2019/12/21(土) - 10:38
マトリックスパワータグの選手らや強豪ヒルクライマーたちに愛用されるフォーカスの新型 IZALCO MAX DISC。その実力は全国の有力ショップの店長達にも高く評価されている。今回は自身の愛車としてIZALCO MAX DISCを導入した5人の有名店長達のインプレッションをお届けしよう。
― マイバイクとしてIZALCO MAX DISCを選んだ理由とは?
遠藤:めちゃくちゃざっくり言うと、リムブレーキバイクから一番違和感のない乗り味のディスクブレーキロードだったから。色々ディスクロードも試したけれど、これまでのロードバイクとは別の乗り物になっているものが多かった。特に専用パーツがてんこ盛りのバイクはその傾向が強いですね。
流郷:自分はディスクロードがどういうものかというのを知るための最初の1台として、ですね。どんなもんなんかな?と。実際乗ってみたら、これまでのバイクとは別物ですね。スチールからアルミ、カーボンに変わってきたのと同じくらいか、それ以上の変化がありました。その中でIZALCOを選んだのは完成度の高さと、ルックスの良さですね。最近は真っ黒なバイクが多いので、独特なカラーに惹かれました。実はおふたりと同じカラー(シルバー)が欲しかったんですけど(笑)
西谷:最先端のエアロなディスクロードに乗ってみたかったんですよ。でも、自分の中で譲れない部分として、ハンドルが90度切れるというのがあって。ケーブルを内装しつつしっかりハンドルが切れてステアリングに影響しない、という基準で選んでいくと、みんなどんどん脱落していってIZALCO MAX DISCが残った。あと、細かいところだと、規格が堅いのも良いですね、ダイレクトマウントのリアエンドとか86mm幅のBBとか。最初からシマノで組むつもりだったので、安心感がありますよね。
流郷:ハンドルがキチンと切れるのって、乗った時はもちろんですけど、運ぶ時にも影響が大きいですよね。車載するにしてもハンドルが途中までしか切れないと嵩張りますから。フル内装が標準になっていく中で、整備性や汎用性の高さは選ぶ上で大きな判断基準になりますよ。自分の自転車は試乗車でもあるのでシートポストを動かすことが多いんですが、動きがスムーズだしキズも入らないんですよね。精度の高さや構造のシンプルさが為せるワザなんでしょうけど、そういった部分もドイツブランドらしくて良いですね。
― 実際乗ってみてどういった印象でしょう?
遠藤:ディスクロードはスルーアクスルの採用もあってとにかくフレーム剛性が過剰になりがちで、レースで使うことを考えると、最後まで脚を残せるか不安になるくらいの剛性感のバイクが多い。その中でもIZALCOはそんな不安が一番少ないバイクでしたね。
個人的にはあまり硬すぎるフレームは好きじゃなくて、しなやか目なフレームに硬いホイールを組み合わせるのが好きなんです。そういったフィーリングの部分はスペックだけではわからないですから、ぜひ一度試してみた方がいいと思う。
流郷:リムブレーキでは出せない剛性感が印象的で、まるでトラックバイクみたいな硬さを持ちつつも、乗り心地が良くて脚残りが良いんですよね。高出力で踏んだ時の撓みが少なくて、フレームが撚れている感覚が無い。スルーアクスルの恩恵だと思いますが、バイク全体としての剛性感はかなり高めだと感じました。
ハンガー下がりも78mmもあって、昔のスチールなんかだったら全然低速が伸びないもっさりした自転車になりそうなジオメトリーなんですが、乗ってみると漕ぎ出しから鋭い。それでいて安定性は高くて、下りも速い。どんなレベルの人が乗っても満足できそうですよね。
西谷:BBとかヘッド周辺とか、力が掛かるところは硬めに作ってあると思うんですが、全体的なイメージはかなりしなやかです。他のディスクロードに比べると際立ちますね。フォーク周りがいい具合に変形してくれて、この乗り味を演出してくれているのだと思います。
