2018/10/18(木) - 12:15
パーツブランドである3T初のロードバイクとして誕生した「EXPLORO」。オン/オフロード関係なく、あらゆる道でより速く楽に走れるようグラベルロードにもエアロの考えを取り入れた、全く新しい1台に仕上がる。ニコー製作所の吉田店長のインプレッションと、EXPLOROを使いこなす3Tマーケティング担当の樋口さんの言葉とともに、その性能や遊び方を紐解いていきたい。
3T EXPLORO FM LTD photo:Makoto.AYANO
2016年6月に3Tのプレスリリースで突如として発表された、EXPLORO(エクスプローロ)。その後同年8月のユーロバイクにて初お披露目されたブランド初のロードバイクは、グラベルロードにエアロフォルムを纏わせた世界に類を見ない1台として登場した。英語で”探険”を表すexploreをモデル名の由来とし、グラベルやアドベンチャーライドに最適なモデルに仕上がる。
開発を指揮したジェラルド・ブルーメン氏といえば、エアロダイナミクスに一日の長を持つサーヴェロと、グラベルロードを多数ラインアップするOPENサイクルという、2つのブランドを創業したバックグラウンドを持つ人物。その2つのエッセンスを組み合わせ誕生したのがEXPLOROという訳だ。
ボルトオンタイプのトップチューブバッグを取り付け可能だ
各種ケーブル類はトップチューブのフリップトップに集約しフレームへ内蔵される
コンパクトなリア三角はエアロのデザインを取り入れたもの
ディスクロードに標準的な前後フラットマウント規格へとアップデート
昨今アメリカを中心に広がりを見せているグラベルレースでは、未舗装路ながら一般のロードレースと変わらないハイスピードな展開となっており、グラベルロードにも速さを求めたマシンが必要とされてきた。オフロードといえど時速30kmを超えるようなシーンではエアロの優位性は大きく、かつ軽量なカーボンフレームは速さにも直結する武器となる。
そんなニーズを満たすEXPLOROは、アメリカでグラベルレース専門に活動するエリートチーム「Panaracer/Stan's NoTubes p/b Bicycle X-Change」もレースで使用している実績を持つ。カンザス州で毎年開催され、200マイル(約320km)もの未舗装路を駆ける最高峰のグラベルイベント「ダーティカンザ」でもEXPLOROは優秀な成績を収めていることからも、その性能は折り紙付きだ。
SQAERO形状のダウンチューブはフロントタイヤに合わせたワイド設計
ストレート形状のフォークが機敏なハンドリングを生み出す
ヘッドチューブにあしらわれた3Tロゴ、試乗車の35Cタイヤでもフォーククリアランスは十分
もちろんパワーロスを抑えるエアロの設計は、楽に巡航速度を維持できるなど純粋にグラベルライドを楽しむ一般ライダーにもその恩恵は大きい。エアロデザインが全面に押し出されたダウンチューブには、翼断面形状の後端を切り落とし、かつグラベルロードに最適化した独自の「SQAERO(スクエアロ)」形状を採用。ボトルによる空気抵抗を減らし、グラベル用のワイドタイヤを合わせたときにもスムーズな空気の流れを生み出すよう、ダウンチューブは幅50mm×高さ75mmという大口径のプロファイルに行き着いている。
またこのSQAEROはダウンチューブ以外にも、ヘッドチューブやシートチューブ、シートステー、専用設計のシートポストにも取り入れられ、バイク全体で空力性能の向上を図る。開発時のテストでは、時速32kmでの走行時に丸チューブフレームに28mmスリックタイヤを装備した一般的なロードバイク(ボトル未装着)と比較した際、泥が付いた40mmのブロックタイヤと2本のボトルを装着したEXPLOROのほうが空気抵抗が少ないという結果も出ているほどだ。
フロントのスルーアクスルは15mmから昨今主流の12mmへと変更された
試乗車には外側にフレアしたオフロード向けハンドル「SUPER GHIAIA」をセット
EXPLOROのもう一つの大きな特徴は、ロードやCXで一般的な700CとMTBで広く使われる650B(27.5インチ)という、2つのホイールサイズに対応すること。グラベルロードとしてワイドなタイヤクリアランスを備え、700Cの場合は40Cが、650Bでは2.1インチが最大タイヤ幅となる。走行シーンに応じてホイールやタイヤのアセンブルを変えた幅広いセッティングが可能だ。
ケーブル類はトップチューブ上部のフリップトップと呼ばれるガイドからフレーム内にアクセス。コンポーネントは機械式/電動式の両方に対応する。またトップチューブバッグの取り付けに対応したアイレットも設けられ、ストレージ類の拡張に一役買っている。路面からの衝撃も大きいグラベルライドでの安全性を高めるため、シートチューブにはシートポストの最低差し込み量を目視できる穴も開けられる。
