2015/05/01(金) - 11:52
日本が世界に誇るタイヤブランド、ブリヂストン。2009年から、ロードバイク用タイヤ「エクステンザ」シリーズを発売し、その高い性能で自転車界においても多くの支持を集めてきた。そのエクステンザシリーズの中でもフラッグシップにあたるレーシングライン「1シリーズ」が、5年ぶりのフルモデルチェンジを果たし、その性能に更なる磨きをかけて登場した。
世界最大のタイヤメーカーとして君臨するブリヂストン。モトGPのワンメイクサプライヤーであり、スーパーGTでも最も多くの勝利を掴んでいるメーカーとして、レースに求められるタイヤ性能をこの地球上でもっとも知悉している存在といっても過言ではないだろう。
そのブリヂストンだが、ほんの少し前まで自転車用のレーシングタイヤはそのラインナップに存在しなかった。世界中で行われるタイヤを使ったレースにおいて、大きな存在感を見せるブリヂストンの姿を観ることが出来なかったのがそれまでの自転車レース界だったのだ。
しかし、2009年に満を持してブリヂストンが発表した初のロードレース用タイヤ「エクステンザRR1」によって、その状況は終わりを告げた。持ち前の高い技術力とレース現場に対する知見、アンカーチームからのフィードバックを元に開発されたエクステンザRR1は、ブランド初の自転車レース用タイヤながら、高い評価を獲得するに至る。
そして、その1年後のフルモデルチェンジにより、オールラウンドモデルのRR1X、ハイグリップモデルのRR1HG、軽量モデルのR1SLの3種類を揃えることとなった。軽量性、耐久性、グリップ力、転がり性能と、レーシングタイヤに求められる要素は多岐にわたるが、全ての性能を満点にしたタイヤというものは実現不可能なもの。
それぞれのライダーが走るシチュエーションや好みに合わせて、最適なモデルを選択できるように3つのモデルが用意され、盤石の体制を整えた。以来、ロングセラーを続けてきたエクステンザRR1シリーズだが、ついに今年、待望のフルモデルチェンジを行った。
5年ぶりのフルモデルチェンジとなったエクステンザのハイエンドラインだが、オールラウンドモデル、ハイグリップモデル、軽量モデルの3つの枠組みは変わらず。それぞれ「R1X」、「R1G」、「R1S」と新たなネームを与えられた新型エクステンザシリーズ。1年半にわたる開発の結果生まれた最新モデルは、それぞれの性能に特化したハイエンドレーシングバイクとしてそれぞれ正常進化を遂げている。
つまり、R1Gはよりハイグリップに、R1Sはより軽く、R1Xはそれらの性能をより高い次元でバランスさせたということだ。そのために、コンパウンドやケーシングといった、タイヤを構成する部材を一から見つめ直し、再設計を行っている。
全モデルに共通するのは、従来トレッド下に配置されていたベースラバーを廃止したこと。この変更によって、トレッド面を薄くすることができ、より軽量で転がり抵抗を抑えた、「走る」タイヤへと変貌を遂げている。
オールラウンドモデル、R1Xはタイヤ断面形状とコンパウンドに大きな変更が加えられている。おにぎりのような尖った断面を持つ、従来の「ダブルクラウンアール」形状から、丸断面の「シングルクラウンアール」形状へと変更され、バイクを傾けても常に一定のグリップ力を発揮し、首尾一貫したコーナーリングフィールを実現。
コンパウンドには以前のハイグリップモデルRR1HGと同じものを使用することで、グリップ力を向上させている。コンパウンド単体で見た時には、旧モデルよりも転がり抵抗は増大しているというが、ベースラバーの廃止に伴うトレッドの薄型化によってタイヤ全体としては転がり抵抗も軽減しているという。
このモデルのみ、23cと25cの2種類が用意される。23cの重量は、前作の軽量モデルRR1SLと同等の180gに抑えられているほか、25cモデルも190gと非常に軽く仕上がっているのもこのモデルの大きな特徴だ。
