2013/08/21(水) - 17:45
7月の後半に開催されたメディア・販売店向けのジャイアントの発表会。主役はジャイアントが2年に渡る開発期間を経て誕生させたエアロロードバイク、PROPEL(プロペル)である。「現在のロードバイク市場で最高のエアロ性能を目指した」というプロペルの実力とは如何に。
伊豆・修善寺の日本サイクルスポーツセンターで国内の主要メディアを招待して行われた発表会。初日はプレゼンテーションが、そして2日目は日本サイクルスポーツセンターの5kmコースを使用したテストライドが設定された。また、全てのプログラムに発表会には全日程を通してジャイアントのロードバイク開発チーフであるニクソン・ファン氏が帯同し、話を聞くこともできた。
さて、今回の発表会で国内初披露されたプロペルは、2013年シーズン初めよりブランコプロサイクリング(現ベルキンプロサイクリング)が使用し、情報通のサイクリストやジャーナリストへと話題を提供していたバイクだ。先のツール・ド・フランスでも平坦から超級山岳に至るまで活躍を見せ、バウク・モレマ(オランダ)らが総合上位に割り込んだことでより一層の注目を集めていた。
世界一の巨大自転車ブランド・ジャイアントが掲げるプロペルの開発コンセプトは、「Faster From Every Angle」。つまりあらゆる方向からの風をも制し受け流す空力性能に加え、登坂でも充分に使えるペダリング剛性と軽量製、一般的なロードバイクと遜色の無い素直なハンドリングなど、現在のマーケットにおいてまさに全方位的に最高クラスのエアロロードバイクである。
プロペル最大の特徴はフレーム形状と一体化するブレーキキャリパーと、ボトルを装着することを前提としたダウンチューブのデザインだろう。ミニVブレーキ同様の構造としたTRPとの共同開発ブレーキはフレームの前影投影面積に影響せず、更にフォーク/シートステー前側で受けた風を整流させ受け流すフォルムとなった。ダウンチューブのボトルケージ装着部分は断面幅を増すことで、ボトルを装着した際により空力性能を増大させる仕組みだ。
くびれを設けたヘッドチューブには上側1-1/4インチ、下側1-1/2インチ内径のベアリングを擁するOVERDRIVE2を投入。またボトムブラケットにはBB86を採用することで走行性能を追求した。シートポストはジャイアントがこだわるISP式とされ、一般的なポストと比較しおよそ45gの軽量化と衝撃吸収性にも貢献しているという。ヘッドスペーサーは翼断面形状の専用品が奢られ、ハンドルもステム一体型の新型エアロハンドル「CONTACT SLR AERO INTEGRATED」が新たに用意されている。
プロペルの開発にあたってはCFD解析と風洞実験を繰り返し、風洞ではプロチームに所属する選手を模った可動マネキンを独自に開発して乗車させ、コンポーネント等のパーツ類も全て装着した状態で、より実際の走行環境に近い状態でのテストが行われた。このような試行錯誤により計88回の形状変更を経たプロペルは、ライバルブランドの最上級エアロロードバイクと比較して1km毎に約1秒を短縮するという抜きん出た空力性能と、フレーム重量1090g(ISP含)というエアロロードバイクの中でも優れた軽量性を同時に獲得した。9070系デュラエースDi2+ZIPP404仕様の完成車では6.9kg(710サイズ)という重量をマークしている。
プロペルにはジャイアントが誇るT800グレードのカーボンを使用した最上級の「Advanced SL」と、T700カーボンを使用したベクターシートポスト仕様の「Advanced」の2モデルが存在し、更にAdvancedをベースにジオメトリーや剛性設計を最適化した女性モデル「Envie(エンヴィ)」もラインナップしている。また、搭載するコンポーネントやパーツの差異により実に多くの販売パッケージを揃えている。これは一般ユーザーにとっては魅力的だ。
プロペルが一躍脚光を浴びたのは、ヨーロッパが本格シーズンインする前の2月にマレーシアで開催されたツール・ド・ランカウイのことだ。第1、2ステージと連続でテオ・ボス(オランダ)がスプリント勝利し、第6ステージではトム・リーザー(オランダ)が独走勝利。10ステージ中3ステージで勝利するという鮮烈なデビューを飾った。
その後もプロペルは持ち前の空力性能からルーラーやTTスペシャリストなどのスピードマンや、スプリンターから特に好んで使用され、平坦ステージでは大きな活躍を見せた。
そして7月のツール・ド・フランスでは、チーム名変更に伴い新しくライトグリーンの差し色となったプロペルがデビュー。最終的に総合6位となったバウク・モレマ(オランダ)は、難関山岳ステージにおいてもプロペルを駆っており、平地巡航でのエアロダイナミクスのみならず、登坂でも一般的なロードバイクと遜色の無い高い総合力を存分に発揮したのである。
また、女性モデルであるエンヴィの活躍も忘れてはならない。史上最強と呼ばれるマリアンヌ・フォス(オランダ)によってジロ・ドンナ(女性版ジロ・デ・イタリア)でのステージ優勝など、幾多の勝利を挙げることに成功している。
Faster From Every Angle デビューしたプロペルのディティールに迫る
