2019/12/12(木) - 17:22
IZALCO MAX DISCのデビューから早1年。先代が誇った軽量性はそのままにセミエアロ化を果たした稀代のオールラウンダーは、トップレースで、そしてホビーレースで幅広く認知され、支持を集める存在となってきた。今回の特集では、マトリックスパワータグの選手たちや、自らIZALCO MAX DISCを選んだヒルクライマー、そして走れるショップ店長たちのコメントでバイクの魅力に迫っていく。
発売2年目を迎えたIZALCO MAX DISC。2020モデルは多種多様なカラーやアッセンブルが用意されている photo:Makoto.AYANO
ドイツの総合バイクブランド、フォーカスが満を持して送り込んだ新世代のオールラウンドレーサー、IZALCO MAX DISC。オーソドックスな真円チューブを採用した超軽量フレームとして人気を集めた前作から一転、トレンドの最先端を行くセミエアロチュービングとフルインターナルケーブルルーティングを採用したディスクブレーキロードがデビューしてからはや1シーズンが経過した。
鳴り物入りで登場したジャーマンオールラウンダーは、果たして前評判に見合う実力を持っていたのか。今回の特集ページでは、IZALCO MAX DISCを良く知るプロレーサーやトップアマチュア、そしてショップスタッフの言葉を通して、その性能に迫っていく。なお車体のスペックやテクノロジーについては、登場時の特集記事を参照いただきたい。
フォーカスを使うトップチームと言えばマトリックスパワータグ。IZALCO MAX DISCは今期終盤から実戦投入された
最初の登場人物は、国内トップカテゴリーとなるJプロツアーを支配するチーム、マトリックスパワータグ。その中核を担う、アイラン・フェルナンデス、佐野淳哉、安原大貴ら3人のトッププロ、そしてMt.富士ヒルクライムの優勝経験を持つ兼松大和と増田菜穂子という2人のトップクライマー達だ。
ルビーレッドジャージを獲得したオールイス・アウラール(マトリックスパワータグ)。IZALCO MAX DISCはチームの活躍にも貢献した photo:Satoru Kato
― 主にジャパンカップ以降、旧モデルから新型にスイッチしましたが、ニューバイクの印象は?
安原:まず、なんと言ってもカッコイイですよね。ホビーライダーやファンの方からもカッコイイですね!と言われることが多くて、ちょっと嬉しい(笑)。流行りのエアロフォルムもシャープな印象で、丸チューブだった前作から比べるとガラッと印象が変わりました。
佐野:スルーアクスルの効果だと思うのですが、前のバイクに比べるとカチッとした剛性感が増したと思います。もともと硬めのバイクが好みで、以前はIZALCO RACEを選んでいたのですが、より一層切れ味が増した印象です、よく進むバイクだなぁと感じます。
「ディスクブレーキになったからこそ感じる安心感がありますね」佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
アイラン:自分も佐野さんと同じ意見。加速への反応がとても良くて、レースで武器になるバイク。前作と乗り味はかなり違っていて、ボトムブラケット周辺が撓まなくなったことが加速の良さに繋がっているのだと感じます。瞬発力の高さが持ち味なので、細かなアップダウンが続くコースやコーナーが多く加減速の多いテクニカルなセクションで一番輝くバイクですね。
安原:かといって、登りの性能が落ちているわけでもないのがこのバイクのスゴイところ。前作よりも重量は増加していて、チーム仕様だと500gくらいは増えているんですよね。なので、最初はヒルクライムは前のバイクのほうが良いのかな、と思っていたんですけども、いざ登ってみたらなぜか進むんです。
登りでもある程度エアロ効果は発揮されますし、ディスクブレーキ化によってリム重量が軽くなったことも効いているのだと思います。体感としてだけでなくて、登りでタイム計測をしても新旧でほぼ変わらないですし、高強度を維持できる短い坂のタイムはむしろ上がっているぐらい。あらゆるコース、シチュエーションで走るバイクに進化しているな、という印象です。
「前よりも一層キレ味が増したような印象を受けます。とても良いですね」佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
チーム仕様のIZALCO MAX DISC。シマノDURA-ACEとマヴィックのホイールをセットする photo:So.Isobe
― 専用設計のステムやディスクブレーキの採用など様々な新規格が盛り込まれていますが、違和感などは無かったですか?
