2011/11/01(火) - 11:41
近年のカーボンフレームの進歩は目覚しいが、その影でアルミもしっかりと熟成されている。新登場の「RFA5エキップ」はそれを強く感じる1台だ。ロードバイクに本格的に挑戦する入門者のために価格を抑えたフルアルミフレームだが、このモデルに与えられた使命は、快適性に優れつつも軽快な走りを実現すること。素材は異なっても、カーボンフレームのRFX8シリーズとコンセプトを同一とし、ロングライドやヒルクライムなどエンデュランスライドに特化した性能が追求される。
RFA5のコンセプトを聞く限り、もはや「アルミフレームは硬くて路面からの突き上げが強い」という定説は、今や昔の話かもしれない。
快適性の追求はその外観から訴えかけてくる。印象的なのはトップチューブからシートステーにかけてのアッパーラインのデザインだ。
最新カーボンフレームのひとつの流れとして、トップチューブからシートチューブまでをなだらかな曲線で構成するアーチシェイプデザインと呼ばれるものがあるが、RFA5ではアルミフレームでこれを反映させている。この部分が垂直方向の入力に対して従順にしなることで衝撃をいなし、快適性の高いライディングフィールを生み出している。それだけでなくフロントフォークは、コラムからブレードに至るまでモノコックカーボンで作られ、振動吸収性をこれまでのエントリーモデルと比べて大幅に向上させている。
BB周りの剛性については、その演出に大きく影響するダウンチューブとチェーンステーの外径を落とすことで過剰な剛性を防いでいる。剛性を落とすことでアルミフレーム独特のシャープな加速感が失われる可能性もあるが、対策としてハイドロフォーミングを効果的に駆使し、ダウンチューブはBBシェル接合部の近くを大きく横方向に扁平させてねじれを抑えた。また、細くなったチェーンステーによる剛性の補完はシートチューブ径をアップし、BBシェルとの接合面を増やして必要な横剛性を確保する。こうして脚への負担を減らしつつも軽快なペダリングフィールは演出された。
一方のフロントセクションは、トップラインで快適性を演出しつつもバイクの制御性や加速性を損なわないよう、ロワーベアリングに1-1/4インチ径を採用したテーパードヘッドチューブを採用。これによりダウンチューブ&トップチューブとヘッドチューブの溶接面積が広がり、横方向に扁平加工されたそれらのチューブ、さらにはボリュームアップされたフルカーボンのフロントフォークによって軽快にして正確性の高いステアリングが追求されている。
フレームジオメトリーはアンカーの完成車の中でも最もヘッドチューブが長く設計され、体への負担の少ないラップライトなライディングポジションを無理なくとれる。さらにコラムスペーサーも少なくできるため、メーカーの意図するフロントまわりの性能を正確に再現できるのもメリットだ。
ハンガー下がりなどはサイズにもよるが70㎜という数値も採用されており、バックセンターも410㎜程度なので、基本的に安定感の高い設計といえるだろう。サイズ展開もRFX8と同じように390㎜から6サイズが展開され、最も小さいサイズのトップチューブ長は485㎜という700Cホイール採用の限界ともいえる値なので、女性をはじめ小柄なライダーでも無理なく理想的なライディングポジションを確保しやすい。
アルミ素材を使いつつ考えぬかれた設計と最新のテクノロジーによって、この素材の利点であるシャープな走りを最大限損なうことなく、優れた快適性を備えるRFA5エキップ。20万円の価格を下回るロングライドバイクとしては傑出したパッケージングが実現された注目の1台だ。
「カーボンに勝るほどの高い振動吸収性を体感できる」
CW:アンカーではレーシングモデルのRA6とRCS6だけでなく、コンフォートモデルでもRFA5を新しく投入して、アルミシリーズを一気にリニューアルしてきました。レーシングを試乗されて、その性能の進化にお2人共に驚かれていましたが、全くコンセプトの異なるこの「RFA5エキップ」(以下RFA5)はどのように感じましたか?
佐野:アルミは固くて振動吸収性が悪いので疲れやすくて、重量ももはや軽いとは言えないので加速なども重たい感があります。だからアルミで快適性を高めるという、RFA5のコンセプトを実際にどれだけできているか試乗する前は懐疑的でした。しかし実際に乗ってみると予想以上の性能ですねこれは。
浅野:RFA5のコンセプト通り、RFX8に似たキャラクターという印象です。
CW:フレーム形状を見てもわかりますが、アルミでも快適性を確保するためにかなりチューブ形状をいじって苦労の跡が見えるフレームですが、振動吸収性のレベルはいかがでしたか?
