2019/06/24(月) - 17:40
2020年、デローザは「レトロ・フューチャー」というコンセプトを掲げ、新時代を切り開こうとしている。今回の特集では創業者ウーゴと現代表のクリスティアーノの言葉から新コンセプトとは何かを紐解く。
第1編目では創業者ウーゴ・デローザのインタビューを通して、ブランド設立前夜ストーリーやウーゴの考えるものづくりの姿勢や考え方に触れてきた。そこではデローザのレトロな側面や、現在にも通じる基礎の部分を感じ取れたはずだ。
その事を踏まえ、第2編目では現代表クリスティアーノ・デローザの言葉から「レトロ・フューチャー」とは何かに触れつつ、そして2020年モデルとして登場したモデルを紹介したい。今回で紹介しきれなかったクリスティアーノのインタビューと、新モデルは第3編目で登場予定だ。
「バイク開発においてはプロダクトに集中することが基本」
―先ほどウーゴさんからデローザのヒストリーを伺いました。クリスティアーノさん自身はデローザというのはどのようなブランドであると考えていますか。
デローザは歴史が長く、技術力が豊かなイタリアの伝統的な工房、会社だと言えます。昔からずっとテーラーメイドの自転車を作り続けてきました。今日、私から紹介したいのは未来の部分。デローザはこれまでもそうでしたが、イノベーティブな技術を取り入れたバイクを作っていく姿勢を崩さずに先へと進みます。
今のデローザを表す概念は、「Retoro Futuro」、英語ではretro future(レトロ・フュチャー)というコンセプト。実は私自身レトロ・フューチャリングという考え方に興味を持っており、今も勉強している最中です。このレトロ・フューチャリングというのは歴史を否定しない考え方であり、それを否定してしまうポストモダンに対する考え方です。
私はデローザの歴史を否定しないで、その上で新しい物や技術を取り入れたいのです。ニコラス(クリスティアーノの息子)たち新しい世代のためも未来に向かって会社を進化させたいと考えています。
「新しい自転車を見てもらいたい」
―このタイミングでロゴも新しくなると聞きました。
2020年モデルの発表と共に新しい一歩を踏み出そうとしていますが、それはロゴ単体の話だけではなく、これから紹介する製品とのマリアージュなのです。ロゴはレトロ・フューチャーというアイデアに基づいたバイクのコンセプトの一部ですので、是非、新しいバイクをその目でご覧いただきたいと思います。
私のモットーは「マーケティングより、製品に力を入れる」です。ユーザーの皆さんへのコミュニケーション方法はプロダクトとマーケティングという2つに分けられます。プロダクトには会社の本音、技術力を投じなければ、ユーザーとのコミュニケーションが台無しになってしまうと考えていますので、デローザに用意されているバイク全てに知識や技術が詰め込まれています。
ポストモダンが歴史からの脱脚を目指すものであるのに対し、レトロ・フューチャーは歴史の上に成り立つものであることは理解しておきたいポイントだ。
フレーム重量800g、新型MERAK (写真はプロトタイプ)
デローザを古くから知っている方ならばMERAK(メラク)の存在はご存知だろう。2000年の世界選手権ロードレースにおいてロマンス・ヴァインシュタインスが優勝した際に使用していた軽量アルミフレームだ。
そして2003年にカーボン化。アルミのハイドロフォーミングチューブの造形を模したフレームとしてデビュー。2010年にラインアップに姿を現したものの、再び充電期間へと移行していたモデルだ。
「デローザにとって大切な存在」とクリスティアーノが評価するMERAKが2020年モデルとして復活する。前回復活した際はミドルグレードとして用意されたが、今回はトップエンドの一角として登場している。
シートチューブはD型断面とされており、エアロや快適性に貢献する
ハンドルバーステムを使用するとケーブルはフル内装することができる
シートステーは扁平形状とされており、快適性を高めてくれそうだ
新ロゴと同じフォントでMERAKのモデル名があしらわれる
注目すべきポイントは800gと非常に軽量なフレーム重量。MERAK=軽量というアイデンティティは健在であり、使用するカーボンファイバーのグレードとフレーム造形によって軽量化を図っているのだという。もちろん剛性も確保した上での軽量化だ。
新型MERAKの登場により、KINGやPROTOSのオールラウンド、SK Pininfarinaのエアロロードでカバーしていなかったヒルクライム向けマシンという穴を埋めることに。来シーズンよりプロ選手たちも使う予定があるとのことであり、プロスペックのマシンであることは間違いない。