佐野:ステムに関して言えば、違和感は全然無かったですね。正直なところ、ハンドルの高ささえ合わせられれば問題は無いので。ステムも15度くらいのライズ角なので、かなり低めのポジションを取れるのは良いですね。
自分のように80kgくらい体重のある選手にとって、ディスクブレーキの採用は福音ですね。リムブレーキだと、どうしても他の選手と同じようには止まれなかったのが、ディスクブレーキになって大分差が縮まりました。以前に比べて、安心してダウンヒルを走れるようになりました。
「瞬発的な加速力はすごく良くなった」アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ) photo:Makoto.AYANO
アイラン:実は、このバイクに乗る前はディスクブレーキ否定派だったんです。でも、実際に乗ってみるとそんな考えは覆されました。制動力も向上しているし、微妙なコントロールもしやすいからね。一つだけ問題を挙げるとすればホイール重量が増えてしまうことだけど、総合的に見ればディスクブレーキを選びたいね。これから、もっと軽いホイールが出てくれば言うことは無いですね。
安原:ちょっと話はズレるんですけど、個人的に気に入っているのがD型の専用シートポストなんですよね。こう見えて、結構神経質で(笑)、丸シートポストだった前作だとちゃんと真っ直ぐ取り付けられているかいつも気になっていたんです。少し車に立てかけただけで微妙に回ってしまう時もあるじゃないですか。このシートポストはそういったストレスから解放してくれたのは嬉しいですね。
IZALCO MAX DISCを駆るアイラン・フェルナンデス、佐野淳哉、安原大貴 photo:Makoto.AYANO
佐野:結構しっかりしなってくれて、快適性も高くなっているところも良いですよね。長距離を走っても腰に来る感じが少なくて前作よりも楽ですね。あと、そういった面で言えば、タイヤクリアランスの広さも大きなメリットですよ。28Cとか30Cとか、もっと太めのタイヤを使えばロングライドにも十分使えますし。
単純に突き上げの少なさに起因する快適性というものとは別に、ディスクブレーキになったからこそのストレスフリーな面も大きいと思います。スルーアクスル化のおかげでハンドリングも骨太の安定感が出ましたし、もちろんブレーキングに必要な力も少なく済みますし。以前、乗ったことのあるディスクブレーキロードの印象があまり良くなくて、私も最初は懐疑的だったんです。でも、このバイクに乗ってみたら、そんな先入観は完全に吹き飛びましたね。とても完成度が高くなっています。
「完成車で500gくらい重くなっているものの、短い登坂でのタイムはむしろ上がっている」 photo:So.Isobe
― 最後に一言、メッセージがあれば
佐野:これまで、フォーカスはあんまり派手なイメージも無くて注目されづらいブランドだったと思います。でも、実際は素晴らしいバイクを作る職人気質なブランドなんです。だから、もっと皆さん、フォーカスにフォーカスしてほしいですね!
