2016/08/16(火) - 13:08
昨年登場した「CAAD12」に続き、新たなアルミロードがデビューを果たす。「CAAD8」の後継にあたる「CAAD OPTIMO」は、エントリーロードに求められる性能を見直すと同時に、キャノンデールが持つアルミニウム技術を活用し、ハンドリング性能と快適性を高めている。
キャノンデールの2017モデルには、いくつかの懐かしい名前が復活している。その1つが「CAAD OPTIMO」だ。かつてジルベルト・シモーニ(イタリア)がサエコ在籍時代に使用した名車が、入門機としてカムバックを果たした。2016モデルで同グレードを担っていた「CAAD8」の後継機となる。
キャノンデールが「CAAD OPTIMO」を開発するにあたり、まず行ったのがエントリー向けロードバイクに求められる性能の再検証。その中でも大きく注目したのがハンドリング性能である。「ビギナーは深い前傾に慣れていない」→「ハンドル荷重になってしまう」→「振らつかないように直進性を高める」というのがエントリー向けロードのテンプレートだが、キャノンデールはそこに疑問を持った。
同社が行った調査によると、約80%のビギナーが1週間以内にロードバイクに慣れてしまうのだそうだ。むしろ高過ぎる直進性によってコーナリング性能が犠牲になり、いざという時に曲がりにくいことに恐怖を覚えるという。そこでCAAD OPTIMOでは、「SUPERSIX EVO」とほぼ共通のジオメトリーを採用し、ヘッドチューブをテーパー化。ロードバイク然とした軽快なハンドリングを手に入れたのだ。
ハンドリング性能の次にキャノンデールが着目したのは「快適性」。各社ともエントリーバイクは振動吸収性に劣ることが多いが、CAAD OPTIMOではキャノンデールはお家芸ともいうべき「S.A.V.E.」テクノロジーを取り入れることで、快適性を向上をさせた。
「CAAD12」で用いられるハイドロフォーミングの替わりに、成形方法を押出加工と引抜加工の組み合わせに変更することで加工コストを低減。それでも、他社の高級アルミバイクに比肩するほどの複雑な形状へと仕上げられているのだ。
最細部で直径22mmというリーフスプリング状シートステーや、僅かにベンドさせたシートチューブによって縦方向の柔軟性と横剛性を両立した。また、チューブ内部をバテッド仕様とし軽量化。キャノンデールのアルミ愛を、115,000円(税抜)から味わえるなんて、これからスポ―ツサイクルを始める人にとっては実に幸せなことであろう。
このCAAD OPTIMOでも、リムブレーキ仕様とディスクブレーキ仕様が用意される。ブレーキの違いによって細部の設計が変更されており、リムブレーキ仕様はねじ切りJIS、ディスクブレーキ仕様はBB30と、ボトムブラケットの規格が異なる点は興味深いところ。
リムブレーキ仕様はシマノ105仕様、TIAGRA仕様、SORA仕様の3車種で展開され、いずれもコンポーネントは全てシマノ製パーツで固められる。ディスクブレーキ仕様はシマノTIAGRAをメインコンポーネントに機械式キャリパーを組み合わせた1車種となる。
良い意味で予想外だったのは、ディスク仕様の走りの良さでした。BB30を採用することで、レース志向のライダーが満足できるだけの剛性になるとは驚き。スレッドBBのリムブレーキ仕様と乗り比べることで、より顕著にBB30の効果を体感できましたね。同じモデルで味付けを大きく変えてきたキャノンデールの試みはとても興味深いところです。
安心感でいえば、シマノのクランクを採用するリムブレーキ仕様に分があるものの、走りの質を求める方にはディスク仕様がおすすめです。この何年かの間にフレームとベアリングの双方の精度が上がったため、BB30の音鳴りは随分と減りましたし、仮に音鳴りが発生したとしても解決手段は沢山あります。ですから、購入に際してBB30だからと心配する必要はありません。
まとめると、他社から続々と新型アルミバイクが登場しており、CAAD12に次ぐアルミのセカンドグレードですが、同価格帯では他に類を見ないほど造り込まれたバイクですね。エントリーだからと手を抜かず、キャノンデールらしくこだわっているのが好印象です。
アルミ感の無さは、踏み味にも現れています。CAAD8で感じたゴチっとした典型的なアルミ感は消えていました。CAAD12と同等とはいきませんが、踏み込んだ時の掛かりが軽快で、遅れることなくバイクが追従してくれます。全体的な剛性バランスが良いことから、無茶苦茶なペダリングでも受け入れてくれて、下手さを補ってくれるという懐の深さを感じることができました。
