2017/10/03(火) - 12:22
フェルトのロードラインアップで中核的な存在のオールラウンドレーサー「FRシリーズ」。ビッグチームに供給こそされていないが、レースで真価を発揮する戦闘マシンであることは間違いない。今回のスペシャルコンテンツでは、フェルトを愛用していたことからサポートライダーとなった中村龍太郎さんが、シリーズの3車種を乗り比べ。大学生時代からFシリーズを乗り継ぎ、今季はAR FRDに乗る中村さんにFRシリーズのインプレッションを伺った。
全3編構成となる本特集コンテンツの第1弾は、FRシリーズの基本情報とフェルトサポートライダーの中村さんを紹介しよう。
中村龍太郎(イナーメ信濃山形)と愛車のフェルトAR FRD (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
本特集コンテンツの主人公であり、唯一の登場人物である中村龍太郎さん。国内ロードレースを追っかけているエンスーなファンからすると、Jプロツアーや全日本選手権、UCIレース、ホビーレース、トラック、シクロクロスなど毎週末のようにレースに参加し、好成績を収めるお馴染みの存在だ。軽快な口調で読者を引き込ませるレースレポートを書き、レース会場で愛嬌たっぷりの笑顔をみせる彼のファンは少なくない。
2015年には全日本選手権タイムトライアルで優勝。フルタイムワーカーが全日本タイトルに輝いたことに驚かれつつポディウムの頂点に迎えられた。翌2016年、日本ナショナルチームの一員としてツアー・オブ・ジャパンに参戦し完走を果たしている。その他、実業団レースでプロたちに囲まれる中で好成績を収めたことは数知れず。
アスチュートのサドルには安全祈願のお守りが結ばれている
PRO VIVE SPRINTステムは剛性を重視して選んだというもの
5アーム仕様のSRMパワーメーターを採用する
ヴィットリアのQURANOはフレームのルックスに合わせてハイトの高いものを選ぶ
そんな中村さんのバイク遍歴は、最初の1台こそ、競技部の先輩から安く譲ってもらった他ブランドのバイクだったが、大学4年生の頃にF1を購入。それ以来フェルト一筋に。社会人となりメキメキと実力をつけ頭角を現し始めた頃、フェルトのサポートライダーとして機材の供給を受けることとなった。
F1は大学4年から社会人2年目まで、3年目からは供給されたF FRD、今シーズンはAR FRDを乗り継いでいる。加えてタイムトライアルではDA、トラックではTK FRDと各種目のバイクをフェルトで揃えている。それぞれのバイクにニックネームをつけており、自転車に愛情を持って接していることが伺える。
Jプロツアーでも積極的に展開を作っていく中村龍太郎 photo:Hideaki TAKAGI
トラックレースでも優勝経験を持つ photo:Hideaki TAKAGI
2015年には個人タイムトライアルの全日本チャンピオンに輝く photo:Makoto.AYANO
全日本チャンピオンジャージを着用してタイムトライアルを走る中 photo:Hideaki TAKAGI
中村龍太郎がごっつぁんポーズをとる
現在使用しているAR FRDは、マーク・カヴェンディッシュも愛用していたPRO VIBE SPRINTステムなど高剛性のパーツで組み上げられている。パワーメーターはSRM、ローターのクランク、シマノのチェーンリングで合わせる。ホイールやサドルはサポートを受けるヴィットリアとアスチュートだ。
→中村龍太郎公式ブログ(ライトウェイプロダクツジャパンHP内)
フェルト FRシリーズ (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
それでは今回中村さんが試乗するバイクの紹介に移ろう。そもそもフェルトとは、モトクロスバイクのエンジニアであったジム・フェルト氏がトライアスロンバイクを開発したことに端を発するバイクブランド。レースバイクとしての走行性能を追求することがフェルトのポリシーであり、それをもとに生み出されたバイクはツール・ド・フランスやアイアンマン、トラックレースなど各ジャンルで数多くの勝利を積み重ねてきた。
バイク開発への実直な姿勢とレースでの経験で得た知見を惜しみなく投入し開発を行ったバイクが、登場以来ビッグレースで活躍するオールラウンドレーサー「Fシリーズ」だ。アルゴス・シマノをサポートしていた時代はマルセル・キッテル、ジョン・デゲンコルブの勝利に幾度となく貢献し、彼らと共にスターダムの階段を駆け上っていった。
