーム加入のホセビセント・トリビオ(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGI
実業団レースは昼から。暖かささえ感じられるスタート地点では土井雪広(チーム右京)が注目を浴びる。メンバーの半分が変わった宇都宮ブリッツェンとともに最前列に両チームは位置する。今年から活動開始の那須ブラーゼンのジャージも青空に映える。

序盤は単発のアタックが続く。大場政登志(キャノンデール・チャンピオンシステム)、続いて栂尾大知(シエルヴォ奈良MERIDAサイクリングチーム)がアタック。さらに澤田賢匠(キャノンデール・チャンピオンシステム)、伊藤雅和(愛三デベロップメントチームU-26)が先頭に立つ。
序盤、土井雪広(チーム右京)らが前に序盤、土井雪広(チーム右京)らが前に photo:Hideaki TAKAGI
3km地点でトリビオが独走開始

ここからペースを上げるのは土井。これを飯野智行(宇都宮ブリッツェン)がトリビオを引き連れて追走。土井に追いついたタイミングでトリビオがカーブのインをついてアタック。この1回のアタックが決まって、トリビオはゴールまで独走することに。この時点でまだ3km地点。
12km地点、市民クラス選手の応援を受ける2位グループ12km地点、市民クラス選手の応援を受ける2位グループ photo:Hideaki TAKAGI
トリビオはあたかも平地のようなスピードで走り、後続との差をすぐに30秒、そして1分へと広げていく。基本インナーだが、勾配の緩くなる区間ではアウターギアにして腰を浮かしてもがく。上りも速いが、特に緩斜面や平坦区間での速さが特徴的な走りだった。
独走するホセビセント・トリビオ(チーム右京)独走するホセビセント・トリビオ(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGI
後続のメイン集団は圧倒的な速さのトリビオを追うことよりも、早くも2位争いにシフトする。序盤は土井や狩野智也らチーム右京勢がペースメイクし、やがて飯野も先頭に出る。多くの市民レーサーが応援する12km地点を過ぎてからは土井がアタックする。

2位には飯野が入る

土井は差を広げ独走するが後続が追い上げ終盤までに吸収する。先頭独走のトリビオはペースを落とさず大差でゴール。2位争いはゴール前で土井をかわした飯野が制した。
2位の飯野は「日本人で1位を取れたが、とにかく1位の選手が強すぎた」と自身に一定の評価をしたが完敗を認める。飯野にとって新たな目標ができただろう。

優勝したトリビオは2日前にチーム登録したスペイン人選手。1985年12月生まれの27歳。プロ4年目で、過去3年間のブエルタはいずれも完走。プロコンチネンタルチームのアンダルシアに所属したが、チームの存続が難しくなり、活路を日本のチームに求めて移籍してきた。
P1表彰P1表彰 photo:Hideaki TAKAGI
女子は金子広美(イナーメ信濃山形-EFT)がスタート後から独走、51分29秒のタイムで優勝。2日前にツアー・オブ・タイランドから帰国したばかりだったが疲れを見せない快走ぶり。金子は「タイで逃げグループにいたのに実質その最下位の4位でゴール。それがとても悔しくて今日は精神的にも追い込む走りをした」と語る。

F 表彰F 表彰 photo:Hideaki TAKAGI
結果
P1 15km
1位 ホセビセント・トリビオ(チーム右京)40分01秒
2位 飯野智行(宇都宮ブリッツェン)+2分39秒
3位 土井雪広(チーム右京)+2分43秒
4位 狩野智也(チーム右京)+2分48秒
5位 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)+3分07秒
6位 山本和弘(キャノンデール・チャンピオンシステム)+3分11秒
7位 伊藤雅和(愛三デベロップメントチームU-26)+3分21秒
8位 永良大誠(マトリックスパワータグ)+3分35秒
9位 高岡亮寛(イナーメ信濃山形)+3分40秒
10位 阿部嵩之(チーム右京)+3分50秒
E1 表彰E1 表彰 photo:Hideaki TAKAGI
Jプロツアーリーダー ホセビセント・トリビオ(チーム右京)
U23リーダー 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)

F 15km
1位 金子広美(イナーメ信濃山形-EFT)51分29秒
2位 前田愛(TEAM SANREMO)+7分20秒
3位 吉川美穂(Team ASAHI)+9分24秒
E2 表彰E2 表彰 photo:Hideaki TAKAGI
Jフェミニンリーダー 吉川美穂(Team ASAHI)

E1
1位 若松達人(GRUPPO ACQUA TAMA)43分52秒
2位 松村和浩(Tyrell Kagawa Racing)+42秒
3位 田端伸行(SPACE ZEROPOINT)+1分22秒
4位 若狭智代秀(チーム・アヴェル)+1分47秒
5位 足立智弘(クラブGiro)+1分52秒
6位 河合玄太(リベルタスTOCHIGI BICYCLE CLUB)+1分55秒

Jエリートツアーリーダー 今井雄輝(EURO-WORKS Racing)
E3 表彰E3 表彰 photo:Hideaki TAKAGI
E2
1位 岩波宏尚(たかだフレンドレーシング)46分34秒
2位 秋本光隆(MAX SPEED 97 GOKISO)+02秒
3位 村瀬達也(クラブシルベスト)+26秒
4位 田中信行(ZIPPY CYCLE CLUB)+1分30秒
5位 近藤光明(ユニヴェール)+1分58秒
6位 鵜沢佑也(イナーメ信濃山形-EFT)+2分04秒

E3
1位 鈴木亮(Team UKYO Reve)45分29秒
2位 佐々木優也(Team UKYO Reve)+56秒
3位 小清水拓也(東海大学)+58秒
4位 真嶋伸一郎(チーム・ケンズ)+1分19秒
5位 吹田大地(TEAM SANREMO)+2分14秒
6位 渡辺友一(HIRAKO.mode)+2分39秒

photo&text:高木秀彰

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