あと、これは全然根拠はないんですが、他の人と一緒に走っていて「自分の自転車速いな!」って思うことがよくある(笑)。最近だとこのフレーズってVENGEに乗ってる人が良く使いますけど、彼らと走っていてもそう思うことは多いですね。下りでどんどん近づいて行ったりね、特に攻めてるわけじゃないのに。
造形的にはまだまだエアロにできそうなところは沢山残っているけれど、実際に乗ってみると速いんですよね。エアロに寄せていくことで失うものもあって、フォーカスはそこのバランスを取るのが上手いんだと思います。車重もリムモデルに比べると重いのに、実際走るとフィーリングもいいし、タイムだってこっちの方が速かった。
流郷:個人的にはそこまでエアロダイナミクスは気にしていなかったんですけど、このバイクは明らかに速いと感じることがしばしばあります。お客さんと一緒に峠を下っていて、抑えめに走っているつもりでも結構後ろと離れ気味になることもあって。
でも、それはエアロだけじゃなくて、踏みやすさやスタビリティ、スムースネスといった総合的な性能がこのバイクの本当の魅力なんだと思います。下りでも路面の凹凸をなかったようにして進んでいく。剛性値とか空気抵抗の大きさとか、数値ありきの速さではなくて、もっと乗り手目線で感じられる速さが身上なんだと思います。
遠藤:ドイツブランドと聞くと数値にこだわったアプローチをしてそうなんですが、実際に乗ってみるともっと感覚的な部分を大切にしているように感じます。登りでもその性能はしっかり出ていますね。重量で見ると自分のIAZLCOは7.5kgあるんですが、6.8kgギリギリのバイクに対しても遜色なく登るし、むしろ速いんじゃないかってぐらい。とにかく、登りも下りも平坦も速くて、オールマイティ。
流郷:あえて意地悪な言い方をすると突出したものが無いとも言えるんだけど、実際は本当に高次元で全ての性能がまとまっているんですよね。
― 専用ステムなども採用されていますが、機材として見た時の使い勝手はどうですか?
遠藤:僕はステムは汎用品に変えて組んだけど、ちょっと見た目が……ね(笑)。やっぱり専用ステムの方がかっこよくまとまりますね。でも、純正も使えるし、サードパーティーも使える、というのは良いですよ。ハンドリングが悪くなるということもないですし。
西谷:ハンドル周りはこだわりある人も多い部分だし、ポジションに直接関わってくるところだから専用品しか使えないというのはそれだけでネガティブだよね。最低でもハンドルは使い慣れたものが良い。そういう意味で、専用ハンドルを使用しないIZALCOの内装システムは魅力的ですね。
そうそう、僕もステムをもう少し低くしたくて、他のステムで組んでた時もあったけど、見た目が良くなかったから純正に戻しました(笑)
流郷:完成車についてきたITMのハンドルが、ドロップが深くてリーチが短いというなかなか面白い形状だったんですけど、このバイクのジオメトリーには合っていると思いますね。専用ステムはカッコいいんですけど、もう少し軽くてもいいかな?
西谷:あとは細かいところになるけれども、シートチューブ側のボトルケージ台座はもう少し低いほうが好みですね。自分はアダプターを使って位置を下げています。スルーアクスルのRATシステムも、汎用性があればもっと嬉しいですね。
流郷:でもRATはすごく便利じゃないですか?前輪に関して言えばクイックよりも速いですよ。ねじ切りタイプのエンドに比べると精度も高いですし。
遠藤:あとはリアのディスクローター台座が160mmにしか対応していないのは、ちょっと驚いたね。組もうとして、140mmローターつけようとしたら、「アレ?」みたいな(笑)
西谷:正直140mmで十分なので、重量的な意味ではちょっともったいない。フォークは140mmに出来るので、前だけ140mmにしてるんですけど、「普通逆じゃないですか?」ってよく言われます(笑)
― いろいろと話してきた中で見えてきたものもあると思います。IZALCOの魅力はどこにあるでしょう?