安原:お後がよろしいようで(笑)
「登りも下りもあるロードレースでは圧倒的に新型が速い」兼松大和(GREEN ROAD/イナーメ信濃山形)
とにかくバランスが良いオールラウンダーです!登りも軽いし、平地も伸びる。どんなコースにも対応するロードレース向けのバイクですね。他社のディスクロードもいくつか試してみた中で、IZALCO MAX DISCは圧倒的に振りが軽かったんですよ。ダンシングでバイクを振ったときの軽やかな乗り味が断トツで、次のバイクはコレにしよう、と決めたんです。
ロードレースだとピュアなエアロロードを選ぶ人も多いですけれど、独特の剛性感が合わなくて。やっぱり縦方向の硬さを感じてしまう。IZALCO MAX DISCはエアロでありつつも、縦横の剛性バランスもちょうど良い。程よいウィップ感があって、リズムが掴みやすいんですよね。
今は、旧モデルと新モデルの両方に乗っていますけれど、ずっと登りのレース以外は新モデルです。ディスクロードということで、重量だけを見ると旧モデルより重くなるので、極限まで絞って挑むようなヒルクライムレースだとリムブレーキ仕様に分があります。ライバルより1kg重いと、大体5w~6wくらいのビハインドになる計算ですね。
「数あるディスクロードの中でも圧倒的な振りの軽さが決め手になりました」
一方で、登って下って平地もあって、というコースであれば新モデルが圧倒的に速いですね。エアロですし、ディスクブレーキのおかげで下りやコーナーも速いですから。スピード域が上がれば上がるほど、新モデルの力が発揮できると感じています。実際、平均斜度が緩めな富士ヒルクライムは新モデルで走りました。
スルーアクスルによって車軸周りが強化されたことで、スピードの乗りがかなり良くなっていると感じます。特に顕著なのが、下ってからの登り返し。突っかかるような減速感が無くなって、すごく滑らかに繋いでいけるのが気持ちいいですね。
組み合わせるホイールに関しては、コースや脚質に合わせて選ぶといいと思います。ディスクロード全般に言えることかもしれませんが、ある程度のリムハイトがあったほうが気持ちよく走れると思います。最初はDTスイスの50mmハイトを履いていたのですが、高速で巡航するには最高でした。
ヒルクライムだけでなく、進化したエアロ性能はロードレースやタイムトライアルにもマッチするという photo:Naoki Yasuoka
今メインにしているのはロヴァールの32mmハイトホイールです。実業団のレースはアップダウンが多いコースで、登りでセレクションがかかることが多いので、少しでも速く反応するためのチョイスです。アタックが活発だったりテクニカルなコースだったりで加減速が多いレースならミドルハイト、サーキットエンデューロなどでハイペースを維持するようなレースであればもう少しディープなホイールがマッチするでしょうね。ツール・ド・おきなわであれば50mmのほうが良かったかもしれません。
IZALCO MAX DISCは最高に気に入っていてほぼ不満は無いですが、あえて一つ挙げるならリアブレーキのローター径が160mmしか対応していないところ。実業団のニュートラルサポートのリアスペアホイールは140mmローターで統一されていますから。ここが改善されれば文句なしの100点満点です。
富士ヒルクライム2018年大会で女子のトップタイムを記録した増田菜穂子(TEAM Y's Road) 写真:本人提供
先代のIZALCO MAXは、その硬さと軽さでヒルクライムバイクとしては最高峰のバイクだったと思っています。乗り始めた当初は、硬すぎて踏み切れなくて、自分に乗りこなせるのか心配になるくらい。ですが、乗りこむうちにしっくりくるようになって、どんどん速く走れるようになってきました。
IZALCO MAX DISCは、そこから更に全方向に性能が上がっているように感じました。特に平地で加速するとどんどん伸びていくのが気持ちいいですね。踏まなくても進んでいくような、伸びやかな走りは先代とは一線を画しています。まさに風を切っているようで、エアロダイナミクスの大切さを体感しました。
一方、懸念材料だったヒルクライムについても、いい意味で裏切られました。これまで登りでは軽さが正義だと信じてきたのですが、その価値観がひっくり返されましたね。
「これまで不得手だったダンシングがとてもスムーズに出来るようになった」 写真:本人提供前作と遜色なく登ってくれるばかりでなく、これまで不得手だったダンシングがとてもスムーズに出来るようになったんです。左右に車体を振った時にもしっかりと安定していて、全然軸がブレない。自分のスキル不足を自転車が補ってくれるような、これまで知らなかったような感覚でした。克服するべき課題としていたダンシングが、むしろ得意になりそうです。リズム感も私にピッタリで、自由に漕げているのだと思います。
ディスクブレーキも、重量面以外はメリットしかないですね。手も疲れないですし、しっかり止まれるので、安心感も増して下りも速くなりました。登ったら必ず下るので、ヒルクライマーにとってもこの性能は重要だと思います。