EXPLORO専用形状のエアロシートポストを装備。グラベルでも確実にレールを固定するディフロックシステムを採用
シートクランプはフレーム内蔵の臼式。リアのモノステーデザインも特徴的だ
リアディレイラーハンガーがスルーアクスルの雌ねじと一体化している
悪路でのチェーンヒットを防ぐためドライブ側のチェーンステーは大きく沈み込んだデザインに
当初登場したEXPLOROはポストマウントで前15mm後12mmスルーアクスル仕様。そして今夏アップデートを加え登場したニューモデル「EXPLORO FM」は昨今主流のフラットマウント化を果たし、前後12mmスルーアクスルに変更されている。リアディレイラーハンガーはスルーアクスルの雌ねじと一体化し、後輪脱着時の作業性を向上。フロントディレイラーの台座は着脱でき、フロントシングル/ダブルの切り替えが可能だ。
ラインアップはハイエンドカーボンを使用しより軽量に仕上がるLTDモデルと、ノーマルなTEAMモデルの2種類のフレームセットで展開。旧型のTEAMモデルではスラムRival組みの完成車も用意される。
今回はシマノULTEGRAで組んだフラットマウントタイプの新型EXPLORO試乗車にてテスト。実際に砂利道を含むオフロードを走りその性能を試した。マウンテンバイクやシクロクロスレースにも参加し、オフロードへの造詣が深いニコー製作所の吉田幸司店長によるインプレッションと、ライドをアテンドしてくれた3Tマーケティング担当の樋口さんの言葉とともにその走りを深く掘り下げていこう。
ポストマウントタイプのEXPLORO TEAMも併売される
吉田:グラベルロードといえどオン/オフロード問わず卒なくこなせる性能を持っており、まさにマルチパーパス、オールロードといった走りですね。それを可能としているのが、カーボンフレームならではの軽さと適度な剛性感であり、走りにダルさや重さを感じない軽快性を十分に持っています。そういった性格もあり、まったりオフロードを移動するというよりは、やや速めの速度域で駆け抜けるような楽しみ方がマッチするバイクに仕上がっています。
実際にEXPLOROで未舗装のオフロードを走りその性能を確かめた
樋口:ワイドタイヤを合わせたグラベル仕様のパッケージでまず舗装路を走ってしまうと、なんだかゆったりしたマウンテンバイク的な乗り物のように感じてしまうのですが、その本領はやはりオフロードでこそ活かされるんです。荒れた路面やスリッピーな砂利道に入ってみると、途端に扱いやすさが際立って楽にそして速く走れる。その楽しさに気づいてからはEXPLOROとともに頻繁に林道に行くようになりましたね。
吉田:そうですね、ダートでの走りの安定感は抜群です。バイクの挙動も把握しやすくタイヤが滑る感覚も前後で掴みやすいですし、ヘッド・フォークの剛性と専用のジオメトリーのおかげかハンドリングもしやすいですね。安心してペダリングや下りの巡航に集中できるので、オフロードでもストレスなくライドを存分に楽しめます。
以前アルミのアドベンチャーバイクにも乗ったことがあるのですが、どうしても車体の重さからくる走りの鈍重さが拭いきれない印象でした。その点、EXPLOROはバイク自体の軽さのおかげで、太めのタイヤを履いていても思った以上にスイスイ進んでくれるんです。またこういったカテゴリーのバイクにエアロの設計を持ち込んだ思想も斬新ですよね。実際にどれほどエアロが効いているかは体感しづらい部分ではありますが、本場アメリカで200マイルを速く走り切るマシンとして選ばれる理由も分かるものです。
「グラベルでも軽快に駆けるオールマイティな走りが魅力」とダートを攻める吉田さん
「オフロードでも安定感が際立ち、コーナリングやペダリングに集中できる」
「グラベルでもカーボンフレームの軽さを活かした速めの速度域で楽しみたい1台」
樋口:700x40Cのタイヤで様々な道を走ってみたのですが、そこまでの太さを必要とするシーンは少なく、日本だとややオーバースペックかなと感じました。林道へ入るまでの舗装路を走るアプローチを含めて考えると、35C前後が一番バランスが良さそうです。グラベルでの安定感とグリップ感を考慮しつつ、林道と林道を繋ぐ舗装路での軽快さも両立させていく。そういうタイヤの選び方を探っていくのも一つの楽しみではないでしょうか。
もちろんオフロードのみを攻めるのであれば、タイヤは太いほどリスクも少ないしコーナリングも安定するので40Cはオススメです。逆にオフロードがそこまでタフな路面でなければ、28Cで突っ込んでいくのも面白いでしょうね。広いタイヤクリアランスによってタイヤチョイスにも幅が出るので、ロード/グラベル/マウンテンバイクという3つのタイヤで遊び方を模索できるのがEXPLOROの大きな強みなんです。