ジョン・デゲンコルブがジロのステージ初優勝を果たした時乗っていたのはフェルトFシリーズであった photo:Kei Tsuji
マルセル・キッテルもフェルトFシリーズに乗りスターダムを駆け上った photo:Makoto.AYANO
輝かしい実績を持つFシリーズはモデルイヤー2017年にフルモデルチェンジが行われ、「FRシリーズ」となり世の中に送り出された。オールラウンドモデルにもエアロなどプラスアルファの性能が求められる時代にあって、フレームは前作と大差のないトラディショナルな形状。フェルトは「様々なギミックを加えると、トータルバランスを崩しかねない」と考える創業者の考えのもと、あえてオーソドックスなバイク形状を貫きながらも、性能向上を成功させているのだ。
ブレーキをシートステーからBBシェル側に移したことで、チューブ設計の自由度が増した
サイズによって下側ベアリング径が異なる仕様だ
BBシェル側にダイレクトマウントブレーキを配すことで、多くのメリットをもたらしている
BB386規格を採用しシェル幅を拡大することで剛性アップを図った
ブレーキをBB側に配置するに伴い、ボトムブラケット規格をBB30からBB386変更しシェル幅を18.5mm拡大。BBシェルのボリュームアップにより、プロ選手の踏力にも応えられる剛性を獲得した。もちろんチェーンステーは左右非対称とすることで、必要な剛性バランスを整えている。
加えて、フェルトがフレーム形状やカーボン積層で煮詰めたのはバイクの接地感だ。路面の凹凸に対するフレーム追従性を高めると、高速走行時におけるバイクの跳ねを軽減させることにつながり、レースでアドバンテージとなりうる。FRはFの進化形として完成度を高めるべく、この課題に取り組んだ。
内装式のブレーキワイヤーと外装式のシフトケーブル
機械式コンポーネントを搭載する場合はワイヤー外装式となる
そこでフェルトは、Fシリーズの開発時には不可能だったフレーム解析技術を投入し、0.1mmの形状変更による強度と剛性値の変化を数値化。細かくカーボン積層の調整を行うことで、+30%の接地感を実現するという結果を得ることに。フォークもひし形に変更し剛性を向上させたため、フロント周りの安定感を高めることに成功している。
剛性を高めるための努力は、機械式コンポーネントを搭載する際はワイヤー外出しとなる点にも見られる。フェルトの説明によると、ワイヤー内装用ホールは剛性低下につながるため、無闇にケーブルホールを開けず、更にワイヤー受けをワンボルトで留めているという。またリアエンドまでカーボンとし高剛性化を図ることで、変速性能の向上も狙っている。
シートチューブを挟み込むように繋がるトップチューブとシートステー
前作よりも長めのヘッドチューブとすることで、大きいフレームサイズでも優れた剛性を確保した
長いヘッドチューブは剛性低下を招く原因であるが、FRシリーズのヘッドチューブはレーシングバイクとして一般的な値に収まっている。加えて、下側ベアリング径をサイズごとに変化させることで、どのサイズのフレームでも同じ乗り味を実現した。
このようにレーシングバイクの性能を実直に追求し続けるフェルトが、これまで培ってきた経験と最新技術を駆使して開発されたFRシリーズ。ラインアップにはカーボン素材が異なる7グレードのモデルが用意されている。
今回インプレッションを行うのはセカンドグレードのFR1と、2018年モデルより登場したFR2 Disc、FR5の3車種。FR1とFR2はカーボン素材が共通で、ブレーキタイプが異なる仕様。FR5はエントリーグレードカーボンを使用したモデルだ。次ページより中村龍太郎さんによるインプレッションをお届けしよう。
フェルト FR1 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
フェルト FR2 Disc (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
フェルト FR5 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
全3編構成となる本特集コンテンツの第1弾は、FRシリーズの基本情報とフェルトサポートライダーの中村さんを紹介しよう。
フルタイムワーカーにして全日本TTチャンプ 中村龍太郎