ホイールはマヴィックのCOSMIC PRO CARBONを履いていますが、平地での高速巡航では抜群の相性ですね。登りにフォーカスを当てるなら、よりリムハイトの低い軽さに振ったホイールにすれば、より気持ちよく登れるはず。
とにかくトータルバランスの良い自転車で、ロードレースを狙うのであれば絶対大きな武器になると思います。ヒルクライムをメインにする私にとっては、車重の関係で先代と悩むところですが、補って余りあるメリットはありますね。特に富士ヒルクライムみたいな、比較的斜度が緩めで、高速なレースであれば、IZALCO MAX DISCに軍配が上がると思いますね。
IZALCO MAX DISC 9 JapanAssembly (c)グローブライド
IZALCO MAX DISC 8 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
IZALCO MAX DISC 9.9 (c)グローブライド
IZALCO MAX DISC 9.7 AXS (c)グローブライド
IZALCO MAX DISC 8.9 (c)グローブライド
※8シリーズのインプレッション記事はこちら
IZALCO MAX DISC 8.8 (c)グローブライド
今だからこそ、IZALCO MAX DISCにフォーカスを当てよう
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ドイツの総合バイクブランド、フォーカスが満を持して送り込んだ新世代のオールラウンドレーサー、IZALCO MAX DISC。オーソドックスな真円チューブを採用した超軽量フレームとして人気を集めた前作から一転、トレンドの最先端を行くセミエアロチュービングとフルインターナルケーブルルーティングを採用したディスクブレーキロードがデビューしてからはや1シーズンが経過した。
鳴り物入りで登場したジャーマンオールラウンダーは、果たして前評判に見合う実力を持っていたのか。今回の特集ページでは、IZALCO MAX DISCを良く知るプロレーサーやトップアマチュア、そしてショップスタッフの言葉を通して、その性能に迫っていく。なお車体のスペックやテクノロジーについては、登場時の特集記事を参照いただきたい。
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最初の登場人物は、国内トップカテゴリーとなるJプロツアーを支配するチーム、マトリックスパワータグ。その中核を担う、アイラン・フェルナンデス、佐野淳哉、安原大貴ら3人のトッププロ、そしてMt.富士ヒルクライムの優勝経験を持つ兼松大和と増田菜穂子という2人のトップクライマー達だ。
マトリックスパワータグが語るその乗り味、その走り
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― 主にジャパンカップ以降、旧モデルから新型にスイッチしましたが、ニューバイクの印象は?
安原:まず、なんと言ってもカッコイイですよね。ホビーライダーやファンの方からもカッコイイですね!と言われることが多くて、ちょっと嬉しい(笑)。流行りのエアロフォルムもシャープな印象で、丸チューブだった前作から比べるとガラッと印象が変わりました。
佐野:スルーアクスルの効果だと思うのですが、前のバイクに比べるとカチッとした剛性感が増したと思います。もともと硬めのバイクが好みで、以前はIZALCO RACEを選んでいたのですが、より一層切れ味が増した印象です、よく進むバイクだなぁと感じます。
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アイラン:自分も佐野さんと同じ意見。加速への反応がとても良くて、レースで武器になるバイク。前作と乗り味はかなり違っていて、ボトムブラケット周辺が撓まなくなったことが加速の良さに繋がっているのだと感じます。瞬発力の高さが持ち味なので、細かなアップダウンが続くコースやコーナーが多く加減速の多いテクニカルなセクションで一番輝くバイクですね。
安原:かといって、登りの性能が落ちているわけでもないのがこのバイクのスゴイところ。前作よりも重量は増加していて、チーム仕様だと500gくらいは増えているんですよね。なので、最初はヒルクライムは前のバイクのほうが良いのかな、と思っていたんですけども、いざ登ってみたらなぜか進むんです。
登りでもある程度エアロ効果は発揮されますし、ディスクブレーキ化によってリム重量が軽くなったことも効いているのだと思います。体感としてだけでなくて、登りでタイム計測をしても新旧でほぼ変わらないですし、高強度を維持できる短い坂のタイムはむしろ上がっているぐらい。あらゆるコース、シチュエーションで走るバイクに進化しているな、という印象です。
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― 専用設計のステムやディスクブレーキの採用など様々な新規格が盛り込まれていますが、違和感などは無かったですか?
