2012/03/22(木) - 12:16
3月3・4日に行われた奈良一帯を楽しむサイクリング「奈良サイクルツアー2012」。同時開催で地元グルメを紹介する「奈良食祭」、トークショーが行われた「サイクルシンポジウム」と多くのイベントが行われた。ツアーに自転車で参加して、トークショーも楽しんだ。
寒い冬が終わり、サイクリングに行きたくなる季節が巡ってくる。奈良の歴史や名所・旧跡を巡る「奈良サイクルツアー」はニ日間に渡って行われ、一泊二日の「飛鳥・橿原コース」と「吉野コース」、土・日曜の両日で行われた「日帰りコース」の三つのコースから選択できる。
その全コースとも奈良の名所・旧跡を巡ることができ、宿泊コースはツアーオブジャパンのステージでコースになっている布目ダムを走ったり、明日香村や吉野を散策する歴史体験ができる。
今回、自転車で同行取材をした「日帰りコース」は、平城京跡をスタートして奈良公園~天理~大神神社~明日香~橿原神社~郡山城と一周する形で回り、平城京に戻る74kmのコース。
三つのコースともに橿原神社に開催された「奈良食祭」と「サイクルシンポジウム」に参加することができた。
スタートは世界遺産の平城京から
取材日の3月3日は、雨の予報が外れて青い空が広がる絶好のサイクリング日和。まだ肌寒いものの、雨の天気が覆った。この日の日帰りコースの一部区間に限り、今シーズンから自身のプロロードレースチーム、Team UKYOを立ち上げた片山右京監督と、宮城県サイクリング協会理事の門岡淳氏がサイクリングに同行してくれた。Team UKYOは東京でのチームプレゼンテーション後、奈良でチーム合宿を行っていた経緯がある。
サイクリング参加者にはコースのキューシートが配布され、コースのブリーフィング説明を聞いてから朝9時に平城京朱雀門前からスタート。一行は奈良サイクリング協会の先導のもと、平城京を抜けて奈良公園・春日大社から、のんびり遊ぶ鹿たちを横目に見つつ走った。市街の外れからは細い旧道に入り、古代道路の一つである「上ツ道」で、天理市を経由して桜井市に向かった。
コース序盤は古い町並みを生かした店舗が並ぶ観光地を抜け、車一台くらいの幅の道を通って住宅地や畑の中を走る。歴代皇室家が安産祈願される、日本最古の安産祈願・求子祈願霊場「帯解寺」や、戦艦大和の戦死者を祀る「大和神社」、そして三輪山をご神体とする日本最古の神社「大神神社」の休憩ポイントでは、配られるパンを食べて一休み。
そしてここから丘陵地帯を登り、明日香村ーの石舞台古墳へ。片山右京さんや参加者も、奈良の史跡巡りを堪能した様子。橿原神宮に併設される「奈良食祭」会場へはちょうどお昼時に到着できた。
「奈良食祭」で配布されたお弁当には、奈良で栽培されている赤い古代米が使われていて、これがもちもちとして美味しい。アルコール分0%の甘酒も頂いた。会場内では50もの奈良県下のお店が出店し、鮎の塩焼き・イノシシ汁・五平餅・こんにゃくといった山の幸などが豊富。その中から私が選んだのは「ミニ鴨鍋」。鴨肉の旨味がとても美味しかった。
会場隣の奈良県立橿原考古学研究所にて「奈良サイクルツアー2012開催記念サイクルシンポジウム」が開催された。シンポジストとして、サイクリングに同行した片山・門岡両氏とライターの土肥志穂さん、ツアー・オブ・ジャパン奈良ステージ実行委員長の倍巖良明氏、徳島大学大学院の山中英生教授と、進行はNPO自転車推進委員会の佐海利久さんが務めた。
震災における自転車シンポジストそれぞれの思い
土肥志穂さん
「震災当時は横浜の自転車店を営んでいる自宅で地震を感じ、MTBで高台に逃げて途中川の水位が上がり高台に登ると東京湾側の石油コンビナートが燃えているのが見え雲が立ちこめる景色が見えた。その後の余震では夫婦で避難ルートを考えた。自転車だと速く移動できるものの、災害時パンクしない自転車の必要性がある。」
門岡淳さん