流郷:僕はレースから遠ざかって久しいんですけど、これに乗れる選手は幸せだと思います。レース本番で武器になる走行性能はもちろん、長距離を走っても大丈夫な快適性もある。毎日距離を乗り込む必要がある選手にとって、快適性は実はかなり重要なファクターですから。もちろん選手以外のサイクリストにとっても、オススメできるバイクです。価格もハイエンドモデルとしてはかなり手の届きやすい部類ですから、最初のディスクロードへの乗り換えにもピッタリだと思います。
西谷:ほどほどにエアロでありつつ、乗り味はしなやかで長距離を走っても疲れない。基本的にはレーシングバイクなんですが、そこに特化しているわけではない。ロングライド派でも気持ちよく感じるバイクで、ほんとにオールジャンルに楽しめる一台ですね。
遠藤:なんにでも使えるし、誰でもいいところを引き出せるオールラウンドなバイクです。エアロロードらしいところもあれば、クライミングバイクぽいところもあって、それぞれの良いとこどりをしているような。これに乗り慣れちゃうと、以前のバイクに戻れなくなりました。それくらいストレスフリーなモデルです。
フォーカスはずっと好きなメーカーで、IZALCOシリーズもいくつか乗ってきたんです。この新モデルはかなり注目してたんですよ。ずっと丸パイプにこだわっていたフォーカスがエアロロードを作る、という触れ込みだったので。いざ発表されてみると、いわゆるエアロチュービングでは無くて、二度びっくりしました(笑)
実際に乗ってみると、すごく進むんですよね。進むという意味では、前の世代のIZALCOもとても良くて踏み込みも軽かったんですが、悪く言うとすっぽ抜けるような感覚もありました。それが、新モデルでは格段に良くなっていますね。ディスクブレーキ化したこともあって、ぐっと低重心になった印象です。
ロードバイクの剛性は前後のバランスで説明されることが多いですが、このバイクは上下のバランスが良くなりましたね。ダウンチューブからチェーンステーにかけてのラインが更に強化されて、バイクを振っても全然ブレないんですよ。そこに加えて、左右のバランスも均等に仕上がっているのがIZALCOの特徴ですね。ダンシングしても重心が真ん中に来るので、ラインを乱さず走れるんです。
これまではドライブトレインが右側にあったので、重心は右寄りでした。ディスクブレーキ化することで左右の重心バランスは均等に近づいたんですが、ディスクブレーキ台座周辺のみを強化することで剛性バランスが崩れているバイクが増えてしまった。その点、フォーカスはしっかりとIZALCOを設計していて、左右とも剛性を強化しているので、剛性面でも左右バランスの良いバイクになっています。結果としてとても安定感の高いバイクになっているんです。
他のブランドと比べると地味なイメージなんですが、細かいところまで気配りが行き届いているのがフォーカスの持ち味なんです。エアロチュービングにしても、ライバルブランドのようなわかりやすいチュービングにはせず、かなりオーソドックスな形状です。一方で、フォークの肩下がすごく長くなっていて、ホイールとのクリアランスを大きくとることで、最も空力的に重要なフロント回りの空気の流れを制御しようという意図がある。横からのカタログ写真だとわからない部分に、一番のこだわりが詰まっているんですよね(笑)。だから一度機会があれば実物を見てほしいですし、乗ってみてほしい。他のブランドとは一味違うのがわかると思いますよ。
ケーブルもフル内装ですが、ハンドルは汎用品を使えますし、ステアリングコラムも真円形状で奇をてらったところが無くて組みやすい。チューブ内部の仕上げがキレイなのでケーブルも通しやすく、メカニック的な目線で見ても良い自転車です。価格もハイエンドモデルでも100万円を切りますし、アルテグラDI2仕様なら60万円と手が届きやすいですよね。今日も色んなブランドと悩んでいたお客さんがIZALCOに決めていただきました(笑)
もう一つ付け加えるなら、小さなサイズの設計が上手いというのもIZALCOの美点です。最小サイズでも極端なスローピングにはならずルックスも悪くないし、乗り味もサイズ間の差が少ないんです。各サイズごとにチューブの径や肉厚、形状までもしっかり作り分けていて、同じ乗り味になるように設計されているので、スモールサイズを探している方にもオススメしやすいバイクですね。
「空力にも優れていて軽量なので、1台でこなす場合はこのバイクが最適」