佐野:ステムに関して言えば、違和感は全然無かったですね。正直なところ、ハンドルの高ささえ合わせられれば問題は無いので。ステムも15度くらいのライズ角なので、かなり低めのポジションを取れるのは良いですね。
自分のように80kgくらい体重のある選手にとって、ディスクブレーキの採用は福音ですね。リムブレーキだと、どうしても他の選手と同じようには止まれなかったのが、ディスクブレーキになって大分差が縮まりました。以前に比べて、安心してダウンヒルを走れるようになりました。
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アイラン:実は、このバイクに乗る前はディスクブレーキ否定派だったんです。でも、実際に乗ってみるとそんな考えは覆されました。制動力も向上しているし、微妙なコントロールもしやすいからね。一つだけ問題を挙げるとすればホイール重量が増えてしまうことだけど、総合的に見ればディスクブレーキを選びたいね。これから、もっと軽いホイールが出てくれば言うことは無いですね。
安原:ちょっと話はズレるんですけど、個人的に気に入っているのがD型の専用シートポストなんですよね。こう見えて、結構神経質で(笑)、丸シートポストだった前作だとちゃんと真っ直ぐ取り付けられているかいつも気になっていたんです。少し車に立てかけただけで微妙に回ってしまう時もあるじゃないですか。このシートポストはそういったストレスから解放してくれたのは嬉しいですね。
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佐野:結構しっかりしなってくれて、快適性も高くなっているところも良いですよね。長距離を走っても腰に来る感じが少なくて前作よりも楽ですね。あと、そういった面で言えば、タイヤクリアランスの広さも大きなメリットですよ。28Cとか30Cとか、もっと太めのタイヤを使えばロングライドにも十分使えますし。
単純に突き上げの少なさに起因する快適性というものとは別に、ディスクブレーキになったからこそのストレスフリーな面も大きいと思います。スルーアクスル化のおかげでハンドリングも骨太の安定感が出ましたし、もちろんブレーキングに必要な力も少なく済みますし。以前、乗ったことのあるディスクブレーキロードの印象があまり良くなくて、私も最初は懐疑的だったんです。でも、このバイクに乗ってみたら、そんな先入観は完全に吹き飛びましたね。とても完成度が高くなっています。
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― 最後に一言、メッセージがあれば
佐野:これまで、フォーカスはあんまり派手なイメージも無くて注目されづらいブランドだったと思います。でも、実際は素晴らしいバイクを作る職人気質なブランドなんです。だから、もっと皆さん、フォーカスにフォーカスしてほしいですね!
安原:お後がよろしいようで(笑)
2人のトップヒルクライマーが語るIZALCO MAX DISC
ヒルクライムバイクの傑作として知られた先代のIZALCO MAX。その名車を駆って、日本最大のヒルクライムレースを制した2人のヒルクライマーが兼松大和(GREEN ROAD/イナーメ信濃山形)と増田菜穂子(TEAM Y's Road)だ。IZALCO MAXシリーズの乗り味に惚れ込み、2世代に渡ってその性能を知るヒルクライムキングとクイーンによるインプレッションをお届けしよう。兼松大和(GREEN ROAD/イナーメ信濃山形)
「登りも下りもあらゆるシーンで隙の無いオールラウンダー」
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とにかくバランスが良いオールラウンダーです!登りも軽いし、平地も伸びる。どんなコースにも対応するロードレース向けのバイクですね。他社のディスクロードもいくつか試してみた中で、IZALCO MAX DISCは圧倒的に振りが軽かったんですよ。ダンシングでバイクを振ったときの軽やかな乗り味が断トツで、次のバイクはコレにしよう、と決めたんです。
ロードレースだとピュアなエアロロードを選ぶ人も多いですけれど、独特の剛性感が合わなくて。やっぱり縦方向の硬さを感じてしまう。IZALCO MAX DISCはエアロでありつつも、縦横の剛性バランスもちょうど良い。程よいウィップ感があって、リズムが掴みやすいんですよね。
今は、旧モデルと新モデルの両方に乗っていますけれど、ずっと登りのレース以外は新モデルです。ディスクロードということで、重量だけを見ると旧モデルより重くなるので、極限まで絞って挑むようなヒルクライムレースだとリムブレーキ仕様に分があります。ライバルより1kg重いと、大体5w~6wくらいのビハインドになる計算ですね。
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一方で、登って下って平地もあって、というコースであれば新モデルが圧倒的に速いですね。エアロですし、ディスクブレーキのおかげで下りやコーナーも速いですから。スピード域が上がれば上がるほど、新モデルの力が発揮できると感じています。実際、平均斜度が緩めな富士ヒルクライムは新モデルで走りました。
スルーアクスルによって車軸周りが強化されたことで、スピードの乗りがかなり良くなっていると感じます。特に顕著なのが、下ってからの登り返し。突っかかるような減速感が無くなって、すごく滑らかに繋いでいけるのが気持ちいいですね。
