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パワートレーニングのイロハの”イ”から学ぶガーミンの特集コンテンツ。Vol.2ではパワトレを行っている人たちにとっては当たり前だが、はじめて「パワー」に触れた人々には馴染みのない用語をピックアップし、竹谷賢二さんに解説して頂いた。

パワートレーニングにまつわる用語を知ろう

FTP(Functional Threshold Power)

既にパワートレーニングを行っている人の間では当たり前のように使われるFTPという単語。正式名称は「Functional Threshold Power」、直訳すると機能的な閾値のパワーだ。この言葉だけを読んでピンと来る方はあまりいないはず。では、FTPというのは一体どのような概念なのだろうか。

ケイデンスを維持する練習がロングライドを走り切るトレーニングになるケイデンスを維持する練習がロングライドを走り切るトレーニングになる
―パワートレーニングを行う上で避けて通れない用語が幾つかあると思います。その中でも最たる例として挙げられるFTPというのは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。

1時間出力し続けられ、それ以上は出力できないというパワーで、サイクリストにおける持久的な運動の指標となります。パワートレーニングを行う際にその人自身が出力できるパワーの指標として使用します。

気をつけたいのはFTPが1時間という時間の範囲での数値という点です。1時間走り続けられるパワーは低いけれど、10秒間の最大出力が高い場合もあります。競輪のような短距離、短時間走では、FTPがその人の能力を評価するための目安にはできないことがわかると思います。

ペダルにかかる力を記録してくれるVECTOR3。クリートポジション変更などの影響も把握しやすいペダルにかかる力を記録してくれるVECTOR3。クリートポジション変更などの影響も把握しやすい
それでもFTPが指標となっている理由は、ロードレースなどを楽しむ人達は1時間以上走る場合が多いためです。概ね長い時間乗り続ける我々にとって運動能力の目安としてわかりやすいため指標として利用されています。

パワーウェイトレシオ

パワーウェイトレシオとは、体重1kgあたりどれくらいのワット数を出せるかを表した割合。表示形式は「○○w/kg」。出力したパワーを体重で割れば導き出せる値だ。

例えば、70kgの人物が300wと出したとする。この人のパワーウェイトレシオは、300w/70kgなので、4.285w/kgだ。もうひと例あげよう。体重50kgの人物が225wを出したすると、4.5w/kgという数値になり、体重あたりのパワーは50kgの人物の方が優れているといえる。

計算例
1体重70kg、出力パワー300w300w/70kg = 4.285w/kg
2体重50kg、出力パワー225w225w/50kg = 4.5w/kg
結果4.5w/kg > 4.285w/kg
2の方がパワーウェイトレシオが優れている

―パワーウェイトレシオというのはどのような事に影響する指標ですか。

平坦ではパワーの数値が大きいほどスピードが上がりますが、登りでのスピードはパワーウェイトレシオに等比例で影響されます。体が大きくパワーを出せる人物が平坦では速い速度で走れていたけれど、登りでは小柄な人に抜かされてしまうというシチュエーションもあるでしょう。そういった場合は小柄の人のほうがパワーウェイトレシオが高かったという傾向にあると思います。

「パワーはデータを蓄積していくことで真価を発揮します」「パワーはデータを蓄積していくことで真価を発揮します」
ただし、平坦路であっても空気抵抗があるので、大柄でパワーを出すことができたとしてもスピードには影響を受けてしまいます。なので平坦であってもその人のパフォーマンスを見る時に、パワーウェイトレシオを参考にすることはできます。また、FTPと同じ様に他人と比較することができる指標なので、偏差値的に使うこともできます。プロ選手と比べてみたらいかに選手たちが凄いのかもわかるでしょう。

クリティカルパワー

パワーデータを記録すると単位時間あたりに出力できたワット数を確認することができます。これがクリティカルパワーです。例えば、3秒間であったり、1分間、5分間、10分間……とそれぞれの単位時間でのパワーを知ることができるため、自分の得意不得意が見えてくることがあります。