発売後すぐに購入し、昨年12月頃から乗っています(フレームサイズ52)。現在所有しているバイクの中では最もオールマイティなので、山ばかりではなく、ど平坦でもなく、色んなシチュエーションがあるコースで活躍しています。例えば鈴鹿のようなサーキットコースが得意なバイク。2台所有することができるのであればエアロ系と軽量系を1台ずつ所有するのが理想ですが、空力にも優れていて軽量なので、1台でこなす場合はこのバイクが最適だと思います。個人的には軽量なホイールをつけて、山も平地もこなす一台二役のバイクとして使っていきたい。
かなり横方向の剛性感がありながら、シートポストが細いこともあって、縦方向の衝撃をうまく吸収してくれます。ハンドリングも扱いやすく、ワインディングでも針の穴を通すようにコントロールしやすいです。低重心でホイールベースも確保されているので安定感があり、一見華奢で柔らかそうなフォークは剛性感がある。あれはしっかりとお金をかけて開発された高いフォークですよ(笑)
店舗で試乗会をした時も、各社のハイエンドモデルが集まる中で参加者の評価がすこぶる高かった。「意外に、僕はこれがいいです」と言われて、実際に何名かが購入されました。コストパフォーマンスも抜群で、ウルトラハイモジュラスのカーボンフレームで、マヴィックのコスミックプロカーボンUSTホイールとアルテグラDi2がついて76万円。お店としてもとても勧めやすいバイクです。
決して飛び抜けて軽いホイールではなく、太いタイヤを履いているので登りは期待してなかったんですが、ライドの参加者に「店長、今日はどうしたんですか!」って言われたほど登りも速い。フレーム単体では前作のほうが軽く、完成車としてもディスクブレーキ分を含めて重くなっているものの、登りも軽快に走ることができます。
身体に響くような硬すぎる感じはないものの、BB周辺がしっかりとしているので、踏んだ力が推進力にスッスッスッと変わっていく。クランクが上死点を通過してすぐ力を入力すると、後は脚の重さをペダルに込めるだけで無駄なく進んでいく感じ。体重70kg台のライダーにはドンピシャの剛性だと思います。トップチューブの横方向の細さもペダリングに干渉しなくて好きです。
輪行することも多いので、ハンドルがしっかり切れて、しゃくりを調整できるのも高ポイント。完全内装ではないので整備性も高く、ハンドルの高さもブレーキオイルを抜くことなく変更できるなど完成度が高い。レースからロングライドまで用途を選ばないので、昔と違ってレース一辺倒ではなく色んなライドを楽しむサイクリストが増えた今のご時世に合ったバイクです。脚を残せる剛性感なので、特にシリアスなロングライドやエンデューロを楽しむ方に。ノーマルのハンドルなのでDHバーも取り付け可能で、ミドルディスタンスまでのトライアスロンにもおすすめです。
O-vest × YOU CAN × Fin's IZALCO MAX DISCクロストーク
― マイバイクとしてIZALCO MAX DISCを選んだ理由とは?
遠藤:めちゃくちゃざっくり言うと、リムブレーキバイクから一番違和感のない乗り味のディスクブレーキロードだったから。色々ディスクロードも試したけれど、これまでのロードバイクとは別の乗り物になっているものが多かった。特に専用パーツがてんこ盛りのバイクはその傾向が強いですね。
流郷:自分はディスクロードがどういうものかというのを知るための最初の1台として、ですね。どんなもんなんかな?と。実際乗ってみたら、これまでのバイクとは別物ですね。スチールからアルミ、カーボンに変わってきたのと同じくらいか、それ以上の変化がありました。その中でIZALCOを選んだのは完成度の高さと、ルックスの良さですね。最近は真っ黒なバイクが多いので、独特なカラーに惹かれました。実はおふたりと同じカラー(シルバー)が欲しかったんですけど(笑)
西谷:最先端のエアロなディスクロードに乗ってみたかったんですよ。でも、自分の中で譲れない部分として、ハンドルが90度切れるというのがあって。ケーブルを内装しつつしっかりハンドルが切れてステアリングに影響しない、という基準で選んでいくと、みんなどんどん脱落していってIZALCO MAX DISCが残った。あと、細かいところだと、規格が堅いのも良いですね、ダイレクトマウントのリアエンドとか86mm幅のBBとか。最初からシマノで組むつもりだったので、安心感がありますよね。
流郷:ハンドルがキチンと切れるのって、乗った時はもちろんですけど、運ぶ時にも影響が大きいですよね。車載するにしてもハンドルが途中までしか切れないと嵩張りますから。フル内装が標準になっていく中で、整備性や汎用性の高さは選ぶ上で大きな判断基準になりますよ。自分の自転車は試乗車でもあるのでシートポストを動かすことが多いんですが、動きがスムーズだしキズも入らないんですよね。精度の高さや構造のシンプルさが為せるワザなんでしょうけど、そういった部分もドイツブランドらしくて良いですね。
― 実際乗ってみてどういった印象でしょう?