佐野:RFA5にアルミ独特の体に響くような嫌な乗り心地は全く無いですね。路面からの大きな入力をいなす感覚はRFX8と似ています。細かな振動吸収はやはりカーボンには独特の感覚があるのでRFX8の方が勝りますが、RFA5のレベルはアルミフレームとしては最高レベルにあると思いますし、かなりカーボンに迫っています。
浅野:これは乗り心地がすごくいいですね。僕は正直なところ振動吸収性のレベルは、RFX8と同じかそれ以上に感じました。アルミフレームとしてみるとRFA5の振動吸収性はあまり経験したことのないレベルです。
CW:乗り心地と加速性能という二律背反する性能を実現がRFA5のもう1つの大きなポイントですが、これについてはどんな印象ですか?
佐野:硬くて踏めないような剛性ではありませんし、柔らかくて反応が鈍くてハンディになることはありません。下りからの上りかえしなど、一気に力を使って加速をするような局面でも、速度がつまるような感覚はあまりないですね。レーシングモデルのRA6のようなキレの良さではないのですが、この乗り心地を考えると十分な加速性能だと思います。そして、スピードに乗ってしまえばアルミフレームらしい剛性感もあってその維持は楽ですね。ロードレースのように加速を連続的に行うシチュエーションでなければ走行性能は十分満足できます。RFX8との性能差は、加速側よりも振動吸収性の方ですね。
浅野:アルミでデメリットになる硬さはありませんし、アルミらしいペダリングの踏み心地も感じることができます。ただ、RFX8に比べるとフロントまわりの挙動がやや鈍いように感じました。よりロングライド向けでホイールベースを長めに設計しているからかもしれません。それに直進安定性もRFA5のほうが強いので、それももう1つの原因だと思います。レーシングモデルに迫るほどの鋭い加速はありませんが、このモデルを選ぶ人はロードレースで好成績を残すことを求めているわけではないので、この程度の安定志向の方が楽に長距離をなせるのかもしれませんね。
「価格以上の性能。海外トップメーカーと互角に渡り合える」
CW:直進安定性が強いということですが、コーナリングが曲がりにくいとか、癖があったりしますか?
浅野:バイクをコーナーで倒したりするときの動きがレーシングバイクと比べると遅いというだけで、ハンドリング自体に癖はないです。アンカーに共通するニュートラルなハンドリングなので扱いにくいことはないです。
CW:ロングライドモデルは各社から発売されて充実していますが、やはりRFA5のライバルになってくるのは海外のトップメーカーだと思うのですが、比較してどうでしょう。
浅野:海外のブランドだと価格がもう少し高くなってしまうか、もしくは安くてもコンポーネントがシマノ・ティアグラだったりするので見劣りしますね。やはり本格的にロードバイクを始めるのならコンポはシマノ・105クラスが理想的ですね。その点RFA5は105でこの価格です。さらに海外メーカーだと105相当のコンポが装備されても、ブレーキがまだサードパーティ製だとか、この部分だけグレードダウンしていることもありますが、RFA5はフル105なので安心できますね。非常にプライスパフォーマンスは高いモデルだと思います。
また、うちのお店だとRFA5のフレームはチューブがアールを描く柔らかなフォルムなので、そこが気に入って女性もかなり選んでくれます。試乗車のこのカラーリングもそうですけど色もきれいですよね。そしてフレームサイズも390㎜サイズからあるので、女性をはじめ小柄な人もかなりカバーできますし。
佐野:今回の試乗では各モデルで運動性能にシャープさを増していることに驚いたのですが、特にアルミフレームのモデルはどれも価格以上の性能を持っています。海外トップメーカーの同グレードと比べて全くといっていいほど遜色がないので、RFA5はレースはやらないけれど、本格的にロードレースを初めてロングライドやエンデューロなどのイベント参加を目指す人にベストな1台だと思います。
CW:お2人の評価からも分かるように、実際に休日のサイクリングロードや郊外の一般道、イベントなどでもRFX8とRCA5は良く見かけますね。RFA5は新しいアンカーのベストセラーと言えますね。
RFA5のコンセプトを聞く限り、もはや「アルミフレームは硬くて路面からの突き上げが強い」という定説は、今や昔の話かもしれない。
快適性の追求はその外観から訴えかけてくる。印象的なのはトップチューブからシートステーにかけてのアッパーラインのデザインだ。
