2013/07/18(木) - 17:29
例年以上に山岳コースの比率が高いと呼ばれる第100回記念大会のツール・ド・フランス。熱き戦いが繰り広げられた第2週を終え、山岳ステージが凝縮される第3週が始まるここで、シマノ、そしてPROを使用する選手の活躍を写真を交えて振り返る。
その中において最も注目を集めているのは、スプリントの大本命として見られていたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)らを退けてステージ3勝を飾ったドイツ期待の若手、マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)だ。開幕ステージを制してマイヨジョーヌを着た勢いをそのままに、個人タイムトライアルを挟んだ第10、第12のスプリントステージを連勝。名実共にツール最速スプリンターの仲間入りを果たした。
彼は空力に優れる50mmハイトのWH-9000-C50を愛用しており、第1ステージでも同ホイールをセットアップしていた。シマノがスポンサードを行うチームだけにコンポーネントはもちろん、スプリンタースイッチをオプションで組み込んだ9070系デュラエースDi2。ハンドルやシートポストはPRO製品で固められている。
第15ステージ終了時点で、全てのステージでシマノのサポートライダーがマイヨジョーヌを獲得していることにも注目だ。第1ステージから追っていくと、下記のようになる。南アフリカ出身初のマイヨジョーヌ着用者としてダリル・インピーもツールに名を刻んだ。
そして当初より、今大会マイヨジョーヌ候補筆頭とされていたクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が第8ステージ、アクス・トロワ・ドメーヌへと至る初の山頂ゴールで圧倒的な登坂力を披露し早くもマイヨジョーヌの獲得に成功する。更に第11ステージの個人タイムトライアルでも世界王者トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)に肉薄するタイムを叩き出したしアドバンテージを広げてみせた。
途中第13ステージでは横風区間での分断作戦に遭い、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)の先行を許したものの、総合タイム差は2位と3分近くの余裕を持ってゴール。また、このステージでは、同じくシマノサポートチームであるベルキンプロサイクリングが強烈なペースアップを行ったことで、バウク・モレマとローレンス・テンダム(共にオランダ)が総合順位を一つずつ上げ、表彰台を射程圏内に捉えた。
そして迎えた第2週目決戦の地・モンヴァントゥー、軽量なWH-9000-C24をバイクに装着したクリス・フルームは、残り約7km地点から強烈なアタックを繰り出し、再び総合タイム差を盤石なものとした。第2週を終え、フルームは着実にパリ・シャンゼリゼでのマイヨジョーヌ獲得へと駒を進めつつある。
そんな彼らが使うコンポーネント、デュラエースDi2の特筆すべき点の1つに、フロントディレイラーの位置をオートマチックに微調整するオートトリム機能がある。これにより圧倒的なストレスフリーと変速の確実性がさらに増している。これらの機材はプロ選手のものだけではなく一般ユーザーにとっても大きなメリットとなる機能だ。
9000系デュラエースならではの話題としては、ダイレクトマウントブレーキがツール・ド・フランスの現場で普及してきたこともトピックスだろう。従来からレディオシャック・レオパードのバイクサプライヤーはこのブレーキシステムの登場に合わせたフレームをレースに投入していたが、今ツールよりFDJ.frもダイレクトマウント対応のフロントフォークを装備したバイクを駆っている。
コンパクトかつエアロダイナミクスに優れる上に制動力の高いダイレクトマウントブレーキシステムは、極限の緊張を強いられる選手達にとって大きな信頼感を与える。エアロ化の進むロードバイクにおいて、今後フォークのシルエットに収まるフロントブレーキと、BB下側に取り付けるリアブレーキに対する需要は確実に大きくなっていくはずだ。
そしてシートポスト内蔵タイプのバッテリーを使うチームも増えた。フレームに取り付けるタイプに比べ小型軽量で、空力やルックスの向上にも一役買っていることは明らかだ。これは現在においてシマノ唯一のギミックである。
また、クランク型パワー計測システム「SRM」に対応する新型クランクが初登場。SRMはパワーメーターのパイオニアとして多くのプロチームが採用しているものの、駆動側の単体クランクを必要としており、これまではシマノサポートチームは7800系デュラエースのSRM対応クランクを用いてきた。
しかし、今ツールからはいよいよ9000系デュラエース同様のデザインを取り入れたクランクが登場し、一部のサポート選手が使用中だ。クランクには「DURA-ACE」ではなく「SHIMANO」ロゴが記されるシリーズ外のスペシャルパーツだ。
2012年度のツールでもコンポーネントに先駆けて9000系デュラエースホイールは使用されていたが、その中心はWH-9000-C50と同C35。C75などに関しては7900系ホイールも多く、プロトタイプも多く混在している状況だった。
しかし待ち望まれていたフルカーボンのロープロファイルホイール「WH-9000-C24-TU」が遂に8月に一般発売されることも重なり、2013年大会ではほぼ全てのホイールが9000系デュラエースへと統一された。この新型軽量ホイールは前後セットで1,151gというシマノ史上最高の軽量性を備え、難関山岳ステージでは選手から好んで使用されている。