遠藤:ディスクロードはスルーアクスルの採用もあってとにかくフレーム剛性が過剰になりがちで、レースで使うことを考えると、最後まで脚を残せるか不安になるくらいの剛性感のバイクが多い。その中でもIZALCOはそんな不安が一番少ないバイクでしたね。
個人的にはあまり硬すぎるフレームは好きじゃなくて、しなやか目なフレームに硬いホイールを組み合わせるのが好きなんです。そういったフィーリングの部分はスペックだけではわからないですから、ぜひ一度試してみた方がいいと思う。
流郷:リムブレーキでは出せない剛性感が印象的で、まるでトラックバイクみたいな硬さを持ちつつも、乗り心地が良くて脚残りが良いんですよね。高出力で踏んだ時の撓みが少なくて、フレームが撚れている感覚が無い。スルーアクスルの恩恵だと思いますが、バイク全体としての剛性感はかなり高めだと感じました。
ハンガー下がりも78mmもあって、昔のスチールなんかだったら全然低速が伸びないもっさりした自転車になりそうなジオメトリーなんですが、乗ってみると漕ぎ出しから鋭い。それでいて安定性は高くて、下りも速い。どんなレベルの人が乗っても満足できそうですよね。
西谷:BBとかヘッド周辺とか、力が掛かるところは硬めに作ってあると思うんですが、全体的なイメージはかなりしなやかです。他のディスクロードに比べると際立ちますね。フォーク周りがいい具合に変形してくれて、この乗り味を演出してくれているのだと思います。
あと、これは全然根拠はないんですが、他の人と一緒に走っていて「自分の自転車速いな!」って思うことがよくある(笑)。最近だとこのフレーズってVENGEに乗ってる人が良く使いますけど、彼らと走っていてもそう思うことは多いですね。下りでどんどん近づいて行ったりね、特に攻めてるわけじゃないのに。
造形的にはまだまだエアロにできそうなところは沢山残っているけれど、実際に乗ってみると速いんですよね。エアロに寄せていくことで失うものもあって、フォーカスはそこのバランスを取るのが上手いんだと思います。車重もリムモデルに比べると重いのに、実際走るとフィーリングもいいし、タイムだってこっちの方が速かった。
流郷:個人的にはそこまでエアロダイナミクスは気にしていなかったんですけど、このバイクは明らかに速いと感じることがしばしばあります。お客さんと一緒に峠を下っていて、抑えめに走っているつもりでも結構後ろと離れ気味になることもあって。
でも、それはエアロだけじゃなくて、踏みやすさやスタビリティ、スムースネスといった総合的な性能がこのバイクの本当の魅力なんだと思います。下りでも路面の凹凸をなかったようにして進んでいく。剛性値とか空気抵抗の大きさとか、数値ありきの速さではなくて、もっと乗り手目線で感じられる速さが身上なんだと思います。
遠藤:ドイツブランドと聞くと数値にこだわったアプローチをしてそうなんですが、実際に乗ってみるともっと感覚的な部分を大切にしているように感じます。登りでもその性能はしっかり出ていますね。重量で見ると自分のIAZLCOは7.5kgあるんですが、6.8kgギリギリのバイクに対しても遜色なく登るし、むしろ速いんじゃないかってぐらい。とにかく、登りも下りも平坦も速くて、オールマイティ。
流郷:あえて意地悪な言い方をすると突出したものが無いとも言えるんだけど、実際は本当に高次元で全ての性能がまとまっているんですよね。
― 専用ステムなども採用されていますが、機材として見た時の使い勝手はどうですか?
遠藤:僕はステムは汎用品に変えて組んだけど、ちょっと見た目が……ね(笑)。やっぱり専用ステムの方がかっこよくまとまりますね。でも、純正も使えるし、サードパーティーも使える、というのは良いですよ。ハンドリングが悪くなるということもないですし。
西谷:ハンドル周りはこだわりある人も多い部分だし、ポジションに直接関わってくるところだから専用品しか使えないというのはそれだけでネガティブだよね。最低でもハンドルは使い慣れたものが良い。そういう意味で、専用ハンドルを使用しないIZALCOの内装システムは魅力的ですね。
そうそう、僕もステムをもう少し低くしたくて、他のステムで組んでた時もあったけど、見た目が良くなかったから純正に戻しました(笑)
流郷:完成車についてきたITMのハンドルが、ドロップが深くてリーチが短いというなかなか面白い形状だったんですけど、このバイクのジオメトリーには合っていると思いますね。専用ステムはカッコいいんですけど、もう少し軽くてもいいかな?