また、ブレーキの違いによって踏み味が少々異なっていました。リムブレーキ仕様は適度にウィップしながら進んでくれることからダンシングがより軽快。対称的に高トルクで踏み込んだ際の回しやすさは、踏み味に芯のあるディスクブレーキ仕様に分があります。異音が発生しやすいと敬遠されがちなBB30ですが、JIS規格と比較することで、改めてその恩恵を感じ取ることができました
ハンドリングについても、キャノンデールが謳う通りに従来モデルから改善されています。CAAD8だと、コーナリング中に理想とするラインから外れてしまうことがあったのですが、 CAAD OPTIMOなら目線を送って少しハンドルを切るだけで、理想的なラインをトレースしてくれます。俊敏さが増したことでコーナリングのストレスが著しく軽減されており、初級者にとってより扱いやすいバイクに仕上がっていますね。
上位グレードとほぼ共通のジオメトリーとあって、ハンドルとサドルの落差を出せるため、上級者になっても乗り続けられるのもポイント。確かにスポーツバイクを始めたばかりという方には少々ツラく感じるかもしれませんが、乗り込めば次第に慣れてきますから、購入に際しては気にする必要はないでしょう。
CAAD OPTIMOでロードバイクに慣れて、CAAD12やSUPERSIXシリーズに乗り換えるというが理想ですが、限られた予算の中でCAAD OPTIMOをカスタムしながら乗り続けるのも良いでしょう。例えばコンポーネントをシマノULTEGRAに換えたとしても、フレームに不足を感じるということはないはずです。
入門機に求められる性能を再検証 ハンドリングと快適性を高めたCAAD OPTIMO
キャノンデールの2017モデルには、いくつかの懐かしい名前が復活している。その1つが「CAAD OPTIMO」だ。かつてジルベルト・シモーニ(イタリア)がサエコ在籍時代に使用した名車が、入門機としてカムバックを果たした。2016モデルで同グレードを担っていた「CAAD8」の後継機となる。
キャノンデールが「CAAD OPTIMO」を開発するにあたり、まず行ったのがエントリー向けロードバイクに求められる性能の再検証。その中でも大きく注目したのがハンドリング性能である。「ビギナーは深い前傾に慣れていない」→「ハンドル荷重になってしまう」→「振らつかないように直進性を高める」というのがエントリー向けロードのテンプレートだが、キャノンデールはそこに疑問を持った。
同社が行った調査によると、約80%のビギナーが1週間以内にロードバイクに慣れてしまうのだそうだ。むしろ高過ぎる直進性によってコーナリング性能が犠牲になり、いざという時に曲がりにくいことに恐怖を覚えるという。そこでCAAD OPTIMOでは、「SUPERSIX EVO」とほぼ共通のジオメトリーを採用し、ヘッドチューブをテーパー化。ロードバイク然とした軽快なハンドリングを手に入れたのだ。
ハンドリング性能の次にキャノンデールが着目したのは「快適性」。各社ともエントリーバイクは振動吸収性に劣ることが多いが、CAAD OPTIMOではキャノンデールはお家芸ともいうべき「S.A.V.E.」テクノロジーを取り入れることで、快適性を向上をさせた。
「CAAD12」で用いられるハイドロフォーミングの替わりに、成形方法を押出加工と引抜加工の組み合わせに変更することで加工コストを低減。それでも、他社の高級アルミバイクに比肩するほどの複雑な形状へと仕上げられているのだ。
最細部で直径22mmというリーフスプリング状シートステーや、僅かにベンドさせたシートチューブによって縦方向の柔軟性と横剛性を両立した。また、チューブ内部をバテッド仕様とし軽量化。キャノンデールのアルミ愛を、115,000円(税抜)から味わえるなんて、これからスポ―ツサイクルを始める人にとっては実に幸せなことであろう。
このCAAD OPTIMOでも、リムブレーキ仕様とディスクブレーキ仕様が用意される。ブレーキの違いによって細部の設計が変更されており、リムブレーキ仕様はねじ切りJIS、ディスクブレーキ仕様はBB30と、ボトムブラケットの規格が異なる点は興味深いところ。
リムブレーキ仕様はシマノ105仕様、TIAGRA仕様、SORA仕様の3車種で展開され、いずれもコンポーネントは全てシマノ製パーツで固められる。ディスクブレーキ仕様はシマノTIAGRAをメインコンポーネントに機械式キャリパーを組み合わせた1車種となる。
