ツール・ド・ランカウイ最終ステージ。クアラトレンガヌで繰り広げられた集団スプリントで、フランチェスコ・キッキがガッツポーズ。ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)が総合優勝に輝いた。

最終ステージに望むジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)最終ステージに望むジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ) photo:Sonoko.Tanakaスタート前にリラックスするチームNIPPO・デローザスタート前にリラックスするチームNIPPO・デローザ photo:Sonoko.Tanaka


序盤に逃げる中島康晴(愛三工業レーシング)ら6名序盤に逃げる中島康晴(愛三工業レーシング)ら6名 photo:Sonoko.Tanaka2013年のツール・ド・ランカウイ最終ステージは、マレーシア北東部のタシクケニルをスタートし、沿岸部の街クアラトレンガヌへと至る123.6km。コースは序盤に丘陵地帯を越えるものの平坦基調で、終盤は街中に設けられたサーキットコースを駆け抜ける。

集団を率いる佐野淳哉 (ヴィーニファンティーニ)やチームNIPPO・デローザ集団を率いる佐野淳哉 (ヴィーニファンティーニ)やチームNIPPO・デローザ photo:Sonoko.Tanaka10日間に渡る長い戦いも、この日をもって幕。コース後半は完全にフラットなレイアウトとされ、ゴール地点では久しぶりに顔を出した太陽の下、最終ステージにふさわしい、激しく熱い集団スプリントが繰り広げられた。

この日のスタートは111名。リアルスタート直後から激しいアタックの応酬が展開され、その動きの中、やがて6名の選手が飛び出すことに成功した。

逃げたのはディエゴ・ローザ(イタリア、アンドローニジョカトリ)、メロン・ルッソム(エリトリア、MTNキュベカ・サムスン)、モハマドシャルル・マトアミン(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)、シーケオング・ロー(マレーシア、OCBCシンガポール)、モハマド・ミズバー(マレーシア、マレーシアナショナルチーム)と、中島康晴(愛三工業レーシングチーム)。

チャンスを生かしたい6名はペースを早めて先を急ぐものの、キッキを勝利に導きたいファルネーゼヴィーニが主導権を握るメイン集団はタイム差を2分ほどでキープ。レース最初の1時間の平均速度は43.5km/hをマークする。

トレンガヌに向けて進むメイン集団トレンガヌに向けて進むメイン集団 photo:Sonoko.Tanaka

横一線でスプリントが開始横一線でスプリントが開始 photo:Sonoko.Tanaka6名の逃げに対し、早いタイミングでの吸収を企てるメイン集団。対抗してペースを上げた先頭からは次々に選手が脱落し、最終的に残ったローザとミズバーもスタートから92km地点でメイン集団に飲み込まれた。

後続を大きく引き離したフランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)がステージ優勝後続を大きく引き離したフランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)がステージ優勝 photo:Sonoko.Tanakaスプリントに向けて活性化する集団からは、総合6位のネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)が第3スプリントポイントを先頭通過。これは総合で7秒先行しているワン・メイエン(中国、ハンシャンサイクリングチーム)に対する動きで、この時点で3秒タイムを稼ぐ。

周回コースに突入してからは、ヴィーニファンティーニやブランコプロサイクリングに加え、オマール・ベルタッツォ(イタリア)のためアンドローニジョカトリも集団前方に位置取り、激しいポジション争いを繰り広げていく。そしてペースが上がりきった状態のまま、10日間の最後を飾るスプリントが始まった。


そして最後、フィニッシュラインでガッツポーズを見せたのはキッキ。第4ステージに続く大会2勝目を挙げることに成功し、アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)が後方に沈んだことで、最終日にしてポイント賞首位の座を射止めた。

第10ステージ表彰第10ステージ表彰 photo:Sonoko.Tanakaチーム総合優勝に輝いたMTNキュベカ・サムスンチーム総合優勝に輝いたMTNキュベカ・サムスン photo:Sonoko.Tanaka


総合表彰台 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)が中央に立つ総合表彰台 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)が中央に立つ photo:Sonoko.Tanaka

「僕はこのレースの事が大好きになったよ!レースが始まった時にはステージ2勝とポイント賞を獲得できるなんて考えることが出来なかったんだ。素晴らしいチームに感謝したいよ」とコメントしたキッキ。チームを移籍したばかりのシーズン序盤に幸先の良いスタートを切った。

そしてチームメイトに守られてゴールしたアレドンドが総合優勝を達成。コロンビア生まれの若きクライマーがキャリア最大の勝利を手中に収めた。

最終ステージでポイント賞ジャージを獲得したフランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)最終ステージでポイント賞ジャージを獲得したフランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) photo:Sonoko.Tanaka山岳ジャージはワン・メイエン (中国、ハンシャンサイクリングチーム)が獲得山岳ジャージはワン・メイエン (中国、ハンシャンサイクリングチーム)が獲得 photo:Sonoko.Tanaka


またスプリントに絡んだ盛一大 (愛三工業レーシング)が9位に食い込んだものの、惜しくもUCIポイント獲得圏内の8位には届かず。しかし11位に入った福田真平(愛三工業レーシング)と共に、その存在感を見せつけた。


ツール・ド・ランカウイ2013第10ステージ結果
1位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)2h39′04″
2位 リコ・ロジャース(ニュージーランド、シナジー・バク サイクリングプロジェクト)
3位 グレーム・ブラウン(オーストラリア、ブランコプロサイクリング)
4位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 アンドリュー・フェン(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 アヌアル・マナン(マレーシア、シナジー・バク サイクリングプロジェクト)
7位 ファビアン・シュナイト(ドイツ、チャンピオンシステム)
8位 オマール・ベルタッツォ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
9位 盛一大 (愛三工業レーシング)
10位  ハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)
11位 福田真平 (愛三工業レーシング)
33位 伊藤雅和 (愛三工業レーシング)
38位 新城幸也 (ユーロップカー)
79位 福島晋一 (チームNIPPO・デローザ)+21″
99位 佐野淳哉 (ヴィーニファンティーニ)+4′52″
101位 中島康晴 (愛三工業レーシング)+6′35″
102位 石橋学 (チームNIPPO・デローザ)
107位 徳田鍛造 (チームNIPPO・デローザ)+9′21″
DNF 西谷泰治(愛三工業レーシング)

個人総合成績
1位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)34h53′07″
2位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ グリーンエッジ) +1′15″
3位 セルヒオ・バルディージャ(スペイン、MTNキュベカ) +2′10″
4位 ピーター・ステティーナ (アメリカ、ガーミン・シャープ) +2′32″
5位 ワン・メイエン(中国、ハンシャンサイクリングチーム) +2′40″
6位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +2′43″
7位 フォルッナート・バリアーニ (イタリア、チームNIPPO・デローザ)+2′49″
8位 ジョン・エブセン(デンマーク、シナジー・バク サイクリング) +2′55″
9位 ツガブ・グルメイ(エチオピア、MTNキュベカ・サムスン) +2′58″
10位 アミール・コラドザグ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル チーム)

ポイント賞
フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)

山岳賞
ワン・メイエン (中国、ハンシャンサイクリングチーム)

アジアンライダー総合成績
ワン・メイエン (中国、ハンシャンサイクリングチーム)

チーム総合成績
MTNキュベカ・サムスン


text:So.Isobe
photo:Sonoko.Tanaka

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