最新カーボンフレームのひとつの流れとして、トップチューブからシートチューブまでをなだらかな曲線で構成するアーチシェイプデザインと呼ばれるものがあるが、RFA5ではアルミフレームでこれを反映させている。この部分が垂直方向の入力に対して従順にしなることで衝撃をいなし、快適性の高いライディングフィールを生み出している。それだけでなくフロントフォークは、コラムからブレードに至るまでモノコックカーボンで作られ、振動吸収性をこれまでのエントリーモデルと比べて大幅に向上させている。
BB周りの剛性については、その演出に大きく影響するダウンチューブとチェーンステーの外径を落とすことで過剰な剛性を防いでいる。剛性を落とすことでアルミフレーム独特のシャープな加速感が失われる可能性もあるが、対策としてハイドロフォーミングを効果的に駆使し、ダウンチューブはBBシェル接合部の近くを大きく横方向に扁平させてねじれを抑えた。また、細くなったチェーンステーによる剛性の補完はシートチューブ径をアップし、BBシェルとの接合面を増やして必要な横剛性を確保する。こうして脚への負担を減らしつつも軽快なペダリングフィールは演出された。
一方のフロントセクションは、トップラインで快適性を演出しつつもバイクの制御性や加速性を損なわないよう、ロワーベアリングに1-1/4インチ径を採用したテーパードヘッドチューブを採用。これによりダウンチューブ&トップチューブとヘッドチューブの溶接面積が広がり、横方向に扁平加工されたそれらのチューブ、さらにはボリュームアップされたフルカーボンのフロントフォークによって軽快にして正確性の高いステアリングが追求されている。
フレームジオメトリーはアンカーの完成車の中でも最もヘッドチューブが長く設計され、体への負担の少ないラップライトなライディングポジションを無理なくとれる。さらにコラムスペーサーも少なくできるため、メーカーの意図するフロントまわりの性能を正確に再現できるのもメリットだ。
ハンガー下がりなどはサイズにもよるが70㎜という数値も採用されており、バックセンターも410㎜程度なので、基本的に安定感の高い設計といえるだろう。サイズ展開もRFX8と同じように390㎜から6サイズが展開され、最も小さいサイズのトップチューブ長は485㎜という700Cホイール採用の限界ともいえる値なので、女性をはじめ小柄なライダーでも無理なく理想的なライディングポジションを確保しやすい。
アルミ素材を使いつつ考えぬかれた設計と最新のテクノロジーによって、この素材の利点であるシャープな走りを最大限損なうことなく、優れた快適性を備えるRFA5エキップ。20万円の価格を下回るロングライドバイクとしては傑出したパッケージングが実現された注目の1台だ。
スペック
フレーム | STシェイプ アルミニウム A6061 トリプルバテッド インテグラルヘッド |
フォーク | カーボンモノコック ベンド形状 スーパーオーバーサイズ |
サイズ | 460S、460、490、520、550㎜ |
メインコンポ | シマノ・105 |
ホイール | シマノ・WH-R500 |
タイヤ | ブリヂストン・エクステンザRR-2X 700×23C |
ハンドル | アンカー/ニットー・M101F φ31.8 |
ステム | アンカー・アルミニウム |
シートポスト | アンカー・アルミニウム φ31.6×300L |
サドル | アンカー・レーシングM-ホワイト/ブラック |
重量 | 8.9㎏(480㎜ ペダル付き)、 1490g(480㎜フレーム単体)、 1960g(490㎜フレームセット) |
カラー | レーシングカラー5色、 シングルカラー32色から選択可 (一部カラーはアップチャージが必要) |
価格 | 180,000円(完成車標準価格) 90,000円(フレームセット標準価格) ※セレクトパーツの仕様によって価格は変わります。 |
インプレッション
「カーボンに勝るほどの高い振動吸収性を体感できる」
(YOU CAN 八王子店 浅野浩一)
CW:アンカーではレーシングモデルのRA6とRCS6だけでなく、コンフォートモデルでもRFA5を新しく投入して、アルミシリーズを一気にリニューアルしてきました。レーシングを試乗されて、その性能の進化にお2人共に驚かれていましたが、全くコンセプトの異なるこの「RFA5エキップ」(以下RFA5)はどのように感じましたか?佐野:アルミは固くて振動吸収性が悪いので疲れやすくて、重量ももはや軽いとは言えないので加速なども重たい感があります。だからアルミで快適性を高めるという、RFA5のコンセプトを実際にどれだけできているか試乗する前は懐疑的でした。しかし実際に乗ってみると予想以上の性能ですねこれは。
浅野:RFA5のコンセプト通り、RFX8に似たキャラクターという印象です。
CW:フレーム形状を見てもわかりますが、アルミでも快適性を確保するためにかなりチューブ形状をいじって苦労の跡が見えるフレームですが、振動吸収性のレベルはいかがでしたか?