新型MERAKのフィーチャーポイントその2はハンドルバーステムを使用すれば、ケーブル類を全て内装できる設計。軽量マシンとは言えど、エアロダイナミクスを求められるのが今のトレンドだ。油圧ディスクブレーキとともに普及し始めたフルインテグレーションは、「これからのロードバイクの未来を象徴している」とクリスティアーノは言う。
ヘッドのクオーレマークはこれまで通り
シンプルなヘット周りの作り。ケーブル用のホールは設けられていない
シンプルなストレートフォークを採用する
そして、ディスクブレーキとリムブレーキ(ダイレクトマウント)の2種類のフレームが用意されていることもポイント。リムブレーキ版はフロントブレーキのみケーブルが外出しになってしまうが、他は全て内装することができる。
時代の要求にしっかりと応えられる設計のディスクブレーキモデルと、可能な限り軽量性を突き詰めたいユーザーやプロのためにリムブレーキモデルを用意しているのは、ユーザーとして有難いオプションではないだろうか。
デローザ MERAK (c)日直商会
軽量化、高剛性化を果たした新型SK Pininfarina
イタリアの名門フェラーリのデザインなどを手がけてきた工業デザイン集団「ピニンファリーナ」。一流のデザイナーとデローザがコラボレーションを始めたのは、2016年モデルのSKの開発時より。その後もMetamorphosisを作り上げるなど良好な関係を築き上げており、今回の新ロゴもピニンファリーナが手がけたものだ。
デローザとのコラボのきっかけとなったSKのモデルチェンジともなれば再びピニンファリーナの出番は必然。今回のモデルチェンジに際し、ピニンファリーナは6つのスケッチを用意。その中からパフォーマンスの進化に相応しいものをピックアップし、開発が進められた。
開発においてはピニンファリーナが所有する欧州最大の風洞実験施設においてエアロダイナミクスを煮詰めている。その結果、トップチューブは扁平形状に、ワイヤー類は完全内装式を採用することに。数多くのスポーツカーを生み出してきたピニンファリーナとのコラボによる空力性能は信頼できるはずだ。
多角形のシートポストが採用されている
新型SKの特徴は扁平のトップチューブと、ケーブルがフル内装という点
シートステーを始めとするリア三角をボリュームアップし剛性を向上させている
フォークとダウンチューブのインテグレートデザインは控えめ
さらに新型では「よりエアロで、より速いスピード」というフィロソフィーは変えず、軽量性と高剛性化を目指したと言う。新型SKはフレーム重量が950gとエアロロードとしては軽量級な1台へと進化。
軽量性と高剛性の獲得には、チューブ形状と使用するカーボン素材の両面からアプローチ。カーボン素材という面では、初代で使用していたものからグレードアップすることで2つの性能の向上を果たしている。
形状面の変化はリアトライアングルによるところが大きい。まず高剛性化のためにはシートステー、チェーンステーともにボリュームアップを図ることで、プロ選手のペダリングパワーを効率よく推進力に変換できる剛性を獲得している。
ホイールを外しやすいようにフォークエンドが欠けているデザイン
一方でリアタイヤを覆うかのようなチュービングは初代よりも控え目な形状に。エアロダイナミクスにも影響を与えてしまうポイントであるが、新型では軽量性を獲得することを優先させている。その結果がアンダー1kgのエアロロードを実現しているのだ。
ディスクブレーキのみ用意される新型IDOL
デローザの人気者IDOLが6年ぶりにお化粧直し。4代目となる新型はディスクブレーキ専用バイクという大きな変化を迎えると共に、洗練されたスタイリングに進化している事が特徴。もちろんアイデンティティであるトップチューブからシートステーにかけての弓なり造形のコンセプトは踏襲されたまま。
クリスティアーノは弓なり造形のコンセプトをポルシェの車に例える。「ポルシェの車はいつの時代もあの形であり、ポルシェを象徴していると思います。それと同じようにIDOLも弓なりの形がIDOLを象徴するものとして位置づけています」。
新型デザインのキーポイントは、ダウンチューブはボリュームアップが図られると同時にカムテールのような形状。シートチューブも丸型断面から多角形デザインへと変貌を遂げるとともに、臼式のクランプ方式を採用しており、まさに現代のトレンドを捉えた形だ。
弓なりのフレーム形状はIDOLのアイデンティティだ
ケーブル類はヘッドチューブに内装することができる
フレームを挟み込むかのようなリアエンド
ボックス形状されたダウンチューブは剛性アップを期待させる