伊豆・修善寺の日本サイクルスポーツセンターで国内の主要メディアを招待して行われた発表会。初日はプレゼンテーションが、そして2日目は日本サイクルスポーツセンターの5kmコースを使用したテストライドが設定された。また、全てのプログラムに発表会には全日程を通してジャイアントのロードバイク開発チーフであるニクソン・ファン氏が帯同し、話を聞くこともできた。
さて、今回の発表会で国内初披露されたプロペルは、2013年シーズン初めよりブランコプロサイクリング(現ベルキンプロサイクリング)が使用し、情報通のサイクリストやジャーナリストへと話題を提供していたバイクだ。先のツール・ド・フランスでも平坦から超級山岳に至るまで活躍を見せ、バウク・モレマ(オランダ)らが総合上位に割り込んだことでより一層の注目を集めていた。
世界一の巨大自転車ブランド・ジャイアントが掲げるプロペルの開発コンセプトは、「Faster From Every Angle」。つまりあらゆる方向からの風をも制し受け流す空力性能に加え、登坂でも充分に使えるペダリング剛性と軽量製、一般的なロードバイクと遜色の無い素直なハンドリングなど、現在のマーケットにおいてまさに全方位的に最高クラスのエアロロードバイクである。
プロペル最大の特徴はフレーム形状と一体化するブレーキキャリパーと、ボトルを装着することを前提としたダウンチューブのデザインだろう。ミニVブレーキ同様の構造としたTRPとの共同開発ブレーキはフレームの前影投影面積に影響せず、更にフォーク/シートステー前側で受けた風を整流させ受け流すフォルムとなった。ダウンチューブのボトルケージ装着部分は断面幅を増すことで、ボトルを装着した際により空力性能を増大させる仕組みだ。
くびれを設けたヘッドチューブには上側1-1/4インチ、下側1-1/2インチ内径のベアリングを擁するOVERDRIVE2を投入。またボトムブラケットにはBB86を採用することで走行性能を追求した。シートポストはジャイアントがこだわるISP式とされ、一般的なポストと比較しおよそ45gの軽量化と衝撃吸収性にも貢献しているという。ヘッドスペーサーは翼断面形状の専用品が奢られ、ハンドルもステム一体型の新型エアロハンドル「CONTACT SLR AERO INTEGRATED」が新たに用意されている。
プロペルの開発にあたってはCFD解析と風洞実験を繰り返し、風洞ではプロチームに所属する選手を模った可動マネキンを独自に開発して乗車させ、コンポーネント等のパーツ類も全て装着した状態で、より実際の走行環境に近い状態でのテストが行われた。このような試行錯誤により計88回の形状変更を経たプロペルは、ライバルブランドの最上級エアロロードバイクと比較して1km毎に約1秒を短縮するという抜きん出た空力性能と、フレーム重量1090g(ISP含)というエアロロードバイクの中でも優れた軽量性を同時に獲得した。9070系デュラエースDi2+ZIPP404仕様の完成車では6.9kg(710サイズ)という重量をマークしている。
プロペルにはジャイアントが誇るT800グレードのカーボンを使用した最上級の「Advanced SL」と、T700カーボンを使用したベクターシートポスト仕様の「Advanced」の2モデルが存在し、更にAdvancedをベースにジオメトリーや剛性設計を最適化した女性モデル「Envie(エンヴィ)」もラインナップしている。また、搭載するコンポーネントやパーツの差異により実に多くの販売パッケージを揃えている。これは一般ユーザーにとっては魅力的だ。
実戦投入されたプロペル ツールでの活躍と、これまでの戦績
開発期間を終えたプロペルは、ジャイアントがサポートするブランコプロサイクリング(現ベルキンプロサイクリング)へ2013年シーズン序盤から供給され、実戦投入直後からの短期間で幾つもの勝ち星を挙げてきた。プロペルが一躍脚光を浴びたのは、ヨーロッパが本格シーズンインする前の2月にマレーシアで開催されたツール・ド・ランカウイのことだ。第1、2ステージと連続でテオ・ボス(オランダ)がスプリント勝利し、第6ステージではトム・リーザー(オランダ)が独走勝利。10ステージ中3ステージで勝利するという鮮烈なデビューを飾った。
その後もプロペルは持ち前の空力性能からルーラーやTTスペシャリストなどのスピードマンや、スプリンターから特に好んで使用され、平坦ステージでは大きな活躍を見せた。
そして7月のツール・ド・フランスでは、チーム名変更に伴い新しくライトグリーンの差し色となったプロペルがデビュー。最終的に総合6位となったバウク・モレマ(オランダ)は、難関山岳ステージにおいてもプロペルを駆っており、平地巡航でのエアロダイナミクスのみならず、登坂でも一般的なロードバイクと遜色の無い高い総合力を存分に発揮したのである。
また、女性モデルであるエンヴィの活躍も忘れてはならない。史上最強と呼ばれるマリアンヌ・フォス(オランダ)によってジロ・ドンナ(女性版ジロ・デ・イタリア)でのステージ優勝など、幾多の勝利を挙げることに成功している。
提供:ジャイアント text:シクロワイアード編集部