2012/08/26(日) - 08:34
スイスにあるBMC本社のラボで開発にあたったチーフエンジニア、ヨナス氏がプレゼンテーションでGF01のキーとなったテクノロジーを解説してくれた。
フォーク、シートステー、シートポストに採用されたTCC(チューンド・コンプライアンス・コンセプト)により、SLR01は剛性を失わずに理想的な振動・衝撃吸収性を確保しました。そしてこれがロードバイクのベンチマークになりました。
そこで我々は横方向の剛性に影響を与えずに縦方向のしなりを最適化するために、TCCに使われるカーボン繊維とチューブ形状を細かく研究しました。
そしてよりスムーズなライドのために、angle compliance technologyを開発してTCCを進化させました。目標としたのは、ぺダリング効率とブレーキング性能に悪影響を与えずに振動吸収を向上させることでした。
たとえば、3本のパイプでトライアングルを作ると強固になります。そのうちの一本の中ほどを折れるように角(アングル)をつけてやると、全体がしなるように屈曲させることができます。
フロントフォークをみてみましょう。フロントホイールが障害物に当たると、フォークブレードとほぼ同じ方向に衝撃がかかります。フォーク先端に角を入れることで、衝撃に対してより高い振動吸収を実現できました。
さらに、色々な大きさの障害物に対して、より安定した振動吸収性能になるようにチューンしています。横剛性を犠牲にすること無く、縦方向の振動・衝撃を大きく取り去ることができました。
ドロップアウトエンド付近は、エンド直前のチェーンステーの断面積を減らし、アングルをつけました。これによりサスペンションのピボットのような効果が生まれます。エンドは後方へオフセットした設計になっています。これらにより衝撃が加わったとき、シートステーがしなることで振動を吸収することができます。
シートステーとフォークブレードの断面は、他のチューブに比べて比較的細く、しなりやすい形状になっています。
ヘッドチューブ〜フォーククラウン〜ダウンチューブ〜チェーンステーとつながるフレームの基幹部分を、太く、堅牢なものとしたことで、横剛性とねじり剛性においてSLR01のもつ数値より高くなりました。
とくにBB周りの強固な構造は、さらにぺダリング効率を向上させます。安定感のあるフレームとなるため、どんな悪路でも、体重のあるライダーでも、安心なハンドリングが楽しめます。
シートポストはオフセットの違う3種(3mm/18mm/30mm)が用意されます。標準でスペックされるのはオフセット18mmのもの。3種それぞれカーボンのレイアップが異なります。ユーザーの使用状況によりさらに振動吸収性を求める場合などにオプションとして購入することができるようになります。
次のページはCW編集部・綾野 真による150kmに及ぶ実走を含んだインプレッション。
TCCアングル・コンプライアンス・テクノロジー開発のバックグラウンド
ヨナス氏: TCC angle compliance technology開発の元となったのは、高い性能をもつBMCのフラッグシップモデル、SLR01でした。カデル・エヴァンスによってツール・ド・フランス勝利を成し遂げたこのロードバイクは、同時に前年までパリ〜ルーベにも投入されるほど振動吸収性の優れたバイクです。フォーク、シートステー、シートポストに採用されたTCC(チューンド・コンプライアンス・コンセプト)により、SLR01は剛性を失わずに理想的な振動・衝撃吸収性を確保しました。そしてこれがロードバイクのベンチマークになりました。
そこで我々は横方向の剛性に影響を与えずに縦方向のしなりを最適化するために、TCCに使われるカーボン繊維とチューブ形状を細かく研究しました。
そしてよりスムーズなライドのために、angle compliance technologyを開発してTCCを進化させました。目標としたのは、ぺダリング効率とブレーキング性能に悪影響を与えずに振動吸収を向上させることでした。
TCC angle compliance technology
バイクに乗った時、リア三角の各チューブには圧力もしくは張力がかかっています。まっすぐなチューブは曲がりにくいのです。そこでフォークブレード、チェーンステー、シートステーとシートポストに角を設計し、曲がりやすくしました。それがangle compliance technologyの基本です。たとえば、3本のパイプでトライアングルを作ると強固になります。そのうちの一本の中ほどを折れるように角(アングル)をつけてやると、全体がしなるように屈曲させることができます。
フロントフォークをみてみましょう。フロントホイールが障害物に当たると、フォークブレードとほぼ同じ方向に衝撃がかかります。フォーク先端に角を入れることで、衝撃に対してより高い振動吸収を実現できました。
さらに、色々な大きさの障害物に対して、より安定した振動吸収性能になるようにチューンしています。横剛性を犠牲にすること無く、縦方向の振動・衝撃を大きく取り去ることができました。
ドロップアウトエンド付近は、エンド直前のチェーンステーの断面積を減らし、アングルをつけました。これによりサスペンションのピボットのような効果が生まれます。エンドは後方へオフセットした設計になっています。これらにより衝撃が加わったとき、シートステーがしなることで振動を吸収することができます。
シートステーとフォークブレードの断面は、他のチューブに比べて比較的細く、しなりやすい形状になっています。
Core Stiffness&Solid Base 幹となるベースフレームの堅牢さが軽快な走りを生み出す
高い振動吸収性が特徴的なGF01の、もうひとつの特筆すべき点がベースフレームの剛性の高さです。ヘッドチューブ〜フォーククラウン〜ダウンチューブ〜チェーンステーとつながるフレームの基幹部分を、太く、堅牢なものとしたことで、横剛性とねじり剛性においてSLR01のもつ数値より高くなりました。
とくにBB周りの強固な構造は、さらにぺダリング効率を向上させます。安定感のあるフレームとなるため、どんな悪路でも、体重のあるライダーでも、安心なハンドリングが楽しめます。
3つのオフセット量から選べるTCCシートポスト
フレームと同時に開発され、GF01のコンセプトの大切な部分を担うのが TCC シートポストです。長く・細い(27.2mm)シートポストがしなりを向上させます。このシートポストには異なるカーボン繊維とその編み角度を調整することで、横方向にはたわまない、節度のある「最適なしなり」を実現できました。シートポストはオフセットの違う3種(3mm/18mm/30mm)が用意されます。標準でスペックされるのはオフセット18mmのもの。3種それぞれカーボンのレイアップが異なります。ユーザーの使用状況によりさらに振動吸収性を求める場合などにオプションとして購入することができるようになります。
ハイスタック&ショートリーチがもたらすコンフォートライディングフォーム
SLR01と比較すると、ヘッドチューブが少し長くなり、トップチューブが少し短くなります。 シートチューブアングルは同じ73.5°ですが、ヘッドチューブアングルは0.5°寝ます。(サイズ48を除く)。このことでSLR01と比べて、スタックハイトは14mm~19mm高く、ハンドルリーチは4mm〜16mm短くなり、より快適な上体の起きたポジションを出しやすいジオメトリーになっています。このポジションとフレームの安定感の高さで、ハンドルがより効率よく使えるようになっています。次のページはCW編集部・綾野 真による150kmに及ぶ実走を含んだインプレッション。
提供:フタバ商店 編集:シクロワイアード