ハイグリップモデル、R1GもR1X同様にコンパウンドと断面形状に手が入れられている。R1Gも「シングルクラウンアール」形状を採用し、よりナチュラルにバイクを倒すことができるようになった。ちなみにこの形状、トラブルのリスクを最小限に抑えたいプロ選手への供給モデルでは以前より人気があったという。
そして、コンパウンドにはR1G専用の超ハイグリップモデルを採用。このコンパウンドはチーム供給時にウェットタイヤとして供給していたスペシャルモデルの物を使用しており、その高いグリップ力にサポートライダーたちは全幅の信頼をおいていた。究極のグリップ力を持ちつつも、ベースラバーの廃止によって転がり抵抗は前モデルよりも低く抑えられており、タイヤ全体としての性能も底上げされているモデルだ。重量も185gとR1Xとほぼそん色ない値に収まっている。
超軽量モデルのR1Sは、145gと他の2モデルとは一線を画する重量をマークする。市場に存在するクリンチャータイヤの中でも際立った軽さで、これより軽いモデルは23c未満の細タイヤを除けばほぼ無いと言っていいほど。この軽さを実現したのは、ベースラバーどころか耐パンクベルトまで廃止するという潔い決断の結果。
R1Sは他の2モデルとは異なり、断面形状は「ダブルクラウンアール」のまま。これは、ヒルクライムレースなどで高圧を入れた時に接地面積を少なくすることで、より転がるタイヤとするため。ケーシングも新たな高密度ケーシングを採用し、しなやかで軽い乗り味に貢献しているという。一方でコンパウンドはR1Xと同様のモデルを採用し、レースタイヤに必要なグリップ力も高いレベルにある。まさにここ1番の飛び道具のようなモデルだ。
次のページでは、R1シリーズの開発に携わった3人による開発ストーリーをお届けする。
清水都貴、飯島誠、新保光起(チャンピオンシステム)による徹底インプレッション記事は追って更新します。お楽しみに。
世界No.1タイヤメーカー、ブリヂストンが放つ「エクステンザ」
世界最大のタイヤメーカーとして君臨するブリヂストン。モトGPのワンメイクサプライヤーであり、スーパーGTでも最も多くの勝利を掴んでいるメーカーとして、レースに求められるタイヤ性能をこの地球上でもっとも知悉している存在といっても過言ではないだろう。
そのブリヂストンだが、ほんの少し前まで自転車用のレーシングタイヤはそのラインナップに存在しなかった。世界中で行われるタイヤを使ったレースにおいて、大きな存在感を見せるブリヂストンの姿を観ることが出来なかったのがそれまでの自転車レース界だったのだ。
しかし、2009年に満を持してブリヂストンが発表した初のロードレース用タイヤ「エクステンザRR1」によって、その状況は終わりを告げた。持ち前の高い技術力とレース現場に対する知見、アンカーチームからのフィードバックを元に開発されたエクステンザRR1は、ブランド初の自転車レース用タイヤながら、高い評価を獲得するに至る。
そして、その1年後のフルモデルチェンジにより、オールラウンドモデルのRR1X、ハイグリップモデルのRR1HG、軽量モデルのR1SLの3種類を揃えることとなった。軽量性、耐久性、グリップ力、転がり性能と、レーシングタイヤに求められる要素は多岐にわたるが、全ての性能を満点にしたタイヤというものは実現不可能なもの。
それぞれのライダーが走るシチュエーションや好みに合わせて、最適なモデルを選択できるように3つのモデルが用意され、盤石の体制を整えた。以来、ロングセラーを続けてきたエクステンザRR1シリーズだが、ついに今年、待望のフルモデルチェンジを行った。
5年ぶりのフルモデルチェンジ さらなる高みを目指した3つのフラッグシップ