1秒や5秒あたりの出力が高いとスプリントが得意で、最高速度を出せる人かもしれません。対して、10秒あたりの出力は低くても1時間あたりの出力が高ければ、パワーを維持できる能力を持つと考えられます。トレーニングではこのクリティカルパワーを見て、レースで必要になる部分を強化・更新していく作業となります。練習の内容によって特性が変わるので、目標となる本番で上手く走るためにはどのような能力が必要か知っておく必要がありますね。ですので、パワーメーターを購入したのであれば、まずその人が本番と捉えるレースでもロングライドでもパワーデータを記録することをオススメします。

外部サイトであるStravaでは、1秒あたり、5分あたりなど各時間ごとのパワーを確認できる。これがCPというものだ外部サイトであるStravaでは、1秒あたり、5分あたりなど各時間ごとのパワーを確認できる。これがCPというものだ
トレーニングでは自分に必要なゾーンを重点的に鍛えることとなるトレーニングでは自分に必要なゾーンを重点的に鍛えることとなる

ゾーン

パワートレーニングを行う上で欠かせないのは、自分が出力できるパワーの指標「FTP」だ。このFTPに対して何%で運動するか強度の区分けがゾーンという考え。トレーニングを行っている人達の間で、「L4で何分~」など会話が行われているL4などが運動強度を示している。

L1(~55%)Active Recovery/回復走
L2(56~75%)Endurance/耐久走
L3(76~90%)Tempo/テンポ走
L4(91~105%)Lactate Threshold(TL)/乳酸閾値
L5(105~120%)VO2max/最大酸素摂取量
L6(121~150%)Anaerobic Capacity/無酸素運動容量
L7(151%~)Neuromuscular/神経筋パワー
通常この7レベルに区分けされる。パーセント表示はFTP比。

―この区分けはどの様に活用すれば良いのでしょうか。

レースの特性によって求められる能力が異なるため、その求められる能力に対応するゾーンで練習する必要があります。例えば、速いスピードで巡航しなければならないレースで勝つことが目標なのに、低いパワーで5時間走る練習しても高速巡航できる能力は身につきません。レースの状況に近いパワーを保つ練習を行えば、その能力を伸ばす練習をしたと言えます。

「まずは本番でデータを取ることが重要です」と竹谷さん「まずは本番でデータを取ることが重要です」と竹谷さん
その必要な能力を知るためには一度本番でパワーを計測してみることですね。例えばレースの集団から千切れてしまった場合、巡航していたワット数を維持する能力が足りなかったとなりますよね。パワーは出せる時間を考えなければなりません。トレーニングでどのパワーを出すのかという設定のためにゾーンを元にし、何分間持続させるのかでメニューを組んでいきます。

TSS

TSSとはトレーニングストレススコアの略称。パワーを算出基礎として、運動時間を反映することで、運動で体にかかった負担を数値化したもの。体感的に処理していた体の負担、疲労感を数値化することで、トレーニングのスケジュールなどに役立てることができる。

―TSSで体の負担を数字として処理することにはどんなメリットがありますか。

まず、今までは心拍数で身体にかかる負担を測定していましたが、心拍数は気温や体調など外的要因に左右されます。実際に身体が負担した結果であるパワーを算出基礎とすることで、外的影響を受けにくい負荷として数値化したものがTSSです。

コネクトIQによって様々な画面をEDGE 1030に入れることができるコネクトIQによって様々な画面をEDGE 1030に入れることができる
計算はNP(ノーマライズドパワー)とトレーニング時間を反映させています。ノーマライズドパワーというのは、トレーニングで出力したパワーの平均ではなく平準化したものです。

例えば、300w出せる人が平均200wで1時間で走っていれば、体感的には辛くないですよね。それに対して基本はスローペースで流しながら、途中何本も700wを出力するスプリント練習を行った結果平均200wでは、後者のほうが体感的には辛いはずです。これを数値化したものがNPという考え方になります。NPは平均と走行状況を照らし合わせ、補正したものです。この場合は後者のほうが高い数値になり、練習強度が高かったという評価になるでしょう。このNPとトレーニング時間をあわせることで、運動の負担も実際の状況に近くなっているはずです。

またTSSがわかると、トレーニングでの負担と回復のマネジメントが行えるようになります。人によって回復力に差はありますが、概ねTSS150であれば1日で回復できるとされおり、TSS150の範囲内であれば毎日同じトレーニングを繰り返すことが可能です。しかし、回復力を越えてしまうと、疲れが溜まっているということになりますので、休みを取り入れなければなりません。