加えて、MERAKやSK Pininfarina同様にワイヤー全内装可能ということも見逃せない。チューブ形状の変更と共にこのケーブルの取り回し方を見ると、4代目IDOLは全体的にエアロダイナミクスを感じさせるバイクと言えるだろう。
ペイントも非常にシンプルな塗り分けとなり、デローザの新ロゴと合わせて洗練された雰囲気を演出する。今回のプレゼンテーションでは合計6色が登場したが、販売モデルとしては更に数色追加される予定だという。選びやすい見た目であることもIDOLが人気の理由だ。
IDOLの2020モデルは様々なカラーが用意される
新コンセプトにおいて鍵となっているのが、ピニンファリーナとのコラボレーションだ。今回の新しいムーブメント以前に行われていた初代SKやMetamorphosisの開発は既に未来に向かった動きであったのだろう。そして、2020年モデルとして用意した新型ロードバイクの数々でムーブメントとして華開いたのだと感じる。
新ロゴの洗練された雰囲気と"今"を捉えた新型バイクのデザインは非常にマッチしており、前段のインタビューでクリスティアーノがマリアージュと言った理由がわかるはずだ。新型バイクはこれからのデローザがどのようなバイクを出すのかを暗示しているように見える。
未来を見据えながらも、レトロな側面を忘れないのが新しいコンセプトである。MERAKであれば輝かしい成績を残した2000年のコンセプトを踏まえた軽量バイクという事がレトロな部分。IDOLであれば弓なり形状だ。それらを捉えた上でスペックや性能は今のニーズに応えられるもの。これがレトロ・フューチャーを表現したバイクなのだろう。
新型SK Pininfarinaには6つのアイデアスケッチが用意された
そしてここで気がつくのは、レトロというのは歴史だけでは無く、デローザが残すべきと考えているアイデンティティやブランドを象徴する物を指しているということ。今回はMERAKとIDOLを通した各バイクのストーリーのみの紹介に留まったが、レトロとはデローザに息づく考え方でもある。
第3編では再びクリスティアーノのインタビューに戻り、デローザの考えるものづくりの姿勢からレトロを見つけ出し、これからの自転車を紹介してもらいつつフューチャーを捉えたい。
第1編目では創業者ウーゴ・デローザのインタビューを通して、ブランド設立前夜ストーリーやウーゴの考えるものづくりの姿勢や考え方に触れてきた。そこではデローザのレトロな側面や、現在にも通じる基礎の部分を感じ取れたはずだ。
その事を踏まえ、第2編目では現代表クリスティアーノ・デローザの言葉から「レトロ・フューチャー」とは何かに触れつつ、そして2020年モデルとして登場したモデルを紹介したい。今回で紹介しきれなかったクリスティアーノのインタビューと、新モデルは第3編目で登場予定だ。
デローザを牽引するクリスティアーノの言葉から探る「レトロ・フューチャー」
![「バイク開発においてはプロダクトに集中することが基本」](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07498.jpg)
―先ほどウーゴさんからデローザのヒストリーを伺いました。クリスティアーノさん自身はデローザというのはどのようなブランドであると考えていますか。
デローザは歴史が長く、技術力が豊かなイタリアの伝統的な工房、会社だと言えます。昔からずっとテーラーメイドの自転車を作り続けてきました。今日、私から紹介したいのは未来の部分。デローザはこれまでもそうでしたが、イノベーティブな技術を取り入れたバイクを作っていく姿勢を崩さずに先へと進みます。
今のデローザを表す概念は、「Retoro Futuro」、英語ではretro future(レトロ・フュチャー)というコンセプト。実は私自身レトロ・フューチャリングという考え方に興味を持っており、今も勉強している最中です。このレトロ・フューチャリングというのは歴史を否定しない考え方であり、それを否定してしまうポストモダンに対する考え方です。
私はデローザの歴史を否定しないで、その上で新しい物や技術を取り入れたいのです。ニコラス(クリスティアーノの息子)たち新しい世代のためも未来に向かって会社を進化させたいと考えています。
![「新しい自転車を見てもらいたい」](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07511.jpg)
―このタイミングでロゴも新しくなると聞きました。
2020年モデルの発表と共に新しい一歩を踏み出そうとしていますが、それはロゴ単体の話だけではなく、これから紹介する製品とのマリアージュなのです。ロゴはレトロ・フューチャーというアイデアに基づいたバイクのコンセプトの一部ですので、是非、新しいバイクをその目でご覧いただきたいと思います。
