2013/04/07(日) - 18:12
4月6日、ブエルタ・アル・パイスバスコ(UCIワールドツアー)最終ステージでサプライズが起こった。起伏ある24kmコースで行なわれた個人タイムトライアル。世界チャンピオンのトップタイムに肉薄する走りを見せたナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)が、スカイプロサイクリング勢を抑えて逆転総合優勝に輝いた。
前日の第5ステージを終えた時点で、首位はエナオモントーヤ。6秒差でクインターナとポルト、10秒差でコンタドールとスピラックが続くという接近した状態が続いていた。
総合上位陣の走りを待つ中、前半スタートのトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)がトップタイムをマークしてみせる。最後までトップタイムを守り抜いた世界チャンピオンが、ヴォルタ・アン・アルガルヴェとティレーノ〜アドリアティコに続く今シーズン3度目のTT制覇を果たした。
12%の登りを含むアップダウンコースでマルティンがマークしたタイムは35分05秒。雨によってコースが濡れていたため、平均スピードは伸びずに41.0km/h。
総合争いにおいて有利なポジションにつけていると目されていたコンタドールは36分12秒というまずまずのタイムでゴール。クリテリウム・アンテルナシオナルの個人TTで優勝しているポルトも同様にタイムを伸ばせず、35分45秒に終わる。総合2位につけていたクインターナが、コンタドールやポルト、そして最終走者エナオモントーヤの中間計測タイムを大きく更新した。
白いポイント賞ジャージを着て走ったクインターナは、マルティンのトップタイムから17秒遅れの35分22秒でフィニッシュ。なんとポルトを23秒、エナオモントーヤを40秒、コンタドールを50秒上回る走りで、総合逆転を果たした。
「想像していたよりずっと良い走りが出来た!」と、ポルトとエナオモントーヤを従えて表彰台のてっぺんに登ったクインターナ。「最終日に平坦と登りと下りが組み合わされた今日のコースは充分に僕向きだったと言える。前半に力を貯めて、後半に出し尽くす作戦が功を奏した。スリッピーな下りでは、何度か落車しそうなほどリスクを負ったよ」。
現在23歳のコロンビアンクライマーは、モビスターに移籍した2012年にブエルタ・ア・ムルシアとルート・ドゥ・スッドで総合優勝。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでは山岳ステージを制している。
総合3位の25歳エナオモントーヤや総合7位の23歳ベタンクールとともに、コロンビアの未来を担う存在になることは間違いない。「こんな大きなレースで総合優勝するなんて初めての経験。まだ自分自身若くて経験も浅いので、どこまで自分の力が伸びるのか自分でも分からない。とにかくこの大会でコロンビアの良いイメージを築けたことが嬉しいよ」。
カタルーニャ一周とバスク一周が終わり、UCIワールドツアー次戦は4月7日のパリ〜ルーベ。翌週にはアムステル・ゴールドレース、フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュが連続して開催され、4月23日にはスイスでツール・ド・ロマンディが開幕する。
選手コメントはモビスター公式サイトより。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2013第6ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) 35'05"
2位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) +17"
3位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +32"
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +40"
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +48"
6位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +51"
7位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +57"
8位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) +1'05"
9位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +1'06"
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) +1'07"
個人総合成績
1位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) 21h39'35"
2位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +23"
3位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +34"
4位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +35"
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) +54"
6位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +1'18"
7位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) +1'19"
8位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +1'57"
9位 ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +2'47"
10位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +2'56"
ポイント賞
ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
山岳賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
スプリント賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
モビスター
text:Kei Tsuji
photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com
前日の第5ステージを終えた時点で、首位はエナオモントーヤ。6秒差でクインターナとポルト、10秒差でコンタドールとスピラックが続くという接近した状態が続いていた。
総合上位陣の走りを待つ中、前半スタートのトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)がトップタイムをマークしてみせる。最後までトップタイムを守り抜いた世界チャンピオンが、ヴォルタ・アン・アルガルヴェとティレーノ〜アドリアティコに続く今シーズン3度目のTT制覇を果たした。
12%の登りを含むアップダウンコースでマルティンがマークしたタイムは35分05秒。雨によってコースが濡れていたため、平均スピードは伸びずに41.0km/h。
総合争いにおいて有利なポジションにつけていると目されていたコンタドールは36分12秒というまずまずのタイムでゴール。クリテリウム・アンテルナシオナルの個人TTで優勝しているポルトも同様にタイムを伸ばせず、35分45秒に終わる。総合2位につけていたクインターナが、コンタドールやポルト、そして最終走者エナオモントーヤの中間計測タイムを大きく更新した。
白いポイント賞ジャージを着て走ったクインターナは、マルティンのトップタイムから17秒遅れの35分22秒でフィニッシュ。なんとポルトを23秒、エナオモントーヤを40秒、コンタドールを50秒上回る走りで、総合逆転を果たした。
「想像していたよりずっと良い走りが出来た!」と、ポルトとエナオモントーヤを従えて表彰台のてっぺんに登ったクインターナ。「最終日に平坦と登りと下りが組み合わされた今日のコースは充分に僕向きだったと言える。前半に力を貯めて、後半に出し尽くす作戦が功を奏した。スリッピーな下りでは、何度か落車しそうなほどリスクを負ったよ」。
現在23歳のコロンビアンクライマーは、モビスターに移籍した2012年にブエルタ・ア・ムルシアとルート・ドゥ・スッドで総合優勝。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでは山岳ステージを制している。
総合3位の25歳エナオモントーヤや総合7位の23歳ベタンクールとともに、コロンビアの未来を担う存在になることは間違いない。「こんな大きなレースで総合優勝するなんて初めての経験。まだ自分自身若くて経験も浅いので、どこまで自分の力が伸びるのか自分でも分からない。とにかくこの大会でコロンビアの良いイメージを築けたことが嬉しいよ」。
カタルーニャ一周とバスク一周が終わり、UCIワールドツアー次戦は4月7日のパリ〜ルーベ。翌週にはアムステル・ゴールドレース、フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュが連続して開催され、4月23日にはスイスでツール・ド・ロマンディが開幕する。
選手コメントはモビスター公式サイトより。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2013第6ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) 35'05"
2位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) +17"
3位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +32"
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +40"
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +48"
6位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +51"
7位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +57"
8位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) +1'05"
9位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +1'06"
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) +1'07"
個人総合成績
1位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) 21h39'35"
2位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +23"
3位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +34"
4位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +35"
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) +54"
6位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +1'18"
7位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) +1'19"
8位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +1'57"
9位 ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +2'47"
10位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +2'56"
ポイント賞
ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
山岳賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
スプリント賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
モビスター
text:Kei Tsuji
photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com
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