西谷:あとは細かいところになるけれども、シートチューブ側のボトルケージ台座はもう少し低いほうが好みですね。自分はアダプターを使って位置を下げています。スルーアクスルのRATシステムも、汎用性があればもっと嬉しいですね。
流郷:でもRATはすごく便利じゃないですか?前輪に関して言えばクイックよりも速いですよ。ねじ切りタイプのエンドに比べると精度も高いですし。
遠藤:あとはリアのディスクローター台座が160mmにしか対応していないのは、ちょっと驚いたね。組もうとして、140mmローターつけようとしたら、「アレ?」みたいな(笑)
西谷:正直140mmで十分なので、重量的な意味ではちょっともったいない。フォークは140mmに出来るので、前だけ140mmにしてるんですけど、「普通逆じゃないですか?」ってよく言われます(笑)
― いろいろと話してきた中で見えてきたものもあると思います。IZALCOの魅力はどこにあるでしょう?
流郷:僕はレースから遠ざかって久しいんですけど、これに乗れる選手は幸せだと思います。レース本番で武器になる走行性能はもちろん、長距離を走っても大丈夫な快適性もある。毎日距離を乗り込む必要がある選手にとって、快適性は実はかなり重要なファクターですから。もちろん選手以外のサイクリストにとっても、オススメできるバイクです。価格もハイエンドモデルとしてはかなり手の届きやすい部類ですから、最初のディスクロードへの乗り換えにもピッタリだと思います。
西谷:ほどほどにエアロでありつつ、乗り味はしなやかで長距離を走っても疲れない。基本的にはレーシングバイクなんですが、そこに特化しているわけではない。ロングライド派でも気持ちよく感じるバイクで、ほんとにオールジャンルに楽しめる一台ですね。
遠藤:なんにでも使えるし、誰でもいいところを引き出せるオールラウンドなバイクです。エアロロードらしいところもあれば、クライミングバイクぽいところもあって、それぞれの良いとこどりをしているような。これに乗り慣れちゃうと、以前のバイクに戻れなくなりました。それくらいストレスフリーなモデルです。
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フォーカスはずっと好きなメーカーで、IZALCOシリーズもいくつか乗ってきたんです。この新モデルはかなり注目してたんですよ。ずっと丸パイプにこだわっていたフォーカスがエアロロードを作る、という触れ込みだったので。いざ発表されてみると、いわゆるエアロチュービングでは無くて、二度びっくりしました(笑)
実際に乗ってみると、すごく進むんですよね。進むという意味では、前の世代のIZALCOもとても良くて踏み込みも軽かったんですが、悪く言うとすっぽ抜けるような感覚もありました。それが、新モデルでは格段に良くなっていますね。ディスクブレーキ化したこともあって、ぐっと低重心になった印象です。
ロードバイクの剛性は前後のバランスで説明されることが多いですが、このバイクは上下のバランスが良くなりましたね。ダウンチューブからチェーンステーにかけてのラインが更に強化されて、バイクを振っても全然ブレないんですよ。そこに加えて、左右のバランスも均等に仕上がっているのがIZALCOの特徴ですね。ダンシングしても重心が真ん中に来るので、ラインを乱さず走れるんです。
これまではドライブトレインが右側にあったので、重心は右寄りでした。ディスクブレーキ化することで左右の重心バランスは均等に近づいたんですが、ディスクブレーキ台座周辺のみを強化することで剛性バランスが崩れているバイクが増えてしまった。その点、フォーカスはしっかりとIZALCOを設計していて、左右とも剛性を強化しているので、剛性面でも左右バランスの良いバイクになっています。結果としてとても安定感の高いバイクになっているんです。
他のブランドと比べると地味なイメージなんですが、細かいところまで気配りが行き届いているのがフォーカスの持ち味なんです。エアロチュービングにしても、ライバルブランドのようなわかりやすいチュービングにはせず、かなりオーソドックスな形状です。一方で、フォークの肩下がすごく長くなっていて、ホイールとのクリアランスを大きくとることで、最も空力的に重要なフロント回りの空気の流れを制御しようという意図がある。横からのカタログ写真だとわからない部分に、一番のこだわりが詰まっているんですよね(笑)。だから一度機会があれば実物を見てほしいですし、乗ってみてほしい。他のブランドとは一味違うのがわかると思いますよ。