「舗装路でのアプローチも考えたタイヤチョイスを模索するのが面白い」と乗鞍を登る樋口さん
「いろいろ試した中では35Cタイヤのバランスの良さが好印象でした」と樋口さん
カーボンフレームながらダウンチューブは石のヒットにも強い堅牢性を持つ
吉田:確かにオールマイティな用途を考えると今回試した35Cは非常にマッチしていると感じました。これ以上ワイドなものだと流石にオンロードで走りが重いですね。コーナーでグリップが抜けづらく、かつタイヤが滑っていくフィーリングも分かりやすいとなるとノブ付きのシクロクロスタイヤなんかが良いでしょう。あとは下りのコーナーや登りのトラクションなどはライダーのテクニックで楽しんでもらいたいところです。
樋口:スピードを求めたグラベルライドを楽しむなら、ホイールは700Cでフロントダブルの仕様がこのバイクには合うと思っています。昨今のグラベルロードというと、幅広いシーンに対応できるよう38Tなどのフロントシングルに大きめのカセットを合わせるのが主流となっていますが、EXPLOROはアウターチェーンリングに48Tや50Tなどを入れて、オフロードを駆け抜ける”走り”を楽しむ遊び方が似合うでしょう。
27.5x2.1インチや700x40Cのワイドタイヤを合わせれば抜群の安定感を発揮する
「幅広い自転車の楽しみ方がEXPLORO1台で実現できる懐の深いバイクです」と吉田さん
吉田:バイクの性格からしても、アドベンチャーバイクのようにキャリアにたくさんの荷物を積むスタイルではなく、バイクパッキングで携行品を小さく収め軽快に走っていく、そんなイメージがピッタリだと思います。路面がラフなオフロードにカーボンフレームで大丈夫?という心配をするユーザーもいるかもしれませんが、下手な転び方をしない限りまず問題ありません。むしろカーボンの軽く軽快な走りで、上質なグラベルライドを楽しんでもらいたいですね。
総じてEXPLOROは幅広く自転車を楽しみたいという要望を叶える1台なんだと思います。キャンプツーリングがしてみたい、グラベルを走ってみたい、ロングライドもやりたい、これら全てをこのバイクでまかなえてしまう。レース派のライダーもサブバイクとして買ってみたら意外とその魅力に惹かれて、メインバイクに切り替わってしまうかもしれませんね。タイヤのチョイスによって、走りや遊ぶフィールドを変えていくオールマイティな楽しみ方ができる懐の深いバイクだと感じました。
3T EXPLOROで旅した剣山スーパー林道3Daysツアー
最後に、樋口さんが3T EXPLOROを駆って旅した徳島県の剣山スーパー林道ツアーのムービーを紹介する。海外のバイクアドベンチャートラベル系Webサイト「XPDTN3」による制作で、樋口さんがツアーをアテンドし、制作に協力している。旅情と魅力溢れる3日間の旅のシーンを通じて、EXPLOROの使い方のイメージを膨らませて欲しい。
革新的なエアロデザイン グラベルロードにも速さを求めたEXPLORO
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2016年6月に3Tのプレスリリースで突如として発表された、EXPLORO(エクスプローロ)。その後同年8月のユーロバイクにて初お披露目されたブランド初のロードバイクは、グラベルロードにエアロフォルムを纏わせた世界に類を見ない1台として登場した。英語で”探険”を表すexploreをモデル名の由来とし、グラベルやアドベンチャーライドに最適なモデルに仕上がる。
開発を指揮したジェラルド・ブルーメン氏といえば、エアロダイナミクスに一日の長を持つサーヴェロと、グラベルロードを多数ラインアップするOPENサイクルという、2つのブランドを創業したバックグラウンドを持つ人物。その2つのエッセンスを組み合わせ誕生したのがEXPLOROという訳だ。
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昨今アメリカを中心に広がりを見せているグラベルレースでは、未舗装路ながら一般のロードレースと変わらないハイスピードな展開となっており、グラベルロードにも速さを求めたマシンが必要とされてきた。オフロードといえど時速30kmを超えるようなシーンではエアロの優位性は大きく、かつ軽量なカーボンフレームは速さにも直結する武器となる。