VO2maxも記録してくれるため、フィジカルの強さも把握することができるVO2maxも記録してくれるため、フィジカルの強さも把握することができる
例えば、週末しかトレーニングに時間を使えないのであれば、土日の2日間でTSS750までガツンとあげて、平日は休みに充てるという管理が行えます。今まで体感的に行っていたものが数値で処理することで、計画が立てやすくなっていることがメリットだと思います。

VO2max

最大酸素摂取量という意味を持つVO2maxは、1分間に体重1kgあたり何mlの酸素を取り込めるかを表す指標。持久的な運動の指標としてランニングではFTPのようにして語られるほど重要なものとして捉えられている。

―自転車ではあまり馴染みのない指標だと思いますが、サイクリストはこの指標をどのように捉えればよいのでしょうか。

VO2maxはどのような種目にも関わってくる、持久的な運動のキャパシティの高さだと考えてください。その人が運動にどれだけの酸素を使えるかどうかを表しているので、フィジカルの偏差値と言っても良いかもしれませんね。

トレーニングするだけでVO2maxも把握することができるトレーニングするだけでVO2maxも把握することができる トレーニングステータス画面では7日間のデータをもとに負荷を数値化してくれるトレーニングステータス画面では7日間のデータをもとに負荷を数値化してくれる EDGEではリカバリーに必要な時間が計算されるEDGEではリカバリーに必要な時間が計算される


パワーと時間だけで記録される数値は、その時間だけ頑張れば高い数値を出すことができますよね。そこに心拍数を加えることで、フィジカルの強さを見ることが可能となります。ある1つの心拍数でパワーを切り取ってみた時、前回のライドよりもパワーが向上していればフィジカルが強くなっていると考えられます。

例えばVO2maxの値が高くフィジカルが強いが、FTPはそれほど高くない人がいるとしましょう。この人は高い強度での運動能力が高いけれど、持久走は苦手かもしれないという可能性があります。また、フィジカルは強いのでFTPを向上させる余地があるとも仮説をたてても良いでしょう。パワーデータだけではなく心拍数も加味したデータなどもトレーニングする上でのヒントの1つとなるでしょう。

ガーミン EDGEの場合はライド後サイコンの画面上でVO2maxを確認することができます。もし数値を更新していればそれを教えてくれるため、トレーニングを上手にこなせておりフィジカルが強くなっている指標としてみることができます。

スマホでもVO2maxを確認することができる。過去12ヶ月のデータから上り調子かどうかをひと目でチェック可能だスマホでもVO2maxを確認することができる。過去12ヶ月のデータから上り調子かどうかをひと目でチェック可能だ トレーニングステータスでは練習の負荷を数値とグラフで可視化してくれるトレーニングステータスでは練習の負荷を数値とグラフで可視化してくれる トレーニング効果の項目では、有酸素運動と無酸素運動が効果があったかどうか確認できるトレーニング効果の項目では、有酸素運動と無酸素運動が効果があったかどうか確認できる

またガーミンのデバイスではトレーニング負荷という項目も用意されており、1週間通したトレーニング量に対する体への負荷を数値化してくれます。ただ数値化するだけではなく、もう少し練習した方が良いとか、自分の体力に見合った練習ができているだとか、回復の必要があるなど、自分にどのような影響を及ぼすかを教えてくれるんです。

1週間単位でトレーニングを点と点でつないで見てくれるので、まさにコーチ的な役割と言ってもいいでしょう。週末のライドだけでも影響を計算してくれるため、来週はどうしようかとか決めやすくなりますよね。

トレーニング開始の第一歩

これまでパワーの概念とパワーメーター、用語を解説した。ここからはいざパワートレーニングをはじようとした時に何をすれば良いのか、実際に想定されるシチュエーションに対するトレーニングの指針を引き続き竹谷賢二さんに伺った。

「パワートレーニングは具体的な目標を設定する必要があります」「パワートレーニングは具体的な目標を設定する必要があります」

まずはデータの蓄積と自分の目標を設定する

―実際にパワーメーターを買った後、何から始めればよいのでしょうか。メニューを組んでトレーニングなのか、FTPテストにトライしてみるのか、指針となるアドバイスを頂ければと思います。