「宮城県の女川原発に勤務していて、勤務当時震災にあった。港は渦が巻いているのが見えた。原発で四日ほど留まり、自宅に帰ると一階は浸水していて、高台の自宅から見ると町が無くなっていた。瓦礫が除去されてもなかなか自転車で移動できない。女川は自転車に乗る人が少なく、自転車修理をする事があまり無く肩すかしでした。」
片山右京さん
「自分は自転車に乗る事によって生き残る自信がある。自転車で移動する考えで高台に逃げて助かる事ができる。被災地支援で現状を見て燃料が無くても動ける自転車には可能性はある。自転車に乗って体を鍛えることもできます。」
倍巖良明さん
「昨年の台風12号で奈良県は十津川が氾濫したりと大変な災害を受けました。山岳地帯の南部はインフラの問題もあり、過疎の地域を守るため復興支援として自転車イベントを企画したい。」
山中英生さん
「体は鍛えとく事が大切。普通の人は車に飛び乗るけど、歩いてどこまで逃げれるか分からない。自転車で健康的に鍛える事ができます。」
シンポジストたちは自転車に乗ることと、災害に対する心構えなどを話し合った。
シンポジウム終了後は、飛鳥川沿いを走る奈良自転車道を走り、途中に大和郡山城を通過して、夕日に染まる朱雀門が美しい平城京へと戻る。
一日を一緒に走って、心に残った参加者たちの声を書き留めておきます。
「集団で走る事の楽しさが分かりました。また次回あれば参加したいです。」とは地元奈良出身で初イベント参加のナガタニさん。
名古屋から参加のイマムラ夫妻は、自転車歴3年でお揃いのゲーリーフィッシャーで参加。「楽しかった。少しきつかったけど完走できて良かった」。
自転車を始めて四年の、八尾市の智子さんは「とても楽しかったです。奈良サイコー!」。
8ヶ月の奈良のケイちゃんは、「空気もご飯も美味しくて、楽しく景色もきれいで最高にハッピーでした!」。
日帰りコースということで若干駆け足気味ではあったが、奈良サイクルツアーは歴史にまつわる史跡を巡り、名産品も堪能しつつ、東日本大震災での教訓を自転車で生かすシンポジウムまであり、充実した内容に参加者全員が楽しめた。私もぜひ次回はこの魅力的な奈良を宿泊コースでたっぷり堪能したいと思った。
text&photo:Akihiro.NAKAO
寒い冬が終わり、サイクリングに行きたくなる季節が巡ってくる。奈良の歴史や名所・旧跡を巡る「奈良サイクルツアー」はニ日間に渡って行われ、一泊二日の「飛鳥・橿原コース」と「吉野コース」、土・日曜の両日で行われた「日帰りコース」の三つのコースから選択できる。
その全コースとも奈良の名所・旧跡を巡ることができ、宿泊コースはツアーオブジャパンのステージでコースになっている布目ダムを走ったり、明日香村や吉野を散策する歴史体験ができる。
今回、自転車で同行取材をした「日帰りコース」は、平城京跡をスタートして奈良公園~天理~大神神社~明日香~橿原神社~郡山城と一周する形で回り、平城京に戻る74kmのコース。
三つのコースともに橿原神社に開催された「奈良食祭」と「サイクルシンポジウム」に参加することができた。
スタートは世界遺産の平城京から
取材日の3月3日は、雨の予報が外れて青い空が広がる絶好のサイクリング日和。まだ肌寒いものの、雨の天気が覆った。この日の日帰りコースの一部区間に限り、今シーズンから自身のプロロードレースチーム、Team UKYOを立ち上げた片山右京監督と、宮城県サイクリング協会理事の門岡淳氏がサイクリングに同行してくれた。Team UKYOは東京でのチームプレゼンテーション後、奈良でチーム合宿を行っていた経緯がある。
サイクリング参加者にはコースのキューシートが配布され、コースのブリーフィング説明を聞いてから朝9時に平城京朱雀門前からスタート。一行は奈良サイクリング協会の先導のもと、平城京を抜けて奈良公園・春日大社から、のんびり遊ぶ鹿たちを横目に見つつ走った。市街の外れからは細い旧道に入り、古代道路の一つである「上ツ道」で、天理市を経由して桜井市に向かった。