佐野:RFA5にアルミ独特の体に響くような嫌な乗り心地は全く無いですね。路面からの大きな入力をいなす感覚はRFX8と似ています。細かな振動吸収はやはりカーボンには独特の感覚があるのでRFX8の方が勝りますが、RFA5のレベルはアルミフレームとしては最高レベルにあると思いますし、かなりカーボンに迫っています。
浅野:これは乗り心地がすごくいいですね。僕は正直なところ振動吸収性のレベルは、RFX8と同じかそれ以上に感じました。アルミフレームとしてみるとRFA5の振動吸収性はあまり経験したことのないレベルです。
CW:乗り心地と加速性能という二律背反する性能を実現がRFA5のもう1つの大きなポイントですが、これについてはどんな印象ですか?
佐野:硬くて踏めないような剛性ではありませんし、柔らかくて反応が鈍くてハンディになることはありません。下りからの上りかえしなど、一気に力を使って加速をするような局面でも、速度がつまるような感覚はあまりないですね。レーシングモデルのRA6のようなキレの良さではないのですが、この乗り心地を考えると十分な加速性能だと思います。そして、スピードに乗ってしまえばアルミフレームらしい剛性感もあってその維持は楽ですね。ロードレースのように加速を連続的に行うシチュエーションでなければ走行性能は十分満足できます。RFX8との性能差は、加速側よりも振動吸収性の方ですね。
浅野:アルミでデメリットになる硬さはありませんし、アルミらしいペダリングの踏み心地も感じることができます。ただ、RFX8に比べるとフロントまわりの挙動がやや鈍いように感じました。よりロングライド向けでホイールベースを長めに設計しているからかもしれません。それに直進安定性もRFA5のほうが強いので、それももう1つの原因だと思います。レーシングモデルに迫るほどの鋭い加速はありませんが、このモデルを選ぶ人はロードレースで好成績を残すことを求めているわけではないので、この程度の安定志向の方が楽に長距離をなせるのかもしれませんね。
「価格以上の性能。海外トップメーカーと互角に渡り合える」
(YOU CAN 海老名店 佐野友哉)
CW:直進安定性が強いということですが、コーナリングが曲がりにくいとか、癖があったりしますか?浅野:バイクをコーナーで倒したりするときの動きがレーシングバイクと比べると遅いというだけで、ハンドリング自体に癖はないです。アンカーに共通するニュートラルなハンドリングなので扱いにくいことはないです。
CW:ロングライドモデルは各社から発売されて充実していますが、やはりRFA5のライバルになってくるのは海外のトップメーカーだと思うのですが、比較してどうでしょう。
浅野:海外のブランドだと価格がもう少し高くなってしまうか、もしくは安くてもコンポーネントがシマノ・ティアグラだったりするので見劣りしますね。やはり本格的にロードバイクを始めるのならコンポはシマノ・105クラスが理想的ですね。その点RFA5は105でこの価格です。さらに海外メーカーだと105相当のコンポが装備されても、ブレーキがまだサードパーティ製だとか、この部分だけグレードダウンしていることもありますが、RFA5はフル105なので安心できますね。非常にプライスパフォーマンスは高いモデルだと思います。
また、うちのお店だとRFA5のフレームはチューブがアールを描く柔らかなフォルムなので、そこが気に入って女性もかなり選んでくれます。試乗車のこのカラーリングもそうですけど色もきれいですよね。そしてフレームサイズも390㎜サイズからあるので、女性をはじめ小柄な人もかなりカバーできますし。
佐野:今回の試乗では各モデルで運動性能にシャープさを増していることに驚いたのですが、特にアルミフレームのモデルはどれも価格以上の性能を持っています。海外トップメーカーの同グレードと比べて全くといっていいほど遜色がないので、RFA5はレースはやらないけれど、本格的にロードレースを初めてロングライドやエンデューロなどのイベント参加を目指す人にベストな1台だと思います。
CW:お2人の評価からも分かるように、実際に休日のサイクリングロードや郊外の一般道、イベントなどでもRFX8とRCA5は良く見かけますね。RFA5は新しいアンカーのベストセラーと言えますね。
提供:ブリヂストンサイクル株式会社 企画/制作:シクロワイアード