パワーメーターを購入したのであれば、まずはあらゆる所を走ってデータを蓄積することから始めることが良いと思います。ガーミンコネクトのスマホアプリやパソコン版、ストラバなど見やすいメディアや、必要な情報を提供してくれるサービスなどでデータを見て、パワーデータに親しみを持つことも重要かもしれません。

またパワーデータで何を知りたいのか自分自身で知ることも大切なことです。パワーで何を知ることができるのかも分からない方もいるかもしれませんが、そういった方は「自分がどうなりたいか」と具体的な目標を設定することで、目標を達成するためには「何が必要か」「自分には何が足りないのか」がわかるかもしれませんね。パワーメーターは抽象的な事を具体化する道具ですので、目標も具体化しなければメーターの真価を発揮することができません。

ガーミンコネクトのホーム画面では使用するデバイスや目標達成のバッジなど様々な項目が表示されているガーミンコネクトのホーム画面では使用するデバイスや目標達成のバッジなど様々な項目が表示されている
ライド後のパワーデータを確認することで、その日の練習をしっかりできているか確認できるライド後のパワーデータを確認することで、その日の練習をしっかりできているか確認できる
もし目標が無い方の場合でも、ただデータを蓄積していくことで、その人がどのような乗り方をしていて、どのようなシチュエーションが得意で不得意なのかが一目瞭然で明らかになります。その結果を踏まえて、自分自身がどうなりたいかという目標が明確になれば望ましいですね。

普段のライドでの記録と並び、その人が本番と捉える状況のデータを記録することも非常に大事ですね。本番はロードレース、ヒルクライム、トライアスロン、ロングライドなんでも良いです。レースならば展開が動いた時、自分はどうだったか、結果はどうだったかを知ることができます。

実践の活きたデータを振り返り、起きた状況を正確に理解し、次の本番ではどうなりたいかという目標を設定すれば、おのずと練習で取り組まないといけない内容がわかると思います。この実践にトライ、結果を振り返り、トレーニングに活かすという流れが、キチンとした練習の進め方です。パワーがあることで振り返る内容と、トレーニングに活かせる内容が明確になります。

トレーニングの指標となるFTPテストは行わなくていいの?

―トレーニングの基準となるFTPを明らかにすることは最優先では無いんですね。FTPは計測したほうが良いのでしょうか。

苦しい20分間全力のテストってやりたくないんですよね。そもそも20分間全力という計算基礎が非常に曖昧で、ピーキングした体で高い集中力を持って行うのか、早く終わりたいなと思いながらテストを行うのかで、計測結果は変わってくるはずです。もちろん毎回、同じように追い込める方、テストに対する取り組みが正確な人であればあるほど、全力テストというものは役に立ちます。

苦しい思いをして計測するFTPは高いモチベーションが必要だ苦しい思いをして計測するFTPは高いモチベーションが必要だ
しかし、FTPテストに対する意識が弱く、結果にバラツキがでるのであれば、ガーミンが蓄積されたデータをもとに自動計算で提供してくれる数値のほうが信頼度が高いと思います。蓄積されたデータは嘘をつかないうえ、仲間と一緒にライドして追い込んだデータを蓄積した方が、苦しいテストを行うより楽しいですよね。

今まで追い込めるハイアマチュアのものであったFTPが、取り敢えずパワーメーターを装着して走っているだけで算出してくれるようになり、誰でもわかるようになったと言えますよね。データを活用しトレーニングに反映させるという利用方法の他にも、データを蓄積させるだけで能力がわかるので、長いスパンで見ていい方向に向かっているかどうか把握することが可能になります。

もし右肩上がりでFTPが向上しているのであれば、行っているサイクリングの方向性が間違っていないことの証明になります。対して、下がり傾向にあるならば、そこで初めてトレーニングや対策を考えれば良いのです。