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本特集コンテンツの主人公であり、唯一の登場人物である中村龍太郎さん。国内ロードレースを追っかけているエンスーなファンからすると、Jプロツアーや全日本選手権、UCIレース、ホビーレース、トラック、シクロクロスなど毎週末のようにレースに参加し、好成績を収めるお馴染みの存在だ。軽快な口調で読者を引き込ませるレースレポートを書き、レース会場で愛嬌たっぷりの笑顔をみせる彼のファンは少なくない。
2015年には全日本選手権タイムトライアルで優勝。フルタイムワーカーが全日本タイトルに輝いたことに驚かれつつポディウムの頂点に迎えられた。翌2016年、日本ナショナルチームの一員としてツアー・オブ・ジャパンに参戦し完走を果たしている。その他、実業団レースでプロたちに囲まれる中で好成績を収めたことは数知れず。
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そんな中村さんのバイク遍歴は、最初の1台こそ、競技部の先輩から安く譲ってもらった他ブランドのバイクだったが、大学4年生の頃にF1を購入。それ以来フェルト一筋に。社会人となりメキメキと実力をつけ頭角を現し始めた頃、フェルトのサポートライダーとして機材の供給を受けることとなった。
F1は大学4年から社会人2年目まで、3年目からは供給されたF FRD、今シーズンはAR FRDを乗り継いでいる。加えてタイムトライアルではDA、トラックではTK FRDと各種目のバイクをフェルトで揃えている。それぞれのバイクにニックネームをつけており、自転車に愛情を持って接していることが伺える。
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現在使用しているAR FRDは、マーク・カヴェンディッシュも愛用していたPRO VIBE SPRINTステムなど高剛性のパーツで組み上げられている。パワーメーターはSRM、ローターのクランク、シマノのチェーンリングで合わせる。ホイールやサドルはサポートを受けるヴィットリアとアスチュートだ。
→中村龍太郎公式ブログ(ライトウェイプロダクツジャパンHP内)
ロードラインアップの大黒柱「FRシリーズ」
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バイク開発への実直な姿勢とレースでの経験で得た知見を惜しみなく投入し開発を行ったバイクが、登場以来ビッグレースで活躍するオールラウンドレーサー「Fシリーズ」だ。アルゴス・シマノをサポートしていた時代はマルセル・キッテル、ジョン・デゲンコルブの勝利に幾度となく貢献し、彼らと共にスターダムの階段を駆け上っていった。
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輝かしい実績を持つFシリーズはモデルイヤー2017年にフルモデルチェンジが行われ、「FRシリーズ」となり世の中に送り出された。オールラウンドモデルにもエアロなどプラスアルファの性能が求められる時代にあって、フレームは前作と大差のないトラディショナルな形状。フェルトは「様々なギミックを加えると、トータルバランスを崩しかねない」と考える創業者の考えのもと、あえてオーソドックスなバイク形状を貫きながらも、性能向上を成功させているのだ。
剛性、快適性、接地感を磨いた新型フレーム
FRシリーズで求められたのは、Fシリーズの段階で完成されていたハンドリングと加速性能をそのままに、レーシングバイクとしての更なる剛性と快適性を獲得すること。この相反する性能の実現に貢献したのは、BB側に移されたダイレクトマウントブレーキ。ブレーキブリッジを廃し設計自由度が増したことでシートステーを横扁平形状に。加えて、シートステーがシートチューブの横を沿う形で繋がるワイドフォルムとすることで、垂直方向の柔軟性を12%、ねじれ剛性+30%の向上を実現した。
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ブレーキをBB側に配置するに伴い、ボトムブラケット規格をBB30からBB386変更しシェル幅を18.5mm拡大。BBシェルのボリュームアップにより、プロ選手の踏力にも応えられる剛性を獲得した。もちろんチェーンステーは左右非対称とすることで、必要な剛性バランスを整えている。
加えて、フェルトがフレーム形状やカーボン積層で煮詰めたのはバイクの接地感だ。路面の凹凸に対するフレーム追従性を高めると、高速走行時におけるバイクの跳ねを軽減させることにつながり、レースでアドバンテージとなりうる。FRはFの進化形として完成度を高めるべく、この課題に取り組んだ。