コース序盤は古い町並みを生かした店舗が並ぶ観光地を抜け、車一台くらいの幅の道を通って住宅地や畑の中を走る。歴代皇室家が安産祈願される、日本最古の安産祈願・求子祈願霊場「帯解寺」や、戦艦大和の戦死者を祀る「大和神社」、そして三輪山をご神体とする日本最古の神社「大神神社」の休憩ポイントでは、配られるパンを食べて一休み。
そしてここから丘陵地帯を登り、明日香村ーの石舞台古墳へ。片山右京さんや参加者も、奈良の史跡巡りを堪能した様子。橿原神宮に併設される「奈良食祭」会場へはちょうどお昼時に到着できた。
「奈良食祭」で配布されたお弁当には、奈良で栽培されている赤い古代米が使われていて、これがもちもちとして美味しい。アルコール分0%の甘酒も頂いた。会場内では50もの奈良県下のお店が出店し、鮎の塩焼き・イノシシ汁・五平餅・こんにゃくといった山の幸などが豊富。その中から私が選んだのは「ミニ鴨鍋」。鴨肉の旨味がとても美味しかった。
会場隣の奈良県立橿原考古学研究所にて「奈良サイクルツアー2012開催記念サイクルシンポジウム」が開催された。シンポジストとして、サイクリングに同行した片山・門岡両氏とライターの土肥志穂さん、ツアー・オブ・ジャパン奈良ステージ実行委員長の倍巖良明氏、徳島大学大学院の山中英生教授と、進行はNPO自転車推進委員会の佐海利久さんが務めた。
震災における自転車シンポジストそれぞれの思い
土肥志穂さん
「震災当時は横浜の自転車店を営んでいる自宅で地震を感じ、MTBで高台に逃げて途中川の水位が上がり高台に登ると東京湾側の石油コンビナートが燃えているのが見え雲が立ちこめる景色が見えた。その後の余震では夫婦で避難ルートを考えた。自転車だと速く移動できるものの、災害時パンクしない自転車の必要性がある。」
門岡淳さん
「宮城県の女川原発に勤務していて、勤務当時震災にあった。港は渦が巻いているのが見えた。原発で四日ほど留まり、自宅に帰ると一階は浸水していて、高台の自宅から見ると町が無くなっていた。瓦礫が除去されてもなかなか自転車で移動できない。女川は自転車に乗る人が少なく、自転車修理をする事があまり無く肩すかしでした。」
片山右京さん
「自分は自転車に乗る事によって生き残る自信がある。自転車で移動する考えで高台に逃げて助かる事ができる。被災地支援で現状を見て燃料が無くても動ける自転車には可能性はある。自転車に乗って体を鍛えることもできます。」
倍巖良明さん
「昨年の台風12号で奈良県は十津川が氾濫したりと大変な災害を受けました。山岳地帯の南部はインフラの問題もあり、過疎の地域を守るため復興支援として自転車イベントを企画したい。」
山中英生さん
「体は鍛えとく事が大切。普通の人は車に飛び乗るけど、歩いてどこまで逃げれるか分からない。自転車で健康的に鍛える事ができます。」
シンポジストたちは自転車に乗ることと、災害に対する心構えなどを話し合った。
シンポジウム終了後は、飛鳥川沿いを走る奈良自転車道を走り、途中に大和郡山城を通過して、夕日に染まる朱雀門が美しい平城京へと戻る。
一日を一緒に走って、心に残った参加者たちの声を書き留めておきます。
「集団で走る事の楽しさが分かりました。また次回あれば参加したいです。」とは地元奈良出身で初イベント参加のナガタニさん。
名古屋から参加のイマムラ夫妻は、自転車歴3年でお揃いのゲーリーフィッシャーで参加。「楽しかった。少しきつかったけど完走できて良かった」。
自転車を始めて四年の、八尾市の智子さんは「とても楽しかったです。奈良サイコー!」。
8ヶ月の奈良のケイちゃんは、「空気もご飯も美味しくて、楽しく景色もきれいで最高にハッピーでした!」。
日帰りコースということで若干駆け足気味ではあったが、奈良サイクルツアーは歴史にまつわる史跡を巡り、名産品も堪能しつつ、東日本大震災での教訓を自転車で生かすシンポジウムまであり、充実した内容に参加者全員が楽しめた。私もぜひ次回はこの魅力的な奈良を宿泊コースでたっぷり堪能したいと思った。
text&photo:Akihiro.NAKAO
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