インプレッション
「キャノンデールのこだわりを感じ取れる1台」恒次智(サイクルショップフリーダム)
ハンドリングのスムーズさが、CAAD8との比較で最も進化したポイントです。ハイエンドモデルと比較すると、エントリーグレードはコーナーでどうしても膨らんでしまいかがちですが、OPTIMOは例外。気持ちよく意のままに操ることができます。その理由は、SUPERSIXシリーズに準じたジオメトリーの採用や、ヘッドチューブの工作精度の高さとテーパー化にあると考えられます。また、全体的にバランスが大きく向上しており、エントリーグレードながら気持ちよさを感じます。良い意味で予想外だったのは、ディスク仕様の走りの良さでした。BB30を採用することで、レース志向のライダーが満足できるだけの剛性になるとは驚き。スレッドBBのリムブレーキ仕様と乗り比べることで、より顕著にBB30の効果を体感できましたね。同じモデルで味付けを大きく変えてきたキャノンデールの試みはとても興味深いところです。
安心感でいえば、シマノのクランクを採用するリムブレーキ仕様に分があるものの、走りの質を求める方にはディスク仕様がおすすめです。この何年かの間にフレームとベアリングの双方の精度が上がったため、BB30の音鳴りは随分と減りましたし、仮に音鳴りが発生したとしても解決手段は沢山あります。ですから、購入に際してBB30だからと心配する必要はありません。
まとめると、他社から続々と新型アルミバイクが登場しており、CAAD12に次ぐアルミのセカンドグレードですが、同価格帯では他に類を見ないほど造り込まれたバイクですね。エントリーだからと手を抜かず、キャノンデールらしくこだわっているのが好印象です。
「CAAD12を越える乗り心地の良さ」高野浩平(B-shop OCHI)
「ビギナーバイクの性能ってあまり良くないんでしょ」という懸念を払拭し、スポーツバイクは初めてという方でも安心して高性能を手に入れることのできる1台ですね。その中でも強く印象に残ったのが、乗り心地の良さ。良い意味でアルミらしさが無く、大きな衝撃を的確にいなしてくれます。上位グレードのCAAD12との比較でも、負けず劣らずどころか、むしろ勝るほどと言っても過言ではありません。アルミ感の無さは、踏み味にも現れています。CAAD8で感じたゴチっとした典型的なアルミ感は消えていました。CAAD12と同等とはいきませんが、踏み込んだ時の掛かりが軽快で、遅れることなくバイクが追従してくれます。全体的な剛性バランスが良いことから、無茶苦茶なペダリングでも受け入れてくれて、下手さを補ってくれるという懐の深さを感じることができました。
また、ブレーキの違いによって踏み味が少々異なっていました。リムブレーキ仕様は適度にウィップしながら進んでくれることからダンシングがより軽快。対称的に高トルクで踏み込んだ際の回しやすさは、踏み味に芯のあるディスクブレーキ仕様に分があります。異音が発生しやすいと敬遠されがちなBB30ですが、JIS規格と比較することで、改めてその恩恵を感じ取ることができました
ハンドリングについても、キャノンデールが謳う通りに従来モデルから改善されています。CAAD8だと、コーナリング中に理想とするラインから外れてしまうことがあったのですが、 CAAD OPTIMOなら目線を送って少しハンドルを切るだけで、理想的なラインをトレースしてくれます。俊敏さが増したことでコーナリングのストレスが著しく軽減されており、初級者にとってより扱いやすいバイクに仕上がっていますね。
上位グレードとほぼ共通のジオメトリーとあって、ハンドルとサドルの落差を出せるため、上級者になっても乗り続けられるのもポイント。確かにスポーツバイクを始めたばかりという方には少々ツラく感じるかもしれませんが、乗り込めば次第に慣れてきますから、購入に際しては気にする必要はないでしょう。
CAAD OPTIMOでロードバイクに慣れて、CAAD12やSUPERSIXシリーズに乗り換えるというが理想ですが、限られた予算の中でCAAD OPTIMOをカスタムしながら乗り続けるのも良いでしょう。例えばコンポーネントをシマノULTEGRAに換えたとしても、フレームに不足を感じるということはないはずです。
提供:キャノンデール・ジャパン 製作:シクロワイアード編集部