組み合わせるホイールに関しては、コースや脚質に合わせて選ぶといいと思います。ディスクロード全般に言えることかもしれませんが、ある程度のリムハイトがあったほうが気持ちよく走れると思います。最初はDTスイスの50mmハイトを履いていたのですが、高速で巡航するには最高でした。
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今メインにしているのはロヴァールの32mmハイトホイールです。実業団のレースはアップダウンが多いコースで、登りでセレクションがかかることが多いので、少しでも速く反応するためのチョイスです。アタックが活発だったりテクニカルなコースだったりで加減速が多いレースならミドルハイト、サーキットエンデューロなどでハイペースを維持するようなレースであればもう少しディープなホイールがマッチするでしょうね。ツール・ド・おきなわであれば50mmのほうが良かったかもしれません。
IZALCO MAX DISCは最高に気に入っていてほぼ不満は無いですが、あえて一つ挙げるならリアブレーキのローター径が160mmしか対応していないところ。実業団のニュートラルサポートのリアスペアホイールは140mmローターで統一されていますから。ここが改善されれば文句なしの100点満点です。
増田菜穂子(TEAM Y's Road)
「苦手なダンシングも克服できそうなリズムの良さが魅力的」
実は、IZALCO MAX DISCは購入を迷っていたんです。いくつか理由があるのですが、ディスクロードなのでコンポやホイールなど全て買い増しになるという、単純に経済的な理由が一つ。もう一つが、今乗っている前作と比べると、どうしても重量が増加するので、ヒルクライムレースをメインに考えている私にとってメリットがあるのかどうか、という点でした。そういったこともあり、しばらく試乗車を貸していいただき乗り込んでいるところです。
先代のIZALCO MAXは、その硬さと軽さでヒルクライムバイクとしては最高峰のバイクだったと思っています。乗り始めた当初は、硬すぎて踏み切れなくて、自分に乗りこなせるのか心配になるくらい。ですが、乗りこむうちにしっくりくるようになって、どんどん速く走れるようになってきました。
IZALCO MAX DISCは、そこから更に全方向に性能が上がっているように感じました。特に平地で加速するとどんどん伸びていくのが気持ちいいですね。踏まなくても進んでいくような、伸びやかな走りは先代とは一線を画しています。まさに風を切っているようで、エアロダイナミクスの大切さを体感しました。
一方、懸念材料だったヒルクライムについても、いい意味で裏切られました。これまで登りでは軽さが正義だと信じてきたのですが、その価値観がひっくり返されましたね。
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ディスクブレーキも、重量面以外はメリットしかないですね。手も疲れないですし、しっかり止まれるので、安心感も増して下りも速くなりました。登ったら必ず下るので、ヒルクライマーにとってもこの性能は重要だと思います。
ホイールはマヴィックのCOSMIC PRO CARBONを履いていますが、平地での高速巡航では抜群の相性ですね。登りにフォーカスを当てるなら、よりリムハイトの低い軽さに振ったホイールにすれば、より気持ちよく登れるはず。
とにかくトータルバランスの良い自転車で、ロードレースを狙うのであれば絶対大きな武器になると思います。ヒルクライムをメインにする私にとっては、車重の関係で先代と悩むところですが、補って余りあるメリットはありますね。特に富士ヒルクライムみたいな、比較的斜度が緩めで、高速なレースであれば、IZALCO MAX DISCに軍配が上がると思いますね。
フォーカス IZALCO MAX DISC ラインアップ
IZALCO MAX DISC 9 Japan Assembly
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コンポーネント | ホイール | 税抜価格 |
シマノ DURA ACE DI2 | マヴィック COSMIC PRO CARBON UST DISC | 960,000円 |
シマノ DURA ACE DI2 | フルクラム RACING 400 DB | 798,000円 |
シマノ ULTEGRA DI2 | マヴィック COSMIC PRO CARBON UST DISC | 760,000円 |
シマノ ULTEGRA DI2 | フルクラム RACING 400 DB | 598,000円 |
フレームセット(DI2専用) | 440,000円 |
IZALCO MAX DISC 8 Japan Assembly
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コンポーネント | ホイール | 税抜価格 |
シマノ DURA ACE | マヴィック COSMIC PRO CARBON UST DISC | 760,000円 |
シマノ DURA ACE | フルクラム RACING 400 DB | 580,000円 |
シマノ ULTEGRA DI2 | マヴィック COSMIC PRO CARBON UST DISC | 700,000円 |
シマノ ULTEGRA DI2 | フルクラム RACING 400 DB | 520,000円 |
シマノ ULTEGRA | マヴィック COSMIC PRO CARBON UST DISC | 600,000円 |
シマノ ULTEGRA | フルクラム RACING 400 DB | 420,000円 |