私のモットーは「マーケティングより、製品に力を入れる」です。ユーザーの皆さんへのコミュニケーション方法はプロダクトとマーケティングという2つに分けられます。プロダクトには会社の本音、技術力を投じなければ、ユーザーとのコミュニケーションが台無しになってしまうと考えていますので、デローザに用意されているバイク全てに知識や技術が詰め込まれています。
新型バイクから紐解くレトロ・フューチャーとは
クリスティアーノは自転車を見て初めてレトロ・フューチャーのコンセプトを感じ取れるという。その言葉を尊重してまずは2020年モデルのバイクを紹介したいと思う。ポストモダンが歴史からの脱脚を目指すものであるのに対し、レトロ・フューチャーは歴史の上に成り立つものであることは理解しておきたいポイントだ。
デローザの軽量バイクの代名詞「MERAK」復活
![フレーム重量800g、新型MERAK](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07556.jpg)
デローザを古くから知っている方ならばMERAK(メラク)の存在はご存知だろう。2000年の世界選手権ロードレースにおいてロマンス・ヴァインシュタインスが優勝した際に使用していた軽量アルミフレームだ。
そして2003年にカーボン化。アルミのハイドロフォーミングチューブの造形を模したフレームとしてデビュー。2010年にラインアップに姿を現したものの、再び充電期間へと移行していたモデルだ。
「デローザにとって大切な存在」とクリスティアーノが評価するMERAKが2020年モデルとして復活する。前回復活した際はミドルグレードとして用意されたが、今回はトップエンドの一角として登場している。
![シートチューブはD型断面とされており、エアロや快適性に貢献する](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07563.jpg)
![ハンドルバーステムを使用するとケーブルはフル内装することができる](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07569.jpg)
![シートステーは扁平形状とされており、快適性を高めてくれそうだ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07566.jpg)
![新ロゴと同じフォントでMERAKのモデル名があしらわれる](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07581.jpg)
注目すべきポイントは800gと非常に軽量なフレーム重量。MERAK=軽量というアイデンティティは健在であり、使用するカーボンファイバーのグレードとフレーム造形によって軽量化を図っているのだという。もちろん剛性も確保した上での軽量化だ。
新型MERAKの登場により、KINGやPROTOSのオールラウンド、SK Pininfarinaのエアロロードでカバーしていなかったヒルクライム向けマシンという穴を埋めることに。来シーズンよりプロ選手たちも使う予定があるとのことであり、プロスペックのマシンであることは間違いない。
新型MERAKのフィーチャーポイントその2はハンドルバーステムを使用すれば、ケーブル類を全て内装できる設計。軽量マシンとは言えど、エアロダイナミクスを求められるのが今のトレンドだ。油圧ディスクブレーキとともに普及し始めたフルインテグレーションは、「これからのロードバイクの未来を象徴している」とクリスティアーノは言う。
![ヘッドのクオーレマークはこれまで通り](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07595.jpg)
![シンプルなヘット周りの作り。ケーブル用のホールは設けられていない](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07591.jpg)
![シンプルなストレートフォークを採用する](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07585.jpg)
そして、ディスクブレーキとリムブレーキ(ダイレクトマウント)の2種類のフレームが用意されていることもポイント。リムブレーキ版はフロントブレーキのみケーブルが外出しになってしまうが、他は全て内装することができる。
時代の要求にしっかりと応えられる設計のディスクブレーキモデルと、可能な限り軽量性を突き詰めたいユーザーやプロのためにリムブレーキモデルを用意しているのは、ユーザーとして有難いオプションではないだろうか。