そんなニーズを満たすEXPLOROは、アメリカでグラベルレース専門に活動するエリートチーム「Panaracer/Stan's NoTubes p/b Bicycle X-Change」もレースで使用している実績を持つ。カンザス州で毎年開催され、200マイル(約320km)もの未舗装路を駆ける最高峰のグラベルイベント「ダーティカンザ」でもEXPLOROは優秀な成績を収めていることからも、その性能は折り紙付きだ。
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もちろんパワーロスを抑えるエアロの設計は、楽に巡航速度を維持できるなど純粋にグラベルライドを楽しむ一般ライダーにもその恩恵は大きい。エアロデザインが全面に押し出されたダウンチューブには、翼断面形状の後端を切り落とし、かつグラベルロードに最適化した独自の「SQAERO(スクエアロ)」形状を採用。ボトルによる空気抵抗を減らし、グラベル用のワイドタイヤを合わせたときにもスムーズな空気の流れを生み出すよう、ダウンチューブは幅50mm×高さ75mmという大口径のプロファイルに行き着いている。
またこのSQAEROはダウンチューブ以外にも、ヘッドチューブやシートチューブ、シートステー、専用設計のシートポストにも取り入れられ、バイク全体で空力性能の向上を図る。開発時のテストでは、時速32kmでの走行時に丸チューブフレームに28mmスリックタイヤを装備した一般的なロードバイク(ボトル未装着)と比較した際、泥が付いた40mmのブロックタイヤと2本のボトルを装着したEXPLOROのほうが空気抵抗が少ないという結果も出ているほどだ。
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EXPLOROのもう一つの大きな特徴は、ロードやCXで一般的な700CとMTBで広く使われる650B(27.5インチ)という、2つのホイールサイズに対応すること。グラベルロードとしてワイドなタイヤクリアランスを備え、700Cの場合は40Cが、650Bでは2.1インチが最大タイヤ幅となる。走行シーンに応じてホイールやタイヤのアセンブルを変えた幅広いセッティングが可能だ。
ケーブル類はトップチューブ上部のフリップトップと呼ばれるガイドからフレーム内にアクセス。コンポーネントは機械式/電動式の両方に対応する。またトップチューブバッグの取り付けに対応したアイレットも設けられ、ストレージ類の拡張に一役買っている。路面からの衝撃も大きいグラベルライドでの安全性を高めるため、シートチューブにはシートポストの最低差し込み量を目視できる穴も開けられる。
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当初登場したEXPLOROはポストマウントで前15mm後12mmスルーアクスル仕様。そして今夏アップデートを加え登場したニューモデル「EXPLORO FM」は昨今主流のフラットマウント化を果たし、前後12mmスルーアクスルに変更されている。リアディレイラーハンガーはスルーアクスルの雌ねじと一体化し、後輪脱着時の作業性を向上。フロントディレイラーの台座は着脱でき、フロントシングル/ダブルの切り替えが可能だ。
ラインアップはハイエンドカーボンを使用しより軽量に仕上がるLTDモデルと、ノーマルなTEAMモデルの2種類のフレームセットで展開。旧型のTEAMモデルではスラムRival組みの完成車も用意される。
今回はシマノULTEGRAで組んだフラットマウントタイプの新型EXPLORO試乗車にてテスト。実際に砂利道を含むオフロードを走りその性能を試した。マウンテンバイクやシクロクロスレースにも参加し、オフロードへの造詣が深いニコー製作所の吉田幸司店長によるインプレッションと、ライドをアテンドしてくれた3Tマーケティング担当の樋口さんの言葉とともにその走りを深く掘り下げていこう。
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3T EXPLORO インプレッション
吉田:グラベルロードといえどオン/オフロード問わず卒なくこなせる性能を持っており、まさにマルチパーパス、オールロードといった走りですね。それを可能としているのが、カーボンフレームならではの軽さと適度な剛性感であり、走りにダルさや重さを感じない軽快性を十分に持っています。そういった性格もあり、まったりオフロードを移動するというよりは、やや速めの速度域で駆け抜けるような楽しみ方がマッチするバイクに仕上がっています。