フレームセット | 360,000円 |
IZALCO MAX DISC 9.9
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フレーム | MAX technology carbon, disc, BB86, 142x12 mm thru axle, RAT Evo technology, electronical shifting only, flat mount 160 mm |
フォーク | MAX technology carbon, integrated, disc, 100x12 mm RAT through axle, RAT Evo Technology, flat mount 160 mm |
ハンドルバー | Easton EC90 Aero, carbon |
ステム | FOCUS IZALCO MAX custom, carbon |
コンポーネント | Shimano Dura-Ace R9150 Di2 |
ホイール | DT Swiss ARC 1450 DICUT DB, 48mm height |
タイヤ | Continental GP4000 II, 700 x 25C |
サドル | Prologo Dimension |
サイズ | 47, 50, 52, 54 |
価格 | 1,200,000円(税抜) |
IZALCO MAX DISC 9.7 AXS
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フレーム | MAX technology carbon, disc, BB86, 142x12 mm thru axle, RAT Evo technology, electronical shifting only, flat mount 160 mm |
フォーク | MAX technology carbon, integrated, disc, 100x12 mm RAT through axle, RAT Evo Technology, flat mount 160 mm |
ハンドルバー | Easton EC90 Aero, carbon |
ステム | FOCUS IZALCO MAX custom, carbon |
コンポーネント | SRAM FORCE eTap AXS |
ホイール | DT Swiss ARC 1450 DICUT DB, 48mm height |
タイヤ | VITTORIA CORSA、700×25C |
サドル | Prologo Dimension |
サイズ | 50, 52, 54 |
価格 | 790,000円(税抜) |
IZALCO MAX DISC 8.9
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フレーム | MAX technology carbon, disc, BB86, 142x12 mm thru axle, RAT Evo technology, Di2/mechanical, flat mount 160 mm |
フォーク | MAX technology carbon, integrated, disc, 100x12 mm RAT through axle, RAT Evo Technology, flat mount 160 mm |
ハンドルバー | BBB Deluxe, Aluminium |
ステム | BBB Deluxe, aluminium |
コンポーネント | Shimano Ultegra R8050, Di2 |
ホイール | DT Swiss PRC 1450 SPLINE DB, 35mm height |
タイヤ | Continental Ultra Sport II, 700 x 25C |
サドル | Prologo Scratch |
サイズ | 47, 50, 52, 54 |
価格 | 690,000円(税抜) |
※8シリーズのインプレッション記事はこちら
IZALCO MAX DISC 8.8
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フレーム | MAX technology carbon, disc, BB86, 142x12 mm thru axle, RAT Evo technology, Di2/mechanical, flat mount 160 mm |
フォーク | MAX technology carbon, integrated, disc, 100x12 mm RAT through axle, RAT Evo Technology, flat mount 160 mm |
ハンドルバー | BBB Deluxe, Aluminium |
ステム | BBB Deluxe, aluminium |
コンポーネント | Shimano Ultegra R8000 |
ホイール | Novatec R5, carbon, 50mm height |
タイヤ | Continental Ultra Sport II, 700 x 25C |
サドル | Prologo Scratch |
サイズ | 47, 50, 52, 54 |
価格 | 490,000円(税抜) |
IZALCO MAX DISC 試乗会情報
提供:グローブライド 制作:シクロワイアード編集部