2024/04/06(土) - 12:40
5年ぶりにモデルチェンジを遂げたフォーカスのフラッグシップロード、IZALCO MAX(イザルコ・マックス)。完成度を飛躍的に高めた前作を、更に熟成させた第4世代を掘り下げる。
ドイツのクロッペンブルクに本社を置くフォーカスが、同社のフラッグシップロードとしてラインナップするのがIZALCO MAX(イザルコ・マックス)だ。その系譜は長く、フレーム重量750gを誇った第1世代は2010年代半ばにAG2Rラモンディアルを支え、2018年には今現在の主流であるセミエアロなオールラウンドディスクロードの草分けとして名高い先代モデル(第2世代)が登場した。
先代の丸チューブスタイルから脱却したセミエアロ形状は先進的で各ブランドの手本となり、あらゆる方向で現代ロードの指標となってきた。
そんなIZALCO MAXが5年の時を経てモデルチェンジを果たし、第4世代へ生まれ変わった。開発目標はシンプルに「史上最速のロードバイクを造ること」。あらゆるブラッシュアップはもちろんのこと、ジオメトリーにも手を加え、よりアグレッシブに走りたいレーサーの意向に沿うように進化。どんな状況でもスピードに妥協することのないサイクリストの為に、よりエアロで、高剛性で、軽量で、優れたハンドリングを持った一台として新型IZALCO MAXは生み出された。
開発目標となった「史上最速のロードバイク」を実現するために、やはりエアロ性能向上は欠かせないものだった。世を先取りしたセミエアロフォルム自体に変化は無いものの、開発陣は新型IZALCO MAXに翼断面形状の後端部を切り落としたNACA形状を新規採用したことで改善を見た。これはもちろんエアロでありながら軽量で、剛性も同時に兼ね備えるための工夫だ。
ダウンチューブを筆頭にシートチューブ、シートステー、フォークブレードなど風が当たる各部分に新形状が採用されたほか、ヘッドチューブはより滑らかに。更にダウンチューブはボトルを前提としたデザインとし、一般的なウォーターボトルを装着した場合、僅か0.3Wのロスしか発生しないという。
チューブ形状のメジャーアップデートによって細部を洗練させたデザインを得た新型IZALCO MAXは、時速45kmでの走行をシミュレーションする風洞実験で6.6Wもの低減に成功。これは45kmの距離を同じ出力で走った場合、合計1分47秒のタイム差を生み出す数値だとフォーカスは説明する。
フォーカス史上最速のバイクを実現するためにはエアロだけではなく、剛性や快適性とのバランスにも着目。剛性強化を担うのはNACAカムテール形状のチューブだ。カムテールは丸チューブや翼断面形状よりも軽量でありながら剛性にも優れており、エアロオールラウンダーにとってはうってつけの設計を採用した。
カムテール形状を活用することでフレームはマッシブなチューブではなくてもBB周りの剛性は+15%、ヘッドチューブ剛性は+8%の向上を実現。重量剛性比も14.8%向上しており、よりレーシーなバイクへと進化を遂げた。フレーム重量はMサイズで865gと56gもダイエットを果たしている。
一方でフォークに関しては横剛性は先代に対して+16%、ブレーキ剛性は+26%向上。またカムテール形状と同時にフォークブレード自体がボリュームアップしており、重量は14g増の198g。フレームと合算するとトータルで42gの軽量化を実現した。
フォーカスはフレーム造形だけではなく、ジオメトリーも大きく変更。先代ではBBドロップが78mmと大きく取られていたが、新型では72mmへと減少させた。加えてヘッドアングルも立て、ホイールベースも短くすることで、俊敏なハンドリングと優れた加速性能を実現した。
エアロとフレーム剛性やジオメトリーの更新で目指したものはIZALCO MAXが備えるレース向き性能の底上げ。フォーカスの資料によると先代はコンフォート性能に秀でていたが、新型では重量、エアロ、ヘッドチューブ剛性、BB周り剛性を向上を実現したという。
IZALCO MAXの魅力はケーブルフル内装システムにステム一体型ハンドルを使用せず、ステムのみ専用開発の"C.I.S. ACE"を展開していることにもある。ハンドルが好みの物を選べる他、注文時ステムの長さを選べる理想のポジションを追求しやすい設計となっている。
また、コラムスペーサーも分割式を採用し、ブレーキのオイルラインを外すことなくポジション調整を可能とした。細かいポジション出しの自由度が確保されているため、シビアなライダーにとっては非常に有難いスペックとなっている。
新型はディスクブレーキの後輪ローター径が140mmに対応。先代は160mmオンリーだったため、この更新はレーサーをはじめ多くのサイクリストにとって朗報だ。タイヤクリアランスは最大30mmを想定して設計が行われているため、現在のレーシングスペックタイヤの装着は可能だ。
