2013/08/07(水) - 10:34
2013年、スペシャライズドのサポートを受けているチームの選手たちが、レースで変わった形のヘルメットを使っていた。それが、今回発表された新型ヘルメット、S-WORKS EVADE(イヴェード)である。
ジロ・デ・イタリアではステージ6勝とポイント賞、総合優勝を支えたEVADE photo:Kei Tsuji
通常のロード用ながら空力性能を高めたヘルメットだ。専用の風洞施設を手に入れ、ますます空力性能向上に力を入れているスペシャライズドから発表されたエアロヘルメットだけに、注目度は高い。
ツール・ド・フランスでもカヴェンディッシュによって2つの勝利をマーク (c)Makoto.AYANO
ニーバリはEVADEを使いジロのステージを走った photo:Kei Tsuji
データによると、1000ワットで200mのスプリントをしたとき、同社のロード用ヘルメットであるPREVAILに比べるとEVADEはゴール地点で2.6mも先行できるのだという。無視できない差である。事実、EVADEの実戦デビューとなったジロ・デ・イタリアでは、マーク・カヴェンディッシュがステージ5勝を挙げ、登りTTではヴィンチェンツォ・ニバリが勝利している。
エンジニアによると、「風洞実験をしたところ、EVADEはTTヘルメットであるTT2と同等の空力性能を持っていることが確認されました。しかし、実際の走行ではTT2より速いでしょう。なぜなら、EVADEはTT2に比べて前後長が短く、あらゆる方向の空力性能に優れているからです。頭を動かしてもロングテールヘルメットのように空力性能が悪化しにくいわけです。当然ながら通気性はEVADEのほうが優れており、しかもTT2に比べると軽く仕上がっています」とのこと。
カラーは全部で4パターン。これは人気が出そうなブラック/レッド
オメガファーマ・クイックステップチームも使用するEVADE
空気の流れを考慮した内部形状
リアのベンチレーションホールは非常に大きい。熱気を効率的に吸い出す設計
「重要なのは、ヘルメット上部の空気の流れをスムーズにすることでした。そのために、後部を低く抑え、空気の流れを滑らかにしています。前部にある小さめのベンチレーションホールから入った空気は、内部をクーリングしながら後部へと流れていきます」と担当者。
前部の穴に比べると、後部の排出口は非常に大きい。風が当たる前方の穴を小さく少なくするかわりに、後部のベンチレーションホールを大きくし、内部の熱気を効果的に吸い出すように設計されているという。内側を見ると、頭部とヘルメットとの間に空気の通り道が設けてあることが分かる。重量は約280g(ユーロフィット、Mサイズ)。
ベンチレーション機能を高めることで長距離のロードライドに対応する photo:Carson Blume
肝心のエアロ性能だが、頭周りの気流が整えられている気はする。風切り音も小さい。これは高速になればなるほど感じられる。通気性はPREVAILのほうが明確に高い。湿度の高い日本では暑さを感じることも多いだろう。ただ、停止時や低速時でも通気性はそれなりのレベルに保たれている。頭を温室に突っ込んでいるかのような従来のTTヘルメットと比べると天国レベルだ。
カヴェンディッシュがツールでやっていたように、平坦基調のコースではこのEVADE、真夏日や長時間のヒルクライムではPREVAIL、と使い分けるのが正しい方法だろう。エンジニアも、「PREVAILは暑い日やヒルクライムに、EVADEは風の強い日や平坦ステージに向いています」と言っていた。高価になってしまいがちなエアロヘルメットだが、EVADEはPREVAILと同価格に抑えられており、買い足すとしても負担は少ない。
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通常のロード用ながら空力性能を高めたヘルメットだ。専用の風洞施設を手に入れ、ますます空力性能向上に力を入れているスペシャライズドから発表されたエアロヘルメットだけに、注目度は高い。
バイク全体の空力性能に大きな影響を与える
「バイク全体のエアロダイナミクスを考えると、頭部は非常に影響が大きい場所。ヘルメットの空力性能を向上させることは、バイク全体の空力性能を大幅に高めることになるんです」と担当者。
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データによると、1000ワットで200mのスプリントをしたとき、同社のロード用ヘルメットであるPREVAILに比べるとEVADEはゴール地点で2.6mも先行できるのだという。無視できない差である。事実、EVADEの実戦デビューとなったジロ・デ・イタリアでは、マーク・カヴェンディッシュがステージ5勝を挙げ、登りTTではヴィンチェンツォ・ニバリが勝利している。
エンジニアによると、「風洞実験をしたところ、EVADEはTTヘルメットであるTT2と同等の空力性能を持っていることが確認されました。しかし、実際の走行ではTT2より速いでしょう。なぜなら、EVADEはTT2に比べて前後長が短く、あらゆる方向の空力性能に優れているからです。頭を動かしてもロングテールヘルメットのように空力性能が悪化しにくいわけです。当然ながら通気性はEVADEのほうが優れており、しかもTT2に比べると軽く仕上がっています」とのこと。
空力を重視しながら通気性にも配慮
見た目は通常のヘルメットに近いが、ロード用に比べると細長いシルエットとなっているイヴェード。エアインテークは小さく、数も少ない。後部が跳ね上がるような形状が多い通常のロード用ヘルメットに対し、後ろにいくにしたがってなだらかにすぼまっていることも特徴だ。
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「重要なのは、ヘルメット上部の空気の流れをスムーズにすることでした。そのために、後部を低く抑え、空気の流れを滑らかにしています。前部にある小さめのベンチレーションホールから入った空気は、内部をクーリングしながら後部へと流れていきます」と担当者。
前部の穴に比べると、後部の排出口は非常に大きい。風が当たる前方の穴を小さく少なくするかわりに、後部のベンチレーションホールを大きくし、内部の熱気を効果的に吸い出すように設計されているという。内側を見ると、頭部とヘルメットとの間に空気の通り道が設けてあることが分かる。重量は約280g(ユーロフィット、Mサイズ)。
高速になればなるほど整流効果を感じる
今回ジャーナリスト達に配られたのは欧米仕様。内部形状はかなり縦長で、通常ならSサイズを使う筆者がMサイズでないと入らなかった。日本人に適したアジアンフィットモデルの入荷は、まだまだ先になる。しかし、2年前に発表されたPREVAILのアジアンフィットが素晴らしかったことを考えると、EVADEアジアンフィット版のフィット感もレベルの高いものになるに違いない。
肝心のエアロ性能だが、頭周りの気流が整えられている気はする。風切り音も小さい。これは高速になればなるほど感じられる。通気性はPREVAILのほうが明確に高い。湿度の高い日本では暑さを感じることも多いだろう。ただ、停止時や低速時でも通気性はそれなりのレベルに保たれている。頭を温室に突っ込んでいるかのような従来のTTヘルメットと比べると天国レベルだ。
カヴェンディッシュがツールでやっていたように、平坦基調のコースではこのEVADE、真夏日や長時間のヒルクライムではPREVAIL、と使い分けるのが正しい方法だろう。エンジニアも、「PREVAILは暑い日やヒルクライムに、EVADEは風の強い日や平坦ステージに向いています」と言っていた。高価になってしまいがちなエアロヘルメットだが、EVADEはPREVAILと同価格に抑えられており、買い足すとしても負担は少ない。
提供:スペシャライズド・ジャパン 企画/制作:シクロワイアード