5年ぶりのフルモデルチェンジとなったエクステンザのハイエンドラインだが、オールラウンドモデル、ハイグリップモデル、軽量モデルの3つの枠組みは変わらず。それぞれ「R1X」、「R1G」、「R1S」と新たなネームを与えられた新型エクステンザシリーズ。1年半にわたる開発の結果生まれた最新モデルは、それぞれの性能に特化したハイエンドレーシングバイクとしてそれぞれ正常進化を遂げている。
つまり、R1Gはよりハイグリップに、R1Sはより軽く、R1Xはそれらの性能をより高い次元でバランスさせたということだ。そのために、コンパウンドやケーシングといった、タイヤを構成する部材を一から見つめ直し、再設計を行っている。
全モデルに共通するのは、従来トレッド下に配置されていたベースラバーを廃止したこと。この変更によって、トレッド面を薄くすることができ、より軽量で転がり抵抗を抑えた、「走る」タイヤへと変貌を遂げている。
新たなコンパウンドと形状を手に入れたオールラウンドモデル「R1X」
オールラウンドモデル、R1Xはタイヤ断面形状とコンパウンドに大きな変更が加えられている。おにぎりのような尖った断面を持つ、従来の「ダブルクラウンアール」形状から、丸断面の「シングルクラウンアール」形状へと変更され、バイクを傾けても常に一定のグリップ力を発揮し、首尾一貫したコーナーリングフィールを実現。
コンパウンドには以前のハイグリップモデルRR1HGと同じものを使用することで、グリップ力を向上させている。コンパウンド単体で見た時には、旧モデルよりも転がり抵抗は増大しているというが、ベースラバーの廃止に伴うトレッドの薄型化によってタイヤ全体としては転がり抵抗も軽減しているという。
このモデルのみ、23cと25cの2種類が用意される。23cの重量は、前作の軽量モデルRR1SLと同等の180gに抑えられているほか、25cモデルも190gと非常に軽く仕上がっているのもこのモデルの大きな特徴だ。
新開発のコンパウンドによって、最強のグリップを手に入れた「R1G」
ハイグリップモデル、R1GもR1X同様にコンパウンドと断面形状に手が入れられている。R1Gも「シングルクラウンアール」形状を採用し、よりナチュラルにバイクを倒すことができるようになった。ちなみにこの形状、トラブルのリスクを最小限に抑えたいプロ選手への供給モデルでは以前より人気があったという。
そして、コンパウンドにはR1G専用の超ハイグリップモデルを採用。このコンパウンドはチーム供給時にウェットタイヤとして供給していたスペシャルモデルの物を使用しており、その高いグリップ力にサポートライダーたちは全幅の信頼をおいていた。究極のグリップ力を持ちつつも、ベースラバーの廃止によって転がり抵抗は前モデルよりも低く抑えられており、タイヤ全体としての性能も底上げされているモデルだ。重量も185gとR1Xとほぼそん色ない値に収まっている。
軽量性を突きつめたヒルクライム決戦モデル「R1S」
超軽量モデルのR1Sは、145gと他の2モデルとは一線を画する重量をマークする。市場に存在するクリンチャータイヤの中でも際立った軽さで、これより軽いモデルは23c未満の細タイヤを除けばほぼ無いと言っていいほど。この軽さを実現したのは、ベースラバーどころか耐パンクベルトまで廃止するという潔い決断の結果。
R1Sは他の2モデルとは異なり、断面形状は「ダブルクラウンアール」のまま。これは、ヒルクライムレースなどで高圧を入れた時に接地面積を少なくすることで、より転がるタイヤとするため。ケーシングも新たな高密度ケーシングを採用し、しなやかで軽い乗り味に貢献しているという。一方でコンパウンドはR1Xと同様のモデルを採用し、レースタイヤに必要なグリップ力も高いレベルにある。まさにここ1番の飛び道具のようなモデルだ。
次のページでは、R1シリーズの開発に携わった3人による開発ストーリーをお届けする。
清水都貴、飯島誠、新保光起(チャンピオンシステム)による徹底インプレッション記事は追って更新します。お楽しみに。
提供:ブリヂストンサイクル 制作:シクロワイアード