新型IZALCO MAXの国内モデルは、日本の専門工房"株式会社ワコー”で完成車へと組み立てるジャパンアッセンブリーとして本国ラインアップにはないパーツ構成で展開されている。
販売パッケージは最高級フレームにシマノDURA-ACE DI2、ULTEGRA DI2、105 DI2の3種類のコンポーネントが搭載された3つのグレードが用意される。DURA-ACEとULTEGRAのみにホイールをマヴィック COSMIC SL 45、フルクラム RACING 400DBから選択可能で、105はRACING 400DBのみ。
価格はDURA-ACE&COSMIC SL完成車で1,133,000円(税込)と現在のフラッグシップとしては手を伸ばしやすい設定。ボトムグレードの105 DI2&RACING 400DBは715,000円(税込)とハイエンドモデルの完成車として非常にリーズナブルな価格とされているため、要チェックだ。
後編では先代IZALCO MAXをマイバイクとして選択し、シクロワイアードの特集でインプレッションを担当したサイクルポイント オーベストの西谷雅史、YOU CANの流郷克哉、サイクルワークス Fin’sの遠藤健太が再び登場。先代を熟知した三人が語る新型の実力を確かめた。
いつの時代も愛されるフォーカスのフラッグシップロード"IZALCO MAX"
ドイツのクロッペンブルクに本社を置くフォーカスが、同社のフラッグシップロードとしてラインナップするのがIZALCO MAX(イザルコ・マックス)だ。その系譜は長く、フレーム重量750gを誇った第1世代は2010年代半ばにAG2Rラモンディアルを支え、2018年には今現在の主流であるセミエアロなオールラウンドディスクロードの草分けとして名高い先代モデル(第2世代)が登場した。
先代の丸チューブスタイルから脱却したセミエアロ形状は先進的で各ブランドの手本となり、あらゆる方向で現代ロードの指標となってきた。
そんなIZALCO MAXが5年の時を経てモデルチェンジを果たし、第4世代へ生まれ変わった。開発目標はシンプルに「史上最速のロードバイクを造ること」。あらゆるブラッシュアップはもちろんのこと、ジオメトリーにも手を加え、よりアグレッシブに走りたいレーサーの意向に沿うように進化。どんな状況でもスピードに妥協することのないサイクリストの為に、よりエアロで、高剛性で、軽量で、優れたハンドリングを持った一台として新型IZALCO MAXは生み出された。
よりエアロに、よりレーシーに生まれ変わったIZALCO MAX
エアロを鍛え上げ、スピードを手に入れた第4世代
開発目標となった「史上最速のロードバイク」を実現するために、やはりエアロ性能向上は欠かせないものだった。世を先取りしたセミエアロフォルム自体に変化は無いものの、開発陣は新型IZALCO MAXに翼断面形状の後端部を切り落としたNACA形状を新規採用したことで改善を見た。これはもちろんエアロでありながら軽量で、剛性も同時に兼ね備えるための工夫だ。
ダウンチューブを筆頭にシートチューブ、シートステー、フォークブレードなど風が当たる各部分に新形状が採用されたほか、ヘッドチューブはより滑らかに。更にダウンチューブはボトルを前提としたデザインとし、一般的なウォーターボトルを装着した場合、僅か0.3Wのロスしか発生しないという。
チューブ形状のメジャーアップデートによって細部を洗練させたデザインを得た新型IZALCO MAXは、時速45kmでの走行をシミュレーションする風洞実験で6.6Wもの低減に成功。これは45kmの距離を同じ出力で走った場合、合計1分47秒のタイム差を生み出す数値だとフォーカスは説明する。
剛性、快適性、ジオメトリーのブラッシュアップでよりレーシーに
フォーカス史上最速のバイクを実現するためにはエアロだけではなく、剛性や快適性とのバランスにも着目。剛性強化を担うのはNACAカムテール形状のチューブだ。カムテールは丸チューブや翼断面形状よりも軽量でありながら剛性にも優れており、エアロオールラウンダーにとってはうってつけの設計を採用した。
カムテール形状を活用することでフレームはマッシブなチューブではなくてもBB周りの剛性は+15%、ヘッドチューブ剛性は+8%の向上を実現。重量剛性比も14.8%向上しており、よりレーシーなバイクへと進化を遂げた。フレーム重量はMサイズで865gと56gもダイエットを果たしている。
一方でフォークに関しては横剛性は先代に対して+16%、ブレーキ剛性は+26%向上。またカムテール形状と同時にフォークブレード自体がボリュームアップしており、重量は14g増の198g。フレームと合算するとトータルで42gの軽量化を実現した。
フォーカスはフレーム造形だけではなく、ジオメトリーも大きく変更。先代ではBBドロップが78mmと大きく取られていたが、新型では72mmへと減少させた。加えてヘッドアングルも立て、ホイールベースも短くすることで、俊敏なハンドリングと優れた加速性能を実現した。
