ツール・ド・フランスの3週間に渡る熱き戦いが終了した。プロトンは最終ゴールの設けられたパリ・シャンゼリゼ大通りまで、合計3,479kmに及ぶ距離を駆け抜けた。パナレーサーのタイヤを使用して走ったフランスのプロコンチネンタルチーム・ソジャサンも大きなトラブルに見舞われることなくゴール。今回は彼らの走りにフォーカスを当て、ツールでの活躍を振り返る。

コルシカ島でのチームプレゼンテーションに臨んだソジャサンの選手達コルシカ島でのチームプレゼンテーションに臨んだソジャサンの選手達 photo:Makoto.AYANO

幾多の逃げを足下から支えたパナレーサータイヤ

第100回の記念大会にふさわしく、ナポレオン生誕の地、地中海に浮かぶ風光明媚なコルシカ島で幕開けたツール・ド・フランス2013。ソジャサンは大会序盤から最後まで積極的に攻める姿勢を崩さず、幾多のアタックを繰り返し、逃げに乗った。

まずチーム最初の逃げは、早くも今大会の開幕ステージで決まる。最終盤に集団落車とバスのゴールゲート衝突事故で混乱を極めた第1ステージではシリル・ルモワンヌがスタートアタックに乗じてエスケープ。続く第2ステージではエスケープを逃したもののジュリアン・シモンがスプリントで6位に入ることに成功。

更に翌第3ステージではアレクシス・ヴィエルモスが逃げに乗り、幾多のアップダウンとコーナーを経た先の集団スプリントでシモンが9位入賞を果たすなど、ソジャサンはコルシカ島で上々の成績・活躍と共にツールをスタートさせた。

トリッキーな第3ステージを集団内で走るマキシム・メドレルトリッキーな第3ステージを集団内で走るマキシム・メドレル photo:Makoto.AYANO第9ステージの山岳を走るアントニー・ドゥラプラス第9ステージの山岳を走るアントニー・ドゥラプラス photo:Makoto.AYANO

ラルプ・デュエズをこなすソジャサンの選手達。足下を支えるのはパナレーサーのタイヤだラルプ・デュエズをこなすソジャサンの選手達。足下を支えるのはパナレーサーのタイヤだ photo:Makoto.AYANO
そしてチームタイムトライアルを無難にこなした後、ソジャサンは毎日のようにエスケープへとメンバーを送り込むことで高い注目を集めることとなる。第5ステージはアントニー・ドゥラプラスが逃げ、ルモワンヌが9位に。

第6、7ステージは目立った活躍こそ無かったものの、第8ステージ以降は何と第10、12、13、14、15、16ステージとほぼ毎日エスケープに加わるという大活躍を見せた。ジュリアン・エルファレスやジャンマルク・マリノなども逃げる中、最も力を発揮したのは序盤ステージでスプリント上位に絡んだシモンだろう。

シモンの地元であるブルターニュに場所を移して最初の第10ステージではファーストアタックを仕掛け、スプリント体勢に向けてスピードを上げる集団に対して最後まで抵抗を続けた。そして第14ステージでは逃げ切りを確定させた先頭グループの中から単独アタックし、独走のままゴール地点リヨンに到達。寸前のところで優勝を逃してしまったが、この日シモンは最も健闘した選手として敢闘賞を獲得した。

第14ステージ、逃げグループの中から独走するジュリアン・シモン第14ステージ、逃げグループの中から独走するジュリアン・シモン photo:A.S.O.
地元ブルターニュで逃げるジュリアン・シモン地元ブルターニュで逃げるジュリアン・シモン photo:Makoto.AYANO果敢な走りで敢闘賞を獲得したジュリアン・シモン果敢な走りで敢闘賞を獲得したジュリアン・シモン photo:A.S.O.