![デローザ MERAK](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/21/merakdiskbianca-ret.jpg)
MERAK スペック
フレームサイズ | 43、46、48、50、52、54、56、58 |
カラー | 6カラー展開 |
BB | BB86 |
重量 | 800g(ミドルサイズ) |
価格 | 未定 |
SK Pininfarinaがモデルチェンジ、軽量・高剛性化を果たしレーススペックに
![軽量化、高剛性化を果たした新型SK Pininfarina](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07713.jpg)
イタリアの名門フェラーリのデザインなどを手がけてきた工業デザイン集団「ピニンファリーナ」。一流のデザイナーとデローザがコラボレーションを始めたのは、2016年モデルのSKの開発時より。その後もMetamorphosisを作り上げるなど良好な関係を築き上げており、今回の新ロゴもピニンファリーナが手がけたものだ。
デローザとのコラボのきっかけとなったSKのモデルチェンジともなれば再びピニンファリーナの出番は必然。今回のモデルチェンジに際し、ピニンファリーナは6つのスケッチを用意。その中からパフォーマンスの進化に相応しいものをピックアップし、開発が進められた。
開発においてはピニンファリーナが所有する欧州最大の風洞実験施設においてエアロダイナミクスを煮詰めている。その結果、トップチューブは扁平形状に、ワイヤー類は完全内装式を採用することに。数多くのスポーツカーを生み出してきたピニンファリーナとのコラボによる空力性能は信頼できるはずだ。
![多角形のシートポストが採用されている](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07633.jpg)
![新型SKの特徴は扁平のトップチューブと、ケーブルがフル内装という点](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07620.jpg)
![シートステーを始めとするリア三角をボリュームアップし剛性を向上させている](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07639.jpg)
![フォークとダウンチューブのインテグレートデザインは控えめ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07630.jpg)
さらに新型では「よりエアロで、より速いスピード」というフィロソフィーは変えず、軽量性と高剛性化を目指したと言う。新型SKはフレーム重量が950gとエアロロードとしては軽量級な1台へと進化。
軽量性と高剛性の獲得には、チューブ形状と使用するカーボン素材の両面からアプローチ。カーボン素材という面では、初代で使用していたものからグレードアップすることで2つの性能の向上を果たしている。
形状面の変化はリアトライアングルによるところが大きい。まず高剛性化のためにはシートステー、チェーンステーともにボリュームアップを図ることで、プロ選手のペダリングパワーを効率よく推進力に変換できる剛性を獲得している。
![ホイールを外しやすいようにフォークエンドが欠けているデザイン](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07695.jpg)
一方でリアタイヤを覆うかのようなチュービングは初代よりも控え目な形状に。エアロダイナミクスにも影響を与えてしまうポイントであるが、新型では軽量性を獲得することを優先させている。その結果がアンダー1kgのエアロロードを実現しているのだ。
SK Pininfarinaスペック
フレームサイズ | 46、48、50、52、54、56、58、60 |
カラー | 6カラー |
BB | BB386 |
重量 | 950g(ミドルサイズ) |
価格 | 未定 |
デローザを象徴するミドルグレード IDOLがモデルチェンジ
![ディスクブレーキのみ用意される新型IDOL](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07722.jpg)
デローザの人気者IDOLが6年ぶりにお化粧直し。4代目となる新型はディスクブレーキ専用バイクという大きな変化を迎えると共に、洗練されたスタイリングに進化している事が特徴。もちろんアイデンティティであるトップチューブからシートステーにかけての弓なり造形のコンセプトは踏襲されたまま。