超級山岳コースではC24を、中級山岳ステージやブルターニュ地方のような丘陵地帯を縫って走るコースでは軽量性とエアロを兼ね備えるC35、細かいアップダウンや平坦基調では50mmハイトのC50、更に完全な平坦やタイムトライアルではC75といったように、コースに合わせた豊富なバリエーションがデュラエースホイールの特徴だろう。
加速性能に長けた24mmハイトのリムを持つ超軽量ホイール。前後セットで1,151gと非常に軽量であることから難関山岳コースで多く使用され、今ツールは第8ステージでクリス・フルームによる圧勝・マイヨジョーヌの獲得に貢献した。アルミ+カーボン製としたクリンチャータイプとチューブレスタイプも用意されている。
35mmというミッドハイトリムを装備することで、巡航性能と加速性を両立したのがこのC35-TU。フルカーボン製で重量も1,362gと軽く、平地から山岳までコースを問わず使用できる万能ホイールだ。ニップルは整備製の高いリム側の外出しタイプ。アルミ+カーボン製としたクリンチャータイプも用意される。
スピードの持続性に優れる50mmハイトのリムを装備したことで、平坦コースから細かいアップダウンのあるコースに対応するプロ選手にとってのスタンダードモデル。スプリントで勝利を重ねるマルセル・キッテルが愛用するホイールだ。アルミ+カーボン製としたクリンチャータイプも用意。
ハイト75mm、幅24mmという圧倒的なボリュームを誇るスーパーディープリムホイールがこのWH-9000-C75。横風に対して安定したハンドリングを得るD2リムの採用など、平坦やタイムトライアルで本領を発揮する。高いリムを装備しているにも関わらず、1,545gと軽量であることも特徴だ。チューブラーのみの展開。
15ステージ中8勝を挙げたシマノコンポーネント これまでの活躍を振り返る
記念すべき第100回記念のツール・ド・フランスは、これまで以上に大きくシマノ製品の活躍が目立っていると言えるだろう。最終山岳決戦の火ぶたが切られる第3週を前にして、シマノ製品を使う選手が、15ステージを経て早くも8勝を挙げ、昨年を上回るペースで勝ち星を更新中だ。その中において最も注目を集めているのは、スプリントの大本命として見られていたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)らを退けてステージ3勝を飾ったドイツ期待の若手、マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)だ。開幕ステージを制してマイヨジョーヌを着た勢いをそのままに、個人タイムトライアルを挟んだ第10、第12のスプリントステージを連勝。名実共にツール最速スプリンターの仲間入りを果たした。
彼は空力に優れる50mmハイトのWH-9000-C50を愛用しており、第1ステージでも同ホイールをセットアップしていた。シマノがスポンサードを行うチームだけにコンポーネントはもちろん、スプリンタースイッチをオプションで組み込んだ9070系デュラエースDi2。ハンドルやシートポストはPRO製品で固められている。
第15ステージ終了時点で、全てのステージでシマノのサポートライダーがマイヨジョーヌを獲得していることにも注目だ。第1ステージから追っていくと、下記のようになる。南アフリカ出身初のマイヨジョーヌ着用者としてダリル・インピーもツールに名を刻んだ。
第15ステージまでのマイヨジョーヌ獲得選手
第1ステージ | マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) |
第2、第3ステージ | ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード) |
第4、第5ステージ | サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) |
第6、第7ステージ | ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) |
第8〜第15ステージ | クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) |
そして当初より、今大会マイヨジョーヌ候補筆頭とされていたクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が第8ステージ、アクス・トロワ・ドメーヌへと至る初の山頂ゴールで圧倒的な登坂力を披露し早くもマイヨジョーヌの獲得に成功する。更に第11ステージの個人タイムトライアルでも世界王者トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)に肉薄するタイムを叩き出したしアドバンテージを広げてみせた。
途中第13ステージでは横風区間での分断作戦に遭い、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)の先行を許したものの、総合タイム差は2位と3分近くの余裕を持ってゴール。また、このステージでは、同じくシマノサポートチームであるベルキンプロサイクリングが強烈なペースアップを行ったことで、バウク・モレマとローレンス・テンダム(共にオランダ)が総合順位を一つずつ上げ、表彰台を射程圏内に捉えた。
そして迎えた第2週目決戦の地・モンヴァントゥー、軽量なWH-9000-C24をバイクに装着したクリス・フルームは、残り約7km地点から強烈なアタックを繰り出し、再び総合タイム差を盤石なものとした。第2週を終え、フルームは着実にパリ・シャンゼリゼでのマイヨジョーヌ獲得へと駒を進めつつある。