ここまでソジャサンの逃げは、ルモワンヌが2回、ドゥラプラスが2回、マリノが2回、シモンが2回、ヴィエルモスが1回、エルファレスが1回と何と計10ステージを逃げ、ステージ入賞が3回と敢闘賞が1回。地元プロコンチネンタルチームに期待される以上の成績を計上したと言って間違いないだろう。

パナレーサーとソジャサンの強力な信頼関係

メーカーが優れた製品を製造するのに欠かせないこと、それは実際に製品を使用したレース現場からのフィードバックだ。パナレーサーはソジャサンを始めとするサポートチームと綿密な関係を築き、そこから得られる情報を常に製品へと反映してきた。

チームタイムトライアルに挑まんとするソジャサンチームタイムトライアルに挑まんとするソジャサン photo:Makoto.AYANO
チューブラータイヤをメインに使用するソジャサンに対し、パナレーサーは当初「RACE A チューブラー」を供給予定だった。しかしチームからは主戦場となるヨーロッパでの使用をさらに突き詰めたタイヤ供給の希望が出たという。そこで開発されたタイヤが「RACE C」。Cとは「クラシック」の頭文字であり、トレッドはトラディショナルなミックスパターン。舗装状態の悪いヨーロッパの路面に対応するタイヤが生まれたのである。

ズラリと勢揃いしたソジャサンのチームバイクズラリと勢揃いしたソジャサンのチームバイク photo:Makoto.AYANOさらにソジャサンによる実戦投入の結果、RACEシリーズはコンパウンドの改良により耐カット性能、耐磨耗性能を約20%向上させた「RACE EVO2」シリーズへのバージョンアップに成功した。

また純フランスチームであることから、ソジャサンが重要視しているのはパリ~ルーベだ。このレースに掛ける思いは強く、RACE Cの性能を認めて以降、スペシャルの太目のチューブラーのリクエストが届く。そこで展開されたのがRACE C EVO2の26mmチューブラーである。これはパリ〜ルーベ専用開発であることから高いクッション性を備え、一般ユーザーにとってもブルベや荒れた道での走行に絶大な威力を発揮してくれるであろう。

より良い商品開発を行うために、チームとの情報交換はシーズンを通して行なわれており、日本に製造拠点を持つことからプロトモデルの製作など素早いアクションを可能としているのだ。今回のツールではプロトタイプのチューブラータイヤが持ち込まれており、今後の製品開発にデータが活かされる見込みだ。

ソジャサンのチームバイクにセットされたRACE CチューブラーソジャサンのチームバイクにセットされたRACE Cチューブラー photo:Makoto.AYANO

パリへの凱旋、示されたタイヤの信頼性

この後、伝説の峠ラルプ・デュエズをはじめとした厳しい山岳がそびえるアルプスでの3日間をクリアし、チームは栄光のパリ・シャンゼリゼへ到達。ソジャサンはパナレーサーのタイヤともに、3,479kmに渡る厳しく長い旅路を出場選手9人全員がフィニッシュした。

ツール・ド・フランスは製品の最大かつ最高のテストサーキットでもあり、製品の信頼性を証明する最高の舞台だ。街中のパヴェ、暑さで溶け油の浮いたアスファルト、豪雨に見舞われた下り坂…路面状況が刻々と変わり行く厳しい条件の中、パナレーサーのタイヤは安定したグリップと高い走行性能によってソジャサンの選手達のパリ凱旋をサポートした。

シャンゼリゼでもソジャサンは果敢にアタックしてみせたシャンゼリゼでもソジャサンは果敢にアタックしてみせた photo:Cor Vos
路面と選手をつなぐのはタイヤだ。ブレーキングを的確に行ってもグリップしなければ意味がないし、かと言って加速時や巡航時に重く、脚に余計な負荷がかかるようでも意味がない。タイヤはライダーの快適な走りと安全を守る重要な製品であり、リスクがあればチームが選択することはない。

ソジャサンがパナレーサーを使い続けているのには理由がある。それはトッププロの走りに応える性能を持っていること、即ち「信頼性の高さ」であることに他ならない。
提供:パナソニック ポリテクノロジー株式会社 制作:シクロワイアード