クリスティアーノは弓なり造形のコンセプトをポルシェの車に例える。「ポルシェの車はいつの時代もあの形であり、ポルシェを象徴していると思います。それと同じようにIDOLも弓なりの形がIDOLを象徴するものとして位置づけています」。
新型デザインのキーポイントは、ダウンチューブはボリュームアップが図られると同時にカムテールのような形状。シートチューブも丸型断面から多角形デザインへと変貌を遂げるとともに、臼式のクランプ方式を採用しており、まさに現代のトレンドを捉えた形だ。
![弓なりのフレーム形状はIDOLのアイデンティティだ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07725.jpg)
![ケーブル類はヘッドチューブに内装することができる](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07772.jpg)
![フレームを挟み込むかのようなリアエンド](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07749.jpg)
![ボックス形状されたダウンチューブは剛性アップを期待させる](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07768.jpg)
加えて、MERAKやSK Pininfarina同様にワイヤー全内装可能ということも見逃せない。チューブ形状の変更と共にこのケーブルの取り回し方を見ると、4代目IDOLは全体的にエアロダイナミクスを感じさせるバイクと言えるだろう。
ペイントも非常にシンプルな塗り分けとなり、デローザの新ロゴと合わせて洗練された雰囲気を演出する。今回のプレゼンテーションでは合計6色が登場したが、販売モデルとしては更に数色追加される予定だという。選びやすい見た目であることもIDOLが人気の理由だ。
IDOL Disc スペック
フレームサイズ | 44、46、49、51、54、56.5 |
カラー | 6カラー |
BB | BB386 |
重量 | 1060g(ミドルサイズ) |
価格 | 未定 |
主要ロードバイクの新型から見るレトロ・フューチャー
デローザ2020年モデルラインアップのコンセプトとして掲げられている「レトロ・フューチャー」。クリスティアーノはコンセプトを理解するのにはバイクを見ることがいちばんの近道と言い、今回のプレゼンテーションを開始した。![IDOLの2020モデルは様々なカラーが用意される](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07510.jpg)
新コンセプトにおいて鍵となっているのが、ピニンファリーナとのコラボレーションだ。今回の新しいムーブメント以前に行われていた初代SKやMetamorphosisの開発は既に未来に向かった動きであったのだろう。そして、2020年モデルとして用意した新型ロードバイクの数々でムーブメントとして華開いたのだと感じる。
新ロゴの洗練された雰囲気と"今"を捉えた新型バイクのデザインは非常にマッチしており、前段のインタビューでクリスティアーノがマリアージュと言った理由がわかるはずだ。新型バイクはこれからのデローザがどのようなバイクを出すのかを暗示しているように見える。
未来を見据えながらも、レトロな側面を忘れないのが新しいコンセプトである。MERAKであれば輝かしい成績を残した2000年のコンセプトを踏まえた軽量バイクという事がレトロな部分。IDOLであれば弓なり形状だ。それらを捉えた上でスペックや性能は今のニーズに応えられるもの。これがレトロ・フューチャーを表現したバイクなのだろう。
![新型SK Pininfarinaには6つのアイデアスケッチが用意された](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/05/10/gkt07495.jpg)
そしてここで気がつくのは、レトロというのは歴史だけでは無く、デローザが残すべきと考えているアイデンティティやブランドを象徴する物を指しているということ。今回はMERAKとIDOLを通した各バイクのストーリーのみの紹介に留まったが、レトロとはデローザに息づく考え方でもある。
第3編では再びクリスティアーノのインタビューに戻り、デローザの考えるものづくりの姿勢からレトロを見つけ出し、これからの自転車を紹介してもらいつつフューチャーを捉えたい。
提供:日直商会、取材:藤原岳人、ジョバンニ・サントロ、制作:シクロワイアード編集部