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樋口:ワイドタイヤを合わせたグラベル仕様のパッケージでまず舗装路を走ってしまうと、なんだかゆったりしたマウンテンバイク的な乗り物のように感じてしまうのですが、その本領はやはりオフロードでこそ活かされるんです。荒れた路面やスリッピーな砂利道に入ってみると、途端に扱いやすさが際立って楽にそして速く走れる。その楽しさに気づいてからはEXPLOROとともに頻繁に林道に行くようになりましたね。
吉田:そうですね、ダートでの走りの安定感は抜群です。バイクの挙動も把握しやすくタイヤが滑る感覚も前後で掴みやすいですし、ヘッド・フォークの剛性と専用のジオメトリーのおかげかハンドリングもしやすいですね。安心してペダリングや下りの巡航に集中できるので、オフロードでもストレスなくライドを存分に楽しめます。
以前アルミのアドベンチャーバイクにも乗ったことがあるのですが、どうしても車体の重さからくる走りの鈍重さが拭いきれない印象でした。その点、EXPLOROはバイク自体の軽さのおかげで、太めのタイヤを履いていても思った以上にスイスイ進んでくれるんです。またこういったカテゴリーのバイクにエアロの設計を持ち込んだ思想も斬新ですよね。実際にどれほどエアロが効いているかは体感しづらい部分ではありますが、本場アメリカで200マイルを速く走り切るマシンとして選ばれる理由も分かるものです。
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樋口:700x40Cのタイヤで様々な道を走ってみたのですが、そこまでの太さを必要とするシーンは少なく、日本だとややオーバースペックかなと感じました。林道へ入るまでの舗装路を走るアプローチを含めて考えると、35C前後が一番バランスが良さそうです。グラベルでの安定感とグリップ感を考慮しつつ、林道と林道を繋ぐ舗装路での軽快さも両立させていく。そういうタイヤの選び方を探っていくのも一つの楽しみではないでしょうか。
もちろんオフロードのみを攻めるのであれば、タイヤは太いほどリスクも少ないしコーナリングも安定するので40Cはオススメです。逆にオフロードがそこまでタフな路面でなければ、28Cで突っ込んでいくのも面白いでしょうね。広いタイヤクリアランスによってタイヤチョイスにも幅が出るので、ロード/グラベル/マウンテンバイクという3つのタイヤで遊び方を模索できるのがEXPLOROの大きな強みなんです。
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樋口:スピードを求めたグラベルライドを楽しむなら、ホイールは700Cでフロントダブルの仕様がこのバイクには合うと思っています。昨今のグラベルロードというと、幅広いシーンに対応できるよう38Tなどのフロントシングルに大きめのカセットを合わせるのが主流となっていますが、EXPLOROはアウターチェーンリングに48Tや50Tなどを入れて、オフロードを駆け抜ける”走り”を楽しむ遊び方が似合うでしょう。
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吉田:バイクの性格からしても、アドベンチャーバイクのようにキャリアにたくさんの荷物を積むスタイルではなく、バイクパッキングで携行品を小さく収め軽快に走っていく、そんなイメージがピッタリだと思います。路面がラフなオフロードにカーボンフレームで大丈夫?という心配をするユーザーもいるかもしれませんが、下手な転び方をしない限りまず問題ありません。むしろカーボンの軽く軽快な走りで、上質なグラベルライドを楽しんでもらいたいですね。
総じてEXPLOROは幅広く自転車を楽しみたいという要望を叶える1台なんだと思います。キャンプツーリングがしてみたい、グラベルを走ってみたい、ロングライドもやりたい、これら全てをこのバイクでまかなえてしまう。レース派のライダーもサブバイクとして買ってみたら意外とその魅力に惹かれて、メインバイクに切り替わってしまうかもしれませんね。タイヤのチョイスによって、走りや遊ぶフィールドを変えていくオールマイティな楽しみ方ができる懐の深いバイクだと感じました。
3T EXPLOROで旅した剣山スーパー林道3Daysツアー
最後に、樋口さんが3T EXPLOROを駆って旅した徳島県の剣山スーパー林道ツアーのムービーを紹介する。海外のバイクアドベンチャートラベル系Webサイト「XPDTN3」による制作で、樋口さんがツアーをアテンドし、制作に協力している。旅情と魅力溢れる3日間の旅のシーンを通じて、EXPLOROの使い方のイメージを膨らませて欲しい。
提供:あさひ ホールセール事業部 制作:シクロワイアード
取材協力:NORTHSTAR
取材協力:NORTHSTAR