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そこでフェルトは、Fシリーズの開発時には不可能だったフレーム解析技術を投入し、0.1mmの形状変更による強度と剛性値の変化を数値化。細かくカーボン積層の調整を行うことで、+30%の接地感を実現するという結果を得ることに。フォークもひし形に変更し剛性を向上させたため、フロント周りの安定感を高めることに成功している。
剛性を高めるための努力は、機械式コンポーネントを搭載する際はワイヤー外出しとなる点にも見られる。フェルトの説明によると、ワイヤー内装用ホールは剛性低下につながるため、無闇にケーブルホールを開けず、更にワイヤー受けをワンボルトで留めているという。またリアエンドまでカーボンとし高剛性化を図ることで、変速性能の向上も狙っている。
理想のポジションを実現するジオメトリー
また、フェルトはどのフレームサイズを選んでも理想のポジションを出すことができ、共通の乗り味を得られるようにチューニングを行った。従来のFシリーズでは大きいフレームサイズに乗る大柄な選手はコラムスペーサーを積まなければポジションを出すことができなかった。FRシリーズではヘッドチューブを延長することで、この問題を解決。フェルトの言葉で表すと「前後の一体感を味わえるジオメトリー」となっている。
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長いヘッドチューブは剛性低下を招く原因であるが、FRシリーズのヘッドチューブはレーシングバイクとして一般的な値に収まっている。加えて、下側ベアリング径をサイズごとに変化させることで、どのサイズのフレームでも同じ乗り味を実現した。
このようにレーシングバイクの性能を実直に追求し続けるフェルトが、これまで培ってきた経験と最新技術を駆使して開発されたFRシリーズ。ラインアップにはカーボン素材が異なる7グレードのモデルが用意されている。
今回インプレッションを行うのはセカンドグレードのFR1と、2018年モデルより登場したFR2 Disc、FR5の3車種。FR1とFR2はカーボン素材が共通で、ブレーキタイプが異なる仕様。FR5はエントリーグレードカーボンを使用したモデルだ。次ページより中村龍太郎さんによるインプレッションをお届けしよう。
フェルト FR1

フレーム | UHC Advanced + TeXtreme Carbon |
フォーク | UHC Ultimate + TeXtreme Carbon |
ヘッドセット | FSAインテグレーテッド |
フレーム重量 | 770g(430mm、塗装/ハンガー/シートクランプ込実測重量)、900g(540mm) |
フォーク重量 | 300g |
カラー | マットテクストリーム |
サイズ | 430、470、510、540、560、580 |
価格 | 288,000円(税抜) |
フェルト FR2 Disc
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フレーム | UHC Advanced + TeXtreme Carbon 12×142mmスルー |
フォーク | UHC Advanced + TeXtreme Carbon |
コンポーネント | シマノULTEGRA R8050Di2、BR8070 |
ホイール | DTスイス FC1600 |
タイヤ | ヴィットリア Rubino Pro G 25C |
カラー | ブラック |
サイズ | 430、470、510、540、560 |
価格 | 598,000円(税抜) |
フェルト FR5
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フレーム | UHC Advanced |
フォーク | UHC Advanced |
コンポーネント | シマノ105 |
ホイール | フェルト Road RSL3(チューブレスレディ) |
タイヤ | シュワルベ Durano 25C |
重量 | 7.98kg(510mm) |
カラー | レッド |
サイズ | 430、470、510、540、560、580 |
価格 | 248,000円(税抜) |
提供:ライトウェイプロダクツジャパン 制作:シクロワイアード編集部