エアロとフレーム剛性やジオメトリーの更新で目指したものはIZALCO MAXが備えるレース向き性能の底上げ。フォーカスの資料によると先代はコンフォート性能に秀でていたが、新型では重量、エアロ、ヘッドチューブ剛性、BB周り剛性を向上を実現したという。
ユーザーフレンドリーな専用ステム、ブレーキーローター径、タイヤクリアランス
IZALCO MAXの魅力はケーブルフル内装システムにステム一体型ハンドルを使用せず、ステムのみ専用開発の"C.I.S. ACE"を展開していることにもある。ハンドルが好みの物を選べる他、注文時ステムの長さを選べる理想のポジションを追求しやすい設計となっている。
また、コラムスペーサーも分割式を採用し、ブレーキのオイルラインを外すことなくポジション調整を可能とした。細かいポジション出しの自由度が確保されているため、シビアなライダーにとっては非常に有難いスペックとなっている。
新型はディスクブレーキの後輪ローター径が140mmに対応。先代は160mmオンリーだったため、この更新はレーサーをはじめ多くのサイクリストにとって朗報だ。タイヤクリアランスは最大30mmを想定して設計が行われているため、現在のレーシングスペックタイヤの装着は可能だ。
国内組み立てで充実したラインアップ
新型IZALCO MAXの国内モデルは、日本の専門工房"株式会社ワコー”で完成車へと組み立てるジャパンアッセンブリーとして本国ラインアップにはないパーツ構成で展開されている。
販売パッケージは最高級フレームにシマノDURA-ACE DI2、ULTEGRA DI2、105 DI2の3種類のコンポーネントが搭載された3つのグレードが用意される。DURA-ACEとULTEGRAのみにホイールをマヴィック COSMIC SL 45、フルクラム RACING 400DBから選択可能で、105はRACING 400DBのみ。
価格はDURA-ACE&COSMIC SL完成車で1,133,000円(税込)と現在のフラッグシップとしては手を伸ばしやすい設定。ボトムグレードの105 DI2&RACING 400DBは715,000円(税込)とハイエンドモデルの完成車として非常にリーズナブルな価格とされているため、要チェックだ。
共通スペック
フレーム | MAX TECHNOLOGY CARBON, NACA SHAPE, 142x12mm, FM140mm |
フォーク | MAX TECHNOLOGY CARBON, 110x12mm, FM160mm |
シートポスト | FOCUS AERO CARBON, D-SHAPE, 350 mm, set-back: 15mm |
ハンドル/ステム | ITM X-ONE / FOCUS C.I.S. ACE STEM, 31.8 mm, Aluminium |
カラー | MATT CARBON/CARBON、HERITAGE BLUE/STONE BLUE |
サイズ | 47、50、52、54、56cm |
ラインアップ
コンポーネント | SHIMANO DURA-ACE DI2 DISC | SHIMANO DURA-ACE DI2 DISC | SHIMANO ULTEGA DI2 DISC | SHIMANO ULTEGA DI2 DISC | SHIMANO 105 DI2 DISC |
ホイール | MAVIC COSMIC SL 45 | FULCRUM RACING400 DB | MAVIC COSMIC SL 45 | FULCRUM RACING400 DB | FULCRUM RACING400 DB |
タイヤ | MAVIC YKSION PRO UST 2 700x25c | VITTORIA ZAFFIRO 700x28C | MAVIC YKSION PRO UST 2 700x25c | VITTORIA ZAFFIRO 700x28C | VITTORIA ZAFFIRO 700x28C |
クランク/スプロケ | 52x36T /11-30T (12SPD) | 52x36T /11-30T (12SPD) | 52x36T /11-30T (12SPD) | 52x36T /11-30T (12SPD) | 50x34T /11-34T (12SPD) |
税込価格 | 1,133,000円 | 979,000円 | 946,000円 | 792,000円 | 715,000円 |
後編では先代IZALCO MAXをマイバイクとして選択し、シクロワイアードの特集でインプレッションを担当したサイクルポイント オーベストの西谷雅史、YOU CANの流郷克哉、サイクルワークス Fin’sの遠藤健太が再び登場。先代を熟知した三人が語る新型の実力を確かめた。
提供:グローブライド 制作:シクロワイアード編集部