EDGEの画面上でFTPを確認することができるEDGEの画面上でFTPを確認することができる (ガーミンコネクトの画面)パワーという欄には平均パワーやFTPの概算値、トルク効率やクランク1回転に対し、どれだけパワーを平均的にかけられたかを表すペダルスムーズネスなどが表示される(ガーミンコネクトの画面)パワーという欄には平均パワーやFTPの概算値、トルク効率やクランク1回転に対し、どれだけパワーを平均的にかけられたかを表すペダルスムーズネスなどが表示される


コーガン方式テスト方法
ウォーミングアップ5分間全力走レスト20分間TT
記録された平均パワーの95%がFTP
例)【Ave.200w】×0.95 = 【FTP:190w】

―ガーミンがあればテストを行わなくてもFTPの概算値はわかるのですね。これからシリアスにトレーニングを積むためにFTPテストを考えている人はどのように取り組めば良いのでしょうか。

テストの20分走にオーバーペースで入ると、最後まで足が持たず結果が低く出てしまう可能性があります。なのでテストにどの程度のペースで入るかは非常に難しいです。正確な測定を行いたいのであれば、テストのテストとして2~3回実験してみると、自分がどの程度出力できるので、その数値を把握した上で取り組んでみたら良いと思います。

ただ、ライドを行いガーミンで概算値を計算してくれている場合は、その値をベースにトライしてみるのは良い方法かもしれませんね。蓄積したデータから得たFTPの値と全力テストの値は近似となっていますので。テストは開始時、最大、最小、平均パワーの差が小さいほど正確に行えていると言えます。初回から正確に行おうとしても難しいので、結果に一喜一憂せず、数回トライしてみると良いと思います。

実際にどのようなトレーニングを行えばよいの?

ここまでパワートレーニングの基礎を学んできた。ここからは想定されるシチュエーションに対し、必要なトレーニング内容やノウハウを竹谷さんに解説して頂いた。初めてロングライドに挑戦する方や、シリアスに結果を追求するアスリートに想定される状況について伺っている。

はじめてのロングライドを走り切るために

ロングライドの完走を目指す人は、まず長時間運動し続けられる能力が必要になります。そのためにはペーシングが重要になるため、一定の負担の感覚に慣れる、もしくはオーバーペースとなるほど力を出しすぎないという感覚を養っていきます。

160kmなどロングライドを走り切るためには長時間を運動に慣れること、ケイデンスを落とさずに走り切るマネジメントが重要だ160kmなどロングライドを走り切るためには長時間を運動に慣れること、ケイデンスを落とさずに走り切るマネジメントが重要だ
具体的に言うと、体が疲れてくるとケイデンスは落ちていくので、回転数を維持する練習を行う必要があるということです。パワーは【力】×【運動の速さ】であり、運動の速さは【ケイデンス】に置き換えることができるため、脚の回転数さえ落とさなければ、パワーを出力し続けられると考えられますよね。

ライド序盤はどんなに踏む"力"があったとしても、頭打ちを迎えると回転数も下がり、結果としてパワーが出ないということになります。ケイデンスを保ち続けられれば、パワーは維持できるので、ロングライドでは脚の回転数は重要です。

これは私の考えなのですが、ケイデンス100回転/分で何ワット出し続けられるかの能力も重要だと思っています。90回転/分以上を回すためのギアだと軽すぎて踏み込めないんですよね。脚を上げ続けなければ行けない状況でパワーを高めるためには、ペダリングのスキルや腸腰筋の能力が必要です。

高いケイデンスを維持することが出力を落とさない方法の1つだ高いケイデンスを維持することが出力を落とさない方法の1つだ
そういった所を磨きスムーズなペダリングになればなるほど、無駄なデッドパワーが生まれず、結果としてスピードが上がっていきます。ハイケイデンスでパワーが出ているところに踏み込む力を加えれば、更に高いパワーを出すことができます。

ハイケイデンスを維持するトレーニングは昔から言われてきた内容ですよね。これもパワーという指標を通すことで、具体的にそのトレーニングを行う理由を説明できるようになったのです。



Vol.2はここまで。最終回となるVol.3では、よりロードレースに近いシチュエーションにおけるパワートレーニングの指針となるアドバイスを竹谷さんに頂いた。数値を追い求めるだけではなく、スピードを出すためのスキルについても考え方を示して貰っている。
提供:ガーミン 制作:シクロワイアード編集部