そんな彼らが使うコンポーネント、デュラエースDi2の特筆すべき点の1つに、フロントディレイラーの位置をオートマチックに微調整するオートトリム機能がある。これにより圧倒的なストレスフリーと変速の確実性がさらに増している。これらの機材はプロ選手のものだけではなく一般ユーザーにとっても大きなメリットとなる機能だ。
9000系デュラエースならではの話題としては、ダイレクトマウントブレーキがツール・ド・フランスの現場で普及してきたこともトピックスだろう。従来からレディオシャック・レオパードのバイクサプライヤーはこのブレーキシステムの登場に合わせたフレームをレースに投入していたが、今ツールよりFDJ.frもダイレクトマウント対応のフロントフォークを装備したバイクを駆っている。
コンパクトかつエアロダイナミクスに優れる上に制動力の高いダイレクトマウントブレーキシステムは、極限の緊張を強いられる選手達にとって大きな信頼感を与える。エアロ化の進むロードバイクにおいて、今後フォークのシルエットに収まるフロントブレーキと、BB下側に取り付けるリアブレーキに対する需要は確実に大きくなっていくはずだ。
そしてシートポスト内蔵タイプのバッテリーを使うチームも増えた。フレームに取り付けるタイプに比べ小型軽量で、空力やルックスの向上にも一役買っていることは明らかだ。これは現在においてシマノ唯一のギミックである。
また、クランク型パワー計測システム「SRM」に対応する新型クランクが初登場。SRMはパワーメーターのパイオニアとして多くのプロチームが採用しているものの、駆動側の単体クランクを必要としており、これまではシマノサポートチームは7800系デュラエースのSRM対応クランクを用いてきた。
しかし、今ツールからはいよいよ9000系デュラエース同様のデザインを取り入れたクランクが登場し、一部のサポート選手が使用中だ。クランクには「DURA-ACE」ではなく「SHIMANO」ロゴが記されるシリーズ外のスペシャルパーツだ。
プロの走りを支えるDURA-ACEホイール
さて、この章では多くのバリエーションを擁するデュラエースホイールにフォーカスしてみたい。今ツールではアルゴス・シマノ、ベルキンプロサイクリング、スカイプロサイクリング、オリカ・グリーンエッジ、FDJ.fr、BMCレーシングチームの計6チームがシマノオフィシャルサポートチームとして、更に自ら選択しているチームを含めれば全7チームがデュラエースのホイールを使用している。2012年度のツールでもコンポーネントに先駆けて9000系デュラエースホイールは使用されていたが、その中心はWH-9000-C50と同C35。C75などに関しては7900系ホイールも多く、プロトタイプも多く混在している状況だった。
しかし待ち望まれていたフルカーボンのロープロファイルホイール「WH-9000-C24-TU」が遂に8月に一般発売されることも重なり、2013年大会ではほぼ全てのホイールが9000系デュラエースへと統一された。この新型軽量ホイールは前後セットで1,151gというシマノ史上最高の軽量性を備え、難関山岳ステージでは選手から好んで使用されている。
超級山岳コースではC24を、中級山岳ステージやブルターニュ地方のような丘陵地帯を縫って走るコースでは軽量性とエアロを兼ね備えるC35、細かいアップダウンや平坦基調では50mmハイトのC50、更に完全な平坦やタイムトライアルではC75といったように、コースに合わせた豊富なバリエーションがデュラエースホイールの特徴だろう。
ツールを走るDURA-ACEホイール ラインナップ
WH-9000-C24-TU
加速性能に長けた24mmハイトのリムを持つ超軽量ホイール。前後セットで1,151gと非常に軽量であることから難関山岳コースで多く使用され、今ツールは第8ステージでクリス・フルームによる圧勝・マイヨジョーヌの獲得に貢献した。アルミ+カーボン製としたクリンチャータイプとチューブレスタイプも用意されている。
仕様 | チューブラー、2:1スポークシステム、 エクストラワイドフランジ |
重量 | 1,151g |
WH-9000-C35-TU
35mmというミッドハイトリムを装備することで、巡航性能と加速性を両立したのがこのC35-TU。フルカーボン製で重量も1,362gと軽く、平地から山岳までコースを問わず使用できる万能ホイールだ。ニップルは整備製の高いリム側の外出しタイプ。アルミ+カーボン製としたクリンチャータイプも用意される。
仕様 | チューブラー、2:1スポークシステム、 エクストラワイドフランジ |
重量 | 1,362g |
WH-9000-C50-TU
スピードの持続性に優れる50mmハイトのリムを装備したことで、平坦コースから細かいアップダウンのあるコースに対応するプロ選手にとってのスタンダードモデル。スプリントで勝利を重ねるマルセル・キッテルが愛用するホイールだ。アルミ+カーボン製としたクリンチャータイプも用意。
仕様 | チューブラー、D2リム、 2:1スポークシステム、エクストラワイドフランジ |
重量 | 1,449g |
WH-9000-C75-TU
ハイト75mm、幅24mmという圧倒的なボリュームを誇るスーパーディープリムホイールがこのWH-9000-C75。横風に対して安定したハンドリングを得るD2リムの採用など、平坦やタイムトライアルで本領を発揮する。高いリムを装備しているにも関わらず、1,545gと軽量であることも特徴だ。チューブラーのみの展開。
仕様 | チューブラー、D2リム、 2:1スポークシステム、エクストラワイドフランジ |
重量 | 1,545g |
提供:シマノ 企画/制作:シクロワイアード