ケーブルもフル内装ですが、ハンドルは汎用品を使えますし、ステアリングコラムも真円形状で奇をてらったところが無くて組みやすい。チューブ内部の仕上げがキレイなのでケーブルも通しやすく、メカニック的な目線で見ても良い自転車です。価格もハイエンドモデルでも100万円を切りますし、アルテグラDI2仕様なら60万円と手が届きやすいですよね。今日も色んなブランドと悩んでいたお客さんがIZALCOに決めていただきました(笑)
もう一つ付け加えるなら、小さなサイズの設計が上手いというのもIZALCOの美点です。最小サイズでも極端なスローピングにはならずルックスも悪くないし、乗り味もサイズ間の差が少ないんです。各サイズごとにチューブの径や肉厚、形状までもしっかり作り分けていて、同じ乗り味になるように設計されているので、スモールサイズを探している方にもオススメしやすいバイクですね。
「空力にも優れていて軽量なので、1台でこなす場合はこのバイクが最適」
シルベストサイクル 山崎統括店長
発売後すぐに購入し、昨年12月頃から乗っています(フレームサイズ52)。現在所有しているバイクの中では最もオールマイティなので、山ばかりではなく、ど平坦でもなく、色んなシチュエーションがあるコースで活躍しています。例えば鈴鹿のようなサーキットコースが得意なバイク。2台所有することができるのであればエアロ系と軽量系を1台ずつ所有するのが理想ですが、空力にも優れていて軽量なので、1台でこなす場合はこのバイクが最適だと思います。個人的には軽量なホイールをつけて、山も平地もこなす一台二役のバイクとして使っていきたい。
かなり横方向の剛性感がありながら、シートポストが細いこともあって、縦方向の衝撃をうまく吸収してくれます。ハンドリングも扱いやすく、ワインディングでも針の穴を通すようにコントロールしやすいです。低重心でホイールベースも確保されているので安定感があり、一見華奢で柔らかそうなフォークは剛性感がある。あれはしっかりとお金をかけて開発された高いフォークですよ(笑)
店舗で試乗会をした時も、各社のハイエンドモデルが集まる中で参加者の評価がすこぶる高かった。「意外に、僕はこれがいいです」と言われて、実際に何名かが購入されました。コストパフォーマンスも抜群で、ウルトラハイモジュラスのカーボンフレームで、マヴィックのコスミックプロカーボンUSTホイールとアルテグラDi2がついて76万円。お店としてもとても勧めやすいバイクです。
決して飛び抜けて軽いホイールではなく、太いタイヤを履いているので登りは期待してなかったんですが、ライドの参加者に「店長、今日はどうしたんですか!」って言われたほど登りも速い。フレーム単体では前作のほうが軽く、完成車としてもディスクブレーキ分を含めて重くなっているものの、登りも軽快に走ることができます。
身体に響くような硬すぎる感じはないものの、BB周辺がしっかりとしているので、踏んだ力が推進力にスッスッスッと変わっていく。クランクが上死点を通過してすぐ力を入力すると、後は脚の重さをペダルに込めるだけで無駄なく進んでいく感じ。体重70kg台のライダーにはドンピシャの剛性だと思います。トップチューブの横方向の細さもペダリングに干渉しなくて好きです。
輪行することも多いので、ハンドルがしっかり切れて、しゃくりを調整できるのも高ポイント。完全内装ではないので整備性も高く、ハンドルの高さもブレーキオイルを抜くことなく変更できるなど完成度が高い。レースからロングライドまで用途を選ばないので、昔と違ってレース一辺倒ではなく色んなライドを楽しむサイクリストが増えた今のご時世に合ったバイクです。脚を残せる剛性感なので、特にシリアスなロングライドやエンデューロを楽しむ方に。ノーマルのハンドルなのでDHバーも取り付け可能で、ミドルディスタンスまでのトライアスロンにもおすすめです。
IZALCO MAX DISC 試乗会情報
提供:グローブライド 制作:シクロワイアード編集部